【マンションの闇】不動産業界は話さないマンションの将来!居住者の高齢化・増大する修繕費・建替え問題。
【マンションの闇】不動産業界は話さないマンションの将来!居住者の高齢化・増大する修繕費・建替え問題。
YouTubeチャンネル
今週放送の動画をご紹介
FM76.7MHzフラワーラジオ にて毎週放送!
レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第503-1 (2024年5月30日放送分 その①)
となります。
今回のテーマ『不動産業界が話さない、分譲マンションの闇』
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
みなさん、こんにちは。私フジコが番組MCをさせていただきます。
田中先生、本日もよろしくお願いします。
早速ですが、本日はどんなお話をいただけるのでしょうか?
今回のテーマはこちらです。
『不動産業界が話さない、分譲マンションの闇』
このテーマでお話していきます。
興味深いテーマですね。
東京23区ではマンション価格が高騰中
近年、東京23区ではビックリするくらいマンション価格が高騰しています。
港区 / 千代田区 / 中央区 の都心3区のマンション価格は、ここ数年で倍以上高騰しています。
そして、「これはバブルだ」とか「バブルじゃない」との議論が巻き起こっています。
そんなに高騰しているのですか?
はい。高騰しています。
ゼロシステムズの会社(レジデンシャル不動産法人株式会社)の東京支店は、千代田区二番町という場所にあるのですが、その近所の千代田区四番町にある、築11年 / 専有面積62㎡ / 2LDKの中古マンションが売りに出ていました。
・・・いくらだと思いますか?
築11年、62㎡の2LDKというのは、ファミリータイプの普通の広さの中古マンションですよね?
7,000~8,000万円位ですか?
それでも高くて手が出せないですね・・・。
答えは・・・
2億4,700万円です!
有楽町線 市ヶ谷駅 から徒歩3分の好立地ですので、興味がある人は検索してみてください。
高いですね!
どんな人が買うんでしょうか?
■外国人投資家が日本の不動産を購入している
この額ですと、パワーカップルが住宅ローンをフルで組んでも買えません。
外国人の投資家が購入しているようなのです。
今は円安で、外国人投資家からすると、これでも日本の不動産や割安に感じるらしく、キャッシュで購入しているようです。
そうなんですね…。
23区内で古いマンションか?郊外で新築の建売住宅か?
それではここで、リスナーさんからいただいた、今回のテーマに関連したご質問を紹介しますね。
ラジオネーム:エマさん からのご質問です。
質問:築45年の物件を35年ローンで購入したら完済時に築80年になりますが・・・
田中先生、こんにちは、いつも楽しく視聴しています。
今、家探しをしていますが、東京23区内で私たちが探しているエリアでは、70㎡以上、3LDK、新耐震の築年数の中古物件を検索すると、めちゃくちゃ高くて買えません。
予算内の物件となると、築45年以上の旧耐震マンションばかりです。
古い物件でもある程度リノベしてれば、快適に住めるとエージェントから勧められています。
田中先生の過去動画でも、旧耐震であっても必ずしも倒壊しないということをおっしゃってましたが、やはり予算が届かない人は旧耐震でも仕方ないでしょうか?
築45年の物件を35年ローンで購入したら、築80年になってしまいます。そうなると、そのマンションはどうなるのでしょうか?
23区内で古いマンションを買うか、郊外で新築の建売住宅を買うか?
