【住宅ローン】金利上昇の可能性を日銀総裁会見から考察
~2024年春マイナス金利解除~
【住宅ローン】金利上昇の可能性を日銀総裁会見から考察。2024年春マイナス金利解除
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第487-1回目 (2024年1月25日放送分 前半)となります。
今回のテーマ『今後の住宅ローン金利は、いつ、どのくらい上昇するのか?』
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆さま、こんにちはー。
今週は、番組MCサッシーが担当させていただきます。
田中先生。本日も、宜しくお願いします。
早速ですが、田中先生!
本日は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
今週は、2024年1月23日までに行った金融政策決定会合での日銀植田総裁の発言から、
『今後の住宅ローン金利は、いつ、どのくらい上昇するのか?』
について考えていきます。
画像引用:NHKニュース – 日銀 大規模な金融緩和策の維持を決定 金融政策決定会合で
ぜひ最後までご覧ください。
それは興味深いです。
田中先生よろしくお願いします。
画像引用:東京新聞 – 日銀、大規模金融緩和を維持 全員一致、低金利で賃上げ後押し
今回の金融政策決定会合で日銀は、引き続き大規模な金融緩和策を維持することを決めました。
日銀は、2%の物価安定目標が賃金の上昇を伴う形で達成される見通しが立てば金融緩和策を転換する方針ですが、引き続き、物価や賃金の動向を丁寧に見極める必要があると判断しました。
そこで、今回の金融政策決定会合での植田総裁の発言の中から、住宅ローンに関連しそうな12の発言に注目して、一つひとつ考察します。
消費者物価の上昇率 2%に向け 確度は少しずつ高まっている
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「来年度にかけて2%上回る水準で推移した後、2025年度はプラス幅が縮小すると予想しています。前回の展望レポートからの比較でみますと、来年度の見通しは下振れていますが、これは、このところの原油価格下落の影響が主因です。」
「この間、消費者物価の基調的な上昇率は、見通し期間終盤にかけて、2%の物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくとみています。先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっていると考えています。」
住宅ローンとの関係
植田総裁は、
「消費者物価の上昇率 2%に向け 確度は少しずつ高まっている」
と述べました。
今年中に2%の物価安定目標を達成する可能性は高いけれど、2024年をピークに、2025年はプラス幅縮小すると予想していることから
- 2024年:住宅ローン金利が0.1%程度上昇する可能性がある。>
- 2025年:それ以上金利が上昇する可能性は少ない。>
■2023~2025年度の政策委員会の体制見直し
画像引用:日本銀行 – 経済・物価情勢の展望(2024年1月)PDF
住宅ローン金利は、少し上がる可能性がある。
ということですね?
そういうことです。
粘り強く金融緩和を継続
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴うかたちで、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指していく方針です。」
住宅ローンとの関係
植田総裁の発言の要点は、日本銀行が不確実な経済状況の中でも、金融緩和を続けていくという方針です。
これは、物価が安定的に2%上昇する目標を達成するためで、賃金の上昇も含めた経済成長を目指すということです。
従って、この金融緩和が続く限りは、住宅ローンは低金利が続くということです。
そうなると、どのようなタイミングで金融緩和政策の見直しがあるのかが気になりますね。
それは、次の発言がヒントになります。
賃金と物価の好循環 強まっていくか確認
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「春季労使交渉に向けて労働組合側からは昨年を上回る賃上げを要求する方針が示されています。」
「また、大企業を中心に、経営者から賃上げに前向きな発言もみられています。」
「この先も、春季労使交渉の動向を含め、各種のデータ、情報を丹念に分析し、賃金と物価の好循環が強まっていくか確認していきたいと思います。」
住宅ローン金利との関係
今年の春闘で物価上昇に伴う賃金上昇が確認できたタイミングで、景気の好循環が実現できたと判断された場合、マイナス金利が解除される可能性があります。
マイナス金利が解除されると、その後に住宅ローン金利が上昇する可能性があります。
春闘での賃上げの可能性が気になりますね。
日本経済は、順調に進んでいるのでしょうか?
