繁忙期に完成を迎える建物の注意点
~3月完成物件の欠陥住宅とまで言えない不具合~
価格高騰はいつまで続く?ウッドショックと半導体不足
~今、住宅の品質低下が深刻。3月末完成物件に要注意。~
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第400-2回目(2022年3月24日放送分 後半)となります。
今回の話題
価格高騰はいつまで続く?ウッドショックと半導体不足
~今、住宅の品質低下が深刻。3月末完成物件に要注意。~
今回の動画(ラジオ放送)は、以下の記事を参考に解説しています。
動画と併せて、以下の記事をご覧ください。
今の時期に完成を迎える建物を購入する場合の注意点
こんにちは。
赤外線建物診断技能師の野方です。
今回は、不動産業界の繁忙期である、今の時期に完成を迎える建物を購入する場合の注意点についてお話しいたします。
『雑』な仕上がりの建物がとても多い
3月末決算パワービルダーが多い事が影響
3月末が決算日となっているパワービルダー(飯田グループホールディングスなど)が多い関係で、ただでさえ短い工期をさらに短縮して建てられている物件が増えています。
ウッドショックや半導体不足も影響
それに加えて、ここ数年はウッドショックや半導体不足もあります。
なかなか建築資材が現場に搬入されなくて、引渡し日の直前ギリギリに部材が入ってくる・・・。
そのような事態も起こっており、どうしても突貫工事になりやすいのです。
慢性的な職人 / 現場監督の人材不足
更に、慢性的な職人不足の影響もあり、ここ数週間は、住宅診断を行っている中で『雑』な仕上がりの建物が多く見受けられます。
職人(大工)さんの高齢化と若手不足が進行
まず、大工さんの高齢化が進んでいます。
腕の良いベテランの大工さんは、高齢化でどんどん引退しています。
そして、若い人の成り手が少ない状況なのです。
今後も、その傾向が続くと思われます。
一人の現場監督が20棟以上担当しているような状況
現場監督も足りていません。
現場監督の仕事は、新築一戸建てを建てる上で、非常に重要です。
建築途中に施工不良を発見したら、職人に是正依頼するのも、現場監督の仕事です。
しかし、現場監督の仕事は、3K(きつい、汚い、危険)職種とも言われており、離職率も高くなっています。
そのため、職人と同様に、現場監督不足も深刻です。
今の建売住宅の業界では、一人の現場監督が、20棟以上担当している。などと言うことも、良く聞きます。
そうなると、建売住宅の現場監督は、品質監理でなく、工程監理しかできなくなるので、些細な施工不良を見逃してしまう可能性が高まります。
技量不足や突貫工事による『雑』な仕上げの例
– アイディホームの新築を内覧して発見した不具合例 –
欠陥住宅とまでは言えませんが、真剣に住宅の購入を検討しているとっては気になる不具合です。
新築を内覧するときには、傷・汚れ、隙間などに注意して見学しましょう。
これらの不具合は、お引渡しまでに売主に指摘すれば是正して頂けますが、引渡し日以降は、是正対象外になるので注意が必要です。
– 階段の裏から飛び出している釘の跡 –
階段の蹴込み部分から釘が飛び出してしまって、それを目立たないように補修で隠した跡です。
内覧時に階段を上る時に、注意深く見ると、このような雑な施工を見つけることがあります。
– 階段ササラ板に大きな傷 –
階段ササラ部分が完全に割れています。
このような傷は、住宅診断をする以前の問題です。
内覧する時に少し注意深く見れば、誰でも発見できる不具合です。
– 階段踏板の傷 –
階段の踏板部分に大きな傷がある施工例です。
角が削れています。
– 玄関部の隙間を木屑で埋めた跡 –
玄関部の隙間を木屑で埋めています。
補修されてはいますが、その方法と仕上げが雑です。
建材が当って付いたような、ありがちな床やドア枠の傷とは違い、
・階段の踏板から釘が飛び出していたり
・枠材をカットした断面が雑であったり
職人さんの技量不足や突貫工事によるものと思われる不具合箇所を発見します。
所々、補修用のクレヨンで隠してありますが、その仕上がりの程度も『雑』です。
仕上がりが雑な物件は建物全体的に傷が多い
