【住宅ローン金利】上昇が止まらない!今すぐ変動から固定へ切り替えるべきか?
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第477-2回目 (2023年11月09日放送分 後半)となります。
今回のテーマ『今、変動金利から固定金利に切り替えた方が良いのか?』
後半は
『今、変動金利から固定金利に切り替えた方が良いのか?』
というテーマで、住宅ローン金利が決まる仕組みを具体的に噛み砕いて説明していきます。
早速ですが、リスナーさんからご質問を頂いているので、紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:トマトクリームさんからのご質問です。
リスナー様からのご質問
田中先生、こんにちは。
いつもYouTubeの配信楽しみにしています。
私は、1年前に変動金利で住宅ローンを組みました。
まだ、金利は、低いままで安定していますが、最近は、固定金利が上昇しているので、そろそろ変動金利も上昇するのではないかと心配になります。
固定が上昇したら、やはり、すぐに、変動も上昇するのでしょうか?
そうであれば、今のうちに、変動から固定に切り替えた方が良いと思いますか?
ラジオネーム:トマトクリームさんからのご質問
ラジオネーム:トマトクリームさん
ご質問ありがとうございます。
■変動と固定 金利が決まる仕組みは全く異なります
まず、住宅ローンの変動と固定とでは、金利が決まる仕組みが全く異なります。
- ・変動金利は、日銀の政策金利。→短期金利の影響を受けます。
- ・固定金利は、10年物国債利回り。→長期金利の影響を受けます。
以前から、そのお話をされていますが、何だか難しいです…。
そうですよね。
そこで今回は
- ・リスナーさんからのご質問に答えつつ
- ・日銀の金融緩和政策なども含めて
- ・住宅ローン金利が決まる仕組みについて
そういう事が分かれば、金融に関するニュースが分かり易くなるので助かります。
住宅ローンユーザーにとっては、とても大切なことですので、頑張ってお話しさせて頂きますね。
ぜひ、お願いします。
日銀の金融政策を理解する
まずは日銀の金融政策を理解するための、基本的なことからお話していきます。
- 世の中のお金の巡りをスムーズにすることを『金融緩和』と言います。
- お金の巡りを悪くすることを『金融引き締め』と言います。
モノが売れない→値下しないと売れない→企業の収益が落ちる→賃金が下がる→モノが売れない→…
このような状態を、デフレスパイラルと言います。
デフレになると、モノの価格は安くなり、生活し易いように思えます。
しかし、国としては経済が衰退しますので、良くないことと言えます。
そこで、日銀は、金融緩和を行ない、世の中のお金の巡りをスムーズにする政策を行なってきました。
このような金融政策は、中央銀行である日銀にしか行うことができません。
アメリカで言うと、FRBです。
中央銀行は、他の銀行とは全く違う役割を与えられています。
どのような役割があるのですか?
ここでは、大きく3つの役割をご紹介します。
- 通貨を発行すること。(お金を発行)
- 市中の銀行にお金を貸し出すこと。(金利を決定)
- その国の金利などの金融政策を決定すること。(銀行にお金を貸す)
中央銀行というのは、国のお金に関して物凄い権限を持っているということです。
なんで日銀は、そんなに凄い権限が与えられているのですか?
日銀に与えられた『物価を安定させる』という使命を果たすためです。
物価の安定ですか??
