建売住宅か注文住宅か?
~それぞれメリット/デメリットを解説~
赤外線建物診断技能師の野方実で御座います。
今回はマイホーム購入時に悩む方も多い、建売住宅と注文住宅について、それぞれのメリットとデメリットを解説させて頂きます。
それぞれのメリット/デメリットを一覧にしました
建売住宅のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・注文住宅よりも大幅なコストダウンが可能 | ・間取りや仕様の変更が出来ない |
・価格や立地、間取りなども明確で検討がしやすい | ・施工状況を確認することができない |
・お引き渡しまでの時間が短い | ・完成物件の場合には多くの人が建物に出入りしている |
・街の景観が保てる | ・同じ外観の家が立ち並ぶ |
注文住宅のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・建物の大きさや庭の広さなどを自由に決められる | ・時間がかかる |
・フルオーダーの場合には自由に間取りを決めることができる | ・予算がかかる |
・建物の仕様を予算に応じて変更出来る | ・売却時に売りづらくなる可能性がある |
・手抜き工事のリスクが少なくなる | ・事前に同じ間取りや仕様の実物を確認することができない |
建売住宅のメリット
注文住宅よりも大幅なコストダウンが可能
建売業者は建物を規格化することにより同じ資材を大量仕入れ、大量販売が可能となりコストダウンすることができます。
また打ち合わせを行うなどの経費を削減することもできるので注文住宅よりも安くすることができます。
【2020年 フラット35利用者調査 所要資金 全国版】 注文住宅 4397万(土地、建物の合計) / 建売住宅 3495万
出典:独立行政法人 住宅金融支援機構(pdf)
価格や立地、間取りなども明確で検討がしやすい
注文住宅と違い、別途オプションとなるものが最初から分かるので資金計画が立てやすくなります。
住宅ローンが一本化出来るため分かりやすく、また土地と建物を別々で購入するよりも、登記費用や税金が安くなります。
規格住宅も多いので、同じ仕様や間取りの実物を確認することができます。
注文住宅と違い建物の打ち合わせがないので、打ち合わせミスによるトラブルが起こりにくくなります。
建売住宅のオプションについての記事はこちら↓
建売住宅のオプション工事
お引き渡しまでの時間が短い
完成物件であれば、ご契約後約1ヶ月で新居への引っ越しが可能なので、すぐに新生活をスタートさせることが可能です。
街の景観が保てる
同じ施工業者の複数棟現場の場合には、区画に建物の統一感が生まれ景観を保つことができます。
建売住宅のデメリット
間取りや仕様の変更が出来ない
確認申請が下りた後では、基本的に間取りの変更は不可となります。
打ち合わせミスによるトラブル防止や人件費削減もあり、着工後の設備機器のグレードアップや色変更などは難しくなります。
予算の関係で設備機器や建材などは一般グレードを採用してることが多いので、注文住宅に採用されていることが多い高級グレードに比べて見劣りすることがあります。
施工状況を確認することができない
工事中の物件では事故などのトラブル防止のために原則、お客様のみでは建物内に入ることはできないので、完成後では見えない部分のチェックをすることが難しくなります。
また、コストダウンの要素の一つである工期短縮によって、施工精度にバラツキが発生したり、一人の現場監督が複数棟を受け持っている事が多い為に管理の目が行き届かなくなり、施工不良を見逃す可能性があります。
↓施工不良を見落とさないためのチェックポイントを知る↓
建売住宅を内覧する時のセルフチェックポイント
完成物件の場合には多くの人が建物に出入りしている
第三者が出入りしていることもあり防犯面で心配が残ります。
同じ外観の家が立ち並ぶ
同じ施工業者の複数棟現場の場合、似たような外観の家が立ち並ぶことによって自分達の個性が出せないというデメリットもあります。
こんな方は 建売住宅 が向いています
- 住宅購入に時間や手間を掛けたくない方。
