【不動産市場】「家が買えない」と嘆く30代増加。なぜ価格高騰?いつまで続く?利上げと円高は都心マンションに値下げ圧力!今後の展望を深掘り解説!
【不動産市場】「家が買えない」と嘆く30代増加。なぜ価格高騰?いつまで続く?利上げと円高は都心マンションに値下げ圧力!今後の展望を深掘り解説!
※記事は原稿を元に校正/編集しております。そのため、言い回しなど動画と異なる部分がございます。
今回のテーマ『家が買えない…価格高騰!いつまで続く?』
今、「家が買えない!」と嘆く30代が増えています。
今年に入り、23区内の新築マンションの平均価格は 1億円を突破しました。
都心では、45億円、200億円の、世間ズレした超高級マンションも販売されています。
不動産の価格高騰はいつまで続くのか?
今回も気になる不動産の話題を深掘り解説します。
今回は
『家が買えない…価格高騰!いつまで続く?』
と言うテーマで、お話をしていきます。
今日も興味深い内容ですね。
よろしくお願いします。
マンション平均1億越えは数字のマジック
まずは、
『23区内の新築マンションの平均価格1億1483万円は数字のマジックだった』
というお話からです。
23区の新築マンションの平均価格が1億円の大台を超えた
画像引用:不動産経済研究所 – 首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の平均値と中央値の推移(PDF)
今年の1月に『東京23区の新築マンションの平均価格が初の1億円の大台を超えた!』と、さまざまなメディアが報道しました。
具体的には、23区内の平均価格は、昨年比で39.4%も上昇して 1億1,483万円になりました。
これは、1991年バブル経済末期に付けた最高値の 8,667万円を大幅に上回り、過去最高値を更新しました。
平均で1億円オーバーって凄いですよね。
そうですよね。
昔から1億円を超えるマンションのことを『億ション』と特別感がある呼び方をしていましたが、今は珍しくなくなったため、逆に『億ション』と呼ぶ事が古臭く感じてきました。
確かに『億ション』って、少し古いワードかもしれないですね
私は、この呼び方に違和感を覚えてますが、ここでは分かりやすいように、あえて『億ション』で統一します。
承知しました。
マンション平均価格は10年前と比較して大きく上昇
実際に、マンションの平均価格は10年前と比較して、かなり値上りしています。
23区内は、億ションだらけなんですね。
そうですよね。
平均1億円オーバーと聞くと、億ションだらけのイメージになりますよね。
そうじゃないんですか?
そうでもないんですよ。
以下をご覧ください。
23区の新築マンション、「億ションだらけ」ではなかった東京23区の新築マンションは2023年、平均価格で1億円を超えた。これほど高価な買い物ができる人は本当に増えたのか。実はマンション価格の「中央値」は8000万円台だ。不動産市場の実態を探った。 不動産経済研究所(東京・新宿)によると23年の東京都23区の新築マンション平均値は1億1483万円。一方で、価格を順番に並べ、ちょうど真ん中となる数字、中央値は8200万円だった。
日本経済新聞の記事よると、
平均値は1億1,483万円でしたが、中央値は 8,200万円となっており、高額物件が平均値を押し上げているだけで、23区全体が億ションだらけなのではない。
との事です。
平均値ではなく中央値を見る
以下の表をご覧ください。
赤が平均値、黄色が中央値、緑は、その差額です。
画像引用:不動産経済研究所 – 首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の平均値と中央値の推移(PDF)
2013年の平均値は 5,853万、中央値は 5,180万、その差は 673万円でした。
平均値と中央値がかけ離れていないという事は、高すぎる物件や低すぎる物件が少ないということです。
なるほど。
ですが、2020年からは差が広がりはじめ、2023年には 3,283万円もの差となりました。
これは、2023年になり、1部屋数十億円もする超高級マンションが販売された事が影響しています。
そのため、より実態に近い状況を把握するには、平均値でなく中央値を見ていく必要があります。
平均値は 1億1,483万円ですが、中央値だと 8,200万円ということです。
中央値の 8,200万円の方が、実態に近いということですね。
そういうことですね。
そこを踏まえて、日本経済新聞では『23区の新築マンションは、億ションだらけではなかった』と報道しました。
データの平均値ではなく、中央値を見る。
中央値を参考にした方が、実態に近い値を知ることができる。
45億円の超高級マンションとは
『1部屋数十億円もする超高級マンション』って、どんな物件なんですか?
