なぜ都心の新築マンションは高いのか!?郊外の新築戸建にも影響する!?徹底解説
【不動産市場】なぜ都心の新築マンションは高いのか!?郊外の新築戸建にも影響する!?徹底解説
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第512-1 (2024年7月25日放送分 その①)となります。
今回のテーマ『今、手を出していいのか?都心の新築マンション』
今日のテーマは・・・
『今、手を出していいのか?都心の新築マンション』です。
バブル時代と今(2024年)を比較する
まず初めに・・・
バブル時代、銀座の土地は 1坪あたり1億円どころか、2~3億円で売買されていました。
1坪って、畳2枚分ですよね?
現代の銀座通り
そうです。畳2枚分で1億円超えです。 住宅ローン金利も平成2年は、8.5%と超々高金利でした。
そして今・・・
- ・今の都心のマンション価格高騰は、いつまで続くのか?
- ・住宅ローン金利は、この調子で、どこまで上昇するのか?
今回は、平成バブル期と令和6年現在の経済状況を比較して、
- ・今はバブルなのか?
- ・今、都心の新築マンションは買いなのか?
なるほど。是非お願いします。
それでは、サッシーさん。
マンション購入についてリスナーさんから質問をいただいているので、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:Nさんからのご質問です。
質問:今、マンションを転売すれば儲かりますか?
田中先生こんにちは。いつもチャンネル登録してみています。
会社の同僚が、都内の新築マンションの抽選に申込みしました。彼が申込みしたお部屋は、倍率が10倍以上で、多分当たらないと嘆いていました。1億円以上の価格なのに、そんなに応募する人がいるというのにびっくりです。
マイホームは欲しいですが、私はマンションでなく一軒家が良いので、抽選には申込んでいません。知人は私に、「買えたら転売すれば儲かるから、とりあえず抽選した方が良い」と勧めてきます。
やはり抽選だけでも申込みしておいた方が良いでしょうか?
アドバイス頂ければ幸いでございます。
ラジオネーム:Nさんからのご質問
ラジオネーム:Nさん。
ご質問ありがとうございます。
都心マンションのプレミアム化が進んでいる
近年、都心では 1~2億円台の新築マンションのほとんどが、抽選による販売方法を採っています。
都心のマンションは抽選による販売が増えています
それよりも高い、10~20億円というマンションになると、抽選ではなく、予め登録していた超富裕層にだけ物件情報を紹介して販売するという方法を採っています。選ばれし者だけが買えるプレミアム感を演出している感じですかね。
庶民にはわからないところで売買されているんですね。
そのようです。
ですので都心のマンションでは、どうしても欲しければ、最初に買った人が利益を乗せて転売している物件を購入しなければならないという現象が起きています。
マンションにも転売ヤーが・・・
抽選倍率が最高266倍
晴海フラッグ、来月「街びらき」…最高倍率266倍の令和のニュータウン今年3月頃に入居できる予定だったが、東京五輪の開催延期の影響で引き渡しが遅れていた。タワーを除く分譲マンションの平均販売価格は約7500万円。周辺の相場より割安な価格設定が人気で、抽選倍率は最高で266倍となった。
2023年12月11日、読売新聞オンラインの記事によると、東京オリンピック選手村の跡地にできた、晴海フラッグという新築マンションの抽選倍率は、なんと!最高266倍です。令和のニュータウンと言われています。
倍率266倍って・・・当たる気がしませんね。
当たったらラッキーで、転売したら間違いなく利益でますよね。
都心のマンションを投資目的で取得(購入)するケースが増加
晴海フラッグ投資目的所有 東京都“施行者は販売関与できず”これまでの取材で、法人が多数の部屋を投資目的で取得するケースが相次ぎ、少なくとも500近い部屋が元値の1.5倍から2倍で、転売や賃貸に出されていることが明らかになっています。
さらに、分譲マンション全体の3割以上の部屋に住民票の登録がなく、居住実態が確認できなくなっています。
実際、2024年6月7日付のNHKニュースの記事では、
『この晴海フラッグは、少なくとも500近い部屋が元値の1.5倍から2倍で、転売や賃貸に出されていることが明らかになった』
としています。
従って、今回のご質問者様への回答としては、現在の不動産市況が維持されるなら、抽選倍率10倍以上の新築マンションを購入すれば、高額転売できる可能性はあります。
ということは、当選して購入できるなら買ってしまって、転売すれば儲かるということですか?
