【住宅ローン】2023年3月~12月の金融市場予想
~住宅ローン金利は上昇するか?日銀総裁交代と金融政策変更の可能性から分析~
【住宅ローン】2023年3月~12月の金融市場予想
住宅ローン金利は上昇するか?日銀総裁交代と金融政策変更の可能性から分析
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第448-2回目 (2023年3月02日放送分 後半)となります。
今回の話題
【住宅ローン】2023年3月~12月の金融市場予想
住宅ローン金利は上昇するか?日銀総裁交代と金融政策変更の可能性から分析
後半のテーマ『モゲ澤先生に質問をぶつける』

FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆さま、こんにちは~。
番組MCのフジコで御座います。
後半も田中先生とモゲ澤先生にお話を伺っていきます!
引き続き宜しくお願いします。

後半は、
『2023年4月以降の金融政策について、私がモゲ澤先生に矢継ぎ早に質問をぶつける』
という感じで進めていこうかと思います。
モゲ澤先生のプロフィールはこちら↓をご覧ください。
塩澤 崇(しおざわ たかし)さん プロフィール
■ 塩澤 崇(しおざわ たかし)
株式会社 MFS 取締役COO
略歴
2006年 | 東京大学大学院情報理工学系研究科修了(専攻:数理情報学) |
---|---|
2006年 | モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。 モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。 |
2009年 | ボストン・コンサルティング・グループ入社。 メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事 |
2015年 | 9月よりMFS取締役COO |
塩澤 崇 紹介ページ – モゲチェック

承知しました。
お任せください。

それでは、私の方から、モゲ澤先生に質問をしていきますので宜しくお願いします。
日銀新総裁に経済学者の植田和男さんが就任

まず、一つ目の質問です。
日銀の新総裁に民間人で初となる経済学者の植田和男さんが就任することになりました。
日銀や財務省出身でない経済学者が総裁になることの意味と影響はどのようなものでしょうか?
モゲ澤先生の見解

植田さんは、政治や経済とのしがらみがなく正論が言える人です。
データを見ながら、客観的に物事を考えることが出来る人です。
岸田首相も『金融緩和は当面必要だが、然るべきタイミングで緩和を止められる人』という狙いで植田さんを選んだのだと思います。
日銀総裁は首相が選んだ後、政府は金融政策に口出しできません。
なので、色がついていない、客観的に考えられる人を選んだのだと思います。
植田さんがうまくいけば、今後の総裁も経済学者から選ぶ流れが続く可能性は十分にあります。

なるほど。
植田氏なら「インナーサークル」に入っていけると期待

それでは、次の質問です。
先程の質問とやや重なるかもしれませんが・・・
世界の潮流として、中央銀行の総裁は、経済学者が就くことが多いようです。
植田氏なら、世界の中銀総裁らの、いわゆる『インナーサークル』に入っていけることが期待されています。
この点や効果はどうお考えですか?
モゲ澤先生の見解

植田さんは、MIT(マサチューセッツ工科大学)で経済学博士号を取得しています。
海外とネットワークを構築するにあたって、経歴を説明する必要がない超一流の経済学者です。
ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁も「一緒に働くことを楽しみにしている」と発言しています。
なお、ウィリアムズ総裁はスタンフォードの経済学博士号を取得しています。
NY連銀総裁「日銀新総裁とも緊密連携」![]()
【ニューヨーク=斉藤雄太】ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は14日、日銀の次期総裁に経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を起用する人事案について「新総裁が(国会で)承認され、一緒に働くことを楽しみにしている」と語った。
同日のニューヨーク市内での対談イベント終了後、記者団の質問に答えた。
このようなことから、
- ・金融政策への理解を得られやすい。
- ・経済学の理論でお互いスムーズ話せる。
- ・有益なアドバイスも得られるかも知れない。
- ・日本が世界中の優秀な頭脳を味方につけられる。

世界的にも認められる経歴を持っているということですね。
植田氏の考えやキャラクターで特徴的だと思われる点

それでは、次の質問です。
植田氏の経済に対する考えや、キャラクターで特徴的だと思われる点はどういった部分になりますか?
モゲ澤先生の見解

黒田総裁との比較で考えるとわかりやすいですね。
黒田総裁:金融政策で何でも出来ると考えている人
植田さん:金融政策の限界を知る人

黒田総裁は金融政策に絶大な自信を持っていました。
どれだけ外野から文句を言われようが金融緩和を断行したことであり、これは評価できる点です。
一方で、『何でも出来る』と考えていたがために、政府に対して「経済を活性化するためにもっとこうしてよ!」という催促がなかったのも事実。
政府を野放しにしてしまった点は否めないですね。