はい。
では、続いて『超高級マンション』について解説します。
非常に気になります!
そうですよね。
それでは、以下をご覧ください。
超高級マンション『三田ガーデンヒルズ』
画像引用:ダイヤモンド不動産研究所 – 「三田ガーデンヒルズ」は坪単価1300万円!? 価格表を公開! モデルルーム予約も満席続きの異次元高級マンションが誕生
こちらは、三田ガーデンヒルズです。
23区内の新築マンションの平均価格を押し上げている超高級マンションです。
非常に重厚感がある外観ですね。
中は、どうなっているんですか?
気になりますよね。
共用スペースは以下のような感じです。
画像引用:ダイヤモンド不動産研究所 – 「三田ガーデンヒルズ」は坪単価1300万円!? 価格表を公開! モデルルーム予約も満席続きの異次元高級マンションが誕生
中も高級感が半端ないですね。
共用部分は、まるで美術館のようですね。
そして、緑豊かな住環境です!これは希少です。港区でこの環境は、非常に資産性が高いです!
画像引用:ダイヤモンド不動産研究所 – 「三田ガーデンヒルズ」は坪単価1300万円!? 価格表を公開! モデルルーム予約も満席続きの異次元高級マンションが誕生
将来を考えて、頑張ってでも買った方が良いですね。
だけど、お値段が気になります。
そうですよね。
気になるお値段は…
一番良いお部屋は…45億円です!
45億円なら、35年ローンにして返済を頑張れば…買えるか~っ!
そうですね・・・。
45億円を35年フルローンで組むと、月々の返済額は 1,143万円です!
住宅ローン金利シミュレーターで試算
毎月1,143万円って、ちょっと意味わからないローンですね・・・。
本当ですね。
そんなローンは組めないですが、三田ガーデンヒルズには、もっとお安い価格帯のお部屋も存在しています。
それを先に言ってくださいよ。
おいくらなんですか?
こちらが価格表です。
画像引用:ダイヤモンド不動産研究所 – パークマンション販売予定価格表
この中ですと、5億5,540万円台のお部屋が比較的リーズナブルだと思います。
5億5,400万円!?
そうなんです。
5,540万円でなく、5億5,400万円。
上の階に行くと 9億9,000万円台のお部屋もあります。
この価格帯で買える人が居るのか?
やっぱり高いんですね。こんなの買える人いるんですか?
そう思いますよね。
■三田ガーデンヒルズは完売しています
だけど、一般販売分の939戸は既に完売しているんです。
えーっ!?
こんな高額な物件が完売とは、とても驚きです。
更に高額なマンション『麻布台ヒルズ』
画像引用:麻布台ヒルズ
だけど、45億円で驚いてはいけません。
更に桁違いに高いマンションが販売されました。
それが、最上階で 200億円とも言われる、麻布台ヒルズです。
■最上階は200億円と言われています
200億って、1億円のマンション200戸分じゃないですか!?
そうなんです。
このように世間ズレした超高級マンションが販売されるたびに、23区内の平均価格が高くなります。
とは言っても、都心のマンション価格が全体的に値上りしているのは事実ですけどね。
ですよね。
都内全体のマンション価格が値上がりしてはいるが、平均値を押し上げている一番の要因は、一部の超高級マンションの存在。
需要が落ち込めば価格は下がるか?
続いては、『需要が落ち込めば価格は下がるか?』についてです。
都内のマンション価格が高騰している理由
画像引用:不動産経済研究所 – 首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の平均値と中央値の推移(PDF)
なぜ、都内のマンションの値段が高騰しているんですか?
その要因の一つは、供給量の減少です。
中島さん『メジャーセブン』と言う言葉は聞いた事ありますか?
ギターのコードじゃないですよね?
マンション分譲会社の大手7社『メジャーセブン』
ちょっと違います。
メジャーセブンとは、財閥系など、大手7社のマンション分譲会社の事を言います。
そんな呼び名が有るのですね。
そうなんです。
それでは、以下をご覧ください。
メジャーセブンが供給するマンションの戸数とシェアの推移です。
■メジャーセブン供給 マンション戸数とシェアの推移
画像引用: ウチコミ!タイムズ – 新築マンション価格1億円を突破――その影に日銀とメジャーセブンがあり?