そうですね。
それでは、それに関連する、次の発言を見てみましょう。
物価見通しに沿って経済が進行
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「基調的な物価上昇率ですが、これは見通し期間終盤にかけて、物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくという見通しが実現する確度は引き続き少しずつ高まっていると申し上げた通りでございます。」
「ざっくり申し上げれば、これまでの物価見通しに沿って経済が進行しているということが確認できたということになるのかなと思います。」
「まだ必ずしも自信が持てないというふうに申し上げていた中で、もう一回点検をしてみたら、同じような見通しが、中心的な見通しであるということになったという辺りが、一番見通しの確度が上昇したということの根拠になります。」
住宅ローンとの関係
ちょっと分かり難い言い回しですが要約すると・・・
「4月26日の経済・物価上昇の展望を公表するまでに、物価上昇に沿った経済の好循環が順調に進行していることを確認することが出来れば、日本経済が順調に進行している根拠になる。」
と言うことです。
住宅ローンに関しては、その結果次第では、金利上昇する可能性はあるかもしれません。
■政策委員の経済・物流見直しとリスク評価
画像引用:日本銀行 – 経済・物価情勢の展望(2024年1月)PDF
そうなると、日銀の金融政策の判断が非常に気になりますね。
そうですね。
それでは、次の発言を見てみます。
マイナス金利政策の継続判断
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「マイナス金利そのものについては、どういう副作用があるかということは、これまでいろいろ分析ないし論じられてきた通りだと思いますが、依然としてある程度副作用があるということは否定できないと思いますので、ベネフィットとの関係で、更に物価安定目標の実現にどれくらい近づいているかということの関連で、その継続の是非を判断するということに当然なるということだと思います。」
この発言内容から読み取れること
- マイナス金利政策の副作用 → 例:銀行の金利による収益が減少する。
- マイナス金利政策のベネフィット(マイナス金利が経済にもたらす良い影響) → 銀行がお金を貸しやすくなり、企業や個人が低い金利でお金を借りられる。
物価安定目標の進捗次第で、マイナス金利政策を継続するかどうか判断するということになります。
これにより、投資や消費が増え、経済が活性化されることが期待されます。
物価安定目標の進捗と副作用を天秤にかけて、マイナス金利政策を継続するかどうか判断するということになります。
そうなると、日銀の動向は見逃せませんね。
不連続性発生する政策運営避けられるのではないか
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「深刻なあるいは大きな不連続性が発生するような政策運営は、現在みている経済の姿からすると、避けられるのではないかというふうにみております。」
住宅ローンとの関係
ここで言う不連続性とは、マイナス金利解除したとでも金利が急上昇するようなことはしないという意味です。
従って、住宅ローン金利は、急上昇することはないと判断できます。
なるほど。これは、重要なことですよね。
ということは、田中先生。
今後も低金利政策は続くということですか?
そうですね。
それは、次の発言からも読み取れます。
マイナス金利解除も緩和的な金融環境続く
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「仮に物価見通しの達成が視野に入って、マイナス金利を解除するということになったとしても、きわめて緩和的な金融環境が当面続くということは言えるのかなということでございます。」
住宅ローンとの関係
もし、マイナス金利が解除されても極めて緩和的な金融環境が当面続くということです。
住宅ローン金利は、政策金利の上昇幅に連動する程度の上昇はあるかもしれませんが、急上昇する可能性は低いといます。
例えば
- マイナス0.1%がゼロ金利になって
- 順調に経済が進行して
- 政策金利がプラス0.1%に上昇した
「きわめて緩和的な金融環境が当面続く」と言うことは、米国のようにプラス0.25%ずつ利上げするような金融引き締め政策は行わないと予想できます。
そうですよね。金利を急上昇させるような舵取りはするわけがないですよね。
極端な金融政策の変更は経済にダメージを与える可能性が高いですからね。
実質賃金プラスに転じる見通しあれば政策正常化妨げない
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「実質賃金上昇率がずっとマイナスであるという見通しでは物価目標の達成には遠いというふうに思いますけれども、前回もそういうやり取りがあったかもしれませんが、足元でマイナスであっても、近い将来プラスに転じるという見通しがあれば、それは政策の場合によっては正常化を必ずしも妨げるものではないというふうに思います。」
住宅ローンとの関係
言いかえると、
「日銀は、実質賃金が現在マイナスであっても、将来的に実質賃金がプラスに転じる(給料の上昇ペースが物価上昇を上回る)と予想されるならば、金融政策を変更しても良いと考えている。」
と言うことです。
従って、近い将来マイナス金利政策を変更する可能性は十分にあるので、住宅ローン金利も上昇する可能性があります。
「近々、マイナス金利政策を見直します。」と言っているようなものですね。
デフレとはかなり遠いところに来ている
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「私どもの政策の判断基準は、2%のインフレ率の持続的・安定的な実現というところです。デフレを文字通りとりますと、マイナスのインフレ率ということですので、そういう状況とは、もうかなり遠いところに現在来てるなというふうには思っておりますけれども。」