はい。日銀のホームページ にも、そう記載されています。
引用:日本銀行 – 金融政策
物価が不安定になると、社会に深刻なダメージを与えるだけでなく、その国の通貨の信用力にも支障がでます。
例えば、今まで300円で食べられた牛丼が、1年後には1,000円になってしまうということが急激なインフレです。
急激なインフレは、その国の通貨の信用力を低下させて、経済が壊れてしまいますので、絶対に防がなければなりません。
このように物価の安定は、社会経済にとって非常に重要です。
日銀は、物価を安定させるという、重大な使命を果たすために、さまざまな金融政策を打ち出しています。
なるほど。
そして現在、日銀が行なっている政策が『金融緩和』ということです。
金融緩和とは、最初にお話したように、世の中のお金の巡りをスムーズにすることです。
具体的には、個人や企業がお金を借り易くするということです。
お金が借りやすくなると、個人であれば、住宅ローンで家が買いやすくなります。
企業であれば、設備投資や新たな事業を始めやすくなります。
そうすれば、世の中のお金の巡りが良くなりますので、人々の給与は上昇します。
給与が上昇すれば、消費も拡大して、モノの値段が上がり景気も良くなります。
中央銀行は、デフレを脱却したいときに金融緩和を行なうということなんです。
今までずっとデフレでしたからね。
過度なインフレは通貨の信用低下につながります
現在アメリカでは、物価が上昇し過ぎてインフレを退治したいので、中央銀行(FRB)は金融引き締めとして政策金利を利上げしています。
適度なインフレは、資本主義経済にとって良いことです。
しかし、行き過ぎたインフレは、その国の通貨の信用力の低下につながりますので、抑えなければなりません。
現在、アメリカの政策金利は、5.25%~5.5%とかなり高目です。
そのためアメリカの住宅ローン金利は、とても高いです。
それでは、サッシーさん。
こちらのニュース記事を紹介していただけますか?
承知しました。
2023年10月4日付のブルームバーグのニュース記事によりますと…
2023年10月4日付 ブルームバーグのニュース記事
米30年物住宅ローン金利が7.5%超え、2000年以来-購入申請は低迷先週の米住宅ローン金利は2000年11月以来となる7.5%超に上昇した一方で、購入申請は数十年ぶりの低水準となった。
全米抵当貸付銀行協会(MBA)が4日発表したデータによると、9月29日終了週に30年物固定住宅ローン金利は12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、7.53%となった。
住宅購入申請の指数は5.7%低下し136.6と、1995年以来の低水準に下げた。
また借り換えを含めた全体の住宅ローン申請指数は6%下げて96年以降で最低となった。
ありがとう御座います。
■記事を要約すると…
記事を要約すると…
アメリカでは行き過ぎたインフレを退治するために大元の政策金利を利上げしたので、住宅ローン金利が、7.53%にまで上昇しました。
その結果、お金を借り難くなり、住宅購入をするユーザーの数が、1995年以来の低水準にまで下がってしまった。
ということです。
住宅ローンの金利が7.5%だと、誰も借りなくなりますよね。
そうですよね。
中央銀行は、このように金融引き締めをして、景気にブレーキをかけるというわけなんです。
日本では、90年代バブル以降、ずっと経済の低迷が続いており、日銀は、デフレを退治するために、米国とは真逆の金融緩和をしています。
金融緩和の代表例は、政策金利の利下げです。
■政策金利とは
そもそも、政策金利というのは何なんですか?
説明しますね。
日銀には、我々が普段取引する市中銀行にお金を貸し出すという重大な役割があります。
市中銀行は、日銀からお金を調達して、そこに銀行の利益になる金利を上乗せして、個人や企業にお金を貸し出します。
住宅ローンの変動金利は、政策金利の影響を受けるというのは、このような意味からなのです。
2016年から現在に至るまで、日銀は、政策金利をマイナス0.1%にまで引き下げています。
アメリカの政策金利5.25%~5.5%と比較すると、日本のマイナス0.1%というのは、非常に低いことが分かるかと思います。
日銀は、2013年の黒田総裁の就任以降は、異次元の量的緩和という金融政策を開始して、現在の植田総裁になっても、この金融政策を続けています。
具体的には、政策金利をマイナス金利に設定するだけでなく、銀行が持っている国債を日銀が買い取って、世の中に出回るお金をたくさん溢れさせることで、デフレを脱却しようということでした。
2016年9月の金融政策決定会合 では、さらに10年物国債利回りの上限金利をも日銀が抑え込んでコントロールしています。
日銀は、どうやって10年物国債の利回りを抑え込んでいるのですか?
