大手でも安心できない! 欠陥住宅問題の真相
セキスイハイムの建築基準法違反の報道を解説
【衝撃】大手でも安心できない! 欠陥住宅問題の真相
セキスイハイムの建築基準法違反の報道を解説
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第455-1回目 (2023年4月20日放送分 前半)となります。
今回の話題
【衝撃】大手でも安心できない! 欠陥住宅問題の真相
セキスイハイムの建築基準法違反の報道を解説
今回のテーマ『欠陥住宅の有無は、会社名で判断できない』
FM鴻巣フラワーラジオ 不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
みなさん。こんにちは~。
今週は、フジコさんがお休みですので、私サッシーが番組MCをさせて頂きます。
田中先生。
本日も宜しくお願いします。
早速ですが田中先生。
今週は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
今週は、
『欠陥住宅の有無は、会社名で判断できない』
というテーマでお話をしようかと思います。
リスナーさんから、今回のテーマに関連した質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
承知しました!
ラジオネーム『まる』さんからのご質問です。
大手ハウスメーカーの注文住宅の方が安心?
田中先生こんにちは。
いつもためになる放送ありがとうございます。
子供の進学の関係で今年中に家を買おうとしています。
私の両親は、有名ハウスメーカーで建てた方が安心だと言いますが、そこまでの予算がないので、建売住宅を買うしかないかと悩んでいます。
やはり、大手で有名なハウスメーカーの注文住宅の方が安心でしょうか?
漠然とした質問ですみませんが、アドバイスをもらえると嬉しいです。
ラジオネーム『まる』さん からのご質問
ラジオネーム『まる』さんご質問ありがとう御座います。
大手でも中小でも欠陥住宅のリスクがある
やはり、大手ハウスメーカーの方が安心なのでしょうか?
結論から申し上げますと、
『住宅診断をしている私どもの立場で言うと、大手であっても、ミス工事や手抜き工事などの欠陥住宅は、存在しますので全く油断はできない。』
ということです。
日本人は、ブランドイメージで安心感を得る風潮がありますので、『大手だったら大丈夫だろう』と思う人が多いですよね。
ですが、大手であっても中小の建築会社であっても、欠陥住宅を買わされてしまうリスクは十分にあります。
そうなんですか!?
セキスイハイムで防火違反の報道
これに関連した、最新ニュース記事がありますので、ご紹介お願いします。
承知しました。
2023年4月15日付の読売新聞オンラインの記事によりますと・・・
■2023年4月15日付 読売新聞オンラインの記事
ツーユーホームアパート、界壁の施工に不備…積水化学が全国147棟で確認進める積水化学工業は14日、1987~2000年に販売した木造アパートで、遮音や防火のため天井裏に設置する「界壁」の施工に不備があり、建築基準法に適合しない物件が見つかったと発表した。
同じタイプのアパートは全国で計147棟あり、確認を進めている。施工不備が見つかったのは「ツーユーホームアパート」。
堺市の物件で入居者から指摘があり、今年1月に調査したところ、天井裏の界壁の一部に石こうボードが取り付けられておらず、壁が完全にふさがっていなかった。
工事を担当した下請け会社は複数あり、原因を「調査中」としている。
不備が判明した物件に関しては改修工事で対応する。
これは、どういう記事なんでしょうか?
この問題については、国土交通省のホームページでも公表されていたので、詳しく説明します。
■2023年4月14日 国土交通省 公表
積水化学工業株式会社が供給した住宅における建築基準法の規定への不適合について○積水化学工業株式会社より国土交通省に対し、以下の報告がありました。
(1)同社が供給した木造共同住宅6棟において、界壁の一部が施工されておらず、建築基準法に適合していないとのこと。
(2)同社が製造した国土交通大臣認定の仕様に適合しない防火設備(引違い窓)が、同社が供給した住宅2,640棟(窓数:7,998台)に設置されているとのこと。
○これを受け、国土交通省は同社に対して、調査・改修の実施等の所要の対応を速やかに行うよう指示しました。
画像引用:積水化学工業株式会社 – 共同住宅・戸建住宅における建築基準への不適合等について
積水化学工業(セキスイハイムグループ)が供給した木造アパートで、本来、小屋裏(屋根裏)にあるべき『界壁』がない。
という、建築基準法に適合していない防火違反の物件が複数あるとのことです。
画像引用:積水化学工業株式会社 – 共同住宅・戸建住宅における建築基準への不適合等について
具体的に説明すると、
例えば、アパートであれば、201号室と202号室のお部屋の間には、当然、壁があります。
これを『界壁』と言います。
この界壁は、お部屋だけでなく、屋根裏にも必要です。
そうでなければ、屋根裏を通じて、201号室と202号室を行き来できることになってしまいます。
今回、国土交通省が公表した内容によると、セキスイハイムの木造アパートの一部では、この小屋裏の界壁が無かったとのことです。
それは、防犯上アウトですよね?
