【不動産市場】2015年と現在の建築原価を比較した!
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FM76.7MHzフラワーラジオ にて毎週放送!
レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第475-1回目 (2023年10月19日放送分 前半)となります。
今回の話題
今どのくらい物件価格が値上がりしているのか?
今回のテーマ『今どのくらい物件価格が値上がりしているのか?』
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆さま、こんにちは~。
番組MCフジコで御座います!
田中せんせい、本日も宜しくお願いします!
早速ですが、本日は、どんなお話をいただけるのでしょうか?
今回は、
『今、どのくらい物件価格が値上りしているのか?』
というテーマでお話していきます。
今は何でも値上げの時代ですからね~。
ぜひ、お願いします。
それではリスナーさんから今回のテーマに関連した質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:シンゴさんからのご質問です。
質問『これからも、新築の価格は値上りするのでしょうか?』
田中先生、こんにちは。
いつも勉強になります。
我が家では、2年くらい前から、新築を買おうと検討しております。
だけど、探し始めた当時より、今は、とても高くなってしまい、ちょっと困ってます。
これからも、新築の価格は値上りするのでしょうか?
今後、安くなることは無いのでしょうか?
田中先生の見立てを教えてください。
ラジオネーム:シンゴさんからのご質問
ラジオネーム:シンゴさん。
ご質問ありがとうございます。
近年、物件価格は「ずいぶんと値上りした。」と言われていますが、実際はどうなんでしょうか?
値上りしていますね。
例えば
- ・東京都府中市
- ・駅から徒歩圏内
- ・土地面積が30坪台
- ・新築一戸建て
2年くらい前だったら、5,000万円前半くらいで購入できました。
しかし今では、5,000万円台後半になってしまいました。
という事は、1割から2割くらい高くなったということですか?
そうですね。
それくらいは高くなりました。
なぜ、そんなに値上りしているのでしょうか?
それは、建築費用と土地価格の両方が値上りしているからです。
それでは
『今、建築費が、どれくらい値上りしているか?』
という事から説明しますね。
お願いします。
『建設物価建築費指数』から予測する
一般財団法人建設物価調査会というところで『建設物価建築費指数』 という統計データが公表されていますのでご紹介します。
一般財団法人建設物価調査会
『建設物価建築費指数』というのは、どのような指数なのですか?
これは、一般財団法人建設物価調査会が作成した、建築物の工事価格の動向を把握するための、物価指数のひとつです。
なるほど。
2015年の建築費と比較する
それでは、この指数を使って、2023年9月の建築費は、2015年と比較して、どれくらい高くなっているかを解説します。
■鉄筋コンクリートの集合住宅(マンション)の建築原価
まずは、鉄筋コンクリートの集合住宅(マンション)の建築原価です。
2015年を100とすると、2023年9月の工事原価は、125.8となります。
2015年と比較すると、25%以上も値上りしたということですね。
そうなんです。
新築マンションが値上りしている要因の一つが、建築原価の高騰でもあるということが分かりますよね。
はい。
わかりますね。
■新築一戸建ての工事原価
新築一戸建ての工事原価は、2015年を100とすると、2023年9月は132.8です。
2015年と今を比較すると、工事原価は3割以上も高くなっているんです。
32%以上も高くなっているんですね!
建築費の中で何が値上がりしているのか?
それでは、建築費の中で何が値上がりしているのか?
という内訳を具体的に調べてみます。
こちらも、一般財団法人建設物価調査会の『建設物価建築費指数』を使って解説します。
■鉄筋コンクリートの集合住宅(マンション)の内訳
引用・出典:一般財団法人建設物価調査会 – 建築費指数統計表
2015年を100とした場合・・・
- ・仮設工事費:104.8
- ・土木関連(土工・地業):119.2
- ・躯体:136.7
- ・仕上げ:130.5
- ・電気設備:122.3
- ・水道設備:123.2
- ・空調:114.0
です。
鉄筋や鉄骨、そして、コンクリートなどが値上がりしています。
この表でいうと躯体工事にかかわる費用が、136.7と一番値上りしています。
内装で使われる建材も値上りしていますので130.5と値上がり率が高いです。
クロスやフローリングなどの価格が値上りしている影響だと思われます。
なるほど。
それでは、新築一戸建ては、どうなのでしょうか?
■木造新築一戸建て住宅の内訳
引用・出典:一般財団法人建設物価調査会 – 建築費指数統計表
それでは、木造住宅の『建設物価建築費指数』を見てみます。
2015年を100とした場合・・・
- ・基礎工事:128.5
- ・木工事(木工さん):158.1
- ・屋根工事:128.1
- ・サッシ類(金属製建具):112.9
- ・内外装:128.4
- ・電気設備:120.5
- ・水道設備:122.5
になります。
近年、最も値上りしているのでは、大工さんが関係する木工事費用ですね。
・木工事:158.1
ですので、非常に値上りしています。
次に
- ・基礎工事:128.5
- ・屋根屋工事:128.1
大工さんと、屋根屋さんは、ずいぶんと値上りしていますね。
そうですね~。
現場では人材不足ですので、その辺も影響しているのかもしれませんね。
火災保険の補償額も高く設定する必要がある
少し話は、それてしまいますが、新築一戸建てを購入すると、皆さん、必ず、火災保険に入りますよね。
その火災保険の補償額も今までよりも、高く設定する必要があります。
ひと昔前までであれば、30坪くらいの木造2階建ての建売住宅であれば、「1,500万円くらいの火災保険に入ってください。」とアドバイスしていました。
今では「建築費が高騰していますので、1,800~2,000万円くらいの火災保険に入ってください。」とご説明しています。
そうなんですね。
ご紹介した『木造の建築費指数』と同じ割合で、2015年を100とした場合、2023年9月は132.8です。
建築費1,500万円だった場合
建築原価 1,500万円 × 1.328 = 1,992万円
1,992万円まで値上りしている事になります。
なるほど。
そのように数字で説明されると、確かに納得できます。
土地の価格も値上がりしている
今度は、物件価格の値上りの要因を、地価高騰の面から説明します。
地価高騰の面から解説
土地の値段も値上がりしているのでしょうか?
