【住宅ローン】変動金利の5年125%ルールは意味がない。未払い利息は発生しない。
モゲチェックの塩澤崇先生が解説
【住宅ローン】変動金利の5年125%ルールは意味がない
未払い利息は発生しない
モゲチェックの塩澤崇先生が解説
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第444-2回目 (2023年2月2日放送分 後半)となります。
今回の話題
【住宅ローン】変動金利の5年125%ルールは意味がない
未払い利息は発生しない
モゲチェック 塩澤崇先生が解説
塩澤崇氏に『5年125%ルール』について伺う
後半も引き続き月イチレギュラーの『モゲ澤先生』こと、
住宅ローン比較サービス『モゲチェック』 を運営している株式会社MFSの取締役COOの塩澤崇先生に、ご出演頂いております。
塩澤 崇(しおざわ たかし)さん プロフィール
■ 塩澤 崇(しおざわ たかし)
株式会社 MFS 取締役COO
略歴
2006年 | 東京大学大学院情報理工学系研究科修了(専攻:数理情報学) |
---|---|
2006年 | モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。 モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。 |
2009年 | ボストン・コンサルティング・グループ入社。 メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事 |
2015年 | 9月よりMFS取締役COO |
塩澤 崇 紹介ページ – モゲチェック
モゲ澤先生が、ここに居るということは、後半も住宅ローンについてのお話ですね。
後半も、モゲ澤先生に、住宅ローンについてマニアックなお話をして頂きます。
お任せください!
固定金利の上昇傾向で問い合わせが急増
最近は固定金利が上昇傾向であるため、
ゼロシステムズへも
『変動金利が上昇したらどうしよう・・・』
と、心配されたユーザーさんから、ご相談いただくことが多いのですが、モゲ澤先生の方は如何ですか?
そうですね。
『モゲチェック』でも、相談メッセージが通常の2.5倍くらいに増えており、皆さん金利の動きに敏感になっています。
昨年末は、アクセスが集中し過ぎてサーバーダウンしたくらいですからね。
モゲチェックのサーバーダウンはTVでも取り上げられました
具体的には、どんな質問が多いですか?
『5年125%ルール』に関する質問が増えている
最近私に寄せられる質問に多いのが
『5年125%ルール』
に関するものです。
『5年125%ルール』
それは、どのようなルールですか?
『5年125%ルール』は、初耳のリスナーさんも多いかもしれませんので、ご説明しますね。
お願いします!
激変緩和措置としての『5年125%ルール』
このルールは
『変動金利を借りた後、金利が急上昇しても毎月返済額が急には変わらない。』
という、激変緩和措置です。
激変緩和措置?
金利が激変しないようにする措置なのですか?
うーん・・・
惜しいけど、ちょっと違うんですよ。
『金利』ではなく『月々の返済額』が激変しないようにする措置です。
そうなんです。
『金利』でなく『返済額』の方なんですよ。
変動金利でも5年間は返済額が変わらない『5年ルール』
例えば、返済中に金利が上昇したとします。
5年ルールを適用している銀行の場合、毎月の返済額は変わりません。
元本と金利の内訳が変わるだけです。
そして、5年後には、その時点で残っている元本・金利・残りの返済期間を踏まえ、毎月返済額が再計算されます。
この計算が5年ごとに繰り返されます。
ですので、
5年ルールがあると、金利が上昇しても毎月の返済額が増えるのは次の5年後となります。
急に返済額が増える訳ではないので安心感があると思います。
なるほど。
変動金利でも5年間は返済額が変わらないということなのですね。
そういうことです。
金利上昇幅が前回返済額の125%を超えないようにする『125%ルール』
もう一つの
『125%ルール』とは、どういったものでしょうか?
