不動産売買契約書のチェックポイントを解説
~予め理解を深めておくことで緊張や不安を解消
『契約書』に押印する時は緊張します
『不動産売買契約書』など、契約書と名の付く書類に署名や押印をする時は、人によってはとても不安になり緊張します。
しかし、契約書について予め理解を深めておくことで緊張や不安を解消できます。
ここでは、不安が解消できるように、不動産売買契約書のチェックポイントを解説していきます。
『不動産売買契約書』の構成
『不動産売買契約書』とはどんな書類なのか
不動産売買契約書は3種類の内容から構成されています
- ① 物件の概要、金額、期日などが記載されている書面
- ② 条文(条項)が記載されている書面
- ③ 特記事項が記載されている書面
以下、順にチェックポイントを解説していきます。
① 物件の概要、金額、期日などが記載されている書面
物件の概要は、重要事項説明書と同様ですので面積や所在地を確認するだけで十分です。
金額や日付が記載されている部分では、売買価格、手付金、決済期日(引渡し期日)、住宅ローン特約の期日などを確認します。
物件の引渡日と登記申請日が、残金決済日(売買代金を払う日)と同日であるかも確認します。
不動産売買契約時には3つの手続きを同時に行ないます
- ・残金決済
- ・登記申請
- ・物件の引渡し
具体的には、
残金決済のときに、所有権を売主から買主へ移転するための書類を、全て間違いなく司法書士に預けた事を目の前で確認してから、
残代金の支払(振込み)手続きを行ない、
それと同時に物件の鍵を引き渡す。
という手順で行います。
したがって『買主が残代金を支払ったのに所有権が移転されない』というトラブルは発生しません。
この手続きを実現する為には不動産売買契約で、物件の引渡日と登記申請日を、残金決済日(売買代金を払う日)と同日に記載する必要があります。
住宅ローン特約の記載の有無の確認
住宅ローンを利用する場合は、必ず住宅ローン特約の記載を確認します。
住宅ローン特約とは買主保護の為の特約
住宅ローン特約とは、
『万一、住宅ローンの審査が不成立の場合は、売買契約が白紙解約となり、契約時に売主へ支払った手付金が全額返還される。』
という買主保護の為の特約です。
ゼロシステムズが行なう売買契約では、住宅ローン利用のお客様へは必ずこの住宅ローン特約の記載があります。
ご安心ください。
② 条文(条項)が記載されている書面
ゼロシステムズでは、基本的に『公益社団法人全国宅地建物取引業協会 』が指定する書式を使用しています。
ただし、新築分譲住宅を契約する場合は、売主側が作成した売買契約書の書式を利用します。
売主側が作成した売買契約書の書式であっても、条文(条項)については、一部文章の表現の仕方は異なりますが内容はほぼ共通です。
不動産の売買契約書の内容は、売主や買主のどちらかが有利になるようなものではなく、基本的に売主買主ともに対等な立場での契約内容となりますのでご安心ください。
『手付金』とはなにか
手付金とは、『解約手付』と言われ、契約時に買主から売主に支払われます。
万一、買主が契約後に売主が契約の履行に着手するまでの間に契約を解約する場合は、支払った手付金をそのまま売主に渡す事により契約を解除できます。
逆に売主が買主の履行に着手するまでの間に契約を解除する場合は、売主は、買主が支払った手付金の倍額を買主に支払う事により売主は、契約を解除できます。
つまり、手付金が売買契約を繋ぎとめるための重しとなります。
一般に新築の建売住宅を購入時には、100万円~売買価格5%の手付金が必要になります。
ただし、自己資金が少ないユーザーの場合は、売主との交渉次第では手付金50万円くらいで契約をすることができます。
契約を解除する場合
・買主から解除 → 支払った手付金をそのまま売主へ渡す。
・売主から解除 → 買主が支払った手付金の2倍額を買主に支払う。
『履行に着手』とはどんな状況か
『履行に着手』とは、契約の相手方が、契約を実行した場合の事を言います。
例えば、売主が買主に所有権移転の登記申請を提出したり、買主が売主へ残代金の支払の為に振込み手続きをするという様な事は、契約の履行に着手するといいます。
契約の履行に着手という言葉の表現は、若干曖昧な部分があります。
厳密な説明では御座いませんが、契約の履行に着手という言葉の大まかな解釈としては、契約書上の引渡し日までと考えても良いでしょう。
『違約金』の発生
前記の手付金の履行に着手までは、買主は手付放棄、売主は手付倍返しで契約を解除することが出来ます。
しかし、万一、契約の履行に着手後に解約となった場合は、違約金という設定になります。
宅建業法では、この違約金の上限は売買代金の20%と定められています。
一般的な売買契約書の違約金設定額は、この20%と記載されています。
