【不動産購入】『買ってはいけない私道』とは?
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FM76.7MHzフラワーラジオ にて毎週放送!
レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第454回目 (2023年4月13日放送分 )となります。
今回の話題
『買ってはいけない私道』とは?
徹底解説!
今回のテーマ『買ってはいけない私道』
FM鴻巣フラワーラジオ 不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
みなさん。こんにちは。
今週はフジコさんがお休みですので、私サッシーが番組MCをさせて頂きます。
田中先生、本日も宜しくお願いします。
今週は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
今週は
『私道の物件は買って良いのか?』というテーマでお話をししていきます。
早速ですが、リスナーさんから今週のテーマに関連した質問を頂いてるので、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム『細川』さんからのご質問です。
田中先生こんにちは。
いつもYouTubeを視聴して勉強しています。
今、私は、一戸建ての購入を検討しています。
中古か新築かは、決まっていませんが、購入するときは、ぜひ、田中先生のゼロシステムズさんにお願いしたいと考えています。
そこで質問なのですが、私が気になる物件は、いつも広告に『私道持分あり』と書いてあります。
私道持分があると何か問題があるのでしょうか?
できれば私道より公道の方が良いのでしょうか?
私道について詳しく解説してもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします。
ラジオネーム『細川』さんからのご質問
ラジオネーム『細川』さん。
ご質問ありがとう御座います。
私道というと、テレビのワイドショーなどで、そこに荷物を置いて通行妨害している人の報道とかされていますよね。
本当にそういう人っているんですか?
確かにそういう迷惑住人が専有している私道の物件って実際に見たことあります。
セットバック部分に古い浴槽を置いて、通行妨害している物件ありますよ。
昔から住んでいる人は、既に日常として受け入れていますが、新たに購入しようと検討する人は、さすがに引きますよね。
そうすると、その近所の不動産価値が下がることになります。
そこで今回は、『私道』について深堀して説明しようかと思います。
ぜひ、お願いします。
私道について順を追って説明
私道については順を追って解説しないと理解しにくいので、以下の順番でお話させて頂きます。
それでは、1つ目の『接道義務』からお願いします。
1.接道義務とは?
接道義務の解説図
敷地に建物を建てる場合に、
『建築基準法に定められた幅員4m以上の道路に2メートル以上接していなければならない。』
という決まりがあります。
出典:建築基準法
特に奥まった路地上敷地の物件を検討するときには、道路に面する通路の間口が2メートル以上あるか確認することが重要です。
2.セットバックとは?
セットバックの解説図
建築基準法で認められている道路であっても、幅員4mに満たない狭い道路ということがあります。
そのような4m未満の道路であっても、セットバックをすることにより、合法的に建築確認を取得して新築することができます。
■セットバックとは
『建築基準法の定める道路の基準である幅員4メートルを確保するために、道路と敷地の境界線を道路の中心線から2メートルの位置まで後退させること。』
を言います。
物件の立地により、道路の反対側が線路や河川などの場合は、道路中心線でなく、道路の反対側から4m以上のところを敷地と道路の境界線としてセットバックします。
なるほど。
・・・ということは、
狭い道路であっても、みんなが徐々に建て替えてセットバックをしていけば、いずれは、幅員4m以上の道路になる。
ということなんですね。
そういうことです。
セットバック部分というのは、私道になるのですか?
市区町村によって扱いは異なります。
セットバック部分の寄付採納を受け付ける行政であれば、公道になります。
セットバックしても個人名義のままであれば、私道として扱うことがあります。
ですが、名義は個人のままで公道として扱う市区町村もあります。
このように、地域により異なります。
セットバックした部分の土地は、公道・私道に関係なく、道路としてしか使用方法は認められていません。
セットバックした土地は自由に使えなくなります
所有権が自分のものであっても、自由に使える土地ではなくなります。
セットバック部分に植木鉢や自転車を置いて、自分の敷地であると主張する人がいますが、それは違法となります。
不動産を購入するときには、広告図面に記載された土地面積が、セットバック部分が含まれているか否かを確認することが大切です。
広告図面に
『セットバック済』と書いてあれば、土地面積は表記のままです。
『セットバック要』などと書いてあれば、セットバックをすることで面積が小さくなる可能性があります。
ですので注意が必要です。
なるほど。
3.公道と私道の違いとは?
