新築一戸建(建売住宅)欠陥住宅の事例

新築一戸建(建売住宅)を住宅診断(ホームインスペクション)

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執筆者 田中勲-写真 田中 勲
(宅地建物取引士、ホームインスペクター)
田中勲 紹介ページ
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(出典:en Factory)

新築一戸建ての住宅診断で発見した『欠陥』とは

『欠陥住宅』とはなにか

基礎コンクリートの欠陥事例

基礎コンクリートの欠陥事例

欠陥住宅とは、本来あるべき性能が欠如している状態にある住宅のことを指します。

また、近年では健康被害や不快感の原因が建物にある場合であっても欠陥住宅とされることがあります。
具体的には、
・耐震性能不足
・防火違反
・雨漏り
などがあげられます。

ただし、欠陥住宅の定義は、消費者側と業者側の立場によって異なることがあるので注意が必要です。

■日本弁護士連合会の公表資料では、以下のように記されています。

欠陥住宅とは、住宅として通常有すべき品質や性能を欠くもの、あるいは、契約において特に示された品質や性能を有しないものをいう。
このうち、建築基準法令の定める最低限の構造基準(安全基準)を遵守していない場合を構造欠陥という。
いわゆる既存不適格建物も、安全性能を欠いているという意味で、広い意味での欠陥住宅(広義の欠陥住宅)といえる。

出典:日本弁護士連合会 – 安全な住宅に居住する権利を確保するための法整備・施策を求める決議

新築でも欠陥住宅はある

新築建売住宅

建売住宅の外観(写真は欠陥住宅ではありません)

現代の新築であっても、売主の規模にかかわらず欠陥住宅は存在します。

見た目だけの不具合であれば、購入時に見過ごしていてもそれほど問題はありません。
重大な問題がある欠陥を購入時に見過ごしてしまうと、その後の建物の寿命や安全性だけでなく、物件の資産価値を下げる要因となります。

国土交通省の資料によると、新築等住宅に関する電話相談件数が、2008年は、10,727件でしたが、2015年には、18,786件と約1.75倍に増加しています。


■電話相談件数の推移
電話相談件数の推移

出典:国土交通省 – 専門家相談の実施状況(pdf)

電話相談で多い不具合事象は、ひび割れ(19%)、雨漏り(18%)、はがれ(11%)、性能不足(11%)、変形(10%)となります。

評価住宅や保険付きでも欠陥はある

・評価住宅とは、住宅性能評価書を取得した新築
・保険付きとは、住宅瑕疵担保り工法に基づく瑕疵保険に加入した新築
の、ことをいいます。

近年の建売住宅では、住宅性能評価書を取得した物件や瑕疵保険に加入している物件も珍しくありません。
しかし、これら評価住宅や保険付きであっても欠陥住宅は存在します。

国土交通省の資料によると、評価住宅や保険付き新築の紛争処理の申請件数は、
・2010年:72件
・2015年:158件
5年間で、2倍以上に増加しています。

申請件数が多い不具合は、以下のようになっています。

■紛争処理で多い不具合の事象
・基礎や外壁のひび割れ:(34%)
・床や開口部などの変形:(22%)
・床や内壁の汚れ:(15%)
・内壁や床のはがれ:(10%)
・雨漏り:(10%)
・床鳴り:(8%)
今後も申請件数は増加していく可能性があるとされています。

■評価住宅及び保険付き住宅に係る紛争処理の申請件数
評価住宅及び保険付き住宅に係る紛争処理の申請件数

出典:国土交通省 – 評価住宅及び保険付き住宅に係る紛争処理の申請件数(pdf)

新築(建売住宅)には『アタリ』と『ハズレ』が存在する

ハズレ物件のイメージ

新築(建売住宅)には、施工精度が高い『アタリ』の物件と、施工制度が低い『ハズレ』の物件が存在します。

例えば、建売住宅では、1号棟は、施工精度が高い『アタリ』の物件であっても、隣の2号棟は、施工精度が悪い『ハズレ』の物件ということもあります。
これは、職人と現場監督の能力とモラルの違いによって、建物の品質にバラつきが出てくることが原因の一つです。