住宅ローンとの関係
植田総裁は、
「今の日本経済がデフレ脱却という観点でみて最終段階、最終局面にあるのか、そのご認識を教えてください。」
と問われたのに対して
- ・現在の日本はデフレとは遠いところにある
- ・現時点では日銀の目標である2%のインフレ率には達成していない
この発言から『住宅ローン金利は今すぐ上昇することはない』と読み取れます。
なるほど。
能登半島地震の影響「丁寧に見ていきたい
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「仮定の話ですけれども、非常に大きなマイナスのマクロ的な影響が発生するということになれば、出口への判断に強いマイナスの影響を及ぼすということになるかと思います。」
住宅ローンとの関係
『地震によって日本経済が大きく悪影響を受けた場合、日銀は現在の金融緩和政策を続けるか、さらに強化する可能性がある。』
ということを意味する発言です。
大規模な自然災害が発生すると金融政策にも大きく影響することとなり、住宅ローン金利の行方にも影響すると言えます。
いつどのような自然災害が起こるかわからないですからね。
人件費上昇分の価格転嫁、少しずつ進んでいる
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「これは全ての企業ではないと思いますが、ある程度のところで、価格交渉の際に、例えば原材料コストの上昇は転嫁できるけれども賃金の上昇はなかなか転嫁しにくい、あるいは転嫁するための売り手と買い手の交渉で使われるフォーミュラ、式のようなものに賃金が入ってないとかいう話をよく聞いたり致します。」
「ただ、それも、一つには、賃金上昇がどれくらい続くかということに応じて変わってくるという見方も聞きます。それから社会的に、昨日も政労使での会議があったりしましたけれども、転嫁は望ましいという雰囲気が広がるかどうかというようなことも影響するというふうに思っておりますので、絶対無理だというわけではないと思いますし、少しずつ転嫁は進んでいくというふうにみております。」
「やはり中小は作ってる製品の買い手との交渉の中で立場が弱いということもあると思いますので、社会的に例えば賃金の価格への転嫁ということがある程度までは望ましいんだという規範といいますか、そういうものが醸成されるということは、プラスに働くというふうに思います。」
※フォーミュラ → 慣習的な行動
住宅ローンとの関係
これは住宅ローン金利と直接的には関係ありませんが、間接的に影響します。
植田総裁は、
「賃金の上昇が価格に反映されにくいが、賃金上昇の継続や社会的な価格転嫁の望ましさの認識が広がることで、徐々に転嫁が進む。特に中小企業では、賃金の価格転嫁が進むためには、社会的規範の形成が重要で、これが中小企業の立場を強化する。」
と言う旨の指摘をしています。
現在、賃金の上昇が価格に反映されにくい状況ですが、賃金上昇の継続や社会的な価格転嫁の望ましさの認識が広がることで、徐々に転嫁が進むと述べています。
特に中小企業では、賃金の価格転嫁が進むためには、社会的規範の形成が重要で、これが中小企業の立場を強化すると指摘しています。
物価上昇にともない皆さんのお給料も少しずつ上昇する可能性があるということです。
今後、皆さんの年収もアップする可能性があるので、住宅ローン金利が上昇しても、経済的な負担が軽減されることもあるということです。
ただし、これからマイホームを購入するユーザーは、物件価格が値上りしている可能性があるので、一概に手放しで喜べないかもしれません。
金利上昇と物価上昇に負けないくらい、賃金が上昇すれば良いということですね。
そうですね。
それが日銀が目指している好循環ということですからね。
展望レポート公表が無い会合でも政策変更あり得る
総裁記者会見―2024年1月23日(火)午後3時30分から約65分 – 植田総裁の発言「展望レポートは年4回で、決定会合は年8回ですので、決定会合ではそのときの判断で必要に応じて政策変更するということは前提ですので、展望レポートがない回でも政策変更はあり得るということです。」
■経済・物価情勢の展望(2024年1月)
画像引用:日本銀行 – 経済・物価情勢の展望(2024年1月)PDF
住宅ローンとの関係
日銀の政策修正の判断は、年に4回公表される『展望レポート』に限定されません。
日銀は年に8回の決定会合を開催しており、各会合で現時点での経済状況や市場動向に基づいて、必要に応じて政策変更を行うことができます。
つまり、展望レポートの公表がない会合でも、状況に応じて金融政策の変更を行うことが可能だと述べています。
これは、日銀が柔軟に政策を調整し、現状に即した判断を下すことができるという意味合いを持っていますので、住宅ローンユーザーの方たちは、今後の金融政策と金利の行方をしっかりチェックしていくことが大切です。
このように日銀総裁の発言を読み解いてもらうと、今後の日本の金融政策が少し見えてきた感じがします。
まとめ
今回のお話をまとめますと、以下のようになります。
- ・2024年は、日銀が目標としているインフレ率2%が安定的に達成できる見込みにあります。
- ・春闘で賃金上昇が実現できれば、マイナス金利政策を解除して、ゼロ金利にする可能性があります。
- ・ただし、経済・物価情勢の展望レポートによると、2025年は、物価上昇率は縮小する見込みです。
- ・住宅ローン金利は、2024年は、若干の上昇はあるかもしれません。
- ・2025年に入ると、それ以上に金利が上昇する可能性は低いと予想。
それでは!
今回も、五・七・五の標語にまとめてみました。
お願いします・・・。
先行きも
理屈を知れば
怖くない
先行きの不確実性に対しても、背景やメカニズムを理解すれば、対処しやすくなるという考えを表現してみました。
毎回よく考えますね・・・。
最近、何でも、五・七・五にしてしまいます。
そうなんですね。
田中先生ありがとうございました。
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