青色が首都圏全体、オレンジ色が、メジャーセブンの供給数です。
2004年の段階では、28%の割合でしたが、2008年以降、メジャーセブンのシェアが急上昇して、2012年以降は、常に40%以上をキープしています。
理由は、2008年のリーマンショックです。
この時に、資金繰りが悪化した中堅のマンション専業デベロッパーは破綻してしまいました。
その結果、近年(2019年のデータではありますが)分譲されている新築マンションの半分近くは、三井や住友などメジャーセブンの物件となり、大手がシェアを拡大して、都心3区では独占状態と言えます。
一方、23区内の販売戸数は
2013年:28,340戸
2023年:11,909戸
と、半分以下に減少しています。
不動産の価格は、需要と供給のバランスで決まる
不動産の価格は、需要と供給のバランスで決まります。
市場に物件数が増えれば、価格は安くなります。
逆に、物件数が少なくなれば、価格は高くなります。
需要が落ち込めば、価格は下がるんですよね?
基本的には、そうです。
ですが、23区・・・特に都心3区のマンションは、需要が下がっても値下がりし難い状況です。
その理由は、メジャーセブンにあります。
メジャーセブンの大半は、財閥系をはじめとする耐力のある総合デベロッパーばかりです。
総合デベロッパーは、主力の賃貸事業が好調です。
もし、分譲マンションの需要が落ち込んでも、分譲マンションの供給数を減らして需給バランスを保つことができます。
在庫を値下げしてまで売り急ぐ必要は無いのです。
そのため、リーマンショックの時に資金繰りが悪化して破綻した、中堅のマンション専業のデベロッパーのような事態には陥り難いと言えます。
なるほど。
だから大手は強気なんですね。
そうですね。
ですが、それ以外にも価格が下がらない要因はあります。
ぜひ教えてください。
マンション高騰の本当の理由
それでは、『マンション高騰の本当の理由』についてです。
まずは、以下をご覧ください。
消費者物価指数が上昇/h3>
総務省統計局の資料によると、
直近のCPI(消費者物価指数)は、前年同月比で2.8%上昇しています。
これは、昨年、1万円で買えたものが、今年に入って、10,280円に値上りしているということです。
これを1億円の物件だとして考えてみてください。
1億円×1.028(2.8%)=280万円
2.8%上昇だと、1年で280万円も値上がりしているということです。
建築原価も同様です。
建築原価も上昇/h3>
以下の資料は、2024年8月におけるマンションの建築費指数です。
以下の資料は、2024年8月におけるマンションの建築費指数です。
画像引用:一般財団法人建築物価調査会 – 建設物価建築費指数(PDF)
東京の2015年の指数を100とすると、直近は 132.3とみます。
東京のマンションの建築原価は、2015年を基準とすると、今は、当時の1.32倍となったという事です。
マンションの建築費も、かなり高くなっているのですね。
そうなんです。
建築原価の高騰は、販売価格に直結します。
建築費が値上りしている理由
それにしても、なぜそんなに建築費が値上りしているんですか?
■人手不足
それは、少子高齢化による建築現場の人手不足が要因です。
これも需給バランスですので、人手不足になると人件費が高騰します。
また、2024年4月からはじまった働き方改革により、建築現場も完全週休2日制になりました。
そのため建築工期が延び、建築原価の高騰に繋がります。
■為替相場
そして、建築原価に最も大きく影響するのが為替相場です。
今年に入り急激な円安が続きました。
最近、少しずつ円高に振れてきましたが、まだ、ボラティリティが高い状態です。
殆どの資源を輸入に頼っている日本では、円安になると建築原価が高くなります。
■インバウンド需要
そして、インバウンド需要です。
外国人富裕層が、日本でマンションを購入しています。
特に、中国人などのアジア人は、湾岸の眺めがいいマンションを好んで購入します。
中には、日本に旅行に来たついでに、マンションを買って帰るような外国人もいるようです。
働き方改革のせいで、建築費が高騰してしまっているのは、ちょっと驚きです。
そうですね。
政府は賃金を上げようとしていますので、これは思惑通りなのかもしれないですね。
それにしても、外国人観光客が勢いでマンションを買って帰るって、ちょっと信じられません。
今後、価格が下がる可能性
もう、都心のマンションが値下りする事は、あり得ないんでしょうか?
