【住宅ローン金利上昇】マイナス金利解除はいつか?日銀の利上げ時期とペース – 住宅ローンへの影響
【住宅ローン金利上昇】日銀の利上げ時期とペース
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第475-2回目 (2023年10月19日放送分 後半)となります。
今回の話題
日銀の利上げの[時期]と[ペース] 住宅ローンへの影響
今回のテーマ『日銀の利上げの[時期]と[ペース]-住宅ローンへの影響』
後半は、
『日銀の利上げの[時期]と[ペース] 住宅ローンへの影響』
というテーマでお話していきます。
現在、日本では、低金利政策が続いています。
既に住宅ローンを組んでいる私も含め、多くの皆さんは、
「このまま、ずーっと、今の低金利が続けばいいな・・・。」
と願っているかと思います。
最も注目されている話題のひとつが、「日銀は、いつマイナス金利を解除するか?」ということだと思います。
それと、仮に、マイナス金利が解除された後には、どのくらいのペースで利上げされていくのか?
という事も気になりますよね。
みんな気になるかと思います。
まずは、フジコさん。
いつものようにリスナーさんからの質問をご紹介お願いします。
承知しました!
ラジオネーム:マルチンさん からのご質問です。
質問「もうすぐ、利上げされてしまうのでしょうか?」
田中先生、こんにちは!
いつもためになる放送ありがとう御座います。
私は、昨年、auじぶん銀行の変動金利で住宅ローンを組みました。
当時、私は、しばらく、低金利が続くという考えで変動金利を選択しましたが、最近では日銀の利上げ報道を良く目にするようになり心配になってきました。
やはり、もうすぐ、利上げされてしまうのでしょうか?
多くの人が気になっていると思いますので、ぜひ、番組で取り上げて欲しいです。
宜しくお願いします。
ラジオネーム:マルチンさん からのご質問
ラジオネーム:マルチンさんご質問ありがとうございます。
やはり、皆さん気になってますよね。
そうですよね。
そこで今回は、2023年10月15日付の日本経済新聞の記事から、4名の専門家のお話をまとめてみました。
日銀利上げ開始なら、住宅ローンどうする 専門家に聞く
日銀利上げ開始なら、住宅ローンどうする 専門家に聞く物価高圧力が強まるなか、日銀が今はマイナスとなっている短期の政策金利の引き上げを始める可能性が高まってきた。
注目されるのが住宅ローンへの影響。
多くの人が変動金利型を使っており、その金利も上がるかもしれないからだ。
利上げの開始時期やペース、ローンへの影響をどうみるか。
専門家に聞いた。
お願いします!
ちばぎん総合研究所社長:前田栄治さんの見解
まずは1人目の専門家。
ちばぎん総合研究所社長:前田栄治さんのお話です。
この方の経歴は、以下のとおりです。
■ちばぎん総合研究所社長:前田栄治さん
1985年東京大学経済学部卒業後に日銀入行。
調査統計局長、金融市場局長等を経て2016年に理事。
2020年から現職についている。
『来年後半、ゼロ金利解除も』
タイトルは『来年後半、ゼロ金利解除も』です。
このタイトルを読むだけで、この方の言いたいことが、ある程度、分かってしまいそうですね。
順に説明します。
①『四半世紀の呪縛を破る動き』
①『四半世紀の呪縛を破る動き』
- ・新型コロナ、ウクライナ戦争、円安の三重苦で物価上昇。
- ・働き手の減少により、賃上げも実現。 ということです。
しかし、この記事は10月15日付です。
17日からは、イスラエル戦争が勃発しました。
それも考慮すると、さらなる物価高騰の恐れがありますね。
②『物価上昇の現状と背景』について
②『物価上昇の現状と背景』について
- ・物価上昇が日銀の予想を上回る。
- ・円安とコモディティ価格の回復、政府の経済対策が背景。
これも、今後、日本がインフレになる要因になりますね。
③『金融政策の変動』について
③『金融政策の変動』について
- ・日銀の2%の物価上昇目標の実現が近づく。
- ・金融緩和の正常化が進行中。
- ・来年前半に政策金利をゼロ%に。
ここでいう金融緩和の正常化が進行中とは、YCCの修正などが含まれているかと思います。
来年の春闘の結果では、マイナス金利をゼロ金利に引き上げる可能性がありますが、1月に早まる可能性もあると含みを持った言い方もしています。
④『日本経済と金利の関係』について
④『日本経済と金利の関係』について
- ・日銀推計での潜在成長率はゼロ%台半ば。
- ・物価目標達成で、日銀の利上げも視野に。
⑤『金利変動の具体的スケジュール』ついて
⑤『金利変動の具体的スケジュール』ついて
- ・半年ごとの利上げが考えられ、マイナス金利解除後のゼロ金利解除も予想。
来年、4月には、マイナス金利が解除されて、半年後には、ゼロ金利も解除、そして、その後は中立金利とされている2%まで、0.25%ずつ利上げするのではないか?
