【パワービルダー】建売住宅の建築費用は安いワケ。飯田グループホールディングスのようなパワービルダーの新築が安い理由について解説
【パワービルダー】建売住宅の建築費用は安いワケ。飯田グループホールディングスのようなパワービルダーの新築が安い理由について解説
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第498 (2024年4月18日放送分 その③) 前半
第499 (2024年4月25日放送分 その①) 後半
となります。
今回のテーマ『建売住宅が安い理由』
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
それでは田中先生。
今回はどんなお話を頂けるのでしょうか?
次は
『建売住宅が安い理由』
についてお話していきます。(ラジオとYouTubeでは前後編ですが、ここでは1つの記事として纏めています。)
現在、日本は物価高で建築コストが上昇しています。
それに加えて建築業界の2024年問題で、今後さらにコストが上昇していきます。
住宅価格高騰が止まらない理由についてはこちらの記事をご覧ください
【不動産市場】爆上り中だけどマイホームが欲しい!今は家を買うタイミングなのか?
建築コストの上昇は、新築の建売住宅であっても例外にもれず、値上りしています。
しかし、飯田グループ系やケイアイスター不動産などの年間数千棟も新築を分譲している『パワービルダー』と言われている分譲会社は、注文住宅と比較して、かなり安い価格で新築を分譲しています。
そこで今回は『なぜ建売住宅は安いのか?』その理由を深掘りしていきます。
それではリスナーさんから、今回のテーマに関連したご質問をいただいているので、フジコさん、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:TK さんからのご質問です。
質問:注文住宅と比べて、建売住宅はどうしてこんなに安いのでしょうか?
田中先生、フジコさん、こんにちは。
いつもYouTubeで拝見しています。
当初、私は、土地を購入して、注文で新築を建てたいと考えていたいと計画していました。
土地を3,000万円で購入して、注文で新築すると建物価格だけで3,000万円くらいかかり、土地建物で合計6,000万円、駐車場などの外構工事を入れると、なんやかんやで結局6,500万円の見積もりになってしまいました。
それでは予算が追いつかず、注文は断念して今は建売住宅で検討しています。
同じエリアで建売住宅を探すと、同じ広さでも5,500万円くらいで購入できそうです。
安い分には良いのですが、注文と比べて1,000万円も差があると、安すぎてちょっと不安になります。
建売住宅はどうしてこんなに安いのでしょうか?
ラジオネーム:TK さん からのご質問
ラジオネーム:TK さん。
ご質問ありがとうございます。
建売業者は土地を安く買っている
確かに、土地を買って注文住宅で新築すると、地盤改良や外構工事などを含めると総額6,500万円くらいはかかってしまいますね。
注文住宅の例(土地+建物)
ご質問者さまがおっしゃるとおり、土地が3,000万円の相場のエリアであれば、建売住宅でなら5,500万円くらいの予算感で十分購入できるかと思います。
建売住宅(土地建物セット)
どうして1,000万円も価格差があるのですか?
建売業者は、土地を安く買っているからなのです。
土地を安く購入することができる理由
なぜ土地を安く購入することができるのですか?
■常に土地を仕入れている
分譲するために、常に土地を仕入れているからです。
大手仲介業者は売り物件が出ると、すぐに買ってくれる建売業者に情報を持っていきます。
仲介会社は、地主さんから土地を売りたいと相談された時に、エンドユーザーに建築条件無しの土地として時間をかけて販売活動するよりも、パワービルダーなど建売業者の土地情報を持って行った方が、簡単に土地が売れて、仲介手数料が入ります。
簡単に買ってもらった方が楽ですね。
そうなんです。
建売業者が土地を買う場合は、エンドユーザーが土地を買う場合と違って、住宅ローンが通らずにキャンセルとなる心配もありません。
仲介業者としては手っ取り早いんです。
その代わり、エンドユーザーよりも建売業者の買取り価格は安いです。
やっぱりそうなんですね。
でも、地主さんとしては少しでも高く売れた方が良いでしょうから、ちょっと損になりませんか?