そうですね。
希少な立地の人気物件で、現在の不動産市況が維持されれば、その可能性はあります。
見学予約サイトのサーバーがダウンするほどの人気
都心新築タワマン、予約客殺到しサーバーダウン 数分で枠埋まる例も都市部で、一部の新築マンションに人気が集中して、モデルルーム見学の予約が取れない状況になっている。予約サイトのサーバーがダウンしたり、予約枠が数分で埋まったりした例も。何が起きているのか。
2024年7月18日付の朝日新聞デジタルのニュースでは
『都心の新築タワマンのモデルルーム見学のための予約客が殺到しサーバーダウンした』
という記事もありました。
それくらい都心のマンションが過熱しているということですね。
バブルとは、どのような現象か
だけど今の状態は、バブルではないのでしょうか?
ちょっと盛り上がり過ぎて心配になります。
そうですよね。
それでは『バブルとは、どのような現象か?』というところからお話します。
ぜひ、お願いします。
経済が異常に過熱し、資産価格が実体経済を超えて急騰する現象
経済が急騰する現象
バブル景気とは、経済が異常に過熱し、資産価格が実体経済を超えて急騰する現象をいいます。
これは、投機的な投資や金融機関の過剰な融資によって引き起こされ、結果として資産価格が急激に上昇します。
しかし、こうした価格の上昇は持続しません。最終的には大幅な価格の下落と経済の混乱を引き起こします。
過去、日本では、1986年ころからバブル経済がはじまり、1991年にバブルが崩壊しました。
- ・背景:金融緩和政策と過剰な投資が原因で、不動産と株式の価格が急騰しました。
- ・ピーク:1989年末から1990年初めにかけて、資産価格は頂点に達しました。
- ・崩壊:1991年にバブルが崩壊し、地価と株価が大幅に下落しました。
改めて説明して頂けると助かります。
バブルの主な特徴
バブル時の経済状況の特徴を解説します。
■資産価格の急騰
不動産や株式市場で価格が急上昇します。
投資家は高いリターンを期待して資金を投入し、需要が増加することで価格がさらに上昇します。
■積極的な融資
銀行や金融機関が過剰に融資を行い、企業や個人がその融資金を使って資産を購入します。これが需要をさらに押し上げ、価格の上昇を加速させます。
■投機的行動
多くの投資家が短期的な利益を求めて資産を売買し、投機が過熱します。これにより、価格は実際の価値以上に膨らみます。
バブル経済は持続可能性が無い
バブル景気は好調な経済状況をもたらしますが、持続可能性が無く、最終的には崩壊し、経済に深刻な影響を与えるリスクがあります。
今はバブルなのか?バブル当時と今の状況を比較
そうなると、今はバブルなのでしょうか?
それでは、バブル当時と今を比べてみます。
1989年~1991年バブル時代
■不動産の状況
1989年~1991年のバブル絶頂期のころは、誰も『今がバブルである』とは考えず、日本では土地の価格は必ず上がり続けるという、いわゆる『土地神話』が信じられて不動産が売買されていました。
そのため当時は『土地転がし』という言葉も流行っていました。冒頭でお話ししたように、銀座の土地はバブルのピーク時には、1坪3億円とも言われていました。
当時は新潟県湯沢町のタワマンや北海道の原野の土地でさえ高い価値がついて、日本全体の不動産が値上りしていました。
■投資熱
株価もうなぎ上りで、上昇し続けました。当時『財テク』とよばれた投資も流行りました。
財テクを行なわない人は経済的に取り残されるプレッシャーがありました。財テクを行なわない人はどうかしていると思われる風潮があったようです。
そのため、バブルの時は個人から企業まで投資熱が非常に高く、投資対象は土地や株だけではなく、ワンルームマンションや腕時計、高級外車、絵画など、あらゆるモノの価格が高騰していきました。
多くの人が投資を行ない、日本経済全体が投機的なムードに包まれていました。
まさにバブルって感じですね。
2024年現在の状況
それでは、2024年現在の状況を見てみます。
■2024年 不動産の状況
都心の新築マンションの平均価格は 1億円を突破しています。
首都圏のマンション平均価格も7,000万円を突破して、バブル期を超えたことが報道されています。
都心3区のマンション価格は、現時点でも上昇し続けています。