この違約金が発生するケースは非常に稀なケースといえます。
- ■ 違約金が発生するケース
- 『売主が物件を引き渡ししたのに、買主が売買代金を支払わない』
- 『買主が売買代金を支払ったのに、売主が物件を引き渡さない』
ゼロシステムズでは、このようなトラブルが起きないように残金決済、引渡し、登記申請を同日に行なっておりますので、違約金になるようなトラブルが発生したことは、今まで一度も御座いません。
抵当権等の担保権の抹消
契約対象物件に抵当権、根抵当権などの担保権が付いている場合は、残金決済の際には、それらの権利を抹消されてから引渡しとなります。
契約不適合責任
2020年4月に民法が大幅改正されました。
旧民法では、瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)と呼ばれていました。
この瑕疵(かし)とは、物件の隠れた不具合(欠陥)の事です。
改正後の新しい民法では、この瑕疵担保責任を『契約不適合責任』という言葉に変更されました。
新築分譲住宅の契約不適合責任は、不動産(土地・建物)の保証のお話になります。
建物構造上重要な部分(柱、梁、土台、屋根、基礎など)と雨水の浸入を防止する部分(雨漏り)については、売主は、買主に対して引渡し日から10年間担保責任を負います(10年保証)。
その他の部分は、短期保証で1~2年程度の保証となります。
従って、新築分譲住宅の保証の大部分は、2年保証で、構造体と雨水侵入にかかわる重要な部分は10年保証となります。
この2年保証とは、建売住宅だから短いという訳ではなく、注文建築のハウスメーカーであっても短期保証の期間は同様です。
契約不適合を担保すべき保証保険契約等の措置
「契約書で10年保証がついています!」と言われても、売主が10年以内に倒産してしまったら、この10年保証はどうなるのでしょうか。
平成21年からは、『住宅瑕疵担保履行法』という法律が出来ました。
この法律では、住宅を新築した業者は、10年保証の履行を確実なものにする為に、住宅瑕疵保険に加入する。
または、法務局に供託するという事が法律で売主に義務付けられました。
万一売主が倒産する事態になっても、10年保証の途中で発覚した瑕疵については、瑕疵保険または、法務局が瑕疵の修復費用を負担する。
というものになりました。
10年保証の途中で売主が倒産しても『住宅瑕疵担保履行法』により、瑕疵の修復費用は保証されます。
住宅ローン特約条項
万一、住宅ローンの審査が否決になった時の措置を再確認します。
住宅ローン特約の期日についての記載も確認する必要があります。
住宅ローン特約の期日とは、万一、住宅ローン審査で否決になった場合は、〇月〇日までであれば、既に支払い済の手付金を返還してもらい契約を解除することが出来るという期日となります。
その他の条文
基本的にその他の条文(条項)は、同一なのでそれほど心配はいりません。 しかし、契約時は上記で解説した条文(条項)も含めて、ひと通り目を通しましょう。
③ 新築分譲住宅の特記事項の注意点
特記事項について
近年の重要事項説明書や売買契約書の特記事項は、非常に記載が増えていますので確認には時間がかかります。
ゼロシステムズでは、特記事項については、重要事項説明書の特記事項も含めて、契約時には、買主には全て説明するようにしています。
付帯設備について
新築分譲住宅(特に飯田グループ系)は、オプションが多いので注意が必要です。
例えば、網戸、シャッター、カーテンレール、照明器具、テレビアンテナ等々、何が標準で付いているか、オプションかを確認します。
建売住宅のオプション工事に関する記事はこちら↓
建売住宅のオプション工事
売主指定のプロパンガス会社から変更する場合
プロパンガスの物件の場合、プロパンガス供給会社が売主指定になっている事が殆どです。
これは、建築コストを削減する為に、プロパンガス供給会社の負担でガス設備や工事を行なっているためです。
『売主指定のプロパンガス会社を変更する場合、ガス設備の買取り代金をプロパンガス会社に支払わなければならない。』
という条文があった場合、その買取り代金の金額は、大よそ20万円~30万円程度です。
「プロパンガス供給会社が売主指定となると、他のプロパンガス会社と比べてガス料金が高いのでは?」
と心配する人も少なくありません。
しかし、大手の新築分譲住宅の場合、プロパンガス供給会社も業界大手であることが多いため、中小のプロパンガス供給会社と比べると比較的ガス料金を安く設定しています。
もし、プロパンガス料金について心配であれば、契約前にプロパンガス供給会社の社名を確認して、直接、プロパンガス供給会社にガス料金(立法単価)を確認すると良いでしょう。
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