【住宅ローン】2025年の変動金利はどれくらいまで上がるのか?~住信SBIネット銀行は短プラ上昇・日銀は追加利上げを示唆~
【住宅ローン】2025年の変動金利はどれくらいまで上がるのか?
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FM76.7MHzフラワーラジオ にて毎週放送!
レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第499-3 (2024年4月25日放送分 その③)
となります。
今回のテーマ『もうすぐ終わる!住宅ローン超低金利時代』
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
それでは田中先生。
次は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
はい。次は・・・
『もうすぐ終わる!住宅ローン超低金利時代』
ということで、変動金利が近々上昇する可能性についてお話していきます。
それではリスナーさんから、金利の上昇に関連したご質問をいただいているので、フジコさん、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:M さんからのご質問です。
質問:金利が上昇してしまうのではないかと心配しています
田中先生、こんにちは。チャンネル登録をして4年以上前から、かかさず観ています。
私は、3年前に住信SBIネット銀行の変動金利で住宅ローンを借りました。
先日、住信SBIネット銀行が短プラを0.1%引き上げるというニュース記事を見て、もうすぐ金利が上昇してしまうのではないかと心配しています。
以前、モゲ澤先生は、利上げはバブル世代が退職する2030年以降と言っていましたが、今の状況を見ると、ずいぶん早いタイミングで上昇しそうです。
田中先生の見立てはどうでしょうか?
ラジオネーム:M さん からのご質問
ラジオネーム:M さん。
ご質問ありがとうございます。
植田総裁がさらなる利上げの可能性について言及
今年の3月に、日銀はマイナス金利を解除しました。
そして、日銀の植田総裁は、さらなる利上げの可能性について言及しました。
政策金利が上昇すると住宅ローン金利も高くなるんですよね?
おっしゃる通りです。
これに関連したニュース記事がありますので、ご紹介お願いします。
承知しました。
2024年4月23日付、テレ朝NEWSの記事によりますと・・・
2024年4月23日付 テレ朝NEWSの記事①
日銀総裁「物価2%に向けて上昇なら金利引き上げ」25日から金融政策決定会合25日からの金融政策決定会合を前に、日本銀行の植田和男総裁は物価が目標の2%に向けて上昇していけば追加で利上げするという考えを示しました。
日本銀行 植田和男総裁
「(物価上昇率が)2%に向けて上昇していくことにもしなれば金融緩和の度合いを調整していくことになるかと思いますので、その場合は短期金利を引き上げていくことになるかと思います」
34年ぶりの円安が物価を押し上げ続けるなか、植田総裁は「物価・経済見通しやリスクが変化すれば、それも政策の変更になり得ると考えている」と述べました。
ただ、追加の利上げの時期や幅については「現在、予断を持っているわけではない」と明言を避けました。
植田総裁は先週、アメリカでも同じ考えを繰り返し示していて、市場関係者は25日からの金融政策決定会合で先月に続く利上げがあるのか注目しています。
ありがとうございます。
植田総裁は
「物価上昇率が2%に向けて上昇していくことになれば、金融緩和の度合いを調整していくことになるので、その場合、短期金利を引き上げていくことになる」
と発言して、追加で利上げするという考えを示唆しました。
という内容のニュース記事です。
そのようですね。
日銀が、政策金利を上昇すると、各銀行の短期プライムレートが上昇しやすくなります。
この短プラが上昇すると、その影響を受けて、住宅ローン変動金利の基準金利も上昇します。
それについては、以前からおっしゃってましたね。
そうですね。
今回の日銀の利上げに、いち早く反応したのが住信SBIネット銀行です。
こちらについても関連したニュース記事がありますので、フジコさん、ご紹介お願いします。
承知しました。
こちらも、2024年4月23日付、テレ朝NEWSの記事ですね・・・
2024年4月23日付 テレ朝NEWSの記事②
“低金利競争の雄”住信SBI 短期プライムレート引き上げ 住宅ローン変動金利上昇もインターネット銀行大手の「住信SBIネット銀行」は、貸出金利の基準となる「短期プライムレート」について、年1.675%から1.775%に来月引き上げると発表しました。
住宅ローン比較診断「モゲチェック」 塩澤崇取締役