それは、誰もが思うところですよね。
それでは、『今後、価格が下がる可能性』について考えていきます。
マンション価格は金利と為替相場の影響を受ける
都心のマンション価格は、金利と為替相場に大きく影響を受けます。
まず、金利の影響です。
日本銀行が金融緩和を続ける中、超低金利政策が続いてきました。
低金利な環境では、住宅ローンの負担が軽減され、多くの人が高額物件でも購入しやすい状況が作り出されていました。
しかし、今後日本では利上げが予想されています。
金利が上昇すると、次のような影響があります。
金利が上昇した場合の影響
- ・住宅ローンの返済負担額が増加
- ・不動産投資の減退
- ・企業の資金調達コストの増加
■住宅ローンの返済負担額が増加
まず、金利が上昇すれば、住宅ローン返済額が増加し、買手の需要が減少する可能性があります。
特に、ローンを組んで購入する層にとっては、購入のハードルが上がります。
そうすると、億ションのような高額マンションに下落圧力がかかることが考えられます。
特に、世帯年収1500万円のパワーカップルが住宅ローンを組むようなときは、金利が上昇すると借入可能額が少なくなりますので、影響がでると思われます。
■不動産投資の減退
金利が上昇すると、資金調達コストの負担が増えます。
レバレッジを効かせて不動産投資していた人は収益物件の購入が難しくなります。
また、金利が上昇すると、不動産投資以外の金融商品の利回りが高くなります。
キャッシュで収益物件を購入するような投資家が離れていく可能性があります。
■企業の資金調達コストの増加
企業の資金調達コストも増加します。
これにより、企業の設備投資や運転資金などの資金調達が抑制され、国内の経済活動が低迷する可能性があります。
経済成長の停滞は個人消費にも影響を与え、不動産市場全体の需要が減少する恐れがあります。
田中先生は「金利が上昇することは、景気にブレーキをかけることとだ」と言っていましたが、こういう事だったんですね。
そういうことです。
為替相場が不動産価格に与える影響
そして、不動産価格に大きく影響するのか為替相場です。
円高とか円安というやつですね。
その通りです。
都心部のマンションは、国内の需要に加えて、外国人投資家の関心も非常に高いです。
為替相場は、彼らの購入意欲に大きく影響を与える重要な要因です。
今後、為替が円安から円高に振れると、外国人投資家にとって日本の不動産は割高になり、購入意欲が低下します。
外国人投資家の減少は、高級マンション市場において価格下落を引き起こす可能性があります。
また、円高に振れると輸入品の価格が下がるため、建築コストが低下する可能性があります。
これにより、都心の新築マンションの販売価格は、値下がりする事が予想できます。
なるほど。
金利上昇と円高になれば、不動産市場は値下がりする可能性があるということですね。
そういうことです。
金利上昇と為替相場は、都心の高級マンションの価格に影響を与える重要な要因といえます。
今年に入って円安が進み、物価が上昇するのを受け、日銀はマイナス金利を解除しました。
そして為替が円高に振れはじめ、日銀はもう一段階利上げを行いました。
また、今回は触れませんが、日本は少子高齢化による人口減少問題も解決しておりません。
まとめ
ここ10年以上、都心のマンション価格は、右肩上がりです。
これは日銀の超低金利政策により、作り出された市場である可能性が高いです。
90年代バブルの時は土地神話と呼ばれ、誰もが土地は絶対に値下りしないと考えていました。
しかし今は、都心の好立地なマンションは値下がりしないと、誰もが言っています。
今後、金利上昇と円高が進む事を考えると、都心の高級マンションの値上りは今がピークかもしれません。
投資や転売など、短期的に値上りする事を目的としてマンション買っている人は、今後は予定通りにはならないかもしれません。
ピークでババを掴む人も出てきそうですね。
投機目的で晴海フラッグを買った人は、そうなるかもしれませんね。
これらを踏まえると、今、都心の億ションをペアローンで買おうとしているパワーカップルは、慎重な判断をした方が良いかと思います。
なるほど!
勉強になりました。
田中先生ありがとうございました。
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