【日銀 政策金利 上昇】質問に回答!住宅ローン変動or固定?35年or50年返済?繰上げ返済?どうすべきか?

今回のテーマ『固定と変動どちらが良い?どこまで上がる変動金利!』

【日銀 政策金利 上昇】住宅ローン変動or固定?35年or50年返済?繰上げ返済?どうすべきか?

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サッシー

FM鴻巣フラワーラジオ
『不動産せんせい田中の教えて不動産の知恵袋!』
この番組は、
「不動産の今がわかれば、ちょっと先の未来も見えてくる」
をテーマに、毎週木曜日夕方4時から生放送でお送りしております。

早速ですが、今回は、どんなお話を頂けるのでしょうか?

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中島

今回のテーマはこちらです。
『固定と変動どちらが良い?どこまで上がる変動金利!』
ということで、リスナーの皆さんから、固定金利と変動金利に関する沢山の質問をいただいておりますので、田中先生にお答えいただきます。

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田中

承知しました!

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サッシー

それでは、すすめていきましょう!


※記事はラジオ収録用の原稿を元に要約しております。そのためYouTube動画と内容が異なる部分がございます。


変動向き?固定向き?タイプ別に住宅ローンを選ぶコツ

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中島

まずは、1人目『アズ』さん からのご質問です。
「これから、住宅ローンを組んで新築一戸建てを買う予定です。変動と固定、どっちで組めばいいと思いますか?」
以上です。

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田中

「変動金利と固定金利、どっちが良いか?」ということですが、結論から言うと「人による」ということです。

変動金利が向いている人

■家計にしっかり余裕がある人
・共働きだけど、片方の収入だけで何とか生活できるような人
・金利が上昇しても繰上げ返済できる手元資金がある人
■積立投資など資産運用をしている人
・住宅ローン金利よりも運用利回りが良い投資が出来ている人
■経済や金利の仕組みを理解して冷静でいられる人
・金利は、景気次第で上がることもあれば下がることもあります。
 その上で、金利や経済のニュースをチェックするのが苦にならない人。

固定金利が向いている人

■家計に余裕がない人
・『金利が今から1.5%上昇した』想定で返済額をシミュレーションしてみて「この支払は厳しいな・・・」と思う人は、固定金利を選んだ方が良い。
■手元資金など貯蓄が少ない人
・金利が上昇して、返済額が厳しい状況になったときは、繰上返済という選択肢がとれないことになりますので、固定金利の方が良い。
■金利上昇が怖いと思う人
・金利の上昇を恐れていて、金利や経済のニュースを見る度に一喜一憂する性格の人は、固定金利を選んだ方が良い。
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田中

変動金利:攻め/余裕/自己管理
固定金利:守り/安心/ほったらかし
という感じです。

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中島

なるほど~。ありがとうございます。

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田中

固定金利と変動金利のどちらがお得か?については、『変動金利VS固定金利シナリオ比較シミュレーター』を使ってみてください。

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中島

『アズ』さん も、ぜひ活用してください。

変動向きか固定向きかは人それぞれ


  • ・変動か固定かは、家計の余裕と性格に合わせて選ぶのが正解です。
  • ・余裕があり投資や金利に強い人は、変動金利が向きやすいです。
  • ・家計に余裕がなく金利上昇が不安なら、固定金利で安心を優先します。
  • ・迷ったときは、シミュレーターで具体的な返済額を比較して検討しましょう。

変動金利の行方は「日銀の政策金利次第」

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中島

それでは、次に行きます。
『ユウト』さん からのご質問です。
「変動金利は、これからどの程度上昇すると思いますか?」
との質問ですが、ご回答お願いします。

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田中

承知しました。まず、変動金利が決まる仕組みを簡単に説明します。

変動金利が決まる仕組み

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田中

変動金利は日銀の政策金利に連動します。
現在(2025年11月)の、日銀の政策金利は 0.5%です。

これが、0.25%上昇すれば、基本的に住宅ローンの変動金利も0.25%上昇することになります。
世の中の物価が高くなって、それが長く続きそうとなると、『景気を少し冷やす』という狙いで、政策金利を引上げます。
先程申し上げたように、政策金利が上がると住宅ローンの変動金利が上昇します。
それだけでなく、事業融資の金利も上昇します。

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サッシー

そうなると、家を買う人が少なくなりますね。

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田中

そうなんです。それが『物価が高くなると金利が高くなる』という理由なんです。

■日銀は『景気刺激策』として政策金利を下げる

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田中

一方で、景気が悪くなり物価が下がってくると、日銀は『景気刺激策』として、政策金利を利下げします。
利下げをすると住宅ローン金利も下がりますので、家を買う人が増えて景気も良くなります。

つまり、『今後どの程度、金利が上昇するか?』を予測するのであれば、『今後どの程度、物価が上昇して、景気が良くなっていくのか?』を観察する必要があります。
これは、年に8回行われている、日銀の『金融政策決定会合』で決まる政策金利と、日銀総裁の記者会見内容が参考になります。