「住信SBIネット銀行は、低金利競争の雄といいますか(ネット銀行)業界の盟主みたいな存在だった。そこがいち早く金利の引き上げに動いたというところが、サプライズというふうに受け止められています」
住信SBIで変動型の住宅ローンを組んでいる場合、その金利に影響が及ぶ可能性が高いといいます。
塩澤取締役
「適用金利が上がるか下がるか。これは“基準金利”次第です。基準金利は短期プライムレート連動すると取り決めている銀行が非常に多くありまして、今後(変動型の)金利が上がる可能性がある」
(「グッド!モーニング」2024年4月23日放送分より)
ありがとうございます。
住信SBIは、5月から貸出金利の基準となる「短期プライムレート」を>1.675%から1.775%へ0.1%アップすることを発表しました。
住宅ローン変動金利の基準金利は、この短期プライムレート(短プラ)に連動させている銀行がほとんどです。
この記事の中で、モゲ澤先生がコメントしています。
「住信SBIネット銀行は、低金利競争の雄で、ネット銀行業界の盟主のような存在でしたが、そこがいち早く金利の引き上げに動いたということは、サプライズとして受け止められている」
と発言しています。
基準金利が上がるということは、これから新規で住宅ローンを借入する人だけでなく、既に変動金利で借りているユーザーの金利も高くなるということです。
住信SBIネット銀行で借りているユーザーさんは、みんな心配しちゃいますよね。
そうですね・・・。
住宅ローンの専門家であるモゲ澤先生の発言を振り返って確認してみます。
※モゲ澤先生は、昨年まで、この番組でレギュラーとして毎月ご出演して頂いていました。
そのときには、
「インフレ、賃金上昇、需要の増大、という経済の好循環が持続的に実現できなければ、日銀は政策金利を利上げできないから、住宅ローンの変動金利は上昇しない」
「本格的な利上げは、バブル世代が一斉に定年退職をする2030年ころまでない」
と、おっしゃっていました。
確かにそうおっしゃってましたね。
モゲ澤先生の予想は外れてしまったのでしょうか?
外れたということではありません。
経済の好循環が実現されたら金利は上昇するとおっしゃっていたので大筋では間違えていないと思います。
日銀が利上げするタイミングについては、想定より少し早かったかもしれないですね。
確かにそうですね。
でも、大きく外れたということではないですね。
これから順調に景気が回復して、日銀総裁が言うとおり、物価上昇率2%が続いて経済の好循環が持続すれば、少しずつ利上げしていくことになります。
ただし、追加利上げと言っても0.1%単位の小さな利上げを数回行なう程度にとどまり、本格的な利上げには繋がらないと見ています。
そうなんですね。
「本格的な利上げに繋がらない」見立ての理由
それでは「本格的な利上げに繋がらない」という見立ての理由を教えてください。
現在・・・
- ・メディアで報道されているとおり物価も賃金も上昇しています
- ・日銀総裁は追加利上げの可能性について言及
- ・一部のネット銀行が短プラを上昇
しかし、このまま、日本経済が順調に好景気に向かって、それを維持し続けるということは、今の日本の経済状況からみて非常に難しいと言えます。
それは、どういうことですか?
まず、
『なぜ今のタイミングで利上げしなければならないのか?』
ということを考えてみます。
円安ドル高のコストプッシュ型のインフレを退治するためではないのですか?
さすがフジコさん、おっしゃる通りだと思います。
ですが、円安ドル高ということは、円とドルの為替しか比較していません。これだけでは、現在の円の価値を正確に測ることはできません。
そうなんですか?
はい。以下のグラフをご覧ください。
円の実力レート 53年ぶりに低水準
画像引用:Bloomberg – 円の実力レートが53年ぶり低水準、固定相場時代に戻った日本の購買力
上記は、円の実質実行為替レートの推移のグラフです。
実質実効為替レートとは、日本円が世界の主要な通貨に対して、どれだけの価値があるかを正確に測るための指標です。
これは、単一の国との比較ではなく、日本の主要な貿易パートナーを含む世界の通貨の総合的な指数に対して、相対的な円の価値を反映しています。
この指標は、為替レートだけでなく、それぞれの国の物価水準の違いも考慮に入れて計算されます。
これにより、世界の主要通貨と比較して、日本円の価値が今どのくらいなのか?ということを正確に知ることができます。
なるほど。
2024年3月時点での実質実行為替レートは、70.94でした。
この水準は、1970年と同じくらいの水準なのです。
日本は1971年12月まで 1ドル360円の固定相場制でした。
つまり、現在の円の価値は、実質1ドル360円の当時と同じレベルまで低下しているということです。
えっ!?
