頭金は入れない方が良い!
繰り上げ返済もしない方が良い!
~その理由を論理的に解説します~
【住宅ローン】頭金は入れない方が良い!繰り上げ返済もしない方が良い!
その理由を論理的に解説
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FM76.7MHzフラワーラジオ にて毎週放送!
レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第418-1回目 (2022年8月07日放送分 前半)となります。
今回の話題
【住宅ローン】頭金は入れない方が良い!繰り上げ返済もしない方が良い!
その理由を論理的に解説
以下は、動画の内容に関連した情報です。
より詳しく知りたい方は、是非動画をご覧ください。
塩澤崇 氏にお話をうかがう

不動産せんせい田中の教えて不動産の知恵袋
番組MCのフジコで御座います。
田中せんせい。塩澤せんせい。
後半はどんなお話を頂けるのでしょうか?

後半は『モゲ澤せんせい』こと、住宅ローン比較サービス【モゲチェック】を運営している株式会社MFSの取締役COOの塩澤崇せんせいに
- 『頭金はできるだけ入れない』
- 『住宅ローンの繰り上げ返済はしない方がお得』
-
というテーマでお話して頂きます。

それでは「Yes!モゲチェック!」の、モゲ澤せんせいお願いします。
塩澤 崇(しおざわ たかし)さん プロフィール
■ 塩澤 崇(しおざわ たかし)
株式会社 MFS 取締役COO
略歴
2006年 | 東京大学大学院情報理工学系研究科修了(専攻:数理情報学) |
---|---|
2006年 | モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。 モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。 |
2009年 | ボストン・コンサルティング・グループ入社。 メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事 |
2015年 | 9月よりMFS取締役COO |
塩澤 崇 紹介ページ – モゲチェック
住宅ローンは繰り上げ返済しないほうがいい

まず「借金(住宅ローン)はできるだけ早く完済し、ラクになりたい。」と考えている方が非常に多いと思います。
ただ、意外なことに、住宅ローンには長く借りるメリットもたくさんあり、一概に繰り上げ返済したほうがいいとは言えません。
むしろ、繰り上げ返済しないほうがいいと考えています。
今日は、そのあたりをわかりやすく解説したいと思います。
25年返済と35年返済をシミュレート比較

まず、返済期間が異なると金利の支払額にどのぐらい差がでるのでしょうか? 試しにシミュレーションしてみました。
元本3,000万円 で 金利0.45% の住宅ローンを
- ・35年で返済するケース
- ・25年で返済するケース

当然ですが、返済期間が短い『25年で返済するケース』のほうが、
毎月の返済額は約3万円増える一方、
総返済額は約70万円減ります。
つまり、逆に言えば、返済期間を伸ばすと、支払額が70万円増えることになります。

そうですね。
ゼロシステムズの>【住宅ローン金利シミュレータ】で計算すると
- 35年返済 / 月々約 7万7千円 / 支払利息の総額 → 約243万円
- 25年返済 / 月々約10万6千円 / 支払利息の総額 → 約172万円
しかし、そのために頑張って月々3万円多く返済しても、支払利息の総額が70万円しか安くならないのは微妙ですよね。
頑張って月々3万円多く返済しても、支払利息の総額では70万円しか安くならない。
※上記の例の場合

そうなんですよ。
返済額が増えてしまうのに『返済期間は長くとったほうがいい』と考える理由は以下の2つです。
- 『住宅ローンは借りると儲かる商品』
- 『Cash is king』

住宅ローンは、借りた側が儲かるということですか?

そういうことです。
つまり
- 『住宅ローンは借りるとむしろリターンがあるので、繰り上げ返済せずにキープしておきましょう。』
- 『現金は家計を守るための生命線なので借金の返済に使うのはあまりにももったいない。』
住宅ローンは借りると儲かる商品である

それではまず
『住宅ローンは借りると儲かる商品』についてご説明します。
借入額3,000万円/住宅ローン金利0.45%/返済期間35年
の住宅ローンを例にとり、考えてみましょう。
住宅ローン控除でお得
13年間の住宅ローン控除額例

13年間の住宅ローン控除額

13年間の住宅ローン控除額の合計ですが、元本の0.7%分の税控除とすると、およそ226万円。
つまり元本の約7.5%分のメリットを得ることができます。

以前に、ゼロシステムズの『住宅ローン控除シミュレータ』を使って、住宅ローン控除の損益分岐点の金利を計算したのですが、0.475%でした。
この金利以下で借入れできれば、住宅ローン控除だけで考えたとしても、住宅ローンを借りた方がお得と言えます。

そうですね。
一方、金利と借入時に支払う事務手数料を合計すると310万円となります。
つまり元本の約10%分のコストがかかります。

金利0.45%で35年返済 → 支払利息の総額 約243万円。
3,000万円借りる時に銀行へ支払う事務手数料は、借入金額×2.2%だと約66万円ですので
支払利息総額 243万円 + 事務手数料 66万円 = 309万円
3,000万円借りるときには、約310万円の経費がかかるということですね。
35年で3,000万円借りるには約310万円の経費

35年で返済するケース

そういうことですね。

お金を借りるのには、ずいぶんお金がかかるのですね・・・。

はい。
ただ、この約310万円から、住宅ローン控除で戻ってくる226万円を差し引くと、実質的なコストは、84万円となります。

3,000万円借りても、35年で84万円のコストしかかからないということですか?

