【危険!】現代の新築でも耐震不足の手抜かり工事
・チェックポイントと注意点
【危険!】現代の新築でも耐震不足の手抜かり工事ある・チェックポイントと注意点・こんな建売住宅には気を付けて!その①
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FM76.7MHzフラワーラジオ にて毎週放送!
レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第488-1回目 (2024年2月01日放送分 前半)となります。
今回のテーマ『耐震強度に関わる新築の欠陥』
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆さま、こんにちはー。
番組MCのフジコで御座います。
本日も、宜しくお願いします。
田中先生!
本日は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
今週は『耐震強度に関わる新築の欠陥』というテーマでお話して行きます。
やはり、今の新築でも欠陥住宅はあるのですか?
さすがに耐震に影響する大きな欠陥というのはないですよね?
現代の新築であっても、欠陥住宅はあります。
私ども、ゼロシステムズで住宅診断をしていると、耐震や防火の性能にかかわる大きな欠陥を発見します。
そこで今回は、ゼロシステムズのスタッフ 野方さん が発見した欠陥をご紹介させていただきます。
野方さんは、新築の欠陥例などを毎日Xに投稿しているので、ぜひ皆様フォローしてください。
https://t.co/GTo6Q1sf8j https://t.co/s8mW0l6GRn
— 野方実|ゼロシステムズ|住宅診断|不動産 (@DVvR5SM29k77460) 2023年8月9日
それでは、フジコさん。
リスナーさんから質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:ヤマトさん からのご質問です。
質問:新しい家でも倒壊したという報道を目にして非常に心配になりました
田中先生。こんにちは。
いつもYouTube拝見させて頂いています。
私は、これから新築一戸建てを購入しようと、いろいろ模索しています。
新年早々、能登半島で大きな地震があり、比較的新しい家でも倒壊したという報道を目にして非常に心配になりました。
そこで田中先生に質問です。
今の新築だったら、きちんと建築されているから、地震で倒壊することはないのでしょうか?
どのような新築が倒壊したのでしょうか?
ラジオネーム:ヤマトさん からのご質問
ラジオネーム『ヤマトさん』ご質問ありがとう御座います。
現代の新築でも震度7以上で倒壊する可能性は、ゼロではない
- ・今の新築であれば、地震で倒壊することはないか?
- ・どのような新築が倒壊したのか?
結論から申し上げますと・・・
『現代の新築であっても、震度7以上で倒壊する可能性は、ゼロではない。』
と言えます。
新築でも地震で倒壊する可能性があるということですか?
以前からお話しているように、昭和56年6月以降に建築確認を取得した新耐震の住宅は、震度6強から震度7に達する地震でも倒壊しない基準で建築されています。
しかし、新年に発生した能登半島地震では、新耐震の住宅であっても倒壊してしまったと報告されています。
これに関連した、ニュース記事がありましたので、フジコさんご紹介お願いします。
承知しました。
2024年1月13日付、日本経済新聞の記事ですね。
能登、群発地震で家屋に「ダメージ蓄積」 震度7対応も倒壊能登半島地震の被災地で、12日午後までに4000棟を超す住宅の損壊が判明した。
古い建物だけでなく、震度6強以上でも倒壊しないとする耐震基準を満たしたとみられる家屋の全壊も多数確認された。
周辺で起きている群発地震によって住宅へのダメージが蓄積していたとの見方がある。 定期的な耐震診断の重要性が浮き彫りになった。
ありがとう御座います。
この記事によると、金沢大学の地震防災学の村田教授の調査で、
『珠洲市正院町(すずししょういんちょう)で約100棟の木造家屋の被害状況を調査したところ、40棟が全壊して、そのうち、約半数が新耐震基準の住宅であった。』
とのことです。
村田教授は、その要因として
『2020年末から続く群発地震で、繰り返される揺れにより、建物にダメージが蓄積されていた可能性がある。』
と指摘しています。
木造家屋の接合部の破損や金具の緩みなど、目に見えにくい不具合が生じることで耐震性が低下し、強い地震に耐えられなくなったということです。
なるほど。
きちんと建てられていてもダメージが蓄積されると、弱く脆くなるのですね。
そういうことです。
今年発見した耐震に関わる施工不良
新築工事中に、手抜き工事やミス工事があると、新しい物件であっても、その耐震基準を下回ってしまうことがあります。
確かにそうですよね。
そもそも欠陥住宅だったらダメですよね。
実際に今の新築でも、そのような欠陥はあるのですか?
あります。
今年に入ってゼロシステムズで発見した、新築の耐震に関わる施工不良をご紹介します。
今年に入ってということは、能登半島地震の後に見つけた新築の欠陥ということですね。
それは興味深いです。
具体的に、どんな施工不良なのですか?
かすがいの施工不良
かすがいの施工不良です。
カスガイ・・・。
それは何ですか?
かすがい(鎹)とは、木材同士をつなぎ合わせて固定するためのコの字型の接合金物です。
このような小さな金物であっても、木造住宅の耐震では重要な部品です。
これは、当社の野方さんが住宅診断で発見した構造体に関わる重要な部分の施工不良です。
引用:2024年1月14日投稿 野方実のX(旧Twitter)より
小屋梁と小屋束などを接合するときに使用しますが、この部分では、本来、『普通かすがい』を使用しなければなりません。
しかし、『手違いかすがい』という、異なる金物が使用されています。
そのため、かすがいの上部が奥まで打ち込まれていなく浮いている状態でした。
これでは、大きな地震で外れてしまうリスクがあります。
正しい施工例では、かすがいの上下ともに奥まで打たれているので、一本の線のように見えます。
本当ですね。
これって、野方さんが、今年の1月14日に投稿した画像ですよね?
