3回目の住宅診断(現地立会い)の是正基準ガイドライン

更新日:2026年9月8日

住宅診断で発見する不具合例

このページでは、新築建売住宅における3回目の住宅診断(現地立会い・内覧会)で、売主へ是正を依頼する不具合の基準と判断の目安について、ガイドラインとしてご説明します。

1.現地立会いの目的

現地立会いは、買主様が欠陥住宅や品質の低い住宅を購入してしまうリスクを避けるため、お引渡し前に傷・汚れ・隙間・異音・表面上の不具合などを発見する「最終確認」として、ゼロシステムズでは建築士が行う3回目の住宅診断として位置づけて非常に重視しているステップです。

なお、新築の最終確認とはいえ建売住宅の場合、「思っていた印象と違った」「この位置のほうが使いやすそう」といった理由から、施工業者へ仕様変更や造り替えを要望する場ではありません。

本来の目的は、売買契約の内容や設計図書、仕様書通りに正しく施工されているかを照らし合わせ、美観上の傷・汚れはもちろん、構造・防水・設備動作などに問題がないかを厳格に確認することです。

ゼロシステムズでは、以下の基準や資料に基づき、現地で確認された状態を総合的に判断します。

不具合を判断する際の主な確認基準

判断基準 主な確認内容
1.傷・汚れ・隙間・軋み音の類 床、壁、建具、設備などに、客観的に見て明らかに目立つ傷・汚れ・隙間や、使用時に生じる軋み音などがないかを確認します。
2.通常の新築住宅として備えるべき安全性・機能性・耐久性・品質 客観的に見て、安全性、機能性、耐久性または品質に問題がないかを確認します。
3.建築基準法その他の関係法令 建物の構造、防火、安全性などが法令に適合しているかを確認します。
4.国土交通省などの公的な技術基準 傾斜やひび割れなどについて、構造上の瑕疵が存在する可能性を判断する際の参考とします。
5.住宅性能評価書
(取得している場合)
表示された耐震性、劣化対策、断熱性能などが評価内容を満たしているかを確認します。
6.売主の施工・品質・補修・アフターサービス基準 売主が定める施工精度や品質基準、現地立会い時の補修基準に加え、引渡し後の補修対象、補修方法、保証期間などを定めたアフターサービス基準も参考に確認します。

それぞれの基準や資料は、法的な位置づけや適用範囲が異なります。
そのため、特定の数値だけで判断せず、発生箇所、測定距離、施工方法、契約内容、機能への影響、ほかの症状の有無などを含めて総合的に判断します。

これらを総合的に確認したうえで、契約内容と異なるものや、通常の新築住宅として備えるべき安全性・機能性・耐久性・品質に問題があると判断されるものを売主へ指摘し、調査と是正を依頼します。
また、建物の性能に直接影響しない場合であっても、客観的に見て明らかに目立つ傷・汚れ・隙間や軋み音などについては、売主へ指摘して是正を依頼します。

現地立会いにおける変更希望について
ただし、買主様の好みやご希望に合わないという理由、または客観的な不具合とは認められない同様の理由により、建物の仕様変更、設備や配管の位置変更、施工済み部分の造り直しなどを、売主へ無償で求めることは原則としてできませんことを予めご理解ください。

2.指摘から是正確認までの流れ

  1. 事前確認(当社スタッフ)
    買主様が到着される前に、当社スタッフが先行して清掃を兼ねた入念な事前チェックを行います。
  2. 現地確認・本確認(3回目の住宅診断)
    買主様・売主担当者・当社スタッフの三者で、動作確認や指摘事項を図面に落とし込みます(通常20〜50箇所程度を指摘します)。
  3. 是正工事(売主)
    是正対象となった箇所について、お引渡し日までに売主が補修工事を行います。
  4. 是正確認(4回目の住宅診断)
    残金決済(お引渡し)の1〜3日前に、ゼロシステムズのスタッフが現地へ赴き、指摘箇所がきちんと直っているか最終確認を行います(買主様の立会いは不要です)。

売主担当者の現地での対応について:
売主担当者が現地で即答せず、「工事監督へ確認します」と回答することがあります。これは施工方法や社内基準について担当部署の判断を確認するための通常の手続きであり、その場で是正を拒否したことを意味するものではありません。

万一、お引渡しまでに直しきれなかった場合の対応

万が一、この段階でも是正未完了箇所がある場合は、私たちが現地で確認して図面に書き込んだり、写真で記録して、売主に連絡をして対処方法について確認をとります。

例えば、時間的に余裕があればお引渡しまでに売主側で再度補修を行い、間に合わせてもらうこともあります。
一方で、もしお引渡しまでに補修工事の手配がどうしても間に合わないということもあります。その場合は、お引渡し後に買主立ち会いのもと補修工事を実施する、ということになります。