と、予想しているようです。
⑥『住宅ローン金利の展望』について
⑥住宅ローン金利の展望
- ・マイナス金利解除での変動は少ないが、ゼロ金利解除で上昇が予想できる。
専門家の具体的な予想は、説得力ありますね。
みずほ証券チーフマーケットエコノミスト:上野泰也さんの見解
次の専門家の方は、
みずほ証券チーフマーケットエコノミスト:上野泰也さんです。
この方の経歴は以下のとおりです。
■みずほ証券チーフマーケットエコノミスト:上野泰也さん
1985年上智大文卒
会計検査院を経て
1988年富士銀行(現みずほ銀行)入行
2000年から現職
『あり得る緩和への回帰』
タイトルは『あり得る緩和への回帰』です。
①『物価上昇の原因』について
①『物価上昇の原因』について
- ・ウクライナ戦争の影響や米国の利上げで円安、人手不足が物価上昇と賃上げをうながす。
②『今後の展望』について
②『今後の展望』について
- ・原油高や米国の金利上昇は長続きしない。
- ・人手不足もAIや外国人労働者受け入れで緩和可能。
③『日銀の対応予測』について
③『日銀の対応予測』について
- ・マイナス金利の早期解除を予見。
- ・来年前半、主に4月に行動する可能性。
- ・マイナス金利を解除しても、すぐには、ゼロ金利解除はしない見込み。
マイナス金利を解除しても、ゼロ金利を解除した場合、景気に悪影響を与える可能性があるので、日銀は無理をせず、ゼロ金利解除はない可能性を予想しています。
④『金利と住宅ローンの関係』について
④『金利と住宅ローンの関係』について
- ・マイナス金利解除では、短プラは上昇せず、変動ローン金利も低位安定。
- ・ただ、ゼロ金利解除の際は、金利が上昇するリスクある。
マイナス金利が解除されても、短プラは上昇しないので変動金利は低位安定のまま。
【住宅ローン】金利上昇が始まる!
⑤『緩和政策の再導入の可能性』
⑤『緩和政策の再導入の可能性』
- ・物価上昇率が、2%を下回る2025年度以降、量的緩和などの戦略が考えられる。
これは、興味深い予想です。
先程も、解説しましたが、マイナス金利が解除されても、それ以上の利上げは、景気に悪影響を及ぼす可能性があるので、ゼロ金利を解除しない可能性があるとのこと。
むしろ逆に2025年には、物価上昇が鈍化して、再び、金融緩和政策に戻る可能性を予想されています。
⑥『住宅ローンのアドバイス』
⑥『住宅ローンのアドバイス』
- ・ゼロ金利解除は遠く、変動金利がおすすめ。
マイナス金利が解除されても、それ以上に金利上昇しない可能性を予想しています。
変動金利を推すというのは、当然の考え方だと思います。
なるほど。
ファイナンシャルプランナー:高山一恵さんの見解
3人目の専門家は、
ファイナンシャルプランナー:高山一恵さんです。
この方の経歴は以下のとおりです。
■ファイナンシャルプランナー:高山一恵さん
1998年慶応大学文学部卒
CFP認定者
一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事
Money&You取締役
『固定型への借り換え選択肢』
この方のお話は、住宅ローンの基礎知識的なお話です。
これから住宅ローンを借りようと考えている方は、参考になるかもしれません。
①『現状の住宅ローン選択』について
①『現状の住宅ローン選択』について
- ・最近、変動型金利の住宅ローンが人気。
- ・しかし、金利上昇のリスクを考慮していない可能性もあるので注意が必要。
②『変動型のリスク』について
②『変動型のリスク』について
- ・変動型は家計に余力がある世帯向け。
- ・しかし、多くが共働きを前提に上限近くまでの大型ローンを組むリスクがある。
確かに、ペアローンで億ションを購入するという人は、気を付けるべきかと思います。
③『金利上昇の影響』について
③『金利上昇の影響』について
- ・変動金利では、毎月の返済額を5年ごとに見直しされます。
- ・ローン残高が4000万〜5000万円の場合、金利が2%上昇すれば、返済額は、月々3万円~4万円くらい増加する可能性がある。
『住宅ローン金利シミュレータ』を使って、
色々な金利上昇パターンを試してみてください。
④『金利の比較』について
④『金利の比較』について
- ・変動型は魅力的だが、『フラット35』は年1.8%。十数年前は3%台で、現状も高くはない。
⑤『固定型のメリット』について
⑤『固定型のメリット』について
- ・固定型は、総返済額が確定。
- ・変動型は、金利変動で支出が変わり、家計の見直しが必要になる。
⑥『金利選択の歴史的な背景』
⑥『金利選択の歴史的な背景』
- ・過去のバブル期では、高金利で、固定型が主流。
- ・日銀政策の変化で変動型の優勢が変わる可能性ある。/li>
この方は、変動より固定推しの専門家のようです。
なるほど~。
住宅ローンアナリスト:塩澤崇さんの見解
それでは、4人目の専門家をご紹介ください。
4人目の専門家は、皆様おなじみの住宅ローンアナリスト:塩澤崇さん(モゲ澤先生)です。
おおっ!
