【住宅ローン】変動金利が上昇する可能性
~日銀植田総裁の利上げの判断基準とは?~

【住宅ローン】変動金利が上昇する可能性
日銀植田総裁の利上げの判断基準とは?

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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第463-2回目 (2023年7月6日放送分 後半)となります。

今回の話題

【住宅ローン】変動金利が上昇する可能性
日銀植田総裁の利上げの判断基準とは?



今回のテーマ『住宅ローン低金利はいつまで続くのか?』

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フジコ

フラワーラジオ FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』

皆さま、こんにちは。
番組MCのフジコで御座います。
番組後半も宜しくお願いします。

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田中

後半も引き続き、月イチレギュラーの『モゲ澤先生』こと、住宅ローン比較サービス『モゲチェック』を運営している株式会社MFSの取締役COOの塩澤崇 先生にお話を伺います。

塩澤 崇(しおざわ たかし)さん プロフィール

塩澤 崇

■ 塩澤 崇(しおざわ たかし)
 株式会社 MFS 取締役COO
略歴
2006年東京大学大学院情報理工学系研究科修了(専攻:数理情報学)
2006年モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。
モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。
2009年ボストン・コンサルティング・グループ入社。
メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事
2015年9月よりMFS取締役COO

塩澤 崇 紹介ページ – モゲチェック

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フジコ

後半は、どんなお話をいただけるのでしょうか?

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田中

後半は
『住宅ローン低金利はいつまで続くのか?そろそろ変動金利が上昇するのか?』
というテーマで塩澤先生にお話を頂きます。

リスナー様からの質問

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田中

それでは、フジコさん。
今回のテーマに関連したご質問を頂いているので、ご紹介お願いします。

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フジコ

承知しました。
ラジオネーム:キャシーさんからのご質問です。

■変動金利はいつから上昇すると考えていますか?

モゲ澤先生、田中先生、フジコさん、こんにちは!
いつも勉強になっています!

最近は、物価が高くなって物件価格も凄く値上がりしています。
そろそろ変動金利が高くなるのでは・・ととても心配です。

実際、変動金利はいつから上昇すると考えていますか?

ラジオネーム:キャシーさんからのご質問

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田中

ラジオネーム:キャシーさん。
ご質問ありがとうございます。

関連ニュース記事の紹介

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田中

続いてフジコさん
今回のテーマに関連したニュースの記事をご紹介いただけますか?

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フジコ

承知しました。
2023年6月26日付のNHKニュースの記事によりますと・・・

■日銀 金融政策決定会合
日銀 金融政策決定会合“消費者物価 上振れて推移”意見相次ぐ 20230626NHKニュース

日銀は、6月15日と16日に開いた金融政策決定会合の「主な意見」を公表し、この中で委員から、消費者物価が想定より上振れて推移するという見方が相次いだことがわかりました。

日銀は6月の会合で今の大規模な金融緩和策を維持することを決めたほか、物価上昇率の先行きについてもこれまでの見方を変えず、今年度半ばにかけてプラス幅を縮小し、その後は再びプラス幅を緩やかに拡大していくという見通しを示しました。

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田中

フジコさん。
ありがとうございます。


金融政策決定会合が住宅ローン金利に与える影響

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田中

モゲ澤先生、NHKニュースの記事では、このように書かれていました。
この日銀の金融政策決定会合の結果や方針というのは、今後の住宅ローン金利に影響するものですよね?

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塩澤

そうですね。

日本の金利を決めるのは、日銀の総裁です。
その意思決定の場が、金融政策決定会合となります。
ここで何が議論されたかが、非常に重要で大切なメッセージになります。

変動金利はもうすぐ上がるのか

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田中

そこで質問します。
住宅ローン超低金利時代は、もうすぐ終わって、変動金利は、もうすぐ上がりますか??

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塩澤

結論から申し上げますと・・・

まだ上がらない ですね。

借りてる側からすると気になりますよね。

サムネイル-田中
田中

住宅を販売している立場からても、金利は上がって欲しくないんですよ。
ここでモゲ澤先生が「上がる」とか言ったら、『今までの話は何だったんだ?』ってなっちゃいます。

では、上がらないという根拠を詳しくお話いただけますか。

低金利が続くと考える根拠

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塩澤

承知しました!
じっくり解説させていただきます!

先日の金融政策決定会合において、マイナス金利とイールドカーブ(YCC)両方ともに維持、という判断がなされました。
つまり低金利を続けますよ、ということです。

この報道を受けて、「住宅ローン金利が上がらないのはいいけれども、一体いつまで低金利が続くの?」と思われている方も多いと思います。

今日はこのあたりを解説します。

植田総裁の考える利上げ基準とは?

利上げの基準
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塩澤

日銀植田総裁の考える利上げの基準は『需要牽引型のインフレ』になったかどうかです。
インフレには『需要牽引型』『コストプッシュ型』の2種類があります。

このうち、日銀が目指したいインフレは『需要牽引型』の、賃金上昇を起点とした物価上昇サイクルです。
良い経済のサイクルですね!

一方、『コストプッシュ型』は、『輸入物価が上がって国内販売価格もあがる』というだけで、経済成長を意味するわけではないのです・・・。

では、足元はどうなっているかというと、残念ながら賃金上昇を起点とした物価上昇にはなっていません。

消費者物価指数と実質賃金の推移

消費者物価指数と実質賃金の推移
サムネイル-塩澤
塩澤
実質賃金
賃金が、インフレに対してどれぐらい力強く上昇してるか。
インフレ分を差し引いて、正味賃金がどれぐらい上がってるかという指標です。
これがずっとマイナスなんです。
消費者物価指数
ぐんぐん上がってきています。
皆さんも感じてると思うのですけれども、最近食料品など、いろんな物価が上がっていますよね。
サムネイル-塩澤
塩澤
直近4月のデータ
物価上昇率:3.4%
実質賃金:ー3%

物価は上がり続け、賃金は減り続けている状況なんです。

こういった状況は、いい形でのインフレが回ってるとは言えません。
単に『コストプッシュ型のインフレ』になってるのです。

たとえ2%の物価上昇を達成したとしても、金融緩和解除されません。

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田中

では、いつ利上げの判断をするのでしょうか?

