【住宅ローン】超低金利の終わりが始まる。日本銀行の黒田総裁記者会見を解説。
今後どうなる?住宅ローン固定と変動
【住宅ローン】超低金利の終わりが始まる。日本銀行の黒田総裁記者会見を解説。
今後どうなる?住宅ローン固定と変動。
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第438-1回目 (2022年12月22日放送分 前半)となります。
今回の話題
【住宅ローン】超低金利の終わりが始まる。日本銀行の黒田総裁記者会見を解説。
今後どうなる?住宅ローン固定と変動
日銀発表「大規模緩和を一部修正する」

FM鴻巣フラワーラジオ 不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆様、こんにちは~。
番組MCのフジコで御座います。
田中先生、本日も宜しくお願い致します。
早速ですが、今回はどんなお話を頂けるのでしょうか?

日銀は、12月20日に開かれた金融政策決定会合で、大規模緩和を一部修正するとして、長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する方針を決めました。
このことは、ニュースで大きく報道されました。
今回は、これについて、リスナーさんから、たくさんのご質問やコメントが入っていますので、そのお話をしてみようかと思います。

それは興味深いですね。
ぜひお願いします。

承知しました!
金融緩和が縮小されて住宅ローン金利は上昇するのか

まずはリスナーさんからのご質問をご紹介しますね。
ラジオネーム:フォーチューンさんからのご質問です。
リスナー様からの質問
■ 日銀が金利を高くするようなことを言っていますが・・・
いつも勉強になってます。
ニュースでは、日銀が金融緩和を縮小して金利を高くするようなことを言っていますが、そうなると住宅ローン金利は上昇するということですか?
ラジオネーム:フォーチューンさんからのご質問

ラジオネーム:『フォーチューン』さんご質問ありがとうございます。
他にも似たようなご質問を、
『ありがたき幸せ5人家族』さん、『タカ』さん、『マスター』さん。
などから頂きました。

フジコさん、こちらのニュース記事を紹介して頂けますか?

承知しました!
2022年12月20日の日本経済新聞の記事ですね。
■ 日本経済新聞の記事 – 日銀が緩和縮小
日銀が緩和縮小、長期金利の条件0.5%に、事実上の利上げ
![]()
金融政策決定会合に出席するため、日銀本店に入る黒田総裁(20日午前)=代表撮影
日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決めた。
従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する。
20日から適用する。
長期金利は足元で変動幅の上限近くで推移しており、事実上の利上げとなる。
変動幅の拡大は21年3月に0.2%から0.25%に引き上げて以来となる。黒田東彦総裁が20日午後に記者会見を開き、決定内容を説明する。
歴史的なインフレで海外の中央銀行が利上げに動くなか、日本の国債金利にも上昇圧力が強まっていた。
日銀は金融政策で長期金利を人為的に押さえつけていたが、市場機能の低下が懸念されてきた。

「緩和縮小!」
「事実上利上げ!」
とか報道されると、住宅ローンユーザーにとっては衝撃を受けますよね。

そうですね。
日銀発表の一次情報を確認する

このようにニュース記事のタイトルだけを読むと、なかなか刺激的で不安になりますが、日本の金融政策で間違いない情報を得るのであれば、日銀のホームページを見るのが一番です。
それも今回は、このニュースのソースである黒田総裁の記者会見動画が掲載されています。

画像引用:日本銀行WEBサイト
このことは、この番組の月イチレギュラーのモゲ澤先生も・・・

メディア報道だけでなく、一次情報を確認しましょう。

と以前から、おっしゃっていることです。
10年固定や35年固定金利が上昇する可能性

田中先生も日銀の黒田総裁の記者会見動画を観たのですか?

もちろん拝見しました。
今回は、それを元に、
『今後、住宅ローン金利はどうなるか?』
についてお話します。
影響を受けるのは10年固定以上の住宅ローン金利

結論から申し上げますと、今回の金融政策決定会合の方針の影響を受けて、住宅ローンの10年固定や35年固定金利が上昇する可能性があります。
ただ、これは、あくまでも長期金利に影響する10年固定以上の住宅ローン金利のお話です。
黒田総裁の記者会見での言葉をそのまま引用して説明しますと、
『イールドカーブコントロールの元での金融市場の調整方針について「現状維持」とすることを全員一致で決定した』
としています。