植田さんは、昨年の新聞記事においても、金融緩和政策(マイナス金利とイールドカーブ・コントロール)のうち、イールドカーブ・コントロールの弊害を指摘しています。
こうした考えの背景には
- ・金融政策で出来ることには限りがある。
- ・金融緩和は、何でもかんでもやればいいという訳ではない。

今後、岸田政権と植田総裁の間には、緊張関係が生まれるかもしれません。
『日銀がやれることはここまで。』
『経済活性化のためには、政府がもっと仕事してよ。』
と言った感じのやり取りですね。
ただ、それはあって然るべき緊張関係です。
「金融政策で出来ることには限りがある」と考えている植田さんだからこそ、岸田政権にムチを打つ、正論を放つ可能性も十分あると思います。

それは期待したいですね。
植田氏は「ハト派」「タカ派」どちら

それでは、次の質問です。
植田氏のタイプとして金融におけるいわゆる『ハト派』、『タカ派』どちらでしょうか?
理由とともに教えてください。
モゲ澤先生の見解

黒田総裁との比較では『タカ派』に見えてしまうかも知れませんが、『ハト派に近い中立派』だと思います。

そう思う理由としては、2月10日にこのような発言をしているからです。
首相が日銀総裁起用意向の植田氏“現状は金融緩和継続が重要”植田氏は10日夜、都内で記者団に対し後任の日銀総裁への起用について「現時点では何も申し上げられません」と述べました。
一方で今の日銀の大規模な金融緩和については
「金融政策は景気と物価の現状と見通しにもとづいて運営しなければいけない。そうした観点から現在の日本銀行の政策は適切であると思います。現状では金融緩和の継続が必要であると考えています」
と述べました。
Q 「今の日銀の大規模な金融緩和についてどう思うか?」
A 「金融政策は景気と物価の現状と見通しにもとづいて運営しなければいけない。そうした観点から現在の日本銀行の政策は適切。現状では金融緩和の継続が必要」

また、2000年にはゼロ金利解除に反対票を投じています。
ゆえに、金融引き締めに性急に突き進むことはないと考えています。
金融におけるタカ派とハト派
タカ派もとは政治用語で、平和的に問題を解決しようとする穏健派、慎重派のハト(鳩)派に対し、強硬手段も辞さない、強気な見方や発言をする人、集団のこと。
鷹の持つ力強く積極的なイメージから、こう呼ばれるようになった。
金融政策については物価の安定を重視し、金融引き締めに前向きな利上げ賛成派となる。
ハト派もとは政治用語で、強硬的な政治信条を持つタカ(鷹)派に対し、平和的に問題を解決しようとする穏健派、慎重派の人、集団のこと。
鳩は平和の象徴であり、穏やかなイメージからこう呼ばれるようになった。
金融政策については景気への配慮を重視し、金融緩和に前向きなスタンスとなる。
どのタイミングどのレベルで緩和修正してくるか

それでは、5つ目の質問です。
植田氏は「金融緩和」に対して継続が必要だとの認識を示しています。 ですが市場では黒田氏ほど積極的ではないとも言われています。 どれくらいのタイミングで、どの程度のレベルで緩和を修正してくると思われますか?
モゲ澤先生の見解

一つのシナリオとしては、2023年の後半に金融緩和修正がありえます。
ただ、修正と言っても、金融緩和という大きな枠組みは変えず、マイナス金利は維持されます。
弊害が目立つイールドカーブ・コントロールは解除になると想定されます。

2023年の後半はアメリカが不景気に入る可能性もあり、利上げから利下げに方針転換することが予想されます。
そうなると、金利上昇圧力が全世界的に弱まり、日本も今のような金利上昇が一段落すると考えられます。
そのタイミングであれば、長期金利を抑えるイールドカーブ・コントロールを解除したとしても、長期金利が急上昇する懸念は低いです。

また、2023年の日本の景気は堅調に推移するはずです。
そうなれば植田さん自身も「日本経済が回復してきたので、イールドカーブ・コントロールは解除します。」と宣言しやすいのではないかと思います。
植田新総裁はどのようなスタンスをとるか