完了検査に合格している建売住宅でも欠陥が見つかる

指定確認検査機関の完了検査(俗に言う役所の検査)に合格して、検査済証が発行されている建売住宅であっても、欠陥が見つかることがあります。

完了検査とは、建築確認申請どおりに建築されているかを確認するための検査です。
そのため、完了検査では検査されないポイントが存在します。

■完了検査で確認する項目
・建物配置
・間取り
・開口部
・斜線
■完了検査で確認されないポイント
・床下
・天井裏
・小屋裏
■完了検査に合格していても見つかる施工不良
・雨漏り
・床鳴り
・ひび割れ
・断熱
したがって、上記のような施工不良がある欠陥住宅であっても、完了検査に合格して検査済証が発行されてしまいます。

国土交通省から確認検査機関が処分されるというニュース
AI確認検査センターなど9つの確認検査機関に前代未聞の行政処分、国交省

AI確認検査センター

国土交通省は2020年2月14日、建築基準法に基づいて建築確認や検査を実施する国土交通大臣指定の確認検査機関「AI確認検査センター」(東京・町田)に対し、「役員による確認検査の業務に著しく不適当な行為があった」などとして、20年3月9日から同年7月28日までの期間を業務停止とする監督命令を下した。
同社のほか、ビューローベリタスジャパン(横浜市)や国際確認検査センター(東京・中央)など、8つの検査機関も処分した。

最も厳しい処分を受けたAI確認検査センターは、神奈川県内の戸建て住宅など263件で、本来は申請者などが行うべき申請書類の補正や押印を、同社の取締役が代行していた。
また、当時の代表者の親族が一級建築士として設計などに関わった建築物の確認検査を実施していた。

指定確認検査機関の指定準則によると、検査機関の代表者の親族が設計や工事監理、施工などに携わった建築物の確認検査をしてはならない。

出典:日経クロステック – AI確認検査センターなど9つの確認検査機関に前代未聞の行政処分、国交省

1999年5月に建築基準法が改正施行され、それまで地方公共団体の建築主事だけが行っていた建築確認が民間開放されました。

その結果、近年では、収益を優先して適切な検査が行われていない問題が明るみとなり、国土交通省から確認検査機関が処分されるという前代未聞のニュースが話題になりました。


雨水侵入の欠陥

雨水侵入があると、床下や壁内の木部の腐食や結露の発生の原因となり、建物の寿命が大幅に短くなる可能性がありますので注意が必要です。

壁内結露の調査

壁内に水分がたまり結露(青い部分)を起こしている事例

雨水侵入とは

雨水侵入の原因の多くは、ベランダの防水やサッシなどの開口部の施工不良によるものがほとんどです。

近年の建売住宅の多くは、内壁をビニールクロスで仕上げていますので水分を通しません。
そのため、雨水侵入の初期状態では、室内から目視で確認することは困難です。

目視で雨水侵入の確認できる状態になるころには、構造体が腐食している可能性がありますので注意が必要です。

国土交通省で公表されている資料によると、専門家相談のうち18%、新築住宅の紛争処理申請件数のうち9%が雨水侵入とされています。

雨水侵入や漏水は、目視で発見することは困難です。
一級建築士や赤外線建物診断技能師などの専門家に住宅診断を依頼して、購入前に早期発見することがポイントです。

■雨水侵入の欠陥事例(1)
天井裏に水分が溜まり結露している事例

天井裏に水分が溜まり結露している事例

1階室内天井付近を赤外線サーモグラフィー診断して雨水侵入の欠陥を発見しました。

含水率測定器を使用して天井付近の含水率を計測したところ含水率59.5%という高い水分量を確認できたため、雨水侵入と診断できました。

原因
2階ベランダ笠木付近の施工不良により、建物内部に雨水侵入していました。

■雨水侵入の欠陥事例(2)
玄関上部に水分が溜まり結露している事例

玄関上部に水分が溜まり結露している事例

新築(建売住宅)での雨水侵入とは、通常、室内から目視で確認できるものではありません。
一見すると何も異常がなくても、一級建築士や赤外線建物診断技能師などの専門家が住宅診断を実施すると、このような隠れた欠陥を発見することができます。