画像引用:日本経済新聞 – 外れた長期金利のタガ 日銀「出口」意識で0.5%固定も
これは、イールドカーブコントロールの運用を一部変更して長期金利の変動許容幅をプラスマイナス0.25%から0.5%程度に拡大して指値オペを毎営業日実施するということです。


画像引用:日本経済新聞 – 外れた長期金利のタガ 日銀「出口」意識で0.5%固定も
金融市場で長期金利が上昇した場合は、今まで日銀は、0.25%を上限に抑え込んでいましたが、これからは、この上限を引き上げて、0.5%を上限にして抑え込むことにした。ということになります。
ただし、何度も言うように、これは、長期金利ですので、住宅ローンで言うと、10年固定以上の金利に影響するお話です。
変動金利は変化なく低金利のまま続く

それでは、変動金利への影響はどうなのでしょうか?

結論から申し上げますと、住宅ローン変動金利は変化なく低金利のまま続きます。

画像引用:ダイヤモンド不動産研究所 – 金利上昇局面なのに、住宅ローンの変動金利が低下するのはなぜ? 各行、キャンペーン金利で集客図る
変動金利は政策金利に影響を受けますので、今回の黒田総裁の記者会見では、マイナス金利政策は今後も維持することをあらためて強調していました。
ということは、日銀の政策金利の影響を受ける、住宅ローン変動金利は上昇しないと言えます。

なるほど。
ただ、この先は、どうなのでしょうか?

そうですよね。
今は、上昇しなくても、住宅ローンユーザーは、将来が心配ですよね。

そうです!

これも、今回の黒田総裁の記者会見で言っていましたが、
「日本銀行は、賃金や雇用が増加するなかで物価も緩やかに上昇するという好循環を目指している」
「ただ、現状では、その実現までに、なお時間を要する見通しであり、金融政策の枠組みや出口戦略について論じるのは時期尚早であると考えている」
としていました。
記者からの質問で、
「来年の春闘で連合が求める賃上げが実現されたら、日本銀行として出口戦略に向けた議論が来年以降に可能になるか?」
という質問に対しては、
「物価安定の目標は、持続的かつ安定的に実現できるかどうかは、単一の指標だけでなく、その背後にあるメカニズムや先行きの見通しについて点検のうえ判断することになる。」
述べていました。
従って、住宅ローン変動金利は、しばらく上昇しないと予測されます。
ただし、そもそも政府と日銀は、持続的かつ安定的な物価上昇を望んでいます。
それが日本経済にとって良いことだからです。

なるほど。
変動金利は、まだ上昇しないけど、日本経済が元気になれば金利は上昇するということですね!

そういうことです。
政府と日銀は金利を高くしたいのか

もう一つ、リスナーさんからご質問をフジコさんご紹介して頂けますか?

はい。 ラジオネーム:マスオさんからのご質問です。
■ 政府と日銀は早く金利を高くしたいのですか?
いつも楽しく聴いています。
インフレ率2%目標の柔軟化を検討しているというメディア報道を目にしましたが、政府と日銀は早く金利を高くしたいのですか?
ラジオネーム:マスオさんからのご質問

ラジオネーム:マスオさん ありがとう御座います。
別に、政府や日銀は、金利を早く上げたいわけではないと思います。
そこでフジコさん、続いて、こちらの記事の紹介お願いします。

はい。
2022年12月17日付のブルームバーグのニュース記事によると・・・
■ 岸田政権が物価目標柔軟化検討
岸田政権が物価目標柔軟化検討、日銀との共同声明改定へ
![]()
岸田政権が、政府と日本銀行の役割を定めた共同声明を初めて改定する方針を固めたことが17日、複数の政府関係者への取材で分かった、と共同通信が報じた。 2%の物価上昇目標の柔軟化を検討するとしており、日銀が黒田東彦総裁の下で進めてきた大規模金融緩和の修正につながる可能性があるという。
共同通信の報道によると、「できるだけ早期に実現する」としている2%の物価目標の柔軟化を検討し、岸田文雄首相が来年4月9日に就任する次期日銀総裁と協議して内容を決める。 共同声明の改定は2013年の公表以来初めてで、欧米の中央銀行が物価高対応で金利を引き上げる中、物価目標に縛られて大規模な金融緩和を続ける日銀の選択肢の幅を広げるのが狙いという。
黒田総裁はこれまで、大規模金融緩和を正当化する理由として、13年の共同声明を引き合いに出してきた。 木原誠二官房副長官は今月行われたブルームバーグとの英語でのインタビューで、政府・日銀が「新たな合意を結ぶ可能性はあるものの、現在の合意内容と異なるものになるかどうかは分からない」と語っていた。