ここで、お引渡し後に工事が持ち越されるとなると、「うやむやにされて直してもらえないのではないか」と不安に思われるかもしれません。
だからといって、売主(特に大手ビルダーなど)に対して「いつまでに直すか一筆書いてほしい」と要求しても、大手の組織のルール上、所定以外の念書や書面を個別に発行することができないのが実情です。

ゼロシステムズの対応:共通の記録(エビデンス)で確実に引き継ぎます
そこで、ゼロシステムズでは、この是正未了箇所と対処方法について、私たちがしっかりと図面等に書き留め、買主と売主の双方にお渡しして「共通の記録(エビデンス)」として残します。

第三者である私たちが客観的な事実として図面に残し、売主側とも共有して引き継ぎますので、お引渡し後であっても工事がうやむやになることはありません。
万一、売主側の是正が遅れるようなことがあれば、お引渡し後であっても、ゼロシステムズからも売主へ催促するなどのフォローもいたしますのでご安心ください。

3.よくある指摘事項の考え方

傷・汚れ・隙間などの美観上の不具合については、建築業界や建材メーカーの一般的な確認基準において、「壁面なら約1m離れた位置から」「床面なら立った状態(自然な目線)から」、通常の照明や自然光の下で目視できるかどうかが判断の目安とされています。

床に這いつくばって極小の傷やミリ単位のわずかな隙間を探し出すような場ではなく、通常の日常生活の中で支障や違和感があるかを客観的・冷静に見極めることが大切です。

そのため、以下に挙げるようなケースについては、建材の特性や一般的な施工精度の許容範囲内と判断される場合があります。

床や建具の傷

床や建具の傷は、原則として売主へ指摘し、是正を依頼します。
ただし、是正方法は原則としてリペア補修となります。
表面上の浅い擦り傷などは、無理に手を加えることで、かえって補修跡が目立つ可能性もあるため、あえてリペア補修を行わない方がよいと判断することがあります。

一方、深く目立つ傷は補修の必要性と箇所が明確であり、リペア補修による改善も見込めるため、積極的に指摘して是正を依頼します。

異なる部材が接する取り合い部分

フローリングと階段、フローリングと上がり框など、異なる部材が接する「取り合い部分」や「突き付け部」の仕上がりには、施工する職人によって多少の違いが生じます。
隙間の大きさ、段差、ぐらつき、歩行への影響などを確認したうえで、客観的に見て大きな不具合と判断されない場合は、売主へ指摘しても現状のままとなることがあります。

床・壁などの傾斜

国土交通省の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」では、一定の測定条件のもと、3/1,000未満は構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性が低い、3/1,000以上6/1,000未満は一定程度存在する、6/1,000以上は高いと整理されています。

これは6/1,000未満なら必ず正常、6/1,000以上なら直ちに欠陥と決める基準ではありません。
測定距離、測定箇所、施工精度、沈下の有無やほかの不具合を含めて確認します。
また、排水等を目的として設けられた勾配は別に判断します。

クロス・コーキングの隙間や切れ

不具合が認められる場合は、該当部分の補修を求めます。
ただし、補修方法は部分的な充填、打ち増し、該当箇所の打ち替え等が一般的であり、部分補修で性能と外観を回復できる場合に、周辺一帯の全面施工を求めることは難しくなります。

土間コンクリートの汚れ・ひび割れ・白華

タイヤ痕、色むら、白華、微細な表面ひび割れは、直ちに構造上の不具合になるものではありません。
ただし、ひび割れの幅だけで一律に判断せず、深さ、長さ、段差、沈下、拡大傾向、鉄筋への影響、排水への支障などを確認します。

雨樋・竪樋の継ぎ目のわずかなズレ

外れ、破損、漏水、固定不良、排水不良などの機能上の問題があれば是正を依頼します。
機能に支障がなく、標準部材の接続部に生じる軽微な位置差や見た目だけの差異については、売主へ確認しても是正対象外と判断される場合があります。

雨水浸透桝・給排水管の位置

排水勾配、点検・維持管理、歩行や安全性などに支障がある場合は売主へ確認と是正を依頼します。
一方、機能上の支障がなく、確認図面や仕様に反しない敷地内の配置について、見た目や希望位置だけを理由に移設を求めることは難しい場合があります。

隣地の枝葉や既存ブロック塀

隣地からの枝葉の越境や、隣地所有・共有の既存ブロック塀の経年劣化は、建物施工の補修とは別の問題です。
所有関係、境界、越境の状況、売買契約上の説明や安全性を確認し、必要に応じて売主または隣地所有者との対応を整理します。