『125%ルール』とは、
『金利上昇によって毎月返済額が増える際、その上昇幅が前回の返済額の125%を超えないようにする。』
というものです。
ですので、
金利が急上昇した場合、次の5年間の返済が青天井で一気に増えるのではなく、1.25倍までにしか増えません。
それなら安心な感じがしますね。
そうですよね。
ネットに氾濫する『5年125%ルール』の情報を検証
変動金利を借りようとされている方の中には、この5年125%ルールを気にされている方が結構いらっしゃいます。
それゆえ、ネットにはいろんな情報が氾濫しています。
例えば検索には
- ① 5年125%ルールがあるから金利上昇も安心
- ② 採用していない銀行は危ない
- ③ もし金利が上昇して125%を超えたら未払利息が発生し、最終返済日に一括返済を求められる
Yahoo!ニュースでも『125%ルール』についての記事が掲載されていました。
こちらのニュース記事を、フジコさん、ご紹介いただけますか?
こちらですね。
2023年1月28日付のYahooニュース(ZAIオンライン)の記事によると・・・
2023年1月28日付のYahooニュース(ZAIオンライン)の記事
住宅ローンの変動金利が上昇しても、返済額を急増させないための『5年ルール』と『125%ルール』を解説!返済が苦しくなれば借り換えや返済計画変更も検討を
(抜粋)
ただし、5年ルールにしても125%ルールにしても、あくまで激変緩和措置でしかなく、利払いの免除ではないということは覚えておこう。
実際は免除どころか、未払い分がどんどんツケとして貯まっていく。
そのツケは、返済の最終回に一括で請求される場合が多い。
備えが十分あればいいが、十分でないと老後資金が不足したり、最悪は家を失ったりするリスクもあるのだ。この制度は、1983年に現在の銀行住宅ローンが開始されたときに導入されたもの。
1980年代後半のバブル期の金利上昇時に発動されたが、すぐにバブル崩壊し、その後は金利が下がり続けたため、特に問題は発生しなかった。出典:Yahooニュース(ZAIオンライン) – 住宅ローンの変動金利が上昇しても、返済額を急増させないための『5年ルール』と『125%ルール』を解説!
ありがとう御座います。
記事の内容を簡単に説明しますと、
『5年125%ルールは、激変緩和措置であり、利払免除でないから、
未払い利息が、どんどんツケとして貯まっていき、
そのツケは、返済の最終回に一括で請求されるリスクがある。
ソニー銀行や新生銀行は、もともと5年125%ルールを導入していないので注意が必要。』
という内容の記事です。
先程モゲ澤先生が、おっしゃっていた内容ですね。
そうですよね。
モゲ澤先生、実際はどうなんでしょうか?
はい。それでは!
これらが本当に正しいのかどうかを検証したいと思います。
『125%ルールは意味がない』その理由を解説
まず結論から申し上げますと、
私は『125%ルールは意味がない』と考えています。
えっ!?そうなんですか??
『125%ルールは意味がない』というのは、どういう意味ですか?
具体的な数字でシミュレーションしてみる
具体的に解説しますね。
- シミュレーションの前提
- ・元本3,000万円
- ・0.4%の変動金利
- ・35年払い この前提で毎月返済額を計算し、
1.25倍に毎月返済額が増える金利が一体いくらなのかを5年ごとに計算してみました。
塩澤先生のシミュレーション結果
初年度の毎月返済額は76,557円となります。
■6年目の試算
- 6年目
- 1.25倍となる返済額:95,696円
- この返済額になる金利:2.0%
変動金利0.4%が、5年後に2%に急上昇するというのは、ちょっと現実的にはありえない上昇率ですよね。
■11年目の試算
- 11年目
- 1.25倍となる返済額:119,597円
- この返済額になる金利:4.0%
2%だった金利が、倍の4%に急上昇というのは、まずありえないですね。
そうですね。
■16年目の試算
- 16年目
- 1.25倍となる返済額:149,456円
- この返済額になる金利:6.7%
6%台ということは、ちょうど今の米国の住宅ローン金利と同じくらいですね。
■21年目の試算
- 21年目
- 1.25倍となる返済額:186,820円
- この返済額になる金利:10.5%
90年代バブル期の8.5%を余裕で超えましたね!
