『ローン取扱手数料型』と『保証料型 』の違い
~みずほ銀行と三菱UFJ銀行の住宅ローンは手数料型~
こんにちは。
ゼロシステムズ代表の田中勲でございます。
今回は『ローン取扱手数料型』と『保証料型』の違いと、選ぶときのポイントについて解説いたします。
住宅ローンには2つのタイプがある
『ローン取扱手数料型』と『保証料型』
住宅ローンには大きく分けて『ローン取扱手数料型』と『保証料型』の2種類のタイプがあります。
住宅ローンを検討しはじめたばかりの人にとっては、言っても聞き慣れない用語かもしれません。
これを一言で説明しますと『住宅ローンを借りるのにはお金がかかる』ということです。
住宅ローンを借りるのにはお金がかかる
※みずほ銀行では、『ローン取扱手数料型』、三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローンでは、『事務手数料型』と呼ばれていますが、ここでは、『ローン取扱手数料型』という言葉に統一して説明させていただきます。
『ローン取扱手数料型』とは
みずほ銀行 や 三菱UFJ銀行 に限らず、従来の都市銀行、地方銀行、信用金庫では、『保証料型』のみの取扱いでした。
しかし、近年登場した、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、イオン銀行 など新しいスタイルの銀行では、『ローン取扱手数料型』となっています。
保証料はかかりませんが、ローン取扱手数料を支払う必要があります。
『ローン取扱手数料型』の特徴
- 〇:優遇金利が有利
-
ローン取扱手数料型の方が、保証料型よりも優遇金利が0.05%有利になります。
従って、みずほ銀行や三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローンでは、ローン取扱手数料型の方が0.05%金利が低いこととなります。
例えば、基準金利2.475%の場合、ローン取扱手数料型では、最大優遇1.90%となりますので、実行 金利0.575%となります。
- △:最初に支払う諸費用が若干高い
-
ローン取扱手数料型の諸費用 ローン取扱手数料型では、住宅ローン利用するときに前払いで借入金額×2.2%の手数料がかかります。
例えば、住宅ローン借入金額3,000万円の場合では、最初に みずほ銀行へ『ローン取扱手数料』として金660,000円を支払う必要があります。
従って、みずほ銀行 や 三菱UFJ銀行 の ネット専用住宅ローンでは、保証料型よりもローン取扱手数料型の方が最初にかかる諸費用が若干高くなります。
- ✕:繰上返済しても返金されない
-
将来、住宅ローンを全額繰上返済した場合でも、ローン取扱手数料は、返金されません。
『保証料型』とは
一般に、借金をするときには、第三者の連帯保証人が必要というイメージがありますが、原則、住宅ローンでは、第三者の連帯保証人を立てる必要がありません。
その代わりに、銀行指定の保証会社が保証するという仕組みになっています。
都市銀行、地方銀行、信用金庫などで、住宅ローンを借入れする場合は、その保証会社に『保証料』という手数料を最初に支払う必要があります。
万一、返済不能になった場合は、債務者(住宅ローンを借りている人)に代わり保証会社か銀行に借入れを一括返済するという仕組みです。
そうしますと、債務者は「住宅ローンを返済しなくても良いのか?」と思ってしまうかもしれませんが、残念ながら、そのようなことはありません。
債務者にとっては、銀行から保証会社へ返済義務が異動するだけのお話なのです。
いずれにしても、銀行は、貸し倒れして損をしない仕組みになっているというわけです。
『保証料型』の特徴
- ✕:優遇金利が不利
-
保証料型の方がローン手数料型よりも優遇金利が0.05%少なくなります。
従って、 みずほ銀行 や 三菱UFJ銀行 の ネット専用住宅ローン では、保証料型の方が0.05%金利が高いこととなります。
例えば、基準金利2.475%の場合、保証料型では、最大優遇1.85%となりますので、実行金利0.625%となります。
- △:最初に支払う諸費用が若干安い
-
保証料型では、住宅ローンを利用するときに、銀行指定の保証会社を利用することとなり、返済期間35年の場合、借入金額100万円あたり金20611円の保証料がかかります。
例えば、住宅ローン借入金額3000万円の場合では、みずほ銀行 や 三菱UFJ銀行 指定の保証会社に保証料として金618,330円を支払う必要があります。
従って、みずほ銀行 や 三菱UFJ銀行 の住宅ローンでは、保証料型の方がローン手数料型よりも最初にかかる諸費用が若干低く抑えられます。
- 〇:繰上返済すると返金される
-
将来、住宅ローンを全額繰上返済した場合は、保証料の一部が返金されます。
どちらを選べば良いか?
『ローン取扱手数料型』も『保証料型』も、最初に一括で支払う必要があります。
『ローン取扱手数料型』は、優遇金利が有利になる代わりに、繰上げ返済しても返金されません。
『保証料型』は、優遇金利が不利になりますが、繰上げ返済をした時に保証料の一部が返金されます。
選択するポイントは借入期間
『ローン手数料型』と『保証料型』の損益分岐点(借入2,000万円の場合)
当初借入期間が20年の場合 | 当初借入期間が21年の場合 | |||
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ローン取扱手数料型 | 保証料一括前払い型 | ローン取扱手数料型 | 保証料一括前払い型 | |
変動金利 | 0.575% | 0.625% | 0.575% | 0.625% |
総返済額 | 21,816,880円 > 21,810,960円 | 21,876,544円 < 21,887,736円 |
以上のように、借入期間20年を超える場合は、『ローン取扱手数料型』の方が有利となります。
逆に、借入期間20年以下の場合ですと、『保証料型』の方が総返済額が少なくなります。
ローン取扱手数料型 に向いている人
- 少しでも低い金利で借入れをしたい人
- 当初借入期間20年を超える人
- 20年以内に全額繰上返済する予定がない人
保証料型 に向いている人
- 当初借入期間20年以内の人
- 将来、20年以内に全額繰上返済を予定している人
まとめ
みずほ銀行や三菱UFJ銀行では、最近まで『保証料型』のみの取扱いでした。
しかし、近年、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、イオン銀行などの新しい銀行では、従来の『保証料型』ではなく『ローン取扱手数料型』にして、金利を低くした住宅ローン商品をラインナップしています。
そこで、みずほ銀行や三菱UFJ銀行などでも『ローン取扱手数料型』の商品を取扱いするようになりました。
住宅ローン商品を選択するときには、総返済額が少ない住宅ローンを選択する必要があります。
変動金利を検討する場合は、将来の金利上昇までは予測できませんので、優遇金利幅の大小を考える必要があります。
従って、返済期間20年を超える予定の人は、優遇金利が0.05%有利な『ローン取扱手数料型』がおススメとなります。
余談(銀行の振込手数料のお話)
例えば、
会社からの給与振込がA銀行
借入れはB銀行だとすると
毎月、A銀行からB銀行に返済金額を移動しなければなりません。
毎月、A銀行からB銀行に振込する場合、その度に、数百円の振込手数料がかかることになります。
35年返済であれば420ヶ月間分の振込手数料がかかります。
仮に振込手数料440円だとすると
440円 × 420ヶ月 = 総額184,800円
になります。
近年では、引出し手数料、振込手数料、口座維持費用など、銀行の手数料は値上げが続いてます。
このような小さな手数料や毎月の手間も『塵も積もれば山となる』で結構なストレスとなります。
従って、住宅ローン を選ぶときは、金利も大切ですが、ご自身の使い勝手の良い金融機関を選択することも大切です。