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塩澤

ポイントは『いつ、コストプッシュ型から需要牽引型に移行するのか?』です。

消費者物価指数の前年同月比推移
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塩澤

金融政策決定会合での植田総裁の発言を踏まえると・・・

  1. 年内は物価上昇率が3%程度の高い状況が続き
  2. 年末から年明けにかけて下がる

このようなことが想定されます。
これは海外の資源価格が下落するからです。

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塩澤

では、物価上昇率が0%まで下がるかというとそうはなりません。
『賃金上昇』『海外経済が下支え』するからです。

『賃金上昇』『海外経済』の2つが、物価上昇、及びその先にある金融緩和の解除を占う最重要指標となります。

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塩澤

これら2指標ですが、日銀は確固たる見通しが持てていないようです。

まず、賃金について植田総裁は下記の通り述べています。
「他社が上げているので自社も賃金を引き上げないといけない、という変化が見られつつある。こうした動きは非常に重要。」

一方で、このようにも発言しています。
「来年度の賃上げの持続性について、不確実性は極めて高い。」

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塩澤

次に海外経済です。
「海外経済は利上げの影響があり弱含んでいるものの、来年にかけて持ち直していくという見通しを立てている。」

一方でこのような発言も。
「米国利上げのマイナス影響が出尽くしたとは考えていない。」
「米国のさらなる利上げが予想され、将来、強い下押し圧力になるリスク」

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塩澤

ここまでのお話をまとめると、以下のようになります。

  • ・以前よりは経済状況が改善しているものの、持続的なインフレ率2%を達成するかどうか、まだ確信がない。
  • ・賃金と米国経済の2点が肝。ある程度見通しが立ってから金融緩和解除の議論がスタート。

利上げ判断の具体的なロードマップ

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塩澤

以上を踏まえ、日銀の今後の動きについて整理しました。

消費者物価指数の前年同月比推移2
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塩澤

まず、2024年4月まではマイナス金利解除の議論はないでしょう。
『賃金上昇』『海外経済』に関する確固たる判断材料が出てこないからです。

消費者物価指数の前年同月比推移3
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塩澤

実質的な議論が行われるのは2024年6月以降でしょう。

  • ・24年1月想定の米国景気後退からの米国利下げ
  • ・24年3月の春闘

これら2つの重要指標がどのように日本経済に波及するかを見定めてから、マイナス金利を解除するかどうかの議論スタートです。

海外経済が、日本経済に波及するには3〜6ヶ月程度のタイムラグがあるでしょう。
議論スタートは6月頃と見ておくのが妥当と考えています。

消費者物価指数の前年同月比推移4
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塩澤

YCC(イールドカーブ・コントロール)は24年3月解除と見ています。

  • ・日本経済がそこそこ好調 → YCCによって経済を下支えしなくてもいい
  • ・米国利下げ → 金利上昇圧力が弱まるため、YCCを外しても金利が暴騰しない

24年3月には、このような環境が揃うため、日銀もYCC解除に動くと考えています。


実際にマイナス金利が解除されるのはいつ?

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田中

2024年6月にマイナス金利解除の議論が始まった場合、本当に解除されるのでしょうか?

サムネイル-塩澤
塩澤

私はそうはならないと考えています。
2030年以降になるかと思います。

理由は「この国は何でご飯を食べていくのか?」に対する明確な答えがまだ無いからです。

サムネイル-塩澤
塩澤

1980年代や90年代は製造業が強く、日本経済を牽引していました。
ですが、今は以前ほど強くはありません。

最近はAIを中心としたIT産業が世界的にブームですが、IT産業の中心は残念ながらアメリカや中国です。
強い産業がその国にあってこそ、力強い経済成長が実現され、賃金上昇を起点とした需要牽引型インフレが発生します。

今の日本はその理想には遠いと考えています。

このような状況に加えて、少子化に伴う人口減少も痛手です。
来年以降に日本経済が回復軌道に乗ったとしても、残念ながら弱い経済回復しか見込めないと思います。


金融緩和が解除される3つの条件

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田中

では、いつ需要牽引型インフレが発生し、金融緩和が解除されるのでしょうか?

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塩澤

私は2030年以降と考えています。
金融緩和が解除される3つの条件を考えています。

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塩澤
金融緩和が解除される3つの条件
  1. コストプッシュ型インフレ → 値上げOKという風向きの変化
  2. バブル世代退職 → 全産業の深刻な人手不足による持続的な賃上げ
  3. 新産業(スタートアップ等)創出 → 雇用や売上のさらなる増大
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塩澤

これら3つの大きな刺激を受けて、ようやく日本の経済成長が実現するでしょう。

①は既に達成しています。
②と③についてはまだ先の話です。

ゆえに2030年以降と、もうしばらくかかると私は見ています。


まとめ:2030年以降まで上昇しない

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田中

なるほど。
まとめますと
『住宅ローン変動金利は、2030年以降まで上昇しない。』
ということですね。

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塩澤

そういうことです!

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フジコ

田中先生。モゲ澤先生。
ありがとう御座いました。

FM鴻巣フラワーラジオ『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
次回も宜しくお願いします。

【住宅ローン】変動金利が上昇する可能性
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