原因
2階のパラペット付近の施工不良により建物内部に雨水侵入していました。

パラペットとは、玄関上部などのデザイン性を高めるためにFRP防水を用いた屋根の立ち上がり部分を指します。
この立ち上がりやFRP防水の施工が適切でないと壁内に雨水が侵入してしまいます。

玄関上部パラペット事例(写真は欠陥ではありません)

玄関上部パラペット事例(写真は欠陥ではありません)


基礎コンクリートの欠陥

基礎コンクリートの欠陥とは

綺麗に仕上がった基礎コンクリートの事例

綺麗に仕上がった基礎コンクリートの事例

■最も多い欠陥『クラック』

基礎コンクリートの欠陥では、
・クラック(ひび割れ)
・斫り(はつり)
・異物混入
などによる強度不足が挙げられます。
その中でも、新築(建売住宅)で最も多い欠陥は、クラック(ひび割れ)です。

国土交通省が公表している資料でも、ひび割れは、34%(外壁も含む)と紛争処理で最も多い不具合事象とされています。
出典:国土交通省 – 評価住宅及び保険付き住宅に係る紛争処理の申請件数(pdf)

基礎コンクリートにクラックがあると、ひび割れからコンクリート内部に水分と空気が侵入します。
水分と空気が内部の鉄筋まで到達すると、鉄筋が腐食する原因となります。
鉄が腐食すると膨張しますので、内部からの圧力でコンクリートを破壊する『爆裂現象』を引き起こす原因となります。

基礎コンクリート施工中

基礎コンクリート施工中

コンクリートが固まる仕組みと欠陥の関連性

コンクリートは、乾燥して固まるのではありません。
コンクリートは、アルカリ成分と空気中の二酸化炭素が反応して硬化します。(炭酸化反応と言います)

  • ・夏の気温が高い時期に施工すると水分が蒸発してクラックが起きやすくなります。
  • ・冬の気温が低い時期に施工すると水分が凍結して強度が出にくくなります。

建売住宅の基礎コンクリートは、施工した季節(外気温)によって、発生しやすい欠陥の傾向に違いが出てきます。

鉄筋コンクリートの寿命

日本建築学会(JASS5)では、コンクリートに『設計基準強度』『計画供用期間』『供用限界期間』を予め設定しています。

『計画供用期間』とは、躯体の計画耐用年数であり、大規模修繕不要予定期間とされています。

<短期>
設計基準強度:18N/mm2→『計画供用/期間30年』 『供用限界期間65年』
<標準>
設計基準強度:24N/mm2→『計画供用期間65年』 『供用限界期間100年』
<長期>
設計基準強度:30N/mm2→『計画供用期間100年』 『供用限界期間200年』
出典:日本建築学会 – JASS5鉄筋コンクリート工事(pdf)

基礎コンクリートの欠陥事例

基礎コンクリートは、1棟1棟職人が手作業で施工するものなので、人的要因で品質が左右されやすいので注意が必要です。

■重大なひび割れの事例
補修が必要な重大なひび割れの事例

補修が必要な重大なひび割れの事例

基礎コンクリートに多きなひび割れがある場合は、そこからコンクリート内部へ大気中の二酸化炭素が侵入して、コンクリートの中性化速度が早まります。

コンクリートの中性化速度が早まるということは、 コンクリートの劣化が早まるという意味です。

クラックスケールでひび割れ幅を計測(0.85mm)

クラックスケールでひび割れ幅を計測(0.85mm)

幅がおおよそ5mmを超えて深さが鉄筋まで到達しているようなひび割れは、速やかに補修すべき欠陥となります。

このようなひび割れを長期間放置すると、鉄筋は腐食してしまい内部からの圧力でコンクリートを破壊する『爆裂現象』を発生させる原因になります。

爆裂現象の事例

爆裂現象の事例

爆裂現象が発生している基礎コンクリートは、日本建築学会(JASS5)で設定しているコンクリートの計画供用期間や供用限界期間よりも早く基礎コンクリートの寿命がつきる可能性が高いといえます。