公道:国や自治体が所有して管理する道路。
私道:個人や法人が所有して管理する道路。
このようになります。
4.どこで調べることができるか?
私道と公道について調べる場合は、どこに行けば良いのですか?
道路については基本的に市区町村の役所に行けば調べることができます。
道路管理課にいけば調べられます
ただし、私道と公道では、同じ役所でも管理している課が異なります。
役所によって課の名称に多少違いはありますが、多くの市役所などでは、公道は、『道路管理課』という名称の課に行けば調べられます。
■道路が公道の場合
道路管理課の道路台帳をみれば、道路番号や認定幅員を調べることができます。
例えば、市道123号線、認定幅員4mというような内容を調べられます。
住宅街の小さい道路にも、国道何号線みたいに番号があるのですね。
そうなんです。
コピー代を支払えば、道路台帳のコピーももらうことができます。
しかし、道路台帳に記載されていない道路ということがあります。
その場合は、私道である可能性が高いです。
■私道の場合
道路管理課でなく、建築指導課の管理となります。
『建築指導課』という名称も市区町村の役所によっては多少違いがあります。
建築指導課に行くと、『その道路が建築基準法上の道路として認められている私道か否か。』を調べることができます。
同じ道路でも、私道と公道では、管理している課が違うのですね。
5.位置指定道路の私道とは?
位置指定道路の私道
位置指定道路とは、特定行政庁から『ここからここまでは道路です。』と位置の指定を受けた私道のことをいいます。
■位置指定道路の場合
役所の建築指導課に行けば、位置指定番号や指定年月日などを確認して、公道と同様にコピー代を支払えば、台帳のコピーももらえます。
また、業者が、土木事務所などの行政と事前協議をして開発許可を取得してつくった私道は開発道路と呼びます。
このような開発道路も位置指定道路と同様の扱いとなります。
位置指定道路や開発道路の場合
建築基準法上で定められた私道として、公道と同様に、その道路に間口2m以上接道していれば、問題なく建築確認を取得して合法的に建物を建てられます。
私も不動産の広告で、『位置指定道路』というのを見たことがあります。
その場合、『私道持分あり』などと書いているのも見られるかと思います。
私道持分というのは何ですか?
6.私道持分とは?
私道は、個人や法人が所有しています。
多くの場合は、単独でなく複数で私道を所有しています。
その私道の所有権を持分といいます。
持分の持ち方には、いくつか種類があります。
同じ私道でも違うのですね。
私道の持ち方に違いがあるんです。
■私道持分 – 共有型
私道持分 – 共有型
①共有型
近年の開発道路や位置指定道路はこのタイプが多いです。
私道全体の何分のいくつが自分も持分であると持分割合を決めて所有権を登記します。
マンションの共用部分の持分みたいなものですね。
そうです。
マンションの外廊下と同じ感覚ですね。
どこからどこまでが自分のものだと決めないことで、私道を自分の敷地だと主張し難くする効果があります。
■私道持分 – 一部所有型
私道持分 – 一部所有型
②一部所有型
昭和や平成の初期の位置指定道路はこのタイプが多いです。
持分割合で所有権を登記するのでなく、あえて自分の敷地から離れた道路の区画に所有権を持ちます。
なんだか不思議な持ち方ですね。
そうですね。
このようにバラバラに私道を所有することにより、私道を自分の敷地だと主張し難くする効果があります。
■私道持分 – 敷地持ち出し型
私道持分 – 敷地持ち出し型
③敷地持ち出し型
昔から存在する私道を役所が後から位置指定道路として指定した場合は、このようなタイプが多いです。
現状を見ると道路ですが、法務局で保管されている公図上では、道路と敷地の境目が存在せず、各敷地の一部を私道に提供しています。
このような私道は、現況が幅員4mに満たないことが多く、建て替えするときには、セットバックが必要になることがありますので注意が必要です。
なるほど。
■私道持分 – 持分無し
私道持分 – 持分無し
④単独所有型(持分なし)
昔の地主や開発業者の単独名義で所有していることがあります。
私道持分がないということは・・・建て替えは出来るのですか?