2027年末までに政策金利が1%上がるとどうなるか

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田中

多くの専門家は「2027年末までに政策金利は1%くらい上昇するのではないか?」と予想しています。
これは『1回あたり0.25%の利上げが半年に1回ペース続く』という計算です。

この予想からすると、現在の変動金利は0.6%~0.7%くらいですので・・・

  • ・2026年中には1から1.2%くらいまで
  • ・2027年末には1.5%~1.7%くらいまで
上昇する可能性はあります。

とは言え、政策金利の行方は、その時々の情勢によって変わります。
例えば、地政学リスク上の問題や、震災などの自然災害が起きると、○○ショック的な経済危機に見舞われます。
日銀総裁であっても、数ヶ月先の金利を正確に予測することは出来ません。あくまでも『現状の情勢のまま』『予想外の大きなイベントが起きなければ』という感じですね。

変動金利は政策金利と物価・景気次第


  • ・変動金利は日銀の政策金利と物価・景気の動きに左右され、今後数年で1%前後上がる可能性があります。
  • ・政策金利が0.25%上がると、住宅ローンの変動金利も基本的に0.25%上がり、住宅ローンや事業融資の負担が増えます。
  • ・物価が上がり景気が過熱すると利上げ、景気が悪くなり物価が下がると利下げという流れになります。
  • ・2027年末までに政策金利が1%程度上昇するとの見方がある一方で、ショックや災害などで見通しが大きく変わるリスクもあります。

月々の返済を軽くする50年ローン、その代償は何か

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中島

それでは、次に行きますね。『マル』さん からのご質問です。
「先日、ハウスメーカーの人から50年返済の住宅ローンを勧められました。50年ローンと35年ローンどちらで組んだ方がいいですか?」

50年ローンが組める年齢には制限がある

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田中

最近は、返済期間50年の住宅ローンがでてきましたよね。
ただし完済時年齢は80歳ですので、80歳ー50年=30歳となり、50年ローンが組める方は30歳までということです。

  • 30歳までの人:50年ローンが可能
  • 35歳の人:最長45年ローン
  • 40歳の人:最長40年ローン
ということになります。

50年ローンを組む場合のメリット/デメリット

50年ローンを組む場合のメリット
・『50年に引き延ばす分、月々の返済額が薄まって生活への負担が軽くなる』
という点です。メリットはそれだけです。

50年ローンを組む場合のデメリット
・『35年返済よりも、金利が0.1%~0.25%高くなる』傾向にあります。それでも返済期間が延びる分、月々の返済額は安くなります。
・『返済期間が長くなるので、支払利息額が多くなる』
この点がデメリットです。

50年後の未来はどうなっているかわからない

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田中

50年返済も35年返済も同じことですが、社会がどう変わっているか?そんな先のことは誰にもわからないということです。

現在2025年ですが、50年後は2075年です。
そのころには、量子コンピューター/ASI/ヒューマノイド型ロボットなどが開発されていて、世界の価値観も変わっているでしょう。
ですが、今と同じ価値観で時代が進むとするなら、長く借りられる年齢の人は出来るだけ長期間でローンを組んで月々の返済額を抑えるのも、一つの考え方だと思います。

ただし、50年ローンを組んで月々の返済額が安くなったからと言って贅沢をするのではなく、その分を積立投資などで運用していくことが重要です。
50年ローンが組めるからと言って、身の丈に合わない高級タワ-マンションや高級注文住宅をギリギリの予算で購入するのはメーカー側の思う壺です。気を付けてください。

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サッシー

なるほど。長期間のローンでも、あくまでも堅実であることが大切ですね。

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田中

そういうことですね。

50年ローンは返済が軽くなる代わりに利息は大きく増える


  • ・50年ローンは月々の返済を軽くできる一方で、金利も総支払利息も増えやすいローンです。
  • ・30歳までなら50年、35歳なら45年、40歳なら40年と年齢で最長返済期間が決まります。
  • ・35年ローンより金利が0.1%~0.25%高くなるケースが多く、その分トータルの利息負担が重くなります。
  • ・返済期間を延ばして浮いたお金は、贅沢ではなく積立投資などに回し、身の丈を超えた高額物件は避けることが大切です。

繰上げ返済は「貯金 / 将来支出 / 金利」を踏まえて決めよう

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中島

それでは、次にいきますね。『ジョー』さん からのご質問です。
「繰上げ返済を検討しています。YouTubeを観ていると繰上げ返済はしない方が良いという意見もあるようです。私は、借金は早く返したいと思うのですが、その考え方は間違えているんですか?」

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田中

最近の風潮としては・・・

  • ・住宅ローンは金利が低いので、無理に繰上げ返済せずに貯蓄して手元に温存する
  • ・そのお金は、住宅ローン金利以上の利回りで運用できる積立投資にした方が合理的
このような考え方が主流になりつつあります。

また、新築一戸建ての場合は住宅ローン控除もあります。
住宅ローン返済期間は、団体信用生命保険などもありますので、そのあたりを考慮すると「繰上返済はせず手元の資金を資産運用している方が合理的」と言う人もいます。