ただし、コンクリートのひび割れは、多くの場合、早期に発見して適切に補修をすることで中性化を抑止することができます。

■軽微なひび割れ(ヘアクラック)
すぐに補修が必要ないヘアクラックの事例

すぐに補修が必要ないヘアクラックの事例

コンクリートの軽微なひび割れは、『ヘアクラック』とも呼ばれています。

ヘアクラックとは、コンクリートやモルタルの表面上に発生した幅0.3mm以下の髪の毛のような細いひび割れを指します。

一般にヘアクラックの発生は、コンクリートの材質上とやむを得ない現象であるとされています。
しかし、建売住宅の売主や不動産会社の営業マンは、消費者からひび割れを指摘されると、すぐに「ヘアクラックだから問題ない。」と言って解決しようとしますので、注意が必要です。

後々になって後悔しないように、契約前には、住宅診断を導入して、本当に問題がないヘアクラックかどうかを確認してから商談を進めることが大切です。
すぐに補修の必要がないヘアクラックを発見した場合は、ひび割れの具合が進行していないか年1度程度は経過観察をすると良いでしょう。

打設の繋ぎ目が目立つ粗い仕上がりの基礎の事例

打設の繋ぎ目が目立つ粗い仕上がりの基礎の事例

原因
ひび割れの原因は、コンクリート打設時の外気温などが関係します。
また、コンクリート打設時のバイブレーター不足が原因の可能性があります。

バイブレーターとは、打設時にバイブレーターで適度に振動を与えることにより、生コンクリート内部の気泡を除去して密度を高める工程を言います。
この工程が不十分だと、クラックが発生するだけでなく、型枠との間に多くの隙間が発生して強度不足で粗い仕上がりのコンクリートになります。

建売住宅では、突貫工事で工期に余裕がないためバイブレーター不足の施工になりやすい傾向があります。

■斫り(はつり)

コンクリートの一部を壊すことを「斫り」(はつり)といいます。

設計図が不完全であったり、工事現場での段取りに不備があると、コンクリート打設後に斫らなければ給排水管などを設置できないことがあります。
斫りの痕跡を発見した場合は、それが構造やコンクリート劣化に影響がないかを判断しなければなりませんので注意が必要です。

基礎コンクリートを斫った痕跡の事例

基礎コンクリートを斫った痕跡の事例

打設後に基礎コンクリートを斫ってしまっています。
適切に補修作業をしなければ基礎コンクリート性能低下に繋がります。


基礎コンクリートを斫った欠陥事例

基礎コンクリートを斫った欠陥事例

この欠陥事例では、貫通部の鉄筋が露出しているだけではなく、ひび割れが上部まで達しており、強度が低下している欠陥住宅となります。

原因
いずれの欠陥事例も、給排排水管を敷設するために基礎コンクリートの一部を斫っていました。
基礎コンクリートの打設する時に、配管を通すためのスリーブを予め設置するのを忘れたことが原因と考えられます。

■異物混入

基礎コンクリート施工時に生コンを流し込む際に、型枠の中に木片などが混入することをいいます。
コンクリート内部に木片が混入しているということは、本来あるべき強度がなく、木部の腐食によりコンクリートの寿命が短くなります。

建売住宅の基礎で異物混入を発見した事例

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原因
このような異物混入は、建築現場の職人と現場監督の「知識」「モラル」「能力」が欠如した、人的要因による欠陥と言えます。

特に建売住宅の現場では、コスト削減と工期短縮が求められているため、このような人的要因の欠陥が発生しやすい状況にあると言えます。


断熱材の欠陥

断熱材の欠陥とは

綺麗に施工されている断熱材の事例

綺麗に施工されている断熱材の事例

■断熱材と役割と欠陥による影響

住宅の断熱材とは、外気の温度と室内の温度が互いに伝達し難くするためにある建材をいいます。
建売住宅の多くでは、主にグラスウール、ポリスチレンフォーム、現場発砲系などの断熱材が使用されています。

現場発泡系の断熱材の事例

現場発泡系の断熱材の事例

いずれの種類の断熱材であっても、適切に施工されることで、「冷暖房費の節約」と「結露を防ぐ」効果があります。
しかし、どのような種類の断熱材であっても、適切に施工されていないと、冷暖房が効きにくい不経済な住宅となるだけでなく、結露を発生させ腐食の原因となります。

