地政学リスクと不動産市場の関係を考える
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第485-1回目 (2024年1月11日放送分 前半)となります。
今回のテーマ『不動産市場は大丈夫か?地政学リスク』
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆さま、こんにちはー。
番組MCのフジコで御座います。
田中先生!
本日も、宜しくお願いします。
早速ですが、本日はどんなお話を頂けるのでしょうか?
『不動産市場は大丈夫か?地政学リスク』というテーマで行こうかと思います。
今まで、住宅ローン金利のゆくえを説明するときには、変動金利と固定金利の決まる仕組みを説明として、
『今後、物価と賃金が上昇すれば、日銀は政策金利を利上げするから、住宅ローン金利が上昇していく可能性は高い。』
と、お話をしてきました。
2024年は違うのですか?
違うということはありません。基本的に、それで間違いはないかと思います。
そのお話に『地政学リスク』を織り込んでくると、未来予想はさらに複雑になる。
ということです。
地政学リスクとは
地政学リスクとは、国や地域間の政治的な関係や緊張がどのように変化するかによって、私たちの生活や経済に影響を与えることです。
例えば、ある国が他の国に対して圧力をかけたり、軍事的な動きを見せたりすると、それが世界の安定に影響を与えることがあります。 これにより
- ・物の値段が上がる
- ・貿易が困難になる
- ・国際的な関係が悪化する
地政学リスクが日本の不動産市場にも影響する。
ということですね。
おっしゃる通りです。
それでは、フジコさん。
今回のテーマに関連した質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:トイさん からのご質問です。
世界で起きている戦争が日本経済に与える影響は
いつもYouTubeで拝見しています。
今年も宜しくお願いします。
ひとつ質問させてください。
今年は新年から色々なことが起きて、混沌とした1年になりそうで心配です。
2024年は金融正常化の転換期と多くの人が予想していますが、今、世界で起きている戦争は日本経済には影響ないとお考えですか?
ラジオネーム:トイさん からのご質問
ラジオネーム:トイさん
ご質問ありがとう御座います。
このご質問は、まさに地政学リスクについてですよね。
2024年 国際情勢は混迷
2024年に入っても、国際情勢は混乱を極めています。
地政学、マクロ経済、気候変動など複数の危機が同時に発生しています。
そのため、これから住宅の購入を検討しているユーザーにとっては先が読めず不安だと思います。
- ・ウクライナ戦争やイスラエル戦争がいつ終結するか?
- ・米中覇権争いはどのような結末を迎えるのか?
- ・世界経済の分断がとこまで進むのか?
とはいえ、いつまでも賃貸に住んでいるわけにもいきませんし、特に、子供の成長を考えてマイホームを検討している人は多いかと思います。
このような地政学リスクは不安要素ですよね。
2024年地政学リスクと不動産市場について
このように、不確実性が高まる中でも、私たちは住宅ローンを組んで家を買う必要があります。
そこで、様々な文献を参考に、2024年地政学リスクと不動産市場について具体的に掘り下げていきます。
2024年に高まるリスク
まずは、2024年以降に起こり得る、もしくは、既に起きているリスクを挙げてみます。
他にもたくさんあるかと思いますが、2024年に高まるリスクを列挙すると、以下のようになります。
■2024年以降に起こり得る(既に起きている)リスク
- 米中覇権争い
- ロシアとウクライナの戦争
- イスラエルとハマスの戦争
- 米国大統領選挙
- サイバー攻撃
- 米国の分断
- 台湾有事
現代の世界秩序は、長い間、西洋主導で形成されてきましたが、経済のグローバル化とアジア諸国、特に中国の台頭により、今後はアジア主導の経済が予想されています。
この動向は、米中覇権争いにも関連し、世界の経済と政治の勢力図を変えつつあります。
一方で、アメリカの『世界の警察』としての役割の後退は、地域的な紛争や安全保障の問題における国際的な対応に影響を与えています。
ロシアとウクライナ、イスラエルとハマスの戦争は、地域的な力のバランスや、国際社会の関与の仕方によって、より複雑な状況を引き起こしています。
これらの事象は、国際的な影響力の変化と地域的な紛争の管理における新しい課題となり得る地政学リスクと言えます。
全てが関係しているということですね。
おっしゃる通りです。
- 米中覇権争い
- ロシアとウクライナの戦争
- イスラエルとハマスの戦争
ロシアとウクライナの戦争なんて、もう3年経ちましたからね。
■日本経済に悪影響を及ぼす可能性
ロシア と ウクライナ / イスラエル と ハマス
この戦争が長引いた場合、日本へのリスクや影響は…
- ・主にエネルギー供給の不安定化
- ・世界的な経済の不確実性の増大
- ・地政学的な緊張の高まり
日本はエネルギー資源の多くを輸入に頼っています。
特に原油や天然ガスの価格が上昇すると、日本経済に悪影響を及ぼす可能性が非常に高いです。
住宅市場や金利への影響はどうなるのでしょうか?