そうなんです。
それに、屋根裏の界壁は防犯上だけでなく防火上も必要です。
万一、201号室が火災になった場合、小屋裏に界壁がなければ、炎が小屋裏を伝って隣の202号室に簡単に延焼してしまいます。
そのため、木造アパートの界壁は、201号室側と202号室側で、お互いに石膏ボード二重貼りで施工するのが基本です。
しかし、今回の報道では、石膏ボード2重貼りどころか、全く施工されていない物件もある。と公表されていました。
界壁というのは、防犯上だけでなく防火上も重要なのですね。
そういうことです。
過去に発覚した欠陥住宅問題
でも、このお話って聞いたことがありませんか?
何年か前のレオパレスも、似たような問題を起こしていましたよね?
■2019年2月7日 日本経済新聞の記事
レオパレス21、新たに1300棟で不備 建築基準法違反レオパレス21は7日、建築基準法違反などの疑いがあるアパートが最大で1300棟見つかったと発表した。
遮音性の基準を満たさない部材を使っていたり、仕様と異なる防火構造の部材を使っていたりした。
同社は昨年5月にも「界壁」と呼ばれる部材が未設置だった問題が発覚したが、さらに施工不良の物件数が拡大した格好だ。建築基準法違反に該当する物件は、1996~2001年に手がけた物件で、設計図では「グラスウール」という断熱材を使うとしていたが、実際には「発泡ウレタン」を充填したパネルを使用していた。
共同住宅の界壁に求められる遮音性を満たさない可能性があり、1都15県にある一部の物件が該当する。
そのとおりです。
今回、セキスイハイムグループで発覚した小屋裏の防火違反は、 2018年にレオパレスのアパートで発覚し、オーナーによる集団訴訟にまで発展した防火違反と同じです。
このニュースは大きく報道されて、当時、社会問題にもなりましたよね。
レオパレスで発覚した違反と同じ問題ですよね。
繰り返される欠陥住宅の問題
このように、大手であっても、同じような欠陥住宅問題を繰り返しています。
過去にも欠陥住宅問題って色々報道されていますよね?
そうなんです。
そこで、今回、過去に報道された大手による欠陥住宅の問題について、年表にまとめてみました。
とても興味深いですね!
それでは、この一覧をご覧ください。
■近年の欠陥住宅の問題一覧
- 2005年 ヒューザーのマンション耐震偽装問題
- 2009年 アーネストワンと一建設で新築一戸建て耐震強度不足問題
- 2014年 住友不動産『パークスクエア三ツ沢公園』マンション傾斜問題
- 2015年 三井不動産『パークシティLaLa横浜』マンション傾斜問題
- 2018年 レオパレスのアパートで防火違反問題
- 2023年 4月14日 セキスイハイムグループのアパートで界壁の不備などによる建築基準法違反
- 2023年 4月17日 大成建設、札幌高層ビルで施工不良問題、柱や梁の傾き
この表を見ると、おおよそ5年ごとに耐震、傾斜、防火違反などの欠陥住宅問題が報道されています。
これでは・・・大手だからと言って、安心できないですね。
そのとおりです。
それでは、順番に見ていきましょう。
2005年 ヒューザーの耐震偽装問題
ヒューザーがマンションの売主で、当時、一級建築士だったA氏が、耐震の安全性を証明する構造計算書を偽造したため、本来必要である耐震性能を満たさないマンションが建築されていた事件でした。
この耐震偽装問題では、売主、建築士だけでなく、その設計を審査した建築確認検査機関にも責任があるとして刑事事件にもなりました。
かなり大きな問題になりましたよね。
2009年 アーネストワンと一建設 耐震強度不足
2009年には、アーネストワンと一建設の新築一戸建ての一部で、壁量不足による耐震強度不足が国土交通省から公表されました。
画像引用:国土交通省 – 一建設(株)及び(株)アーネストワン関連物件の調査状況について(PDF)
新築一戸建てでも耐震強度不足があるのですね。
■2007年2月21日 朝日新聞デジタルの記事
強度不足は計1269棟 建て売り大手、全物件の5%戸建て住宅の大手販売会社「一(はじめ)建設」(東京都)の分譲した木造住宅681棟に強度不足が見つかった問題で、強度不足はさらに588棟増えて計1269棟にのぼることが、同社の調査でわかった。
00年6月以降に建築確認を受けた全物件約2万6000棟のうち、約5%で耐震性が欠けていたことになる。
当時(2007年)の朝日新聞デジタルの記事でも報道されましたが、2000年~2007年までの間に分譲された、2万6,000棟のうち、約5%の1269棟で耐震性が欠けていたとのことです。
新築一戸建てなのに耐震性が足りないとは、どういうことですか!?