かなり悩んでします。
アドバイスお願いします。
ラジオネーム:エマさん からのご質問
ラジオネーム:エマさん ご質問ありがとうございます。
予算内で23区内に住みたいなら旧耐震の中古マンションになる
結論から申し上げますと、
予算内で23区内に住みたいのであれば、築年数が古い旧耐震の中古マンションになるのは仕方ないことです。
だけど、旧耐震だと大地震がきたときに倒壊のリスクがありますよね。
■旧耐震でも震度7程度の地震で必ず倒壊するわけない
そうですね。リスクはあります。
ですが、東日本大震災のときの実績を見ると、旧耐震であっても全壊したマンションはありませんでした。旧耐震であっても、必ずしも震度7程度の地震で倒壊するというわけではありません。
しかし、あくまでも旧耐震のマンションは、震度5強程度の地震に耐えられるという基準です。それ以上の大きな規模の地震に遭遇したときに関しては、未知数です。
旧耐震のマンションに関する記事はこちらです↓
【大地震】旧耐震マンションは東日本大震災レベルの地震で倒壊するのか?築48年の物件はあと何年住めるのか?旧耐震マンションを購入する際のメリットとデメリット
リスクの高い物件は避けた方が良い
地震の多い日本では、耐えられるかどうか未知数となると・・・不安ですね。
そうなんです。
国交省の資料によると、今後30年以内に M7程度の首都直下型地震が発生する確率は 70%と予測されています。
■国土交通省の資料
■2 巨大地震のリスク(2)首都直下地震
(地震の発生確率)
首都直下地震については、2015年(平成27年)3月に「首都直下地震緊急対策推進基本計画」が公表され、首都中枢機能を確保するための体制やインフラの維持、人的・物的被害に対応するための耐震化や火災対策など、政府として講ずべき措置が示されている。
地震調査研究推進本部地震調査委員会では、首都直下地震で想定されるマグニチュード7程度の地震の30年以内の発生確率は、70%程度(2020年1月24日時点)と予測している。
国や専門家が「もうすぐ大きな地震が来ますよー」と警告しているのに、経済性を優先してリスクが高い物件を購入するのは如何なものなのかと思います。
そうですね。
大地震がくる可能性は年々上がってますから、リスクの高い物件は避けた方が良いと思います。
ご質問者様が懸念している、『築45年以上の中古マンションを35年ローンを組んで買うこと』ですが、それも問題だと思います。
例えば、購入者の年齢が35歳だとします。
築45年の中古マンションをリノベーションして、室内は新築同様になったとしても、構造体は古いままです。
住宅ローン35年を払い終えるころ、人間は70歳でマンションは築80年です。築80年の中古マンションは、現在の日本では例がありません。
最近『築50年以上の団地タイプの中古マンションをリノベーションして、新たな需要を生み出している』と、メディアで報道されています。
このマンションも、10年、20年経つと、築60年、70年となります。これは延命措置であって、問題の先送りです。
その時に、それを購入したい人はいるか?と疑問に思います。
例えば、表参道ヒルズに生まれ変わった、同潤会青山アパートのような特別な立地であれば、築100年でも需要はあるかもしれませんが、それは特殊な例です。
マンションの建て替えは『現実的にはかなり厳しい』
マンションを建て替えるというのはできないんですか?
「古くなったら建替えればいい」と言う人もいます。
しかし、建て替えも不可能ではありませんが、現実的にはかなり厳しいです。
■マンション建替え等の実施状況グラフ
画像引用:国土交通省 – マンション建替え等の実施状況(PDF)
国交省の資料によると、2023年3月時点で建替えを実現できたマンションは、累計282棟にとどまっています。
■高経年マンションストックの増加
画像引用:国土交通省 – マンションを取り巻く現状について(PDF)
現時点で築40年以上の中古マンションの戸数は約150万戸程度と予測できます。
1棟あたり50戸で計算すると約30,000棟のマンションがあり、そのうち建て替えが実現できているのは、282棟ですので、1%に満たない数字です。
■マンション建替え実績の分析①
画像引用:国土交通省 – マンションを取り巻く現状について(PDF)
建替えが実現できたマンションの特徴
・低層で、敷地が広く、建ぺい容積に余裕がある団地タイプのマンション
↓建て替えを行なって
・階数を高くして、戸数を1.6倍程度に増やす
■マンション建替え実績の分析②
画像引用:国土交通省 – マンションを取り巻く現状について(PDF)
新たに生み出された床面積を、新しい入居者に販売することによって、建て替えの資金を調達します。
しかし、全ての建て替え資金を賄うことはできません。既存の区分所有者の費用負担も必要になります。
近年では、既に容積率に余裕がないマンションが多いため、建て替えをしても、新たに生み出せる床面積が減少しています。
2017年以降に建て替えが実現できたマンションの区分所有者の平均負担額は、一世帯あたり1,941万円と増加しています。
建て替えのために2,000万円近くも負担するというのは大変ですよね。
居住者も高齢化していく
そうなんです。
マンションだけでなく、区分所有者も高年齢化しますので、大切な老後資金から修繕費を拠出するというのは非常に厳しいですよね。
そのような管理組合では、建て替えの決議は得られません。
今後、管理組合を構成している区分所有者の高齢年齢化が問題になるはずです。
確かにそうですよね。
新たに床面積を生み出すことが難しい
タワーマンションのような超高層マンションは、現在、築50年以上のものがありません。
しかし、築30年を超えたタワマンは出てきました。あと10年くらい経つと、築40年を超える老朽化タワマンも増えてくるでしょう。
しかし、タワーマンションは、もともと容積率いっぱいで建てているものばかりです。もし、建て替えするとしても、新たに床面積を生み出すことが出来ませんので、区分所有者の費用負担は莫大になります。
そうなるとタワーマンションの建て替えというのは難しそうですね。
■建替えは新築するよりも難しい
一般に、タワーマンションの躯体コンクリートの圧縮強度や給排水管は長寿命とされています。それでも、いずれは朽ち果てます。
マンションを建替えるのは、新築するよりも非常に不利となります。
そうなんですか?