ありがとう御座います。
私自身も、この記事を読んだ時には、
「え~!インフレ率2%という目標値を変えちゃうの?」
とビックリしてTwitterでツイートしてしまいましたが、この番組の月イチレギュラーのモゲ澤先生に、この報道についてコメントをお願いしました。
モゲ澤先生の見解では・・・
■ モゲチェック 塩澤崇氏の見解

1)そもそも、金融緩和の方針変更は確定した訳でないです。
政府高官から公式メッセージが出た訳ではないので不確実性のある内容です。
実際、先月に木原官房副長官は「政府・日銀が新たな合意を結ぶ可能性はあるものの、現在の合意内容と異なるものになるかどうかは分からない」と発言しており、新総裁も未定の中、流動的と考えるのが妥当でしょう。
2)仮に物価上昇目標を修正したとしても、利上げにすぐなるかはその修正内容次第です。
今回の報道は物価が約3%上昇の中、「2%目標」が実態にそぐわないので修正したいという思惑かと推測します。
ただ、本質的には「賃金上昇を伴う物価上昇」が利上げの大原則ですので、修正と言っても2%を数値変更し、賃金上昇を政府側のコミットメントに入れるのかも知れません。
もし、その程度の修正であれば、なんら今と変わりません。
3)また、利上げしたとしても、基準金利(短期プライムレート)が上がるまでにはタイムラグがあります。実際、2007年に短プラが上がったことがありましたが、その前にLIBOR6mが0%→0.5%程度まで上昇していました。
つまり、短期金利が0.5%程度にならない限り、短プラは上がらないと考えられます。
今、短期金利は-0.1%ですので、差し引き0.6%のバッファーがあります。
これがタイムラグの正体です。
すぐには変動金利は上がりません。
4)とは言え、万が一への備えは大事です。
変動金利と貯蓄&運用はセット。
金利急上昇にも耐えられるように原資を作りましょう

とのことでした。
政策金利が上昇したら変動金利もすぐに上昇するのか

もう一つ、リスナーさんからのご質問に回答します。
フジコさんご紹介お願いします。

ラジオネーム:BMXさんからのご質問です。
■ 政策金利が上昇したら、変動金利は上昇するのでしょうか?
いつも勉強させていただいております。
今後、政策金利が上昇したら、住宅ローン変動金利は、すぐに上昇するのでしょうか?
ラジオネーム:BMXさんからのご質問

ラジオネームBMXさん
ご質問ありがとう御座います。

皆様、ご存じのとおり、現在、政策金利は、-0.1%です。
これが、プラス0.5%程度にならないと、住宅ローンの基準金利は上昇しません。

画像引用:ダイヤモンド不動産研究所 – 金利上昇局面なのに、住宅ローンの変動金利が低下するのはなぜ? 各行、キャンペーン金利で集客図る
-0.1%が、プラス0.5%になるまでは、0.6%のバッファーがあります。
そのため、将来、日銀が利上げしたとしても、変動金利の基準金利が上がるまでには時間がかかる(タイムラグがある)ということになります。
とは言っても、返済期間35年という長いスパンで考えると、やはり、変動金利は、いつか上昇することになります。
例えば、5年後、10年後、金利が何パーセントに上昇したら、月々の返済額は、いくらになるかなどは、皆さん、あらかじめ把握してから借りた方が絶対に良いと思います。
ゼロシステムズの『住宅ローン金利シミュレータ』は、将来の金利上昇のリスクを予め確認できるように、何年後は、何パーセントになったら、返済額や借入残高はいくらになるなどを任意で選んで計算できます。
ぜひ、こちらも活用して、将来の金利上昇のリスクを確認してみてください。
まとめ:長期固定金利は、上昇する可能性が高い

お話をまとめますと、
今回の金融政策決定会合により、住宅ローン10年以上の長期固定金利は、今後、上昇する可能性が高いと言えます。
ただ、変動金利は、しばらく、現状維持を続けていくことになります。

なるほど。

住宅ローンは、借りる時だけでなく、借りた後も、日銀の金融政策などを常にチェックしなければならないと思います。
前半は以上になります。

田中先生ありがとう御座いました。
番組は、後半に続きます。
【住宅ローン】超低金利の終わりが始まる。日本銀行の黒田総裁記者会見を解説。
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