私道持分がなくても絶対に建て替えできないということはありません。
しかし、私道の所有者が通行掘削を認めないと、後々トラブルになることがあるので注意が必要です。
そうですよね。
■私道持分がない物件の建て替え
実は、私道の持分の有無と建築確認の可否は関係ありません。
私道持分がなくても建築基準法で認められた道路であれば、建築確認を取得して建て替えは可能です。
しかし、私道の所有者が認めない場合は、給排水管の道路掘削工事などでトラブルになることがありますので注意が必要です。
そう考えると、私道持分が無い物件は、ちょっと怖いですね。
確かにそう思ってしまいますよね。
■私道持分と住宅ローンの関係
私道持分がないと住宅ローンを融資しない銀行があります。
ただし、フラット35なら、建築確認を取得できれば融資してもらえます。
従って、私道持分がないと住宅ローンの選択肢が狭まりますので注意が必要です。
そうなると、私道持分がない物件はダメじゃないですか。
やはり、そう思ってしまいますよね。
絶対だめでしょ。
持分というのは、多い少ないで通行する権利に違いはあるのですか?
それはあまり関係ありません。
■持分割合の多寡について
私道持分が多い人でも少ない人であっても、建て替え、通行、掘削に何の影響もありません。
しかし、持分がない物件では、住宅ローンや建て替え時に手間が増えることになります。
逆に言うと、1万分の1という小さい割合であっても、私道持分はあるべきで、持分がない物件とは雲泥の差があると言えます。
そのため、不動産を購入するときには、私道持分があるか無いかは必ずチェックする必要があります。
私道持分は、必要ですよね。
確かに、私道持分はあった方が良いです。
その言い方だと、無くても大丈夫ということですか?
「無くても何とかなる」という表現の方が適切かもしれません。
どういうことですか?
『通行掘削の承諾書』があれば、何とかなります。
『通行掘削の承諾書』ってなんですか?
7.通行掘削の承諾書とは?
持分がなくても、私道所有者から『通行掘削の承諾書』を取得できている物件であれば、建て替えや住宅ローンがスムーズに進められます。
持分がない物件を購入するときには、『通行掘削の承諾書』の有無を確認することが必須です。
通行掘削の承諾書には、下記の事項が記載されていることを確認してください。
- ① 私道を無償で通行すること(車両を含む)
- ② 私道に上下水道管などの工事で掘削をすること
- ③ 所有地を第三者に譲渡した場合であっても、上記①と②について承諾すること
- ④ 私道を第三者に譲渡することがあっても、第三者に対しても本覚書の承諾事項を承継させること
私道持分がない物件であっても、『通行掘削の承諾書』に、以上の内容が記載されていれば、建て替えや給排水管の工事などがスムーズに進みます。
また、銀行によっては、私道持分がなくても通行掘削の承諾書があれば、住宅ローンの融資が可能な銀行もあります。
従って、私道持分がない場合は、通行掘削の承諾書の存在が非常に重要になってきます。
なるほど。
『通行掘削の承諾書』は、私道持分がない物件の救世主ですね
8.私道と公道が混在しているケース
『私道でもあり、公道でもある道路』もあります。
なんですか!?それは?
東京23区内などでは、非常に道路が狭く入り組んでいるエリアもたくさんあります。
なかには、位置指定道路であっても、相続されていなかったり、法人が廃業していたりして、所有者が不明な私道もあります。
そのような私道では、通行掘削の承諾書を得られませんので、周辺住民の建て替えや給排水管工事に支障がでます。
そのため、所有権が個人や法人の位置指定道路の私道のまま、道路管理課で公道として管理をしていることがあります。
このような場合は、建築指導課では位置指定道路番号があり、道路管理課では公道として道路番号がついています。
このような道路に接道している場合は、公道として建築確認を取得できます。
宅建業者が重要事項説明書を作成するときには、公道としての道路番号と、位置指定道路としての番号の両方を記載しますが、原則、公道という認識で大丈夫です。
色々あるのですね。
9.私道に固定資産税はかかるのか?
私道には固定資産税ってかかるのですか?