重要:寸法や数値だけで直ちに是正の要否が決まるとは限りません。
発生箇所、測定距離、施工方法、契約内容、機能への影響、ほかの症状の有無などを総合して判断します。

4.補修は「必要な範囲」が原則です

不具合が解消され、必要な性能と外観を回復できる合理的な方法であれば、是正方法は原則として部分補修となることが一般的です。

特に、フローリングや建具、住宅設備などに傷や不具合が認められた場合でも、補修によって必要な性能と外観を回復できるものについては、リペア専門の職人による部分補修が原則となります。
そのため、部分補修で対応できる傷や不具合に対して、フローリングや建具の全面交換、建材の交換、住宅設備機器本体の交換などを求めた場合は、必要な補修範囲を超えるものとして、売主が買主様のご要望に応じてもらえないことがほとんどです。

ただし、当社は原則として、買主様のご希望も含めて売主へ是正を依頼します。
一方で、必要かつ合理的な補修範囲を超える全面再施工、部材交換、設備機器本体の交換などについては、法令遵守および社会通念を超えた過剰な要求(カスタマーハラスメント)防止の観点から、売主へ強要することはできません。
あらかじめご理解とご協力をお願いいたします。

5.建築中に契約した場合

建築中の物件を契約した場合でも、一般的には、売主が定めた設計・仕様で完成する建売住宅を購入する売買契約です。
買主様が工事内容を個別に指定する注文住宅の建築請負契約とは異なります。

したがって、完成後の現地立会いで「イメージと違う」「この位置が好みではない」という理由で、構造、仕様、設備、配管経路などの無償変更を求めることは原則としてできません。
ただし、図面または仕様書と完成状態が異なる場合は別です。

6.売主と買主様の見解が一致しない場合

売主と買主様の見解が一致しない場合、ゼロシステムズはお客様を突き放すことなく、契約書、設計図書、仕様書、現地の状態、売主の施工・補修基準、公的な技術資料等を確認し、売主へ具体的な回答を求めます。

そのうえで、法令、契約内容および社会通念を踏まえ、買主様のご要望にできる限り近い現実的な補修方法や折衷案を提案し、安全かつ円滑にお引渡しを迎えられるよう調整します。

なお、契約不適合に該当するか、売主がどのような責任を負うかは、個別の契約内容と事実関係によって異なります。
本ページは一般的な判断の考え方を示すものであり、個別案件の法的判断を保証するものではありません。

7.注文住宅と建売住宅の違い

注文住宅は、施主様との打ち合わせを重ね、間取り、設備、仕上げや配管経路などを個別に決めて建築する請負型の住宅です。
一方、建売住宅は、売主があらかじめ設計・仕様を定め、部材の大量仕入れ、工程の標準化、合理的な施工経路などによって価格を抑えて供給する規格型の住宅です。

現在、延床面積30坪前後の住宅では、注文住宅の建物本体が2,500万円以上となるケースもある一方、量産型の建売住宅では建物相当額が1,500万円前後と考えられるケースがあります。
実際の金額は建築時期、地域、仕様、付帯工事および算定方法によって異なりますが、価格差の背景には「大量仕入れ・大量生産」と「設計・施工工程の標準化」があります。

そのため、建売住宅では、構造や機能に問題がない範囲で、建具・クロスの納まり、外構、給排水管の経路などに注文住宅と同じ個別対応を求めることが難しい場合があります。
これは不具合を見逃すという意味ではなく、契約した建売住宅として備えるべき品質と、買主様の好みによる変更希望を分けて判断するということです。

厳しい言い方をすれば、建売住宅に注文住宅と同等の細かな造り込みや個別対応を求めることは、「スーパーに行って、デパートと同じサービスや商品を求めるようなこと」になってしまいます。
これは建売住宅の品質が低いという意味ではありません。
合理化によって価格を抑えた建売住宅と、施主様の希望に合わせて個別に造り込む注文住宅では、価格だけでなく、施工方法や対応できる範囲にも違いがあるということです。

ゼロシステムズの姿勢

ゼロシステムズでは、買主様に欠陥住宅を購入させないことを第一に、構造・防水・機能上の不備には毅然と対応します。

同時に、買主様、売主、施工会社の三者が共通の基準で話し合えるよう、客観的かつ公正な調整に努めます。
お引渡し後も住宅に関する相談相手として、お客様を継続的にサポートいたします。

著書の紹介

こんな建売住宅は買うな
著書:『こんな建売住宅は買うな』幻冬舎