■25年目の試算
- 25年目
- 1.25倍となる返済額:233,525円
- この返済額になる金利:16.1%
これは『利息制限法』の、上限15%を超えていますね。
ひと昔前の消費者金融並みですね。
■31年目の試算
- 31年目
- 1.25倍となる返済額:291,906円
- この返済額になる金利:26.9%
ここまでくると、『出資法』の上限金利20%をも超えていますね。
アディーレ法律事務所に電話して、銀行から過払い金を取り返せますね!
もし、こうなったら、すぐ電話ですね!
『125%ルール』の適用はあり得ない
■ありえない金利上昇をしない限り125%に届かない
そもそも、あり得ない金利上昇ですよね・・・。
そうなんですよ。
毎月の返済額が1.25倍になる金利
このシミュレーションの結果から、とんでもない金利上昇をしない限り、125%にはヒットしない事がわかります。
■利息制限法にも引っかかる
また、日本には『利息制限法』という、金融機関がとる金利に上限を定める法律があります。
この上限金利は15%です。
利息制限法の上限15%に引っかかるライン
ですので、金融機関はそもそも16.1%や26.9%の金利は取ることができません。
そうですね。
それこそアディーレに電話ですね!
■5年ルールには一定の意味がある
そういうことです。
毎月返済額が5年ごとにしか変わらない『5年ルール』については、激変緩和措置として一定の意味はあると思います。
なるほど・・・。
ただ、5年間返済額が変わらないということは、
『金利が上昇していても、そのことに気が付きにくい。』
という事はないのですか?
確かにそうですね。
ですが、返済額が変わらなくても、金利が変動すると銀行からお知らせの書類が届きます。
これをしっかり確認しておかなければなりません。
■125%ルールが発動する状況はありえない
そういうことです。
一方で『125%ルール』については、ありえない金利上昇にならない限り発動することはありません。
検証結果を解説
それでは検証結果に参りたいと思います。
『5年125%ルールがあるから金利上昇も安心』という意見
5年ごとにしか返済額が変わらないという点では安心かと思います。
しかし、125%ルールについては毎月返済額の抑制としては緩すぎると言えます。
金利が5年125%のキャップ付なら良いのですけど、返済額の125%ルールは全然意味がないですね。
そうなのです。
5年125%ルールを採用していない銀行は危ない』という意見
繰り返しになりますが、125%ルールは毎月返済額の抑制としては緩すぎるため、このルールの採用はそこまで安心感に寄与しないと思います。
確かに、125%ルールがあるか無いかを住宅ローン選びの基準にするのはナンセンスですね。
私もそう思います。
『もし金利が上昇して125%を超えたら、未払利息が発生し、最終返済日に一括返済を求められる』という意見
125%にヒットするような金利上昇は非現実的です。
ですので、未払利息も発生し得ないです。
未払い利息が発生するようであれば、逆に過払い利息の返還を銀行に請求できちゃいますね。
本当ですね。
ですので、私の意見としては、
『5年125%ルールというのはあまり気にされなくてもいいのではないか。』
と、なります。
このルールの有無よりも、金利や団信の条件を中心に住宅ローンを選ばれたほうが良いと思います。
まとめ
今回、シミュレーションして良く分かりました。
住宅ローン、特に変動金利は、借りる時だけでなく、借りた後も、金利動向を常にチェックする必要がありますね。
モゲ澤先生、ありがとうございました。
さて皆さん!
住宅ローンの『新規借り入れ』や『借換え』を検討する時には、住宅ローン比較サービスの~
モゲチェック!
そして、仲介手数料と建物診断が無料の~
ゼロシステムズ!
『モゲチェック』と『ゼロシステムズ』の両方を利用することにより、何百万円もお得に住宅を購入できる可能性があります!
塩澤先生、田中先生。
今回もありがとうございました。
【住宅ローン】変動金利の5年125%ルールは意味がない
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