はい。
区分所有者の5分の4以上の合意形成だけでなく、取り壊しや、借り住まいの問題、費用負担など、さまざまなハードルがあり、不利となります。
特に世帯数が多いタワーマンションは非常に不利なんです。
なるほど。
築年数が古いマンションのことを高経年マンションといいます。
現在、高経年マンションにおける修繕不足が懸念されています。
■高経年マンションにおける修繕不足の懸念
画像引用:国土交通省 – マンションを取り巻く現状について(PDF)
外壁の剥落、鉄筋の露出や腐食、漏水や雨漏り、給排水管の老朽化などマンションの資産性だけでなく、生命や身体に影響する問題を抱える物件も増えてきています。
しかし、高齢居住者の場合は「新たに費用を負担するよりも、古くても良いからそのまま住んでいたい」と言う人も多いです。そのため、建て替えを拒否する区分所有者が増えることも予想できます。
高齢になれば、老後資金の問題もありますし、そういう考えになるかもしれませんね。
ここまでが、築年数が古いマンションの建て替え問題と言えます。
修繕積立金と管理費が値上りしていく
次は、修繕積立金と管理費がどんどん値上りしていく問題です。
多くのマンションの修繕積立金では、『段階増額積立方式』を採用しています。
段階増額積立方式では、新築当初は修繕積立金を安く抑えて、築年数が経過するとともに値上げしていく仕組みです。
これは、新築マンションの大半が採用している仕組みです。
■段階増額積み立て方式の増額例
段階増額積み立て方式の例
なぜ、そのような方式がとられているのですか?
表向きは「新築当初は、修繕費があまり必要ないから入居者の費用負担が小さくするため」という感じのことが言われています。
しかし実際は「当初の負担を軽くして入居者を増やしたい」というのがデベロッパーの本音と言えます。
例えば、新築当初は修繕積立金を4,000円程度だとしても、5年ごとに値上りして、築20年以上になったら20,000円以上になっているというケースも珍しくありません。
しかし、管理組合を構成している区分所有者の高年齢化により、修繕積立金の値上げの合意形成がとれず、修繕積立金が不足しているマンションも少なくありません。
■修繕積立金が不足したときの問題
修繕積立金が不足すると、どうなるんですか?
外壁の剥落や漏水など様々な問題がでてきます。
なるほど。古いマンションは問題なんですね。
そうなんです。
しかし、築古マンションだけでなく、新しいマンションでも『修繕不能』のリスクはあるんです。
■修繕積立金の積み立て状況
画像引用:国土交通省 – 平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状(PDF)
国交省の平成30年度のマンション総合調査によると、34.8%の管理組合で修繕積立金が不足しているという調査結果ができています。
これは6年前のデータです。今は物価高で修繕工事に伴うコストも増加しているので、不足している管理組合が、さらに増えていると予想できます。
そんなマンションは買いたくないですね。
そうですよね。
近年では、物価高騰で、管理費も値上がりしています。
そのため、新築当初は管理費と修繕積立金の合計額が 12,000円程度のマンションだったのに、築年数が古くなってきたら 5万円オーバーになってしまった物件もあります。
住宅ローン返済以外に5万円はきついですね。
■共用施設が充実しているマンションの注意点
そうです。
特に共用施設が充実しているタワマンには気を付けてください。
例えば、ジムやプール、ラウンジなどがある物件は、それらの維持管理費が管理費の中に含まれていて、使用しない人も管理費を負担しています。
通わないジムの会費を延々支払い続けるようなものです。
それは無駄ですね・・・。
まとめ
ここまでのお話をまとめますと・・・
- ・首都直下型地震の可能性が高いのに旧耐震マンションを買うのはリスクが大きい
- ・インフレ時代に段階増額積立方式では修繕積立金は相当値上りする
- ・築45年のマンションを35年ローンで買ったら将来価値は無くなる
- ・マンションの建替えを実現できたとしても区分所有者の費用負担は莫大
- ・現実的にタワーマンションの建替えは不可能なのでいつかは朽ち果てる
今回の標語
なるほど。
それでは田中先生。今回も五・七・五の標語でしめてください。
承知しました。
マンションは
空間を売る
ビジネスだ
マンションは、デベロッパーとゼネコンが生み出した、鉄筋コンクリートと空間を購入するものと言えます。
なるほど。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
次回もお楽しみに!
SNSからも質問を受け付けております
- 住宅ローン比較サイト『モゲチェック』(外部サイト)
- ・新規の借り入れで比較
- ・借り換えで比較