そこまで円の価値は低下しているのですね。ちょっと驚きです。
今は 1ドル150円くらいですよね?
そうです。今は、1ドル150円前後ですが、これは円とドルだけを比較するからそうなるのです。
世界的に見ると、現在、ドルの価値も低下していると言えます。
そのため、世界の通貨の価値と比べると、相対的に日本の円の価値はここまで低下しているということなのです。
なぜ、こんなに低下したのですか?
これには、複数の要因が関係しています。
- ・日本の経済状況
- ・少子高齢化による人口減少
- ・長期にわたるデフレや低成長
これらの問題は、国内の需要を減少させ、経済の縮小につながります。
日銀が、今後、利上げをし続けるかどうかは、これら複数の要素によって決まります。
現在、マイナス金利が解除されたと言えども、今もなお、日本の政策金利は非常に低いレベルに設定されております。
これは、デフレから脱却して経済成長を目指すための政策で一定の成果を得ることができました。
このように長期にわたり円の価値が低下し続けると、輸入品のコストが増大し、インフレ圧力が高まります。 その場合、中央銀行である日銀は、物価の安定のために利上げする必要があります。
一方で、金利を引き上げると、国内での借入コストが増加し、消費や投資が抑制されるリスクもあります。
これは、人口減少により経済が縮小傾向にある日本において悪影響を与える可能性があります。
このように、日本の金利政策は多くの要素に左右されるため、日銀は、単純に利上げを続けるという判断はできません。
ひとつ言えることは、1970年の1ドル360円時代と同じレベルにまで、落ち込んだ円の価値(実質実行為替レート)を、引き上げなければ、日本経済はますます衰弱するということです。
そのため、今後、日銀は、経済状況を見極めながら、慎重に利上げしていくこととなります。
ということは、住宅ローンの変動金利は、もうすぐ上がるとみていますか?
はい。とは言っても小さな利上げにとどまると思われます。
大幅な利上げは、既に住宅ローンを借りているユーザーのデフォルト率が上がり、日本経済に悪影響を及ぼす可能性があります。
それと、赤字国債に依存している政府自体も利上げすると国債の利払いのための国債を発行する。
借金返済のために再び借金をしなければならなく、財政赤字の積み重ねになってしまうことから、日本は、むやみに利上げできないと言えます。
なるほど。
まとめ
ここまで、日本の円の価値が下がると、今後の日本において行き過ぎたインフレになる可能性があります。
日銀は、今回のタイミングでマイナス金利を解除したと言えます。
そして、日銀は、円の価値を適度に取り戻すために、金融正常化に舵をとる可能性があります。
FRBのように毎回0.25%ずつ利上げするということは、今の日本の状況では出来ないと思われます。
仮に、日銀が0.1%程度の利上げを、2024年中にあと1回、来年2025年に2回行った場合は、政策金利は0.4%程度になる可能性があります。
現在、住宅ローンの変動金利は、0.30.4%程度です。
政策金利と同じだけ金利上昇したと仮定すると、2025年末から2026年にかけ0.70.8%程度になる可能性はあります。
この金利水準は、今から、15年くらい前の変動金利と同じレベルに戻るというだけの話です。
ただ、これ以上の金利上昇は、日本経済と政府の財政に悪影響を与える可能性が高いため、大幅に物価と賃金が上昇しない限りは、上げられないと予想しています。
今回の標語
それでは、いつものように 五・七・五 の標語にまとめてみます。
お願いします。
SBI
金利上昇
他選べ
今の時代は、低金利の銀行がたくさんあります。
各銀行の方針により金利上昇の仕方が異なります。
これから住宅ローンを借りようと検討している人であれば、それらを比較して条件の良い銀行を選びましょう。
ゼロシステムズの住宅診断についてはこちらです↓
住宅診断の総合メニュー
なるほど。建売住宅が安い理由がよくわかりました。
田中先生。ありがとう御座いました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
次回もお楽しみに!
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