モゲ澤先生は、日本経済新聞でも取り上げられるメジャーな専門家になりました。
モゲ澤先生とは、1年以上、一緒に番組をやっていましたので、考え方は、十分に分かっているつもりですが、要約してまとめました。
塩澤先生の経歴は、以下のとおりです。
■住宅ローンアナリスト:塩澤崇さん
2006年東大大学院修了
モルガン・スタンレー証券などを経て2015年現職
住宅ローンの比較サービス『モゲチェック』を運営
①『住宅ローンの変動金利』について
①『住宅ローンの変動金利』について
- ・住宅ローンの新規契約者の9割が、変動金利を選択している。
- ・変動金利が上がるのはかなり先で、上昇幅も限定的であると予想。
- ・今後も変動で借り続けるのが得策で、固定型への借り換えは賢明でない。
②『金利の動き』について
②『金利の動き』について
- ・住宅ローンは、基準金利から優遇幅を引いた金利(適用金利)で貸し出される。
- ・この優遇幅は、初回の借入時から変動しない。
- ・新規の契約者の適用金利の上昇は、2030年頃、既存の契約者は、さらに先。
③『マイナス金利政策の解除』について
③『マイナス金利政策の解除』について
- ・足元の物価高は、コストプッシュ型で、日銀が目指す2%物価目標の持続的な達成は2030年以降と予想。
- ・これにより、マイナス金利政策の継続が予想される。
④『労働市場と経済の将来像』について
④『労働市場と経済の将来像』について
- ・2030年には、バブル世代の退職や新産業の育成が進むことが予想される。
- ・これにより、経済状況や金利の動向にも影響が出る可能性がある。
⑤『政策金利上昇』について
⑤『政策金利上昇』について
- ・日銀の利上げは1.0%が上限とみられ、実際には0.5%で止まる可能性もある。
- ・大幅な利上げは現実的でない。
⑥『固定型と変動型ローンの選択』について
⑥『固定型と変動型ローンの選択』について
- ・変動金利型では、返済負担が軽減される可能性が高い。
- ・その分を資産形成のため、投資に回すことを奨める。
モゲ澤先生のお話をまとめると・・・
- ・最も労働人口が多いバブル世代が退職して人手不足になるまでは、賃金上昇が見込めない。
- ・大幅な利上げは現実的ではない。
そのため、変動金利の方が支払利息の総額が少なくすむので、変動金利を勧めています。
固定金利と変動金利の月々返済の差額については、無駄遣いせず資産形成のため投資に回すことを推奨しています。
まとめ:同じ専門家であっても、色々な考え方がある
同じ専門家であっても、色々な考え方があるのですね。
多くの専門家の解説や記事を読んでいると・・・
- ・ファイナンシャルプランナー系の専門家は、家計の安定とリスク回避を重視するので固定金利を推奨する傾向。
- ・経済や金融の専門家は、日本経済の状況を鑑みて、将来的に大幅な金利上昇は現実的ではないので、変動金利を推奨する傾向。
田中先生自身は、どう考えているのですか?
私も、大幅な金利上昇は考え難いと思っています。
住宅ローンで最も優先すべきことは、将来も安定して返済を続けられることだと思います。
- ・貯蓄ができる人:金利上昇しても余力があるので対処可能だから、変動金利を選んでも大丈夫。
- ・貯蓄ができない人:それに対処できない可能性があるので、固定金利を選んだ方が良い。
確かにそうかもしれませんね。
性格も関係するかと思います。
住宅ローンは、長期間にわたります。
例えば、今後、30年の間に、何度も「金利が上昇するかもしれない。」という報道を耳にするかと思います。
その度に「金利が上昇したらどうしよう・・・。」と心配する事が耐えられないという人は、固定金利を選んだ方が精神衛生上良いかと思います。
最終的に、変動と固定の選択は、お金の損得と気持ちを天秤にかけて検討する必要があるということです。
なるほど。
勉強になりました。
不動産せんせい田中の『教えて不動産の知恵袋』
次回も宜しくお願いします!
【住宅ローン金利上昇】日銀の利上げ時期とペース
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