日銀は、指定した利回りで、国債買い入れを行なう指値オペを行なって、10年物国債利回り金利を抑え込んでいます。
現在、日銀は、1%を目途に指値オペをして、この10年物国債利回りをコントロールしています。
これをイールドカーブ・コントロール(Y.C.C)と言います。
■イールドカーブ・コントロール(Y.C.C)とは
イールドカーブとは何なんですか?
『イールドカーブ』とは、債券の利回りと償還期間との相関性を示した曲線グラフのことを言います。
縦軸を「利回り」、横軸を「満期日までの期間」として、投資期間ごとの利回りを線で結んだもので日本語では「利回り曲線」と呼ばれています。
通常、国債は、満期までの期間が短いと利回りが低く、満期までの期間が長くなると、利回りが高くなります。
しかし、日銀が、10年物国債の利回りを1%で指値して、国債を買入れた場合、10年物国債の金利は、1%よりも高くなることはありません。
その結果、このイールドカーブのグラフでは、横軸の10年の部分が、日銀により抑え込まれていることから、順イールドを描けない歪な形となっています。
このイールドカーブ・コントロールによる金融緩和は、日銀が編み出した金融政策で、他国では前例がありません。
イールドカーブ・コントロールでは、長期金利を抑え込むだけでなく、指値オペをして日銀が国債を買い入れることにより、市場に大量のお金が流入して、世の中のお金の巡りが良くなることが期待できます。
その結果、現在は、デフレを脱却して、日本は、インフレに向かっています。
でも、物価が高すぎて生活し難い感じがしますよね。
ちょうど今は、デフレからインフレへの転換期ですからね。
今の物価高は、この日銀の金融緩和の賜物なのか?
それとも、世界全体が物価高になり、円安によるコストプッシュ型のインフレなのか?
日銀は、見極めている最中と言えます。
そのため、先走って、政策金利を利上げしたり、イールドカーブ・コントロールの金融緩和を急に止めてしまうと、日本は再び景気が悪くなる可能性が高いと言えます。
なるほど。
例えば、イールドカーブ・コントロールを急にやめてしまうと、住宅ローンの固定金利が今以上に急上昇してしまいます。
そのため日銀は、イールドカーブ・コントロールの上限金利を1%から1%を目途にと、非常に慎重に引き上げて、市場の様子を見ている状況です。
これだけでも市場の長期金利は上昇して住宅ローンの固定金利も上昇しました。
いきなりやめてしまっては、市場が混乱するということは日銀も重々承知なはずです。
もっと市場へのインパクトが強いのは、マイナス金利政策の見直しです。
これは、来年の春闘の賃上げ状況を見極めて、まず、マイナス金利をゼロ金利にする程度で、その後は、日本の景気がよっぽど良くならないと、利上げは出来ないと市場は予想しています。
まだ住宅ローンの金利プランを変動から固定金利に切り替えなくても良い。ということですか?
そうですね。
日銀が公表した展望レポートでは、2025年には、再び、物価は下振れすると予想しています。
そのため、もし2024年に金融緩和政策の修正があったとしても、そのまま金利が上昇し続けることは考え難いと予想できます。
従って、今すぐ全期間固定金利に切り替えるよりも、変動金利で借りたままの方が、長期的に考えると住宅ローンの支払利息の総額では得である可能性が高いと言えます。
まとめ
住宅ローンは、損得だけでなく家計の安定性など精神的な部分も大切だと思います。
もし、心配であれば、住宅ローン比較サービス『モゲチェック』 のモゲレコや、ゼロシステムズで開発した『住宅ローン金利シミュレータ』を使って試算してみてください。
なるほど。
私は、来年の春闘を目安に、金融緩和の規模は、少し見直しが入る可能性があるけど、それ以降も、金融緩和が継続されると考えています。
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田中先生。ありがとう御座いました。
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