【住宅ローン】変動金利が上昇する可能性にズバリ回答!
物価と賃金が上昇したら日銀は利上げするのか?
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物価と賃金が上昇したら日銀は利上げするのか?
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第453-2回目 (2023年4月6日放送分 後半)となります。
今回の話題
【住宅ローン】変動金利が上昇する可能性にズバリ回答!
物価と賃金が上昇したら日銀は利上げするのか?
今回のテーマ『そろそろあるのか日銀利上げ!?』
後半も、月イチレギュラーの『モゲ澤先生』こと、住宅ローン比較サービス『モゲチェック』を運営している株式会社MFSの取締役COOの塩澤崇先生に、住宅ローンについてお話いただきます。
塩澤崇先生の経歴は、以下になります。
塩澤 崇(しおざわ たかし)さん プロフィール
■ 塩澤 崇(しおざわ たかし)
株式会社 MFS 取締役COO
略歴
2006年 | 東京大学大学院情報理工学系研究科修了(専攻:数理情報学) |
---|---|
2006年 | モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。 モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。 |
2009年 | ボストン・コンサルティング・グループ入社。 メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事 |
2015年 | 9月よりMFS取締役COO |
塩澤 崇 紹介ページ – モゲチェック
後半は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
後半は、
『物価だけでなく、春闘で賃金も上昇!そろそろあるのか日銀利上げ!?』
というテーマで、モゲ澤先生にお話を頂こうかと思います。
それでは、フジコさん。
リスナー様から、今回のテーマに関連した質問をから頂いているので、ご紹介をお願いします。
はい!
ラジオネーム『トイプー』さんからのご質問です。
■日銀は利上げするのではないでしょうか?
いつも楽しみながら勉強させてもらってます。
今後の金利動向について質問です。
日銀が利上げする条件は、物価上昇と賃金上昇とのことですが、春闘で賃金上昇したとニュースで報道されていました。
物価も上がって、賃金も上がると、もう日銀は利上げするのではないでしょうか?
変動金利で住宅ローンを借りている身としては心配です。
どうなのでしょうか?
教えてください。
ラジオネーム『トイプー』さんからのご質問
ラジオネーム『トイプー』さんご質問ありがとうございます。
モゲ澤先生にお聞きしたいこと
ここからは、モゲ澤先生にお話していただきます。
- お話いただきたい内容
- ①.現在の賃金状況について
- ②.なぜ賃金が上がっているのか?
- ③.ベアとは何か?
- ④.金利への影響は?
- ⑤.日銀は利上げするのか?
- ⑥.もし利上げされたら?
モゲ澤先生、よろしいでしょうか?
お任せください!
現在の賃金上昇の状況について
まずは、賃金上昇についてです。
モゲ澤先生。
実際に今は賃金は上昇しているのでしょうか?
毎年3月に春闘が行われます。
労働組合が次の年度の賃金アップを目指し、会社の経営陣と交渉します。
今年の春闘ですが、例年と違って異変が起きています。
それは賃金の大幅な上昇です。
おそらくニュースでお聴きになっている方もいらっしゃるかと思いますが、労働組合が要求した賃金上昇に対して満額回答するケースが相次いでいます。
びっくりするケースとして、JALはなんと満額以上の回答をしています。
このように、今年の賃上げのニュースは、サラリーマンにとっては嬉しいお話と言えますね。
確かに、大企業は春闘で賃金アップしているという報道がたくさん流れていますよね。
なぜ賃金が上がっているのか?
では、なぜ賃金が上がっているのでしょうか?
背景としてあるのが、物価上昇です。
今年の年初に、岸田首相が大手企業の経営者に対して「物価上昇率以上の賃金上昇をお願いしたい。」と発言しました。
これを受けて、経団連は『賃上げは社会的責務』と指針を発表しました。
例えば、コマツの会長は
「近年に経験のない物価上昇を考慮し、業績にかかわらず広くベースアップ(ベア、賃金水準の引き上げ)を前向きに検討してもらいたい。」
と強調しました。
勿論、日本企業が儲かっているから、というのもありますが、それ以上に物価上昇の要素が強そうです。
労働組合があるような、大きな会社はベースアップしているというニュースは、確かに報道されていますよね。
ただ、中小企業まで、ベースアップが波及するには、ちょっとまだ難しそうな感じが、個人的にはしているのですが・・・。
『ベア』とは賃金のベースアップのこと
モゲ澤先生。
ベアについて少し教えて頂けますか?
賃金上昇は『定期昇給』と『ベア』の2つに分かれます。
- 定期昇給とは
-
例えば年齢やスキルが上がるにつれて上昇する賃金のことです。
年功序列的なものを考えていただければ良いでしょう。
- ベアとは
- ベースアップのことを意味し、年齢やスキルに関係なく、全社員一律で賃金を底上げすることを意味します。
賃上げで大事なのはベアの部分です。
今年の春闘では、ベアは2%程度と近年にない高い水準となっています。
以前、モゲ澤先生がお話していた物価上昇と賃金上昇が実現されたことになりますね。
金利への影響は?