土地の価格も値上がりしています。
フジコさん、これに関連したニュース記事のご紹介をお願いします。
承知しました。
2023年9月19日付の日本経済新聞によると・・・
東京都の基準地価、商業地2年連続上昇 住宅は11年連続東京都が19日発表した2023年の都内の基準地価(7月1日時点)は、商業地が4.5%上昇し、2年連続のプラスとなった。
新型コロナウイルスによる経済活動の影響が薄れ、島しょ部を除き下落地点はなかった。
住宅地は3.0%の上昇で前年(1.5%上昇)よりも上げ幅が拡大し、11年連続の値上がりとなった。
ありがとう御座います。
内容は、
- ・9月19日に東京都が発表した2023年の基準地価では、商業地が4.5%上昇して、2年連続のプラスとなりました。
- ・諸島以外は下落地点ありませんでした。
- ・住宅地は、3.0%の上昇で、前年よりも上げ幅が拡大して、11年連続の値上がりとなりました。
地価高騰の面から解説
建築費だけでなく、土地の価格も値上がりしているのですね。
このグラフを見て頂くと分かるかと思います。
日経の記事によると、2020年のコロナショックの時期を除き、2010年から、基本的に地価は、ずっと値上りし続けております。
■都内で地価が高騰しているエリア
本当ですね~。
都内だと、どこが一番上昇しているのですか?
上昇率4位から1位まで、全てが浅草です。
浅草ですか!?
・・・あっ!
外国人観光客が増えたからですね?
さすがフジコさん!
その通りです。
浅草は、国内有数の観光地で、インバウンドの回復が影響していると思われます。
そして、5位、6位は、各鉄道が乗り入れする北千住駅近くのエリアが値上りしました。
なるほど。
インバウンドの影響が大きいんですね。
■住宅地について
それでは、住宅地についても見てみましょう。
日本経済新聞の記事によりますと、東京都内全体の住宅地の基準地価は、3.0%上昇とのことです。
23区内に絞りますと、4.2%の上昇、多摩地域では、2.1%の上昇です。
やはり、住宅地も上昇しているのですね。
そうですね。
一方で、町田や八王子などで、駅から遠い一部地域では1%程度下落しているというエリアもあります。
どこでも値上りしている訳ではないんですね。
そうなんです。
日本では、今後、人口が減少していきますので、市区町村では、一定のエリアに人口を集中させて効率的なインフラ整備ができるようにコンパクトシティ化を目指しています。
■居住誘導区域と都市機能誘導区域
多くの市区町村では、駅から近くのエリアを都市機能誘導区域に設定して、その周囲を居住誘導区域と設定しています。
都市機能誘導区域には、商業施設や行政サービスの施設を充実させて、その周囲を居住誘導区域として、住宅地を形成するようにしていきます。
- ・マンションを購入するのであれば、都市機能誘導区域内
- ・一戸建てを購入するのであれば、居住誘導区域
にある物件を選べば、今後もある程度人口密度が維持されて、不動産価格が値下がりし難いと言えます。
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建築費が安くなる要素が見当たらない
この値上りは、今後も、まだ続くのでしょうか?
現在、ロシアとウクライナ、イスラエルとハマスとの戦争が起きています。
戦争が勃発すると石油価格が値上りして、コモディティ価格も値上りしますので、世界的なインフレとなります。
日本でも輸入品の価格も値上がりしますので、コストプッシュ型のインフレが進むことが予想できます。
この状況を見ますと建築費安くなる要素は考えられません。
今後、しばらくは高値安定が続くことが予想できます。
なるほど。
まとめ
今回のお話をまとめますと、
- 建物の工事原価は、2015年と比べて2023年は、マンションは、1.25倍、新築一戸建ては1.32倍まで上昇している。
- 土地の価格も、駅から遠くて利便性が悪い一部のエリアを除いては値上りしている。
- マンションを購入するなら都市機能誘導区域内。一戸建てを購入するなら居住誘導区域内。
- イスラエルやウクライナの戦争が終わるまではインフレが続くから、建築原価が安くなることはない。
という感じです。
ご質問者様のシンゴさん
おわかり頂けましたでしょうか?
不動産せんせい田中の『教えて不動産の知恵袋』
後半も宜しくお願いします!
【不動産市場】2015年と現在の建築原価を比較した!
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