私道やセットバック部分は、所有者がなんらの制限を設けず、不特定多数の人に利用されている道路であれば、その公共性を考慮して申請により固定資産税が免除されます。
ただし、客観的に道路として認定できる携帯を有している必要があります。
塀を構築していたり車庫として使用している場合は、認められません。
もし、道路として使用しているのに固定資産税が課税されているようであれば、都税事務所や市役所の資産税課に確認してみると良いと思います。
なるほど。
10.道路に見えて道路じゃない道
世の中には、一見すると道路に見えるけど、建築基準法の道路として認められていない道があります。
このような道は、『通路』または『法定外道路』と言います。
そのような道にしか接道していない土地は、建て替えができないだけでなく、不動産の価値も低く評価され、住宅ローンも利用できないことがありますので注意が必要です。
それは、『買わない方が良い私道の物件』ですね。
住宅ローンが利用できないということは、買いたくても買えないですからね。
そうですよ。
どうして、『法定外道路』というのがあるのですか?
昭和25年の建築基準法施行にともない、
原則として幅員1.8m(1間)以上の道路は、法42条2項道路としてセットバックして幅員4m以上を確保することを要件に建築基準法で認められる道路となりました。
しかし、1間よりも幅員が狭い道は、建築基準法の道路として認められないまま、今に至っています。
例えば、見た目は道路だけど実際は建築基準法の道路ではない通路ということがありますので注意が必要です。
道路は複雑ですね。
11.建築基準法43条但し書き道路とは?
家を建てるときには、建築基準法で認められた道路に接道している必要があります。
ですが、この接道義務を満たさない土地はたくさんあります。
道路に接していない敷地であっても、敷地の周囲の状況などによっては、救済措置として建築が許可される場合があります。
これを『建築基準法第43条第1項但し書きの規定に基づく許可』といいます。
建て替えできない道路の人のための救済措置ということですね。
そのとおりです。
それでは、実際の建築基準法第43条第1項を見てみます。
建築基準法(敷地等と道路の関係)
第43条 建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。
ただし、その敷地の周囲に広い空き地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りではない。
出典:建築基準法
と記載されています。
原則論があって、その後に『ただし』と書いてあるので、『43条但し書き道路』と呼ばれています。
ちょっと『法の抜け道』みたいで面白いですね。
確かにそうですね
具体的には、
敷地の周囲に公園や緑地など広い空地があるか、または、道路に準ずる(幅員4m以上確保している)通路に接していて、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可を受けられれば、再建築不可物件でも例外的に、再建築や増改築を行なうことが認められる。
出典:建築基準法
なるほど。
12.私道に入っている給排水管は誰のもの?
それでは、私道に入っている水道管というのは、誰のものなのですか?
私道に埋設されている水道管や下水道管は、一概に私設管や公設管であるとは判断できません。
私道に埋設されている水道管や下水道管が、公設管であれば、維持管理費の自己負担はありませんが、私設管になると個人負担になることがあります。
しかし、私道だからと言って必ずしも、給排水管が私設管であるとは限りません。
公道と私道、公設管と私設管は、別物ですので一概に判断できません。
不動産を売買するときには、水道局や下水道局などの台帳を確認することが大切です。
13.私道の維持管理費
やはり、私道になると維持管理費は、自分持ちなのですか?
そうです。 私道は原則、所有者が維持管理する必要があります。
ただし、多くの自治体では、地域の人たちが利用しているなど、一定の公共性を有する私道であれば、維持管理に対して補助金を出すなどの制度を設けています。
補助金が出るのであれば、私道でも維持管理費の負担が軽減されて良いですね。
まとめ
最後に私道の物件についてまとめます。
私道の不動産を購入するときには
- ①道路の種類は何か?
- ②持分はあるか?
- ③持分がなければ通行掘削の承諾書はあるか?
メリット:公道に面した土地よりも実勢価格や固定資産税評価が安いという点です。
デメリット:維持費が自己負担、自分の土地なのに自由に使えないという点です。
そのため、購入を検討する物件が私道だからと言って最初から避けてしまうのは、選択肢を狭めることになります。
私道の物件を購入するときには、利便性と価格を天秤にかけて検討すると良いでしょう。
田中先生。
本日も、ありがとう御座いました。
ありがとう御座いました。
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