玄関内の上框や付け框、階段やクローゼット内部の壁の仕上がり具合に職人さんの技量の差が出てきますので、注意して確認しましょう。
私の経験上、玄関部や階段部の仕上がりが雑な物件は、建物全体的に傷が多い傾向があります。
逆に、下の記事で紹介しているような、細やかな部分にひと手間加える事の出来る職人さんが建てた物件は、全体的にも仕上がりが良い事が多いです。
玄関の付け框の仕上げ方から建売住宅のアタリとハズレを見分ける↓
玄関の上がり框の仕上げ方から建売住宅のアタリとハズレを見分ける
施工精度が高かった他の号棟をお勧め
欠陥住宅とまで言えない不具合ですが・・・
以下のような傷/不具合なら、お引き渡し前にリペア業者にて補修してもらえば、目立たなくはなります。
しかし、こちらの物件はあまりにも傷や汚れ、隙間などが多く『雑』な仕上がりでしたので、お客様には施工精度が高かった他の号棟をお勧めさせて頂きました。
– 床の傷 –
– 壁紙ジョイント部の隙間 –
参考:別の物件での手抜き工事の例
以下の画像は、同時期に別の物件で見つけた手抜き工事の例です。
『完成済み』とされていた物件で発見しました。
繁忙期には、このような目立つ傷さえも、そのままにされている事があります。
– 床板にのこぎり跡 –
アーネストワンの新築
フローリングと壁の境目の写真です。
ノコギリで切りすぎてしまった跡が、そのままにされている状態です。
欠陥住宅とまでは言えませんが雑な仕上がりと言えます。
– 掃き出し窓の枠が歪んでズレています –<アーネストワンの新築>
窓枠と壁の間に大きな隙間が空いている新築です。
欠陥住宅とまでは言えませんが真剣に住宅の購入を検討している人にとっては不安要素となります。
– 天井裏の断熱材の一部が欠けています –
飯田産業のIDS工法
内覧時に天井裏を覗いて発見した不具合です。
こちらも欠陥住宅とまでは言えませんが断熱材の施工不良です。
このような不具合を発見した場合は、ユーザー側から指摘すれば、飯田産業は適切に是正してくれますが、もし誰も気が付かないでと、この状態で入居することになります。
そのため契約前には住宅診断をすることをお薦めします。
複数棟ある場合は見比べる
同じ材料を使っていても、携わる職人さんの技量やモラルによって仕上がりが大きく違ってきます。
複数棟建っている物件の場合には、他の建物と見比べることをお勧めいたします。
建築材料の欠品が続いて完成時期も遅延している
コロナ禍において建築材料の欠品が続いています。
外部は足場が外れていて、一見では完成しているように見受けられます。
しかし、内部は材料の納期遅延によって大工工事が遅れている物件が多くなっています。
相変わらず、洗浄便座や給湯器の欠品が続いています。
さらに、現在は床や窓枠などの新建材の納期が大幅に遅延しています。
また、売主は成約済みの物件を優先的に工事を行っています。
そのため、販売中の物件の工事は後回しになっているようです。
不動産情報サイトや販売図面に記載してある完成時期は大幅に変わる可能性もありますので注意が必要です。
工事の進捗状況にも注意して物件を探す
ほぼ完成済との事でしたが・・・
※こちらの写真の物件は、事前に売主担当者が言うには
「クリーンニング前の状態でほぼ完成しています。」
とのお話しでしたが・・・
外部は外壁材の工事も終わり、ほぼ完成しているように見えました。
しかし内装は手つかずの状態でした。
また、ご契約中の物件でも、売主担当者から
・『2階の洗浄便座だけお引き渡しまでに間に合わない可能性』や
・『建物のお引き渡し自体を遅らせて欲しい』
などの連絡が入り始めております。
現在購入に向けて物件探しをしているお客様で、
・引越しの時期が決まっている方、
・引渡しが先になって今後予想される金利上昇に不安がある方
などは、工事の進捗状況にも注意して、物件を選ばれることをお勧めいたします。
1~3月に新築の建売住宅を買う時のポイントと注意点
1~3月に新築の建売住宅を買う時のポイントと注意点
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2018年12月に公開した動画ですが、内容に問題は無いのでご視聴ください。