【不動産購入】私道トラブル!知っておきたい対処法!位置指定道路・路上駐車・通行妨害・道路族
【不動産購入】私道トラブル!知っておきたい対処法!位置指定道路・路上駐車・通行妨害・道路族
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今週放送の動画をご紹介
FM76.7MHzフラワーラジオ にて毎週放送!
レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第502-1 (2024年5月16日放送分 その①)
となります。
今回のテーマ『私道トラブル!知っておきたい対処法』
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
それでは田中先生。
早速ですが、今回はどんなお話をいただけるのでしょうか?
今回は・・・
『私道トラブル!知っておきたい対処法』
というテーマでお話していきます。
私道については、以前も番組でお話いただきましたよね。
はい。1年くらい前にも
- ・接道義務
- ・セットバック
- ・位置指定道路
- ・私道には固定資産税がかかるか?
以前の『私道』に関する記事はこちらです↓
【不動産購入】『買ってはいけない私道』とは?
そうでしたよね。
私道の路上駐車は駐車違反になるのか
今回は違う角度から、私道についてお話します。
まずは、リスナーさんから私道に関連したご質問を頂いているので、フジコさんご紹介お願いいたします。
承知しました。
ラジオネーム:どうしようかな さんからご質問です。
質問:私道の路上駐車は駐車違反にならないのですか
田中先生、フジコさん、こんにちは。
いつもためになる情報ありがとうございます。
私は、都内で中古一戸建てを購入しました。
購入後、ひとつ困ったことがあるので相談させてください。
比較的狭い住宅地で、私道に面しています。
我が家以外は、皆昔から住んでいる古い人たちです。
そのうちの1軒の家の車が駐車場から頭30cmくらいはみ出して停めています。
もう1軒の家は、しょっちゅう路上駐車をしています。
そのため我が家は車庫入れがし難いです。
私道だと駐車違反にならないのでしょうか?
ご近所はみんな我が家よりも前から住んでいる家なのでクレームも言いにくい状況です。
何か対応策などありませんでしょうか?
田中先生のアドバイスをいただければ幸いです。
宜しくお願いします。
ラジオネーム:どうしようかな さんからのご質問
ラジオネーム:どうしようかな さん
ご質問ありがとうございます。
私道の路上駐車は道路交通法違反にならない
「私道は、駐車違反にならないか?」ということですが・・・
結論から申し上げますと、家の前の私道に路上駐車されている場合は、ご自身で対応する必要があります。
私道は道路交通法上の道路(道路交通法2条1項1号)には該当しません。
したがって、私道の路上駐車は道路交通法違反になりません。
そのため、警察が駐車禁止を取り締まりすることはできないのです。
自分で対応しなければならないんですね。だけど言いにくいですよね。
そうですね。
「路上駐車しないでください」と注意して、相手が素直に応じてくれればいいですけど、逆恨みされたり、トラブルに発展するなんてことも想像できますよね。
『車庫法』で取り締まって貰う
何か対応策などはないのですか?
対応策としては、私道の場合は道路交通法で取り締まってもらうのではなく、『車庫法』として対応してもらう方法があります。
『車庫法』とは、自動車の保管場所の確保等に関する法律です。この車庫法違反で警察に対応してらえばいいのです。
■車庫法とは
車庫法というのは、具体的にどのような違反なのですか?
車庫法では、以下のような場合『車庫法違反』となります。
- ・昼間なら12時間以上、夜間なら8時間以上、路上駐車をすることを禁止されています。(車庫法11条2項1号、2号)
- ・これに違反した場合は、20万以下の罰金になります。(車庫法17条2項2号)
そのため、立証するのにも結構な労力がいるというのが実情です。
なるほど。
労力は必要ですが、そのようにすれば、警察に取り締まってもらうことはできるということなのですね。
■質問者さまの場合の対応策
そういうことですね。
今回のご質問者さまの場合は、既に購入してしまっているので、対応策としては・・・
- ご近所と仲良くなってから話し合いで、路上駐車やはみ出しを辞めてもらう。
- 今説明したように車庫法違反で警察に対応してもらう。
- それもできなければ我慢する。
- 我慢できなければ売却して引っ越す。
確かに、それのどれかしかないですよね。上手く解決できればいいですね。
そうですね。
本来であれば、契約前に間取りや価格だけでなく、ご近所の状況も確認してから購入すれば良かったのかとは思います。しかし、今さらご質問者様に、それを言っても仕方ないです。
これから古い住宅地の中古の私道を購入しようと検討している人は、ご注意ください。
なるほど。
どうしようかな さん、うまく解決できると良いですね。
私道の所有者以外は通行できないようにしたい
それでは、別のリスナーさんからも私道トラブルについて質問を頂いているので、紹介しますね。
ラジオネーム:ジローさん からのご質問です。
質問:私道を裏道として関係のない人や車が通り抜けるので迷惑
田中先生、フジコさん、こんにちは。
チャンネル登録をして毎回見ています。
去年、中古一戸建てを購入しました。
この私道は、県道へ抜けるための裏道として関係のない人や車が通り抜けるので非常に迷惑しています。
特に、子供の通学時間帯は危ないです。
私道の種類は、以前、田中先生が動画で解説していた位置指定道路で私を含め10軒で所有しています。
私たちの私道ですので所有者以外は通行できないようにしたいです。
ラジオネーム:ジローさん からのご質問
ラジオネーム:ジローさん
ご質問ありがとうございます。
部外者を通行禁止にできるのか?
