【不動産市場】不動産価格高騰はどうなる?人口増減マップで見極める将来の資産価値
値下がりエリアと値上りエリア / 居住誘導区域とハザードマップ
【不動産市場】不動産価格高騰はどうなる?人口増減マップで見極める将来の資産価値
値下がりエリアと値上りエリア 居住誘導区域とハザードマップ
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第440-2回目 (2023年1月5日放送分 後半)となります。
今回の話題
【不動産市場】不動産価格高騰はどうなる?人口増減マップで見極める将来の資産価値
値下がりエリアと値上りエリア / 居住誘導区域とハザードマップ
後半のテーマ『不動産の将来の資産価値について』
FM鴻巣フラワーラジオ『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
田中先生、後半も宜しくお願い致します。
早速ですが、後半は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
後半は、
『将来、不動産の価値が上がるエリア、現状維持のエリア、価値が下がるエリアの関係性』
を、国交省の人口増減マップと居住誘導区域を用いてお話しようかと思います。
将来の不動産価値については、これから家を買おうとしている人は皆さんには、たいへん興味のある内容だと思いますよ。
田中先生、ぜひお願いします。
承知しました!
不動産の価値は、需要と供給で上下する
2023年になって、今年は、家を買おうかな・・・と考えている人も少なくないと思います。
どうせ家を買うなら、値下がりしない立地を選びたいですよね。
不動産の価値というのは、需要と供給の問題ですので、人気がある物件は値上りして、人気がない物件は値下がりするということです。
タダでも買い手がつかない物件の増加
今後、人口が減少し続けると、タダでも貰い手がつかない物件が増えてきます。
例えば、リゾートマンションや別荘地などが良い例です。
格安になってしまったリゾートマンション
バブル期に出来た新潟県のリゾートマンションなどは、現在、レインズで調べたところ、平成2年築、19階建ての14階部分の1LDKが5万円で売りに出ています。
家賃でなく売買価格が5万円です。
場合によっては、さらに値引き交渉できるかもしれません。
5万円から値引き交渉って、それこそタダみたいな物件じゃないですか?
そうですね。
ただ、管理費などが毎月5万円近くかかりますけどね・・・。
所有していれば維持費がかかる
そうなると、タダでもらっても、毎月5万円かかるということですね?
そうなんです。
さらに、毎年固定資産税もかかりますので、所有しているだけで、かなりの負担になる物件が多いんですよ。
う~ん。
それなら、タダでも要らないです。
今の例は、バブル時のリゾート物件という極端な例でしたが、このように所有しているだけで固定費が負担になり、借りてもいないし、買い手もいない物件が、今後、増える見込みにあります。
まさに空家問題です。
日本の各地で空家問題が深刻化
維持費が負担になる『負動産』
首都圏の中古マンションでも、今後、空家問題が深刻になります。
具体的には、
- ・昭和56年6月よりも前に建築確認を取得した旧耐震のマンション
- ・さらにエレベーターがない団地タイプの分譲マンション
『建て替えをすれば良い。』と考える人も多いですが、そのような物件に住んでいる人は、高齢者が多く、費用や引越しの面で、建て替えの賛同を得られないケースが多いのが現状です。
確かに、マンションの建て替えは実例が少ないらしいですね。
そうなんです。
それと、郊外で小さい面積で分譲された中古一戸建ても、今後、空家が増えてきます。
市街化調整区域の郊外の住宅地でも、正規に開発許可を得れば、建て替えは出来ますので売買は可能です。
しかし、バブル前後に分譲された、このような郊外の物件は、1区画あたりの面積が非常に小さく、現代のニーズに合わないため、とても売れ難いのです。
住む人が居なくなり草木が生い茂って荒れ果てた空家が既に増えています。
そのような空家が多い住宅団地は、売りたくても買い手が付かない、貸したくても借り手がつかなく、草木の伐採や固定資産税など維持するための負担が所有者に大きくのしかかることになります。
まさに、冒頭でご紹介したリゾート物件と同じ運命になるということです。
そうなると、そのエリアは、ますます人口が減少するということですね。
その通りです。
2050年の総人口の増減状況
国交省の人口増減マップが参考になります
日本全体で考えると、今後、人口は減少していきます。
ただ、国土全体で平均して人口が減少するというのではなく、人口が増えるエリア、減るエリア、現状維持のエリアがあるということです。
国土交通省の資料(PDF) に、2010年と比較した『2050年の総人口の増減状況』を表したマップがあります。
2050年の総人口の増減状況
2050年には、日本の人口は、1億人を切り、97,076,000人となります。
この地図は、1キロ平方メートルごとで約18万地点に対する居住メッシュの割合を示しています。
要するに赤い部分は、2050年に人口が増加しているエリアです。
赤い部分(人口が増加しているエリア)は全体の2%しかありません。
今後そこに家を買おうとするのは、かなり難しくなります。
とは言え、濃い青とグレーのエリアは避けて選ぶ必要があると、私は考えます。
これは興味深いマップですね。
そうですね。
さらに、この国交省のサイト(PDF) では、全国の都道府県ごとを拡大して見ることができます。
2050年の埼玉県の人口増減状況
例えば、私が住んでいる埼玉県ですと、こんな感じです。
埼玉県人口分布図
日本全体の地図とは、色の表現方法が少し異なります。
- 赤色:増加
- 黄色:0%以上50%未満減少
- 緑色:50%以上100%未満減少
- 青色:非居住地化
- ・赤色の人口増加エリアで住宅を購入出来れば、将来、不動産の価値は高まる可能性があります。
- ・黄色のエリアであれば、不動産価値は、現状維持または、やや下落する可能性があります。
- ・緑色や青色のエリアになると、2050年には大きく下落または無価値化する可能性が高いと考えられます。
2050年の東京都の人口増減状況
ちなみに東京都の人口増減マップは、こんな感じです。
東京都人口分布図
やはり、都内は赤と黄色のエリアが多いです。
ただ、青梅、あきる野、八王子あたりになると、緑と青が多いので人口減少が著しいことになります。
2050年の神奈川県の人口増減状況
面白いですね。
うちのエリアはどうなのかしら?