■断熱材欠陥を住宅診断する方法
適切に施工された断熱材の事例

適切に施工された断熱材の事例

完成した建売住宅の断熱材は、壁で隠れてしまいますので、赤外線サーモグラフィーを使用した非破壊検査でなければ確認することが困難です。


内断熱工法
断熱材を施工している場所
・断熱材は、原則、建物全体を包むように施工されています。
・屋根上の温度が伝わり難くするために、小屋裏に断熱材を敷き詰めます。
・壁の外側の温度が伝わり難くするために、壁内に断熱材を施工します。
・床下の温度が伝わり難くするために、床の構造用合板の裏側に断熱材を施工します。
断熱材を施工していない場所
・室内を仕切るための壁には施工しません。
・1階と2階との間には施工しません。

従って、断熱材を施工されている部分と施工されていない部分がありますので注意が必要です。

断熱材の欠陥事例

■1階リビング壁内の断熱材施工不良
赤外線建物診断で発見した断熱材の欠陥事例1

赤外線建物診断で発見した断熱材の欠陥事例1

施工途中の内壁を赤外線サーモグラフィーで検査したところ、筋交いがある部分の壁が周囲よりも温度が高い部分を発見しました。
赤外線建物診断では、0.1℃単位で温度を可視化できますので、断熱材に施工不良を発見することができます。