当時の報道を見ると、強度不足の度合いは、建築基準法を1.0としたところを、大半の建物が0.8~0.9程度で、耐震性の最低基準を満たしていないという状況でした。
これに対して同社は、壁量バランスを適正にするために、筋交いを入れて耐震補強工事をしました。
新築なのに耐震補強工事をする必要があったのですね・・・。
そうなんです。
当時、私が担当したお客様の話ですが、
入居して1年後に一建設から連絡があり「点検させて下さい」と言われて、点検だけのつもりだったのに壁を壊されて、筋交いを入れて補強された。
と、激怒して私に相談してきました。
それは、お客様としてもビックリですね。
それ以来ゼロシステムズでは、大手の新築一戸建てであっても契約前には設計図面を取り寄せて、一般診断法による耐震診断のプログラムにかけるようにしています。
先程、説明した建築基準法の1.0を超えているかを、ゼロシステムズの建築士が確認して、その数値をお客様にお伝えするようにしています。
新築の耐震診断を行う不動産会社は、私が調べた限りでは、日本中探しても当社だけです。
なるほど。
耐震強度は重要ですので、素晴らしい試みですね。
マンションの傾斜問題
- 2014年 住友不動産が分譲した『パークスクエア三ツ沢公園』マンション傾斜問題
- 2015年 三井不動産が分譲した『パークシティLaLa横浜』マンション傾斜問題
■2014年8月5日 日本経済新聞の記事
横浜・三ツ沢の傾斜マンション、応急工事へ協議住友不動産が2003年に分譲した横浜市内のマンション「パークスクエア三ツ沢公園」の全5棟中、B南棟が傾斜している問題で、同社は調査結果を踏まえ、B南棟で8本、隣接するB東棟で1本、合計9本の基礎杭が支持地盤に届いていないことを認めた。
2014年7月27日に開いた住民説明会で明らかにした。
■2015年10月15日 日本経済新聞の記事
旭化成建材がデータ改ざん 横浜の傾いたマンション三井不動産グループが販売した横浜市都筑区の大型マンションが傾いている問題で、旭化成は14日、子会社の旭化成建材(東京・千代田)が請け負った杭(くい)の工事でデータの転用や加筆などの改ざんがあったと明らかにした。
旭化成は同日、調査委員会を発足させた。原因究明と再発防止にあたるとしている。
この2つのマンションが傾いたのは、建物を支える杭の一部が支持地盤まで届いていないことが原因でした。
画像引用:産経新聞 – 見抜けなかった「複合偽装」…「施工データ、すべて精査するのは無理」
マンションは、鉄筋コンクリート造の非常に重い建物ですので、杭が岩盤まで届いていないと傾いてしまいます。
その後も続く欠陥住宅問題
- 2018年 レオパレスのアパートでの界壁未施工による建築基準法違反問題
- 2023年 4月 セキスイハイムグループのアパートの一部で、5年前のレオパレスと同じ建築基準法違反問題が発覚
- 2023年 4月 大成建設による札幌高層ビルで柱や梁が傾いているという施工不良問題が報道
その後も定期的に、建築基準法違反や欠陥住宅の問題が発覚しています。
大成建設、レオパレス、三井不動産、住友不動産、一建設、アーネストワンなどは、大手で有名な企業ですね。
そうです。
このような大手であっても、現場や設計側のミスなどにより、欠陥住宅問題は発生します。
まとめ:何を頼りに物件を選べばいいのか
大手のネームバリューが信用できないとなると、私達は何を頼りに物件を選べばいいのでしょうか?
1軒1軒を見極めて吟味して選ぶことが重要
以前から申し上げているように、住宅を購入するときには、『この会社だから安心』という考え方は捨てるべきです。
住宅を建築するときには、設計、職人、現場監督など、多くの人が携ります。
その中の一人でも、ミスや手抜きをすると、致命的な欠陥住宅になる可能性があります。
そのため、住宅を購入するときには、ハウスメーカーや売主の会社名で物件の良し悪しを判断するのではなく、1軒1軒を見極めて吟味して選ぶことが重要になります。
一生で最も高価な買物の一つである住宅購入で、欠陥住宅を掴まないためには、売主やハウスメーカーに遠慮せず、積極的に専門家の住宅診断をしてもらってから契約することをお奨めします。
田中先生、今回もありがとう御座いました!
【衝撃】大手でも安心できない! 欠陥住宅問題の真相
セキスイハイムの建築基準法違反の報道を解説
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