そうです。
この84万円を35年返済にすると、月々2,100円程度となります。
意外かもしれませんが、35年間、3,000万円の住宅ローンを借りるコストは月々2,100円程度なのです。
では、そのコストで私たちは何を得られるでしょうか?
おもに以下にメリットが得られます。
住宅ローン借入コストで得られるメリット
- ・時間を買うこと
- 本来、何十年も貯金しなければ手に入れることができないマイホームに、すぐ住むことができる。
- ・生命保険にも入れます
- 住宅ローンには団体信用生命保険という生命保険が無料でついています。
返済中に死亡したり、高度障害になったりすると、住宅ローン残高に相当する保険金がおりて、ローン残高が0円になります。

この団信の価値はいくらかというと、結論、約260万円です。
今回のケースの団信とほぼ同様の効果を得られる生命保険として、
40歳で1,500万円の死亡保険に入ることを想定した場合、
男性だと毎月6,300円の保険料、
35年で約260万円を支払う必要があるからです。
つまり、
住宅ローン3,000万円を借りて約84万円のコストを支払うことにより、一般に販売されている生命保険換算で約260万円相当の保険に入れるということになります。
差し引き約176万円もお得になる計算です。

うーん?
ちょっと待って、もう1回いい??

住宅ローンに無料でついてくる団信は、一般に販売されている生命保険に換算すると毎月6,300円の保険料と同等になります。
住宅ローン借入れにかかる実質的なコストは、月々2,100円程度です。
6,300円 – 2,100円 = 4,200円
住宅ローンを借りている限りは、毎月4,200円もお得になっているということです。
毎月4,200円ということは、35年(420回)だと176万円もお得という計算です。

なるほど!
わかりました。

そう考えると、銀行って薄利ですよね。

そうですね。
これが『住宅ローンは借りると儲かる商品』とお伝えした理由です。
このような理由があるので、繰り上げ返済してはいけないのです。

住宅ローンがこんなにもお得な商品になっているのか?
その理由は以下のことが挙げられます。
- ・住宅ローン減税による税控除が非常に大きい
- ・銀行が激しい融資競争を行っているので金利がかなり低く抑えられている

確かに、そうですね。
Cash is king(現金は王様だ)

次の理由は『Cash is king(現金は王様だ)』です。
当たり前のことですが、現金を確保することは非常に重要です。
繰り上げ返済は手元の現金を減らす行為ですので、オススメできない。
という意味です。
現金を確保することは非常に重要。
繰り上げ返済は手元の現金を減らす行為ですのでオススメできない。
現金が手元にあることのメリット

現金が手元にあることのメリットはたくさん挙げられます。
主なメリットは以下となります。
- ・急な出費に備えることができる
- ・老後資金にできる
- ・家のリフォーム代に使える
- ・資産運用してお金を増やすことができる

仮に上記の資金を別途用意しないといけない場合、どの程度のコストを支払うことになるでしょうか?
- ・リフォームローンや教育ローンですとおおむね2~3%の金利です。
- ・無担保ローンとなると10%前後の金利になるケースもあります。
いざという時に現金が足りなくなるリスク

『住宅ローン金利が0.4%台で借りられるのに、手持ち資金を頭金や繰り上げ返済で出してしまって、いざという時に、お金が足りなくて金利10%のカードローンを借りる。』
これでは本末転倒ですね。

ソレ一番やっちゃいけないパターン。
現金大事ですよね。
やるべきことは『貯金』

そういうことです。
住宅ローンを繰り上げ返済すると心理的な負担から解放される一方で、万が一の出費を手当てするために高金利を支払う、最悪のケースでは対応できなくなるというリスクがあります。
また、収入減などの将来不安があるから借金を早く減らしたいと考える方もいらっしゃいますが、やるべきことは繰り上げ返済ではなく貯金です。
以上のことから、繰り上げ返済はせずに約定どおり返済することをおすすめします。
頑張って繰上げ返済をするよりも、その分を貯金して現金を残す。
借りている事で得られるメリットを活かす。

住宅ローンは、借金を『背負う』のではなく、プラスのリターンがある『儲かる商品』と考え方を変えてみてください。
日本人には『借金は悪』というイメージがこびりついているように思います。
この発想は表面的なモノゴトの捉え方であり、好き嫌いの感情レベルです。
感情で判断してしまうと金融商品の本質を見逃してしまい、住宅ローンの大きなメリットをみすみす見逃してしまいます。
私たちも住宅ローンに対する見方を変えることで、新たなメリットを実感できるはずです。
どうせ住宅ローンを借りるなら、『借りていることをどうやってうまく家計に活かすか?』と前向きな視点で捉えたいですね。

なるほど~。
塩澤せんせい
ありがとうございました。

ありがとうございました!
教えて不動産の知恵袋
来週もお楽しみに!
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