現在は、土地転がしではなく、都心マンションの転売が横行しており、晴海フラッグの件が話題になりました。
エンドユーザーだけでなく、不動産会社も「都心3区のマンションは値段が下がらない」と豪語して、タワマンが売買されています。
バブルの頃は『土地神話』でしたが、今は『都心マンション神話』ですね。
■2024年 投資熱
バブル当時の『財テク』に換わって、今は『新NISA』という投資が空前のブームになっています。
『都心3区のマンション価格は、今後も値上がりし続ける』私も、そう思っています。
しかし、バブルの真っ最中は、誰も、今がバブルだなんて思わないし疑わないですから、私は「落とし穴があるのではないか?」と常に疑いの目も持ちながら投資をしています。
疑いの視点も持つ事は大事だと思います。
1989年~1991年バブルと2024年現在の違い
■人口動態の違い
・バブル期
日本は人口増加して、地価の高騰とともに都市部の人口は減り、郊外の人口が増えるドーナツ化現象という状況になりました。
・2024年
少子高齢化が進み、総人口と労働力人口は減少しています。都市の一極集中が進み、地方の人口減少が顕著です。
■世界との関係の違い
・バブル期
物価上昇は日本国内全域での現象。
・2024年
物価上昇や不動産価格の上昇は、世界的なインフレ現象。
パンデミック時、多くの国々は経済対策として大規模な財政出動と金融緩和を行いました。
例えば、米国では、量的緩和により、市場に大量の資金が供給されました。
この結果、通貨の価値が相対的に下落してインフレ圧力が高まりました。
これは、米国だけでなく、EUや日本など他の先進国でも同様の動きが見られ、これが世界的なインフレを引き起こしました。
お金を刷り過ぎてしまって、通貨の価値が下落して、現時点でも世界的にインフレになっている状況と言えます。
■国内において不動産価格が値上がりしているエリア
・バブル期
土地神話により全国の不動産価格が上昇しました。
・2024年
著しい値上りは都心部のマンションに限定。
これは、インバウンド(外国人投資家)の影響や、転売ヤーなどの投機的および半投半住を目的とした需要によるものです。
まとめ:今のマンション高騰は90年代バブル期とは違う
高騰を続ける都心のマンション群
東京23区の新築マンションの平均価格が1億円を突破して、バブル期を超えたと報道されています。
バブル時代と今を比較すると、今はバブルで郊外の新築一戸建ても値上りしているように感じるかもしれません。しかし、郊外の新築一戸建てが値上りしているのは、あくまでも建築原価の高騰の影響で、転売や投機的なマネーの影響は全くありません。
今、投機的な値上りをしているのは、都心のマンションのみであると言えます。
都心マンションの値上りの原因
今の価格高騰を強く後押ししているのは、以下の3つの需要であると言えます。
■インバウンド
円安によるインバウンド需要が、今の値上りを非常に強く後押ししていると言えます。
特に、都心、湾岸の眺望が良いタワマンなどには、中国人、韓国人の富裕層が殺到しています。
■半投半住
実際に住むけれど、将来の売却益や賃貸収入など、不動産投資という目線でも損をしないため、できるだけ価値が下落し難い物件を狙う『半投半住』の需要です。
パワーカップルによるペアローン購入が半投半住の代表例です。
■不動産投資
最初から住むつもりはなく、転売や賃貸目的の需要が増えています。
90年代バブル期とは違う
現在は、90年代バブル期とはちょっと違いますが、似ている点は、値上りの要因が投機マネーの流入であるという点です。
世界的に何か潮目が変わると、その投機マネーが引き上げられる可能性があります。
例えば、米国FRBの利下げ、米国大統領選の結果、台湾有事などの地政学リスク、日本国内の災害など、何がきっかけになるかはわかりません。
不動産を購入するときには、「絶対値上りする」と盲目的に信じて購入するのではなく、注意深く、疑いの目をもって、ある程度リスクヘッジとして、無理のない範囲の住宅ローンで購入することが大切です。
なるほど!
ありがとうございました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
次回もお楽しみに!
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