■建築原価は上昇する可能性
複雑な要因が絡み合うので難しいところですが…
エネルギー価格が高くなることにより、建築原価は上昇する可能性があります。
そうなると物価は高くなるから、日銀は利上げしやすくなりますよね?
確かに、物価が高くなるということは、政策金利を利上げしやすい環境が整うという見方もあります。
しかし、戦争が原因でエネルギー価格が上昇するというのは、景気が良くなってインフレになっているのではなく、いわゆる『コストプッシュ型のインフレ』です。
そもそも、金融政策を利上げするというのは、過熱した経済を冷ますことが目的ですので、単純にインフレだからといって利上げは出来ません。
インフレとともに賃金が上昇して国内の景気が良くならなければ利上げはできないのです。
インフレ以上に賃金が上昇しなければ、実質賃金は下がることになりますので、景気は良くなりません。
ただし、今の状況が続き、インフレに引っ張られて賃金が上昇し続けることになれば、日本は今年か来年にはインフレを脱却して、金融正常化を迎えられると思います。
2024年の春闘では賃金上昇はあるのでしょうか?
その可能性は高いと思っています。
地政学リスクとは
大和総研による2024年の日本経済の見通しでは、今年の春闘の賃上げ率は、3.8%と予想しています。
これを踏まえると、2024年の春闘での賃上げ率は、前年を上回る可能性が高いと言えます。
そのため、日銀は、2024年4月の金融政策決定会合で金融政策を転換して、政府も2024年後半にはデフレ脱却宣言をする可能性があります。
2024年の日本経済は順調に回復していくということですね。
順調にいけば、金融政策の正常化に向けて、4月にはマイナス金利を解除して、ゼロ金利に利上げすることが予想できます。
順調に景気が回復して、下半期に政府がデフレ脱却宣言をすれば、日銀は、来年にはプラス0.1%程度への利上げを行なう可能性があります。
2024年 地政学リスク上の懸念材料
「順調に」と言われていましたが、何か懸念材料があるのですか?
はい。 地政学リスクの引き金となり得る、2024年最大のビックイベントが、11月に予定されているアメリカ大統領選です。
なぜ、アメリカ大統領選が地政学リスクの引き金となるのですか?
まず
『11月の大統領選に合わせて、ロシアや中国がサイバー攻撃を仕掛けてくる可能性がある。』
と言われています。
https://forbesjapan.com/articles/detail/379402016年の大統領選から、次々とサイバー攻撃がアメリカの選挙システムを襲っていたことが判明したからだ。
米上院情報委員会は2019年に、全米50のすべての州がロシアからのサイバー工作を受けていると発表。
ロシアの政府系ハッカーらが「前例のない規模」で2020年の選挙に向けて選挙システムに狙いを定めていた可能性も指摘された。例えば、イリノイ州では、ロシアの政府系ハッカーが、トルコのコンピューターを踏み台にしながら選挙システムに侵入していたことが判明している。
またアリゾナも同じような攻撃を受けている。
加えて、有権者情報を得ているイランの政府系ハッカーらが、有権者のデータを入手して偽メールを送りつけていたことも判明している。
Forbesの記事でもありますが、過去にも大統領選のときに大規模なサイバー攻撃があったことが判明しています。
外国政府系ハッカー集団が、ネットワークに進入してサイバー攻撃をしていました。
今は、何でもネットに繋がっていますからね。
さらに、3年も4年も前と今とでは、お互いのテクノロジーも数段上がっているでしょうから、何が起こるか未知数です。
中国を背景とするサイバー攻撃グループBlackTechによるサイバー攻撃について警察庁及び内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、米国家安全保障局(NSA)、米連邦捜査局(FBI)及び米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラ庁(CISA)とともに、中国を背景とするサイバー攻撃グループ「BlackTech」(ブラックテック)によるサイバー攻撃に関する合同の注意喚起を発出しました。
日本においても、近年の海外からのサイバー攻撃は背後に中国政府が支援していると、警視庁とFBIが同時に発表しました。
万一、中国が大統領選に合わせてサイバー攻撃を仕掛けてきたら、大きな混乱をもたらすことが予想できます。
サイバー攻撃を防げたとしても、次のリスクが予想されています。
次のリスク?