ということは、今の新築でも欠陥住宅はあるということなのですね。
そういうことです。
ハウスメーカーの営業マンは
「今の新築は役所の検査を受けているから欠陥なんてありません。」
と良く言いますが、実際には、そんなことありません。
建築確認検査機関が行う完了検査のことを、世間では役所の検査と言われています。
しかし、基本的に完了検査では、床下や天井裏の点検口を開けて構造体を見ることはしません。
建築確認検査機関の完了検査でチェックされる部分は主に以下の4点の検査です。
- 申請どおりの配置に建築されているか?
- 申請どおりの間取で建築されているか?
- 申請通りの開口部(窓など)であるか?
- 申請どおりに斜線制限が守られているか?
多くのユーザーだけでなく、多くのハウスメーカーの営業マンは、この実態を知らないので『新耐震だから大丈夫』と思い込んで売買されています。
そうですよね。
普通は分からないですよね。
このような『かすがい』の施工不良は、どうやって発見するのですか?
ゼロシステムズでは、契約する前に住宅診断専門の建築士が天井点検口から直接小屋裏を覗いて目視で確認します。
私たち素人には出来なさそうですね。
知識がない人が小屋裏を覗いても、何が正しい施工で、何が欠陥なのか判断できないですよね。
確かに・・・。
ところで、この物件は最終的にどうなったのですか?
契約する前に売主に是正の依頼をして、お客様へお引渡しするまでに是正して頂くことになりました。
なるほど。
事前に欠陥を発見しても、直してもらえれば安心ですね。
そうですね。
欠陥も
事前に直せば
良い物件
という感じですね。
…今日はいきなり出ましたね。
しかし、見えない部分の欠陥というのは、私たちユーザーにとっては分かり難いから怖いですね。
点検口から覗いて発見した施工不良
他に、ユニットバスの点検口から覗いて発見した施工不良もあります。
これは、どんな不具合なのですか?
■間柱の施工不良
良く見てみると、梁に間柱がはまっていません。
しかし、ちょっと建築に詳しい人が、これを見たら『間柱なんて建物の強度に関係ないから問題ない』と言うかもしれません。
そうなのですか?
はい。
間柱は、あくまでも壁を固定するための下地の柱ですので、建物の強度には直接的に関係ないという考え方もあります。
しかし、私どもでは新築であっても、ゼロシステムズで売買する時には必ず一般診断法による耐震診断を実施しています。
耐震という観点から見ると、間柱も大切な部材のひとつと言えます。
現代の耐震は、壁量バランスを重要視しています。
壁量バランスを調べるときには、一つひとつの壁を数値化します。
その数値化をする時には、その壁を構成している建材の種類で評価します。
例えば、
- ・外壁にサイディングボードと構造用面材があれば:6.6KN/m
- ・室内側に石膏ボードが施工されていれば:1.2KN./m
- ・合計するとその壁は:7.8KN/m
■ビスピッチの確認
石膏ボードは、下地となる柱や間柱にビスで固定します。
このビスとビスとの間隔、いわゆるビスピッチも耐震では重要です。
ネオジムマグネットを使ったビスピッチの確認
ビスピッチには、規定があり、私どもでマグネットを使って非破壊検査をするとこのビスピッチの手抜き工事を発見することがあります。
このような石膏ボードのビスピッチの施工不良を発見した場合、耐震診断での数値化の際に、石膏ボードの1.2KN/mは加算できなくなります。
その結果、耐震診断での壁強さ倍率の数値が小さくなり、その結果、耐震も弱くなるという理屈になります。
なるほど。
新築の建売住宅の耐震診断について解説
新築の建売住宅の耐震診断について解説
■間柱の施工状態は耐震診断の数値に影響
それでは、このように間柱が、適切に固定されていなければ、どうでしょう?
適切なビスピッチで、石膏ボードが下地の間柱に固定されていたとしても、下地の間柱自体が、適切に固定されていなければ、石膏ボードも固定されていないことになりますので耐震診断で数値が落ちることになります。
この写真の物件は、どうしたのですか?
幸いにして契約前に、この施工不良を発見して売主に指摘できましたので、引渡しまでに売主側で是正して頂くことができました。
なるほど。
引渡し前に、直してもらえば安心ですね。
まとめ
今回のお話のまとめは以下のようになります。
- 新耐震であってダメージが蓄積されると耐震は弱くなる
- 新築であっても『かすがい』などの施工不良はある
- 間柱であっても耐震診断では重要な部材である
- 小さな施工ミスが耐震に関わることもある
- 完了検査に合格して検査済証が発行されていても欠陥はある
- ユーザーだけでなく、多くのハウスメーカーの営業マンは、この事実を知らない
- 新築であっても契約前には住宅診断は重要である
なるほど。
ところで『大手なら安心』ということはありますか?
大手でも関係ないです。
今回、ご紹介した施工不良の写真は、一部上場している会社の新築物件です。
大手でも
欠陥住宅
多数あり
住宅は人が造るものですので、大手でも中小でも、必ずミス工事や不具合が一定数あります。
欠陥住宅の発生を100%防ぐということは、極めて難しいことです。
そのため、ユーザー側の防衛策としては、契約前に住宅診断を実施して、不具合を洗い出して、引渡し前に売主側で是正してもらえば良い物件を購入したことになる。
という思いを表現してみました。
その通りですね。
田中先生ありがとうございました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
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