ただし「借金は早く返済したい」という考え方は間違っていません。とても健全な感覚です。
住宅ローンの残高が減っていくということは、その分だけ、精神的なストレスも減りますし、老後の住居費の負担も低減できます。

繰上げ返済は「残すお金」と「返すお金」の線引きが重要

繰上返済をする時のポイント
・最低でも半年から1年分の生活費は手元に残すこと
・当面必要な大きな支出(教育費・車・リフォームなど)も考慮すること
・変動金利の場合、将来の金利上昇に備える意味での繰り上げ返済という役割を持つこと
サムネイル-田中
田中

「何も考えず全部突っ込んで繰上げ返済すれば良い」ことではないですし
「一切繰り上げ返済するな」ということでもありません。
何ごとも、バランスが大切ということです。

繰上げ返済についても、ゼロシステムズで『住宅ローン繰上げ返済シミュレーター』を用意してあります。
これを使えば繰上げ返済の効果が、より具体的に把握できます。

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中島

どのタイミングで、いくら返すと、返済期間が何ヶ月縮まるか。
これらが簡単に解りますので、ぜひ使ってみてください。

繰上げ返済は「しない or 全力」ではなくバランスが大事


  • ・繰上げ返済は間違いではなく、手元資金や将来の支出も見ながらバランスよく考えることが大切です。
  • ・低金利と資産運用を前提に「繰上げ返済しない」意見が増えていますが、借金を早く減らしたい感覚も健全です。
  • ・半年〜1年分の生活費と教育費・車・リフォームなどの大きな支出分は残したうえで繰上げ返済を検討します。
  • ・変動金利なら、将来の金利上昇への備えとしての繰上げ返済という意味もあり、シミュレーターで効果を数値で確認すると安心です。

まとめ:住宅ローンは期限の利益をフル活用できる珍しいローン

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田中

お二人は『期限の利益』という言葉は聞いたことはありますか?

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中島

期限の利益?
それはどういうことですか?

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田中

はい。この用語は、民法上の概念で、住宅ローンの約款にも出てくる言葉です。

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サッシー

詳しく教えてください。

期限の利益で守られる借金

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田中

住宅ローンって、実は『期限の利益』の考え方からすると、債務者にもの凄く有利な仕組みなんです。
35年から最近では50年という長い期間にわたって『一定のペースで分割して返していれば良い』という約束になっています。
これは債務者に「その期限までは一括で返さなくていい」権利が与えられているということなんです。

しかも住宅ローンの場合、その長い期限は『最大の枠』であって、借りた人の都合で短くすることも自由です。
途中で繰上げ返済をして返済期間を縮めるのもOKですし、「やっぱり予定どおり35年で返していきます」というのもOK。
『長く借りていられる権利を持ちながら、自分のタイミングで早く返すこともできる』
ここが『期限の利益』の観点から見ても、とてもお得なポイントです。

事業融資と住宅ローンの決定的な違い

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田中

一方で、不動産会社が土地を仕入れて建売住宅の分譲事業を行うために銀行から融資を受ける場合は、同じ『銀行からの借金』でも条件が全く異なります。
いわゆるプロジェクト資金と呼ばれるもので『仕入れてから(原則)1年以内に、利息を付けて一括返済する』という形が一般的です。
事業がうまくいかなければ、その短い期間で一気に返さなければならないのです。

プロジェクト資金融資には、住宅ローンのように「35年・50年かけてコツコツ返してくれれば良いですよ」という『期限の利益』がありません。
この差を比べると、個人の住宅ローンが、どれだけ債務者に有利な条件で組めているのかがわかると思います。

長期間の分割払いという、期限の利益をフルに使えるうえに、繰上げ返済で自分のペースで短縮もできる。
そういう意味で、住宅ローンは怖い借金というイメージではなく、『計画的に利用すれば、かなりお得な金融商品である』という視点も持っておいていただきたいです。

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中島

なるほど。とても勉強になりました。

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サッシー

田中先生、中島さん、本日もありがとうございました。
”不動産の今がわかれば、ちょっと先の未来も見えてくる”
『不動産せんせい田中の教えて不動産の知恵袋』
また来週もお楽しみに〜!

住宅ローンは「期限の利益」で個人に有利な借金になっている


  • ・住宅ローンは長期の分割返済が認められる「期限の利益」により、個人にとって有利な条件で借りられる金融商品です。
  • ・35年/50年など長い期間にわたり「決められた返済を続ければ一括返済を求められない」という権利が債務者に与えられています。
  • ・そのうえで、繰上げ返済によって自分のタイミングで返済期間を短縮することもでき、柔軟にコントロールできます。
  • ・1年以内の一括返済が一般的なプロジェクト資金と比べると、個人の住宅ローンがいかに恵まれた条件かがよく分かります。
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ゼロシステムズお役立ちツール

以下のツールを使うことで、住宅ローン審査や金利の計算などが簡単にシミュレートできます。

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