私道は、隣接する所有者全員の共有になっているのが一般的ですので、共有者全員に、その私道の全部を使用する権利があります。しかし、私道の所有権を主張して通行妨害をする人もいます。
これは、私道が共有であることから発生する問題のひとつです。
たまに、そういうニュースが報道されますよね。
そうですね。
出典:長崎新聞 – 長崎・青山私道 住民側、通行妨害禁止求め業者を提訴
2019年ころ、長崎県で私道の所有権をもつ不動産管理業者が、100世帯以上の住民に『1世帯あたり月額3千円~1万円程度の通行料を支払わなければ私道を使わせない』と、バリケードを設置したというニュースがありましたよね。
酷い不動産管理業者ですよね。結局どうなったんですか?
結果的には、バリケードの撤去を地裁が命じて、それに不服を申し立てて、最近まで裁判をしていました。
最終的には、今年の頭に和解して、住民側が私道を通行できるようになりました。
それは良かったですね。
ただ、この和解に至るまで5年もの時間がかかりました。
5年!?
そんなに時間がかかったんですね。
そうなんです。
この事例では、私道を不動産管理業者が単独所有していたから、このような問題が発生しました。
ただし、共有でもっていたとしても、私道であればそのような問題が生じる可能性はあります。
そうなのですか?
私道は所有者のみが利用できる道路
はい。
原則的には、私道は所有者のみが利用できる道路であって、他人が勝手に通行することはできません。
そして、私道の所有者は、他の人の通行を禁止したり、障害物を置いたり、通行料を求めることができます。
ということは、今回のご質問者さんの私道も、部外者の通り抜けを禁止できるのですか?
いいえ。残念ながらできないと思います。
えー。そうなんですか?
■私道であっても権利が制限される場合があります
私道であっても、建築基準法42条1項5号、または、42条2項道路、『位置指定道路』や『2項道路』と呼ばれる、建築基準法上で道路と認められた道路になると、他の人の通行を妨げる行為を禁止されるなど、私道所有者の権利が制限されます。
もう少し平たい言葉で言うと、私道であっても建築基準法の接道要件を満たせる道路として認めているのであるから、誰でも通行できる道路とすべきという感じなのでしょうか。
さらに言うと、私道であっても道路として利用しているのであれば、(原則として)固定資産税も課税されていませんので、所有権を主張して通行を妨げるということは本筋から外れるのだと思います。
なるほど。私道であっても権利が制限されることがあるのですね。
そうです。私道と言っても、位置指定道路や2項道路の場合は、(原則として)誰もが通行していい状態にしなければならないということです。
行政に相談するコツ
そうなると、今回のご質問者さんの私道は、抜け道として利用されていて危険なままですよね。
そうですね。今、説明したことは、原則論です。
私道でも公道でも、多くの車がスピードを出して通り抜けて危険なのであれば、市役所に相談するということはできると思います。
完全に通行止めにするのではなく、例えば時間帯でスクールゾーンにしてもらうなど対応策はあると思います。
行政に相談するコツとしては、単に「うるさくて迷惑だから」というのではなく、「危ないから」や、「事故が起きてからじゃ遅い」など、危険であることを理由に相談すると良いかと思います。
ぜひ、一度、市役所に相談してみてください。
吹き出しの中のテキスト
『道路族』によるトラブル
他にも、何年か前に登場した言葉ですが『道路族』という言葉をご存じですか?
聞いたことあります。
道路で大騒ぎする子供や親のことですよね。
さすがよく知ってますね。
出典:ベリーベスト法律事務所 – 「道路族」は通報しても意味がない? 法律的に対処する方法を解説
『道路族』は、私道や公道に限らず、道路でボール遊びしたり、大声で話したりする人のことを言います。
たまにならいいのですが、毎日だと、さすがに近所迷惑となります。近年では、私道での道路族トラブルが話題になっています。
■道路族トラブル例
- ・毎日、家の前の道路でサッカーをしていて、車や家にボールを当てる。
- ・私道で長時間井戸端会議をしている。
- ・ご近所さんたちと道路でバーベキューをしている。
実際に、分譲地の私道で、このような道路族トラブルがあり裁判になったという話もあります。
裁判になったのですね。法の判断はどうだったのですか?
裁判では、子供の発する声は騒音として判断されました。
しかし、日本では伝統的に道路などが子供の遊び場や近隣住民のコミュニケーションの場として機能してきたことから、『騒音ではあるが受忍すべき範囲』として、違法性は認められませんでした。
そうすると道路族への対策はないのですか・・・。
ご近所付き合いの問題もあるので、なかなか難しいですよね。
ただし、近所の子供がボールを車に当てたりするのは、器物損壊になる可能性もあります。当てられて、実際に被害があった場合には、その旨を子供の保護者に伝える必要があります。
それでも親が適切な対応をとらないという道路族トラブルがあるので、そのような場合は最寄りの警察署に相談するとよいかと思います。
なお、ボールが自分の敷地に入ってきて、それを子供が取りに入る程度では、通常は住居侵入には問われません。
まとめ:今回の標語
それでは、今回も 五・七・五 の標語にまとめます。
はい。お願いします!
何ごとも
そこそこならば
トラブらない
最近は、『そこそこ』でなく、すぐに度を越してしまう人が多いように思えます。
私道は、駐車違反を取られなくても、基本的に路上駐車しない。だけど、臨時の時には一時的に停めたいですから、あまり厳しくしても、みんな住み難くなります。
道路族トラブルも同様です。
何ごとも『そこそこ』や『ひかえめ』であれば、言いにくいし、言われにくいのでトラブルになり難いです。
なるほど。何事もお互い様ですからね。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
次回もお楽しみに!
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