はい。米国分断のリスクです。
この選挙で、バイデン、トランプ、どちらが大統領になっても、選挙結果に対する不満や不信感が一部の市民の間で強くなります。
それがデモや暴力行為につながりアメリカ国内は混乱する可能性があります。
また、政治的な対立が深まることで、社会の統合や政策の実施が困難になる可能性もあります。
これが米国分断のリスクと言えます。
その混乱を利用して、中国が台湾に対する軍事行動を起こして、台湾海峡での優位性を確立しようとする可能性があります。
これが台湾有事の地政学リスクです。
台湾有事、つまり台湾での軍事衝突が起きた場合、日本経済に及ぼす影響は深刻です。
台湾は、日本にとって重要な貿易パートナーであり、特に半導体産業での役割が大きいため、その供給網の中断は、日本の製造業に直接影響を及ぼします。
また、台湾海峡は、重要な海運ルートですので、ここでの海上封鎖や軍事行動は、日本へのエネルギー資源や、他の輸入品の流通に影響を与える可能性があります。
これは日本経済にとって、非常に大きな地政学リスクとなります。
なるほど…。
国内のキー局では、ほとんど報道されていませんが、今月3日にも中国海軍のフリゲート艦とミサイル駆逐艦の2隻が奄美大島近くを通過しています。
中国海軍は、近年、軍事力を顕著に増強していますので、日本にとっては、とても脅威と言えます。
台湾有事は最悪事態を想定せよ アメリカ対中強硬派の訴え「台湾有事はウクライナや中東で起きている衝突とは比べものにならないものになる。最悪のシナリオに基づき計画を立てるべきだ」
こう話し、中国への警戒感を隠さないのは、共和党の対中強硬派の1人で、下院・中国特別委員会の委員長を務めるマイク・ギャラガー議員です。
2023年11月13日付のNHK国際ニュースナビの中でも、共和党のマイク・ギャラガー議員が、「2024年1月の台湾総統選挙のあとに、有事の可能性が、さらに増す。」と発言しています。
そのため、今後、数年以内に台湾有事が発生すると織り込んで地政学リスクを考える必要があります。
なるほど!
まとめ
2024年11月に予定しているアメリカ大統領選をきっかけに、中国、ロシア、パレスチナ、イランなどが何らかの行動を起こす地政学リスクがあります。
そのため、世界の軍事と経済のバランスに変化が起こる可能性があります。
- ・現在、中国経済は減速しており、国防と海洋利権を確保するために海洋進出を目指しています。
- ・ロシアはウクライナとの戦争で経済的に枯渇しています。
- ・北朝鮮に関しては、餓死者が出るほど、経済が酷く、態勢を維持するために、なり振り構わない状態です。
日本列島は、このロシア、中国、北朝鮮と隣接しており、実は、地政学上最も危険な場所であると言えます。
- ・中国が台湾に軍事侵攻する時期はいつか?
- ・もし有事になったら日本経済への影響は?
■金利上昇と地政学リスク
だけど、難しいですよね…。
確かに難しいですね。
地政学リスクだけでなく、地球温暖化による世界的な環境問題、日本においては少子高齢化による人口減少など、課題は山積です。
そのため、住宅の購入を検討している人は、これらに関連した情報を常にチェックすることも大切です。
それでは、お待たせしました。
今回も、五・七・五の標語にまとめてみました。
今回は、どんなまとめになるのでしょう?
それでは…
地政学
お花畑は
ありえない
国際関係における地政学リスクは、理想だけでは厳しいものがあるという意味で『地政学』と『お花畑』を対比させて表してみました。
なるほど面白いですね。
田中先生ありがとうございました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
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