制震ダンパーを目視で確認 制震と耐震の違い
アスティークの新築を住宅診断して
未完成物件だから制震ダンパーを目視で確認
赤外線建物診断技能師の野方実です。
今回は、アスティーク(立川市)の新築一戸建ての内覧立会い兼、住宅診断を行ないました。
この物件には、地震への備えとして制震装置が標準装備されています。
制震装置は、建物が完成してしまうと、壁の中に隠れてしまい、後から見ることが出来ませんので、とても良いタイミングで建物診断を行うことが出来ました。
ちょうど良い機会ですので、ここでは、耐震と制震の違いについて解説させて頂きます。
耐震と制震の違いについて
■耐震とは?
耐震とは、地震に耐えることを言います。
建物の耐震を強くするということは、人間の身体に例えるならば、「体幹を強くする」ようなものです。
人が電車に乗って、車両が大きく揺れても転ばないために、「踏ん張る力」を想像すると分かりやすいかもしれません。
木造住宅では、構造体の接合部が外れないように金物を取り付けたり、地震で構造体が歪まないように筋交いや構造用パネルで壁面を補強して耐震性能を向上させています。
過去に大震災を教訓に、国内においては、建築基準法で耐震基準が定められています。
耐震構造とは、地震への備えとして最も基本的な考え方となります。
■制震とは?
制震とは、地震の揺れを抑えるための工法です。
耐震性能が高い住宅は、この構造体が、地震の揺れで倒壊しないように接合部などを金物で連結されていますので建物自体は非常に頑丈です。
一般に、耐震性能が高い頑丈な構造体では、建物が地震で左右に揺れた場合、もし、左に揺れる力が加わると、その反動で、バネのように反対側へ戻ろうとする力も強くなります。
制震とは、その反動の力を熱エネルギーに変換して、地震の揺れを制御する技術です。
多くの場合、構造体の筋交いを取り付ける部分に、制震ダンパーを取り付けて、地震の揺れを熱エネルギーに転換して、揺れを吸収する仕組みを採用しています。
■制震は耐震とセットで考える
近年では、建売住宅でも、この制震装置を採用している物件を時々見受けられるようになりましたが、やはり、まだ希少です。
しかし、耐震性能が低い物件に、制震装置を付け加えても、「意味はない」とまでは言えませんが、耐震性能が高くなければ、せっかく制震装置をつけても地震への備えとしては不十分です。
制震は、耐震とセットで考える必要があります。
まずは、基本となる耐震性能を万全にしてから制震装置を加えることが重要になります。
この物件の特徴と感想
全9棟の物件ですが最寄り駅まで徒歩6分の立地という事もあり、未完成ながら残りは1棟のみです。
断熱性能が高いネオマフォームや制震ダンパーが見えます。
建築中の物件では整理整頓が徹底されていない事が多いのですが、とても綺麗な現場でした。
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