【中古マンション】修繕積立金が不足している中古マンションが急増中!
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第482-1回目 (2023年12月21日放送分 後半)となります。
今回のテーマ『修繕積立金が不足しているマンションが急増』
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆さま、こんにちはー。
番組MCのフジコで御座います。
田中先生。
番組後半も宜しくお願いします。
後半は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
後半は、
『今、修繕積立金が不足しているマンションが急増している!
これからマンションの購入を検討している人に向けた注意点。』
について解説していきます。
修繕積立金が不足しているマンションって、何だか怖い雰囲気ですね。
とても興味深いです。
ぜひ、お願いします。
それでは、フジコさん。
リスナーさんから質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:ビバ さん からのご質問です。
質問:修繕積立金の適正価格を知りたい
田中先生。フジコさん。こんにちは。
チャンネル登録して、欠かさず視聴しています。
先週、築2年の中古マンションを内見してきました。
まだ、新しくとても綺麗だったので、妻も私も、ともても気に入って、具体的に購入を検討しています。
ちょっと気になったことがあるので質問させてください。
このマンションの修繕積立金は4,000円と、非常に安く設定されていました。
営業の人に聞いたところ
「築年数が新しいマンションの修繕積立金は、低く抑えられているからお得なんですよ。」
と言われました。
このようなマンションは、将来、修繕積立金が値上りする可能性が高いのですよね?
いくら位が適正なのでしょうか?
マンションを購入する時の注意点として、番組で取り上げて頂ければ嬉しいです。
何卒お願いします。
ラジオネーム:ビバ さん からのご質問
ラジオネーム:ビバ さん
ご質問ありがとう御座います。
段階増額積立方式の場合、値上げされる可能性が高い
修繕積立金が低く抑えられている築浅の中古マンションは、段階増額積立方式であることが多いです。
段階増額積立方式の場合、将来、修繕積立金が値上げされる可能性が高いです。
と言うか…
4,000円というのはとても安い設定なので、値上げしなければ、大規模修繕工事を実施することは不可能です。
そうですよね。安すぎますよね。
はい。
中古マンションの購入を検討するときには、不動産会社から配布される広告図面だけでなく、管理会社が発行している『重要事項調査報告書』も確認する必要があります。
重要事項調査報告書?
それには、何が記載されているのですか?
はい。
マンションの管理に関する、ありとあらゆることが書いてます。
例えば、
- ・管理費や修繕積立金の額
- ・マンション全体で積立てられている修繕積立金の額
- ・管理費や修繕積立金の滞納額
- ・修繕積立金の増額予定
なるほど。それは、大事な書類ですね。
それって、管理会社に依頼するともらえるのですか?
基本的に区分所有者や媒介契約を結んでいる不動産業者でなければ、取得できません。
内覧して具体的に購入を検討する段階で、不動産会社経由で入手する必要があります。
なるほど。
不動産会社経由になるんですね。
修繕積立金について深掘りする
それでは、ここからは、マンションの修繕積立金について深掘りしていきます。
ぜひ、お願いします。
まずは、修繕積立金の積み立て方について詳しく説明していきます。
修繕積立金は、マンションにとって長期的な維持管理に不可欠な資金です。
近年、この修繕積立金が不足しているマンションが増加しています。
その要因のひとつが、修繕積立金の徴収方法の違いにあります。
修繕積立金の積み立て方は2種類ある
修繕積立金の方式を大きく分類すると『段階増額積立方式』と『均等積立方式』の2種類があります。
多くの新築マンションでは、段階増額積立方式を採用していますので年々積立額が値上りしていきます。
それでも修繕積立金が追いつかないため当初の計画以上の値上げを検討しているマンションが増えています。
2018年時点の国交省の調査データによると、修繕積立金残高が不足しているマンションの割合は34.8%に昇っています。
■国交省のマンション総合調査結果
引用:国土交通省 – 平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
そのことを知らずに、購入したユーザーは、大変ですよね。
段階増額積立方式の特徴
『段階増額積立方式』とは、新築当初は、修繕積立金の額を低く抑えて、5年後10年後など時間の経過とともに段階的に修繕積立金を値上げしていくという考え方です。
現在、多くの新築マンションでは、販売促進につなげるために、購入後の初期のランニングコストを低く抑えられる『段階増額積立方式』を採用しています。
しかし、マンションを維持管理するうえで重要な修繕工事に必要な費用の課題を先送りしているという側面があります。
それって、何だか、よろしくない感じですね…。
私もそう思います。
だけど、これが現実なんです。
段階増額積立方式の課題
段階増額積立方式の課題について解説します。
■1.時間の経過とともに家計の負担額が増える
新築当初は、修繕積立金が低く抑えられていても、時間の経過とともに増額すると、所有者の家計の負担も増加します。
そのため、そのタイミングでマンションの売却を検討するユーザーが増える物件もあります。
積立金が値上りしたら、出て行きたくなる気持ちもわかります。
■2.修繕積立金を増額時に所有者間での合意を得る難しさ
修繕積立金を増額する際には、管理組合の総会での決議が必要とされ、一定数の賛成票が必要になります。
しかし、所有者の高齢化が進むと、日々の家計への負担に繋がる修繕積立金の値上げに対する合意を得ることが困難になる傾向にあるマンションが増加しています。
これは、特に年金収入に依存する高齢の所有者が多い場合に顕著です。
年金で生活している高齢者にとっては、値上げに反対したい気持ちはわかります。
■3.長期修繕計画の実施が不確実になる可能性
マンションの価値を持続可能なものにするためには、計画的な修繕工事が必要です。
段階増額積立方式では、将来的に積立金額が不足して、予定通りに大規模修繕工事が実施できないマンションも珍しくありません。
特に近年は、インフレ時代となり、建築原価が値上がりしています。
そのため、当初の計画よりも大規模修繕工事にかかる費用が高くなっています。
均等積立方式の特徴
次に『均等積立方式』の特徴について説明します。
均等積立方式とは、長期修繕計画をもとに将来にわたり必要な修繕費用の総額を算出して、新築当初から一定額を徴収するという考え方です。
一般に、均等積立方式は、段階増額積立方式と比べて、新築当初の月々の積立額が割高になることがありますが、家計の負担額が一定であるため、将来の資金計画が立てやすくなります。
また、マンションの修繕に必要な費用を着実に積み立てられるので、安定した維持管理が実現できます。
なるほど。
均等積立方式の方が、堅実な感じがしますね。
将来的に修繕積立金が高くなってしまうのは仕方ないこと
そうなると、将来的に修繕積立金が高くなってしまうのは仕方ないのですか?