さすがフジコさん鋭いですね。その通りです。
土地の買取り価格 相場の違い
土地の買取り価格 相場の違い
例えば、エンドユーザーの価格相場が坪100万円の土地を面積30坪売却するのであれば・・・
100万円×30坪=3,000万円
となります。
しかし建売業者であれば、2,600万円程度の価格で仕入れなければ、分譲事業として採算は合いません。そのため相場よりも割安な価格で土地を仕入れます。
それでも仲介業者が土地情報を建売業者に土地情報を持っていく理由は、すぐに買ってくれるからなんです。
地主さんにとっては、あまりメリットは無さそうですね。
おっしゃる通りです。
エンドユーザーが一括で購入できる予算感の広さの土地を売却するのであれば、時間をかけてでも仲介業者にはエンドユーザー向けに販売してもらった方が地主さんのメリットは大きいと思います。
しかし、200坪、300坪、場合によっては、それ以上の大きな面積となると話は別です。
仮に、坪単価100万円の土地を200坪売ろうとすると2億円。300坪であれば3億円の土地になってしまいます。
そうなると、購入できるエンドユーザーは一定の層に限られてしまいますので、購入希望者はなかなか現れません。
3億円の土地となると、なかなか買い手がつかないでしょうね。
そうですよね。
大きな土地なら分譲して売り出せる
しかし、大きな土地は建売住宅にすると、沢山の棟数を分譲できます。
そのため、資金力が豊富なパワービルダーは喜んで買取りします。
なるほど。
大きな土地なら分譲して売ることができるということですね。
はい。
ただし買取り価格は安くなります。
相場が坪単価100万円のエリアだと、いくらくらいで買い取るのですか?
敷地が大きすぎる土地になると、業者の買取価格は坪単価60万円~70万円くらいなるのが一般的です。(土地の形状によって異なります)
不動産価格は、需要と供給のバランスの問題です。土地が大きすぎると買い手が極端に少なくなりますので、総額が安くなってしまいます。
従って、敷地面積200坪であれば、1億2,000万円~1億4,000万円くらい。
300坪であれば、1億8,000万円~2億1,000万円くらいとなっていまいます。
■大きな土地を分割して分譲する場合
仮に300坪をぶつ切りで30坪に分割すれば、10区画の現場となります。
10区画の分譲地例
2億1,000万円(購入価格) ÷ 10区画(分割)=2,100万円(一区画辺りの価格)
1区画あたり2,100万円を、3,000万円で売れば凄い利益じゃないですか!?
そうですね。
ですが、10棟をぶつ切りできる好条件の現場なんて殆どありません。
そうなのですか?
■分譲事業をおこなう際は開発行為が必要になります
はい。敷地面積が大きくなると、その土地で分譲事業をするときに、役所と事前協議が必要になります。(地域によって基準は異なります)
開発道路を入れたり、ゴミ置場の設置が義務図けられたり、色々な経費がかかってしまいます。
これを開発行為と言います。
開発行為の例
開発行為には数千万円という莫大な費用がかかるので、大きな土地を売却するときには、開発にかかる経費を差し引かれた買取査定価格を提示されるのが一般的です。
それでも建売業者は、エンドユーザー土地を買うよりも、安く土地を仕入れますので、結果的に分譲価格を安くすることができます。
パワービルダーは建材/設備機器の仕入れ価格が異常に安い
建売住宅が安い理由として、
『パワービルダーは、建材、設備機器の仕入れ価格が異常に安い』
ことが挙げられます。
同じ製品を一括大量購入することでコストダウン
注文住宅になると、キッチン / 洗面台 / 浴室 / 室内ドア などは、建売住宅よりもワンランク上のものを使っています。そのため最終的に建物価格が高くなってしまいます。
しかし、それだけで1,000万円以上の価格差は生まれません。
飯田グループのような、年間に数万棟も新築しているパワービルダーは、建材や設備機器を安く仕入れるため、同じ商品をメーカーと大口の仕入れ契約をしています。
リクシルやYKKなどの玄関ドアは、親子の防火仕様になると定価で80万円くらいします。
システムバスルームなども、定価では100万円以上しますし、システムキッチンも定価では80万円近くします。
それを、工務店やハウスメーカーは定価の半額程度で仕入れて、自社の注文住宅に取り付けています。
しかし、大口で契約しているパワービルダーは、それよりも大幅に安く仕入れて建売住宅に設置して分譲しています。
このようにして、材料費を削って建築原価のコスト削減をはかっています。
特別仕様の廉価版を製造してコストダウン
また、リクシルなどの建材メーカーは、少しだけ機能を簡素化した廉価版のシステムキッチンやシステムバスルームなど、パワービルダー特別仕様を製造して、さらに安く建売業者に卸しています。