- 工法やスペックなどに強い拘りのない方。
- リーズナブルにマイホームを購入したい方。
- 決められた間取りに合わせられる方。
無理のなく安心の住宅選びができます
注文住宅のメリット
建物の大きさや庭の広さなどを自由に決められる。
土地から探す場合には、場所だけでなく、土地の広さなども考慮できます。
そのため、法律の範囲内で建物の大きさや庭の広さなどを、自由に決めることが出来ます。
フルオーダーなら自由に間取りを決めることができます。
フルオーダーなら、設計士と打ち合わせを重ねながら、リビングの大きさや部屋数を決める事ができます。
完成済みの建売住宅と違い、自分達の理想とする間取りを実現することが出来ます。
また、将来、親の面倒をみる予定があったり、子供が育った後の生活を想定した、可変性のある間取りを実現することも可能です。
将来を見据えての設計も可能です
建物の仕様を予算に応じて変更出来る。
工法やスペックをはじめ外壁やサッシ、水廻りや内装建材などのグレードやカラーを自由に選択できます。
自分好みの、オンリーワンの建物を造ることが可能です。
手抜き工事のリスクが少なくなる
工事途中の段階でも、現場の進捗具合や施工状況を自分自身で随時確認することができます。
そのため、建売住宅の現場よりも業者さん達が緊張感を持って作業するようになり、手抜き工事のリスクが少なくなる可能性があります。
注文住宅のデメリット
時間がかかる
土地から探す場合には希望の予算や立地の物件がなかなか出てこないことも多く、探すのに時間を要す場合があります。
注文住宅の場合には、土地探しから建物のお引き渡しまで1年以上なんてことも珍しくはありません。
また建物のプランや仕様の打ち合わせを数多く行うので労力がかかります。
予算がかかる
土地から購入の場合、敷地内に上下水道の引き込みが無い場合には別途工事費が必要となります。
地盤調査を行った結果、地盤改良工事が必要な場合には別途工事費が必要になります。
建物本体工事には外構工事は含まれていないので、駐車スペースのコンクリートやポストやフェンスなどが別途費用となります。
土地から購入の場合には、土地 / 建物 それぞれの決済となるので、住宅ローンのつなぎ融資や登記費用などの諸費用が上がります。
何でも自由に選択できるという利点はありますが、理想を追い求める過ぎると予算オーバーになる可能性も大きくなります。
大手ハウスメーカーでは、立派なモデルルームやテレビCM、豪華なパンフレットを作成するなど、集客活動に莫大な予算を投じていることが多いので、必然的に建物価格が高くなる傾向にあります。
売却時に売りづらくなる可能性がある
建物面積が大きすぎたり、特殊な間取り、個性的なカラーコーディネイトの場合には売却時に売りづらくなる可能性があります。
事前に同じ間取りや仕様の実物を確認することができない
フルオーダーの場合、同じ間取りや仕様の実物を確認することができません。
また細部に渡って打ち合わせが必要となりますが、打ち合わせミスによるトラブルが起こりやすいというリスクもあります。
こんな方は 注文住宅 が向いています
- 建築業者の工法やスペック、使用される設備機器や素材など細部まで拘りたい方。
- 予算や時間に余裕がある方。
- 設計から竣工までのプロセスを楽しみたい方。
- ガレージなどの趣味部屋等、建売住宅では出来ないプランを望む方。
まとめ:メリットデメリットを理解して選ぶ
注文住宅と建売住宅では、同じ住宅であっても予算や仕様、購入に費やす時間が大きく異なってきます。
ご自身たちは、どちらのタイプなのかを考慮した上で、マイホーム選びをされると宜しいかと思います。
余談となりますが、過去に「注文住宅で建てた場合と、建売住宅の場合では維持メンテナンス費用は異なりますか?」と、ご質問を受けたことがありますが、私の経験ではそう大きくは変わりません。
どちらの場合でも、目安として住宅ローンとは別に月に1万円程度の予算を組み、修繕費として計画的に積み立てていくことをお勧めします。
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