では次の質問です。
物価の2%上昇目標についてですが、現状、エネルギー高騰や円安で図らずも達成した形です。 今後植田新総裁はこの目標と「物価」についてどのようなスタンスをとるとお考えですか?
モゲ澤先生の見解

2%の物価目標は達成したものの、その達成した理由が、目指していたものと程遠いものです。
目指していたのは、需要が物価を押し上げる、良い経済のサイクルです。
良い経済のサイクルとは、以下のようなサイクルです。
- ・賃金上昇
- ・需要増大
- ・物価上昇
- ・売上上昇
- ・賃金上昇・・・

現在は、原材料アップが物価を押し上げているだけです。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
総務省の物価データをみると、
総合は4.3%の上昇しているものの、内訳は財(モノ)の7.2%上昇が牽引している状況です。
サービス(人件費)は1.2%とほぼ横ばいです。

需要が伸びているのであれば、サービスの値段も上がるはずだが、そうはなっていません。
この状況では、日本経済が回復したとは判断しないでしょう。
実際、GDPもコロナ前の水準まで回復していません。
植田総裁は『賃金上昇を伴う物価上昇』を実現しているかどうかを念頭に置きながら、政策判断するはずです。

なるほど。
住宅ローン金利は今後どうなる

次の質問
住宅ローン金利は今後どうなるでしょうか?
モゲ澤先生の見解

固定金利
住宅ローン固定金利は長期金利と連動します。
ゆえに長期金利を低く抑えるイールドカーブ・コントロールが解除されれば、長期金利が上昇し固定金利も連動して上昇する可能性が有ります。

固定金利:3月〜夏
イールドカーブ・コントロール解除の思惑から、長期金利は高止まり、場合によってはさらなる上昇もあり得ます。
ゆえに、住宅ローン固定金利、現在は1.88%が2%超え、場合によっては2.5%程度まであがる可能性があります。
なお、0.1%の金利上昇は、元本3,500万円35年払いでは約70万円の金利負担アップとなります。
わずか0.1%、されど0.1%。
決して小さくない金額です。
固定金利を借りるなら、しっかりとローン比較して、かつ、早いうちに動いたほうがいいですね。

固定金利:秋〜冬
以下のような流れを予想しています。
- ・イールドカーブ・コントロールの解除があるかも知れない。
- ・そのタイミングではアメリカも利下げに転じている可能性がある。
- ・日本の長期金利は意外と落ち着いている可能性もある。
- ・固定金利は1.5%前後と推測する。

変動金利
変動金利は短期金利と連動します。
現在、短期金利はマイナス金利政策によって低く抑えられています。
このマイナス金利政策は当面解除されないと思われます。
マイナス金利政策の解除は、日本経済が本格的な回復が確認できた後になります。 ゆえに、当面、変動金利は低いまま推移すると言えます。

なお、
本格的な変動金利の上昇は2030年以降と考えています。
バブル世代が退職し、全産業で人手不足になるはずで、そうなると賃金がドンドン上がるため、日銀も金融緩和から正常化に動くでしょう。
そのタイミングで、変動金利も上昇し始めると考えられます。

モゲ澤先生の考えはブレていませんね。
植田新総裁の就任で株価にどのような影響があるか

それでは、最後の質問です。
株価に関しては、植田新総裁の就任の見通しがわかるといったん下がりましたが、どのような影響があるとお考えですか?
モゲ澤先生の見解

大きな影響は出ないと考えています。
むしろ、景気が徐々に回復していくので、その企業業績を反映した堅調な株価になると考えられます。
また、金融緩和の枠組みは当面は変えないと考えられるので、それも安心材料です。
一方、
今年の秋〜冬には欧米が不景気になる可能性があります。
それに足を引っ張られる形で日本企業の業績が下方修正されると、株価も下落します。
ゆえに、植田さんの金融政策よりは海外経済の動向をウォッチしたほうが、株価見通しを大きく外すことがないと思います。

ありがとう御座いました。
よ~く分かりました。

モゲ澤先生、田中先生。
本日もありがとう御座いました。

ありがとう御座いました。
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それでは~!
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それでは、不動産せんせい田中の『教えて不動産の知恵袋』 次回もおたのしみに~!
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