近年の建売住宅であっても、断熱材の施工不良は時々発見します。
断熱材の欠陥は、完成物件では目視では判断できません。

適切に施工された赤外線サーモグラフィー画像

↑適切に施工された赤外線サーモグラフィー画像↑と比較すると一目瞭然です。

■1階リビング天井の断熱材施工不良
赤外線建物診断で発見した欠陥事例2

赤外線建物診断で発見した欠陥事例2

赤外線サーモグラフィーでリビングの一部の天井で断熱材施工不良を発見しました。

通常、1階と2階の間の天井裏には断熱材施工は不要ですが、この物件では、リビングの上部にベランダがあるため、その部分には断熱材の施工が必要になります。

■3階の天井と壁の断熱材施工不良
赤外線建物診断で発見した欠陥事例3

赤外線建物診断で発見した欠陥事例3

3階建ての建売住宅の断熱材施工不良です。

室内温度は、上階に行くほど上昇します。
3階建ての3階部分の断熱材が適切に施工されていないと、夏場の室内温度は、非常に高くなり温室のようになってしまいます。

原因
いずれの欠陥事例も、グラスウール系の断熱材の施工不良です。

グラスウールは、現場でタッカーで固定しますが、工期を急かされた突貫工事になりますと、タッカーで留めるのを忘れたり、留めたつもりでも空振りしてる状態もあります。

また、適切に施工されていないと、引渡し後に重力で断熱材が下がってきますので注意が必要です。



床下の欠陥

床下の欠陥とはどんなものか

床下の欠陥には
・通気不良
・断熱不良
・水漏れ
・ひび割れ
・ゴミや残置物の散乱
などがあげられます。

特に以下には注意が必要です。
・通気不良
・断熱不良
・水漏れ
これらは、床下で結露が発生する原因となります。
長年放置すると、木部が腐食する可能性があります。

綺麗に施工された床下の事例

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■床下を点検する方法

建売住宅の床下を点検するときには、通常、1階にある床下点検口から目視で点検します。

一般に床下点検口は、床下収納庫を兼用していることが多いです。
その場合、床下収納庫のケースを外して床下を点検します。

基礎高が低い物件や半地下がある物件では、そもそも床下点検口を設けていないことがあります。
床下点検口が無い物件では、床下を点検することは困難です。

床下の欠陥事例

近年の建売住宅であっても、床下の欠陥は存在します。
多くの場合、床下を目視で点検すれば、容易に発見できます。

■床下の断熱材施工不良
床下断熱材の欠陥事例

床下断熱材の欠陥事例

床下の断熱材が外れていることは比較的多く発見されます。
特に床下点検口周囲の断熱材施工不良は良く発見されます。

床下の断熱材で施工不良があると冷暖房が効き難くなります。
この欠陥は、床下を目視で確認すれば、誰でも発見でき、比較的容易に是正することができます。

原因
容易に発見できる床下断熱材の施工不良が発見されない状態で引渡しされた新築は、しっかり監理されていないことが原因のひとつと考えられます。

■通気不良による欠陥
通気不良の床下の欠陥事例

通気不良の床下の欠陥事例

床下木部の含水率を計測すると30%を超えているのでかなり湿気があることがわかります。

床下の通気が取れていない場合、梅雨時期などでは、床下木部の含水率が上昇して結露やカビが発生する可能性があります。

通気が取れている正常な事例

正常な施工では、基礎パッキン工法により、外部の光が見えますので床下の通いが取れていることが分かります。

正常な床下の含水率を計測すると、冬の乾燥している時期では10%未満、梅雨など湿気の多い時期では20%前後となります。

原因
竣工時に基礎左官仕上げで基礎パッキン工法による基礎と土台の隙間を埋めてしまい通気が取れていない状態となっています。

漏水の欠陥事例
床下で漏水が発生している事例

床下で漏水が発生している事例

漏水時の木部含水率計測写真

漏水の原因の多くは、給排水管、トイレ、洗面、浴室、キッチンなどの水回り設備の施工不良によるものがほとんどです。
漏水に気が付くのが遅れると、床下であれば、土台や床材の腐食や結露の温床となり建物の寿命を縮める原因となります。

原因
床下の給湯管の接続不良が漏水の原因でした。
稀に給湯管の初期不良があります。
給湯管は、給水管と違い、引渡しされるまで給湯器のバルブが止められているので、給湯管の漏水は現場監督でも気が付きにくい欠陥のひとつです。
そのため、入居して数日後に気づいたということも少なくありません。
引越し後、最初にキッチンや浴室でお湯を使用した翌日には、床下を点検して給湯の漏水がないかを確認することをお薦めします。



屋根裏や天井裏の欠陥

屋根裏や天井裏で発見される欠陥とは

正常に施工された屋根裏の事例

正常に施工された屋根裏の事例

天井裏や屋根裏(小屋裏)では、通気不良、断熱不良、防火違反などの欠陥が存在します。

完了検査では天井裏の防火違反については確認しないので、防火違反の状態で引き渡されている建売住宅が中にはあります。

■天井裏や屋根裏を点検する方法
小屋裏点検口

小屋裏点検口

浴室の点検口

浴室の点検口

天井裏や屋根裏を点検する時には、ユニットバスの天井点検口や最上階の屋根裏う点検口から点検します。
天井裏や屋根裏で多い欠陥は、防火違反や断熱材の施工不良となります。

■天井裏の欠陥事例

ユニットバスの天井点検口から天井裏を見ると、外壁の裏側にある断熱材がそのまま見えています。

準防火地域や建築基準法22条区域では、30分耐火の施工が必要です。
このような地域で新築する場合は、天井裏や屋根裏にも石膏ボードの施工が必要となります。

石膏ボードが施工されている正常な天井裏

石膏ボードが施工されている正常な天井裏

天井裏であってもこのように石膏ボードの施工が必要になります。

ただし、外壁材がパワーボード、または、構造用面材がダイライトまたは、モイスを使用している。
または、準防火地域や建築基準法22条区域でなければ、石膏ボードの施工は不要となります。

■屋根裏(小屋裏)の欠陥事例
石膏ボードが施工されていない屋根裏の欠陥事例(是正前)

石膏ボードが施工されていない屋根裏の欠陥事例(是正前)

正しく石膏ボードを施工(是正後)

正しく石膏ボードを施工(是正後)

天井裏と同様に屋根裏(小屋裏)も防火のために、石膏ボードの施工が必要になります。
是正前と是正後の写真を見比べると分かりますが、ほとんどの木造住宅では、このように防火のための石膏ボードの施工が必要になります。