なるほど。
だからパワービルダーは安くできるのですね。
工期が短く利益率が低い
そうなんです。
しかし、パワービルダーが建築原価を安くできる理由は、これだけではないんですよ。
そうなんですか?ぜひ、教えてください。
それは『工期が短く利益率が低い』からなんです。
住宅展示場にあるようなハウスメーカーの注文住宅では、お客様1人にかかる工期が(間取りの打ち合わせなども含めて引渡しまで)1年くらいかかります。
結構かかりますね。
かかりますね。
しかし、建売住宅ではユーザーと間取りの打ち合わせする必要がありません。
そのため、パワービルダーは『土地を仕入れてから建物を完成させて完売するまでの事業を、半年以内に完了させる』ことを目標にしています。
注文住宅の半分の期間ですね。
ビジネスモデルの違いによる価格差
工期が半分ということは、注文住宅では1年間に1回転しかできない資本を、パワービルダーの建売住宅では2回転できることになります。
すぐに売れるような人気がある立地となると、4ヶ月くらいで資金回収できることもあります。そうなると、1年間に資本を3回転させることができます。
1年間に資本を1回転しかできない注文住宅の工務店やハウスメーカーが存続するためには
『1人のお客様からの利益率を高くしなければ成り立たない』
と言えます。
パワービルダーのビジネスモデルは
『たくさん建ててコスト削減することにより成り立っている』
と言えます。
建売住宅が安い理由が良くわかりました。
建売住宅が安い故のデメリット
建売住宅が安い故のデメリットについても解説します。
設計や仕様などオーダーが一切できない
パワービルダーの建売住宅は、ハウスメーカーの注文住宅と違いオーダーが一切できないことが多いです。
先程お話したとおり、パワービルダーのビジネスモデルで最も重要なことは、大量生産と工期短縮によるコスト削減です。 よって、工期が延びて資金回収が遅くなることを極端に嫌います。
そのため、建築途中であっても、仕様変更を受け付けないことが殆どです。
たしかに、建売住宅で仕様変更/設計変更を受け付けるって、ほとんど聞かないですよね。
はい。
ただし、稀にですが、設備の仕様変更など、ユーザーの要望を受け付けてくれることもあります。
しかし、パワービルダーは、建材メーカーから決まった商品を年間契約して安く仕入れています。そのため、標準仕様と違う商品をオーダーした場合は、その商品は一般的な価格と同等レベルになり、標準仕様との差額が少なくなってしまうことも珍しくありません。
トラブル防止のためにも標準仕様が無難
また、パワービルダーは、注文住宅のハウスメーカーと違って、ユーザーとの仕様打ち合わせに慣れていません。そのため、あまりユーザーが細かいオーダーをすると発注ミスをすることもありますので注意が必要です。
よって、建売住宅を購入するのであれば、トラブル防止のため、できるだけ標準仕様で購入した方が無難です。
細やかなアフターサービスは期待できない
もう1つ、パワービルダーは低価格を実現するために利益率が低いです。
それは、引渡し後のアフターサービスにかけるための十分な経費がその利益にのっていないからと言えます。そのため、注文住宅のハウスメーカーのような細やかなアフターサービスは期待できない。ということです。
アフターサービスが期待できないとなると、購入前の対応が重要になってきますね。
まとめ
建売住宅が安い理由についてまとめます。
- ・土地を安く仕入れている
- ・建材メーカーと大口契約をして安く仕入れている
- ・建売業者は注文住宅よりも工期が短く利益率が低い
今回の標語
それでは、いつものように 五・七・五 の標語にまとめてみます。
お願いします。
安いわけ
ちゃんと判れば
怖くない
建売住宅は、注文に比べて非常に安いです。
あまりにも安すぎると、逆に不安になりますので、安い理由を理解することが大切です。
我々ゼロシステムズが、工期が極端に短い物件を建物診断すると、引渡し後のトラブルの原因となり得るミス工事や、職人レベルでの手抜き工事を発見することがあります。
そのため、物件を契約する前には、専門家による住宅診断がとても大切であると言えます。
ゼロシステムズの住宅診断についてはこちらです↓
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なるほど。建売住宅が安い理由がよくわかりました。
田中先生。ありがとう御座いました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
次回もお楽しみに!
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