日銀が利上げして、住宅ローンの変動金利も上昇する。
ということはありませんか?
以前、私は『賃金が上昇するまで、金利は上がらない。』とお伝えしました。
日銀がなぜ金融緩和を続けているのかと言うと、
『賃金上昇→需要増加→物価上昇』
の、良い経済のサイクルを回すためです。
良い経済のサイクル
そして、このサイクルの中で欠けているのが賃金上昇で、過去30年間、日本は賃金が上がっていません。
ですので、賃金が上昇すれば利上げには一歩近づくと言えます。
日銀は利上げするのか?
今年、利上げがあるのでしょうか?
私は『まだ利上げはない』と考えています。
モゲ澤先生はブレないですね~。
それでは『利上げはない』という理由について、少し深堀りしてお話いただけますか?
『利上げはない』という3つの理由
理由は3つです。
賃上げの効果を打ち消しかねない3つの不透明感がその理由です。
① 賃上げの日本全体への波及
今回の賃上げですが、連合という労働組合組織が主導し、その賃上げ結果を集計しています。
その労働組合員数は145万人です。
日本全体では7,000万人近くの就労者がいますので、およそ2%の結果が分かっている状態です。
裏を返せば、まだ98%の結果が分かっておらず、日本全体に賃金上昇が本当に波及しているかはまだ不透明です。
そうですよね。
先程も言いましたが、労働組合があるような大手企業は賃上げできるかもしれません。
ですが、中小企業は、まだ苦しい状況が続いています。
世の中の景気が本当に良くなって、その恩恵が中小企業にまで浸透しなければ、賃上げの実現は難しいと思います。
ねぇ。
フジコさん。
そうですよ。
中小企業は大変ですよ。
ですよねぇ。
それでは、賃上げ効果を打ち消しかねない理由の2つ目を教えて頂けますか?
② 賃上げの持続性
今回の賃上げの背景にあるのは物価上昇です。
現時点では4%近い物価上昇ですが日銀は、2023年度の後半には2%を割り込むと想定しています。
これは、海外の資源高が収まることが原因として大きいです。
また、この夏から原発が再稼働します。
日本の原油輸入量も低下するでしょう。
そうなると、2024年度の賃上げが果たして今回のように高い水準で行われるかどうかが疑問です。
『物価上昇だから賃上げする』という言葉の裏には『物価上昇がおさまれば賃上げしない』ということも考えられます。
ですので、賃上げが持続するかどうか不透明です。
なるほど。
確かに、物価上昇は一時的という可能性はありますね。
それでは、3つ目を教えてください。
③ 海外経済の減速
現在、欧米ではインフレが高止まりしており、利上げが継続されています。
利上げによって金利が上昇すると、債券価格は下落します。
金融機関は収益を上げるために、融資に加えて債券の運用も行っています。
ですので、この利上げは債券の含み損につながり、金融機関の経営には打撃になります。
この打撃をもろにくらったのがシリコンバレー銀行です。
含み損から信用不安に陥り、取り付け騒ぎとなりました。
そして経営破綻しました。
この騒動から『金融機関は大きな含み損を抱えているのでは?』と世界中の投資家が疑心暗鬼となり、元々経営基盤が脆弱だったクレディ・スイスが次に目をつけられてしまいました。
そしてUBSという別の投資銀行が救済合併しました。
このように、欧米の金融機関の不調が目立っています。
確かに今回の件で、バンカメ(Bank Of America)の株価も、ずいぶん下がってしまいました。
今後、リーマンショックのように金融危機が起きるのかどうかはまだわかりません。
ただ一つ言えることは、利上げ = 経済へのブレーキですので、着実に欧米景気は減速に向かっています。
そして、その影響が今後、日本にも出る可能性があります。
これら3つの不透明感を踏まえると、今年の春闘の結果だけを取り上げて、日銀が利上げするとは考えづらいと思います。
もし利上げされたら?
こういう話をすると、それでも利上げの可能性が高いと反論される人がいます。
もしも利上げされるとしたら、どの程度になると思いますか?
『利上げしない!』という回答はナシでお願いします
私の予想が外れたらどうなるんだ?と気になる方もいらっしゃると思います。
先日、第一生命経済研究所エコノミストの藤代さん と対談させて頂きました。
彼が言うには
『日本の中立金利は0.5%程度だろう』
とのことです。
『中立金利』とは、景気を過熱も冷ましもしない金利のことを指します。
ですので、もし万が一金利を上げたとしても、今より0.5%上がる程度と考えられます。
この場合の変動金利の支払額は
借入れ:3,000万円
期間:35年返済
金利:0.5%(変動)
を前提とすると、
7.8万円(金利0.5%) → 8.5万円(金利1%)と上昇します。
最初から
固定金利:1.5% で借りて、
毎月9.2万円払い続けるよりは返済額は少ないと言えます。
固定金利を上回る金利上昇が見込みづらい今ならば、変動金利で良いのでは?
と考えています。
今回のお話もわかりやすかったです。
モゲ澤先生。
ありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
次回もよろしくお願いします!
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