原因
防火違反があっても、確認検査機関による完了検査で見ない部分なので、完了検査に合格して検査済証が発行されてしまいます。

そのため施工業者は、この施工方法でも問題がないと勘違いしたまま施工していることがあります。

↓天井裏や屋根裏(小屋裏)の欠陥の詳細はこちらの記事をご覧ください↓

【新築一戸建(建売住宅)を住宅診断】小屋裏や天井裏に隠れた欠陥『防火違反』



石膏ボードのビスピッチ手抜き工事

石膏ボードのビスピッチとは

正常に施工された石膏ボードのビスピッチ

正常に施工された石膏ボードのビスピッチ

■ビスピッチには決まりがある
施工ボードのビスピッチ図解

施工ボードのビスピッチ図解

壁紙の下地には、石膏ボードが施工されています。
この石膏ボードは、ビス留めで固定します。

ビスピッチとは、このビスを留める間隔のことをいいます。
この石膏ボードのビスは、上記のビスピッチ図解のように200㎜~300㎜以内で留める必要があります。

完成済みの建売住宅の室内

完成済みの建売住宅の室内

しかし、完成済みの物件では、クロスの下に隠れた石膏ボードのビスピッチを目視で確認することはできません。

見えないビスピッチを確認する方法

ネオジウムマグネットを使用することで、石膏ボードのビスピッチ手抜き工事を発見することができます。

■ビスピッチ手抜き工事は耐震性能に影響する

建売住宅で「耐震性能」というと、一般に「柱が太ければ地震に強そう」というイメージがありますが、近年の木造住宅では、柱の太さよりも壁量バランスが重要視されます。

一般診断法による診断プログラム-表紙 出典:一般財団法人日本建築防災協会 – 一般診断法による診断プログラム

一般診断法による耐震診断では、壁量バランスを計算するときには、壁を構成している建材によって壁基準耐力が数値化されます。
適切なビスピッチで施工された石膏ボードの壁基準耐力は1.1kN/mとなります。

しかし、ビスピッチを手抜き工事された建物では、耐震診断で石膏ボードを計算に入れることができません。

石膏ボードビスピッチが手抜き工事されている建物では、耐震性能が低下することになります。

■石膏ボードビスピッチ手抜き工事の事例
ネオジウムマグネットで手抜き工事を発見した事例

ネオジウムマグネットで手抜き工事を発見した事例

本来でしたら20㎝~30㎝以内で留める必要があるビスピッチが約50㎝以上の間隔で留められる手抜き工事の事例です。

原因
工期を急かされた突貫工事の建売住宅では時々発見されます。

現場で作業をする職人は、工期を急かされると、ビスピッチの手抜きをして急いで工事してしまうことがあります。



欠陥とまでは言えない雑な施工

欠陥じゃないけど雑な施工の建売住宅の事例

雑な造りは、見た目だけでなく時には危険なときもありますので注意が必要です。

『欠陥』とまでは言えなくても、雑な仕上げの新築は数多くあります。
そのような『雑』な仕上げの物件をご紹介します。

■雑な仕上げの新築
切り過ぎた床

切り過ぎた床

フローリングの下から飛び出している釘

フローリングの下から飛び出している釘

雑な造りの階段

雑な造りの階段

斜めに取り付けられたコンセント

斜めに取り付けられたコンセント

敷居を付けら忘れた建具

敷居を付けら忘れた建具

隠れていない隠し釘

隠れていない隠し釘

原因
雑な仕上げになる原因のほとんどは、急かされた工期による現場監督の見落としによるものです。

また、大量生産する建売住宅では、現場で作業をする職人不足により、経験や知識が足りない駆け出しの職人が工事をしていることもあります。



まとめ

アタリとハズレの物件を見極めることが大切

完成後の室内に養生せずに残材が置かれた雑な現場

完成後の室内に養生せずに残材が置かれた雑な現場

現代の新築であっても欠陥住宅は存在します。
しかし、全ての物件が欠陥住宅ということはありません。

「注文住宅だから大丈夫」「建売住宅だから欠陥が多い」ということでもありません。
現在の日本では、現場で作業をする職人が圧倒的に不足しています。
経験豊富で丁寧な職人以外にも、経験が足りない駆け出しの職人も同じように作業しています。

また、現場監督も同様です。
そのため、同じハウスメーカーや売主であっても、職人と現場監督次第で、アタリとハズレの物件が存在することとなります。

従って住宅を契約する前には、専門家による住宅診断することを強く推奨いたします。

建売住宅を検討する時には、ハウスメーカーや売主の会社名で選ぶのではなく、1件1件を見極めて選ぶことが大切だと考えます。

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