そう言われると思って用意してきました。
神奈川県の人口増減マップは、こんな感じです。
神奈川県人口分布図
東京寄りの横浜市や川崎市は人口が増える事を示す赤色で表記されています。
その他のエリアでは黄色が多いです。
茅ヶ崎市は、非居住化を表す青い部分がありますね。
このエリアは、湘南海岸砂防林といって、自然環境保全区域に指定されているので、そもそも人が住んではいけないエリアなんです。
なるほど。
こうやって、マップで色分けされていると分かりやすいですね。
そうですね。
皆さんも、これから家を買おうと検討している物件のエリアの人口増減マップ(PDF) を、ご覧になってみてください。
居住誘導区域内かを意識しておく
それと、これから住宅の購入を検討する人は、その物件が居住誘導区域内かどうかを意識することも大切かと思います。
今後、日本の人口が減少し続けると、市区町村などの行政は、税収が少なくなり、今までのように、生活インフラを整備することが、難しくなります。
例えば、ぽつんと一軒家のように、離れたエリアに建っている数件のために、多額の税金を使って生活インフラを維持し続けるのは、非常に効率が悪いです。
そのため、行政は住んで欲しいエリアを居住誘導区域として指定しています。
つまり居住誘導区域外は、長期的に見ると・・・
生活インフラ(例えば、道路や上下水道の整備、ゴミ収集)など、今まであたり前のように使えたサービスが無くなり住み難くなる。ということです。
なるほど。
これから物件探しをする人は、人口増減マップと居住誘導区域の両方を確認することが大切ということですね。
そういうことです。
しかし、それだけでは、まだ不十分です。
『まだ不十分』とは、どういうことですか?
人口増減マップと居住誘導区域だけでなく、ハザードマップも見る必要があります。
実は、先程の居住誘導区域とハザードマップの浸水想定区域は重なっていることが多いんですよ。
ちょっと古い記事ですが、フジコさん、こちらの記事をご紹介いただけますか?
2020年7月15日付の日本経済新聞の記事ですね。
浸水危険地域、なぜ居住者増える?
国土交通省が実施した2019年12月時点の調査では、コンパクトシティーの計画を進める275都市のうち88%で、浸水の危険がある「浸水想定区域」と、住宅の立地を促す「居住誘導区域」に重なりがあることがわかりました。
専門家は「一人暮らし世帯の増加で住宅戸数が増え、浸水想定区域が開発対象となった」と分析します。
ありがとうございます。
既に、日本の全人口の3割近くの人が水害リスクの高い地域に住んでいます。
しかし、浸水想定区域から居住誘導区域を除外すると『街づくりが成立しない』という行政もあり、危険回避が後回しになっているケースも少なくないようです。
従って、居住誘導区域と浸水ハザードマップは別物と考えておく必要があります。
行政のやる事は、ちょっとあてになりませんね。
そうなんです。
まだ居住誘導区域の指定をしていない行政も結構多いんですよ。
なるほど・・・。
検討中の物件が浸水想定エリア内だった時の判断について↓
【ハザードマップ】検討中の物件が浸水想定エリア内~どう判断すれば良いか?~
まとめ:将来、資産価値が落ちない物件を選ぶ方法
今回のお話をまとめますと、将来、価値が落ちない物件を選ぶためには…
- 1.国交省の人口増減マップを確認する。
- 2.居住誘導区域内に入っているかを確認する
- 3.ハザードマップで浸水エリアなどに入っていないかを確認する
多くの人は、陽当たりや価格などで物件を選ぶと思いますが、このような違った視点も大切かと思います。
今週は以上になります。
田中先生ありがとう御座いました。
皆様からのご質問お待ちしております。
2023年も宜しくお願いします!
【不動産市場】不動産価格高騰はどうなる?人口増減マップで見極める将来の資産価値
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