そうですね。
特に、段階増額積立方式を採用しているマンションにおいては、ある程度は仕方ないと思います。
修繕積立金不足を防ぐマンションの工夫
マンションとしても、経費削減など、支出を抑える工夫などはできないのですか?
そうですね。
修繕積立金額が不足しているマンションにおいては、所有者の修繕積立金負担額を増額する以外にも、マンション全体で積立額を補充する工夫が必要になります。
その工夫をいくつかご紹介します。
修繕積立金の負担を減らすための工夫案
■1.マンションの長寿命化促進税制の活用
この制度を活用すると、長寿命化工事が実施された場合には、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額が1/6~1/2の範囲内で減額されますのでランニングコストを抑えられます。
また、この制度は、必要な修繕積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成の後押しにもつながる効果があります。
引用:国土交通省 – 『マンションの大規模修繕をすると固定資産税が減税されます!』(PDF)
税金の優遇は効果的ですね。
■2.補助金や助成金を活用した設備投資
地方自治体や国などの補助金や助成金を利用して、電気や水道などのエネルギー効率が高い設備への改修をすることで共用部分のランニングコストを抑えるという方法です。
マンションの管理組合は、最新の助成金や補助金の情報に常に注目し、適切な設備投資の機会を見逃さないよう、継続的な情報収集が大切です。
■3.共有部分の有効活用
・需要の低い駐車場を外部に賃貸する
・屋上や外壁の一部などに広告看板を設置する
など、マンションの共用部分を賃貸して収益を得るという方法です。
また、マンションでの総会や理事会は公民館などの公共スペースで行うことにして、
『使用頻度が低い集会室や会議室は、居室や事務所などに改装して外部に賃貸することで収益を得る。』
という方法もあります。
なるほど!
そういうアイデアは必要ですね。
■4.管理会社の変更
管理組合で委託している管理会社やエレベーター管理会社を、メーカー系から独立系に変更するだけでも、コスト削減を実現できることがあります。
これは、住民の負担を強いることなくできるコスト削減の方法のひとつです。
競争原理が働くと安くなりますからね。
そうですね。
長期的なコスト削減と、マンションの維持管理の質を向上できる可能性があります。
今後の方向性とマンション選びのポイント
新築マンションの分譲業者は段階増額積立方式を推しています。
現状では下記のような状況になっています。
■マンション全体の割合
- 均等積立方式:41.4%
- 段階増額積立方式:43.4%
■平成22年以降に新築されたマンションでは…
- 均等積立方式:23.6%
- 段階増額積立方式:67.8%
しかし、国土交通省では、マンションの維持管理を持続可能なものにするために、堅実な均等積立方式を推奨しています。
引用:国土交通省 – 平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
適切な修繕積立金の判断基準
それにしても…
私たち、ユーザーにとっては、適正な修繕積立金と言っても分からないですよね。
適切な修繕積立金の額というのは、何を判断基準にすれば良いのですか?
それに関して、こちらの表をご覧ください。
国土交通省より令和4年9月に改訂された『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』では、修繕積立金の平均額の目安が明記されているんですよ。
引用:国土交通省 – マンションの修繕積立金に関するガイドライン
これによると、地上20階未満、延床面積5,000㎡未満のマンションであれば『専有面積1平米あたり235円~430円で、平均値では335円/㎡・月』とされています。
例えば、専有面積70平米のマンションであれば、16,450円~30,100円、平均値では、23,450円となります。
マンション全体の規模や階数、機械式駐車場の有無によって修繕積立金の目安は異なります。
これからマンションの購入を検討するのであれば、このガイドラインを一度見てみると良いです。
■積立金が4,000円では安すぎる
そうすると、ご質問者様の4,000円という積立額は激安ですね。
まとめ:マンション選びのポイント
今回のまとめは以下の通りです。
- ・購入を検討している物件の修繕積立金額が、国交省のガイドラインよりも著しく低い場合は『段階増額積立方式』である可能性が高い。
- ・その場合、将来、修繕積立金が値上りされることも想定の範囲内として購入を検討する必要がある。
- ・今後、マンションの購入を検討しているユーザーは、修繕積立金の徴収方法の違いにも着目して、維持管理が将来的に持続可能な物件であるかという点にも注意することが大切。
上記を踏まえて、今回のお話も、五・七・五の標語にしてみました。
積立金
安すぎ物件
気をつけろ
以上です。
それ、毎回の恒例にしようとしていませんか?
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田中先生、ありがとう御座いました。
今回も勉強になりました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
次回もよろしくお願いします!
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