【建売住宅】不動産業者は言わない!中古物件・リノベーション物件の欠陥事情!住宅診断で発覚した欠陥住宅!

【建売住宅】不動産業者は言わない!中古物件・リノベーション物件の欠陥事情!

中古一戸建て
あなたは中古派ですか?それとも新築派ですか?
多くの方は「新しい物件の方が良いに決まっている!」と考えると思います。
しかし、近年の物価上昇による建築費高騰で、新築一戸建てはずいぶんと高くなり、その影響で新築を諦めて中古を探す人が増えてきました。
そこで今回は、不動産業者は言わない中古物件の欠陥事情について、実際の写真を使って深掘り解説していきます。

※記事はラジオ収録用の原稿を元に要約しております。そのためYouTube動画と内容が異なる部分がございます。


今回のテーマ『不動産業者は言わない!中古物件の欠陥事情』

サムネイル-中島
中島

早速ですが今回のテーマは『不動産業者は言わない!中古物件の欠陥事情』です!

サムネイル-田中
田中

早速いきましょう!
中古一戸建ての断熱材の施工状況の実態について、写真を使ってお話していきますね。

サムネイル-中島
中島

是非お願いします。



中古一戸建ての施工不良

築17年の中古一戸建て-天井の断熱材抜け落ち

S056_断熱材01

2階勾配天井の断熱材抜けを発見

田中: まずはこちらです。
2階の勾配天井の断熱材が完全に抜けています。


中島明るくなっている部分が温度が高い所ということですね。


田中: そうです。
実際に赤外線診断するときには、測定面と並行、または、30度以内の角度で測ります。
ここでは分かりやすく斜めから撮影していますが、明らかに断熱材が抜けていることが分かります。


中島: 素人目に見てもわかります。


築20年の中古一戸建て-天井の断熱材抜け落ち

S056_断熱材02

天井の断熱材が完全に抜け落ちています

田中: それでは、次です。
こちらは築20年の中古一戸建てです。
こちらも天井の断熱材が完全に抜けています。


中島: 本当ですね。分かりやすいです。
中古一戸建ては、天井の断熱材が抜けている物件が多いんですか?


田中: 多いですね。
20年くらい前の一戸建ての多くは、断熱材の施工はいい加減です。

断熱材の施工不良が多いというより、築20年以上の物件ですと、殆どの物件が断熱不良と言ってもいいくらいです。


中島: そうなんですか!?


田中: はい。
天井だけでなく壁もです。


壁内部の断熱欠損

S056_断熱材03

壁の中の断熱材がそっくり無い物件

田中: 壁の中の断熱材がそっくりない物件です。
こちらは、築25年くらいでした。


中島: 続々と断熱不良の写真がでてきますね・・・。
断熱不良の物件って多いんですね。


田中: 20年くらい前は、今と違って消費者も施工する側も、断熱材についての意識が低くかったんです。
築20年以上の中古物件を赤外線診断すると、結構な確率で断熱不良を発見します。


築17年~25年の中古一戸建てでは、勾配天井や壁の内部から断熱材が完全に抜け落ちている事例が多数確認されています。
赤外線サーモグラフィー診断では熱ムラが浮かび上がり、施工当時の断熱意識の低さが一目でわかります。
購入前に必ず専門家による断熱性能チェックを行う必要があります。


中古断熱不良物件 vs 新築物件の温度変化を比較

中島: それでは、今の新築と中古では冷暖房の効き具合って、かなり変わるんじゃないですか?


田中: 以前、実験したことがあるのですが・・・

  • 比較:築20年で断熱不良がある中古物件 と 新築でZEH相当(断熱等級5)の物件
  • 外気温35度の真夏
  • エアコンで室内温度を25度まで下げた後でエアコンを切る
  • 1時間後の温度を変化を見る

上記で比較したところ・・・
断熱不良の中古物件は、すぐに室温が上昇し始めて、1時間後は 33℃でほぼ外気温と同じ。
断熱等級5の新築は、1時間後でも28度までしか上昇していませんでした。

S056_室温計イメージ

中島: そんなに差があるんですね。


田中: ありますね。
現代の新築の断熱性能が高いのは、断熱材と断熱性能が高いサッシのおかげです。
でも、高い建築費をかけて新築していますので、それくらい差がないと意味ないですよね。


外気35℃・室温25℃の条件でエアコン停止後1時間の室温を比較した結果、築20年の断熱不良中古は約33℃まで上昇し外気とほぼ同じ温度に戻りました。
一方、断熱等級5相当の新築は28℃で安定し、光熱費と居住快適性に大きな差が生じることが明らかになりました。


リノベーション物件に潜むリスク

中島: 最近は中古一戸建てでも、リノベーションされた物件も多いじゃないですか?
リノベーションされていれば、こういう部分も直しているんじゃないですか?


田中: 私から言わせいただくと、リノベーション物件であっても、これに関しては話になりません。


中島: 話にならないって、なかなか手厳しい物言いですね。


リノベーション物件は見栄え重視が多い

田中: リノベーション物件と言っても、不動産業者が行なうリノベーションはキッチンやお風呂など内装を綺麗にした、見栄え重視な物ばかりなんですよ。


中島: そうなんですね。


バスルーム天井裏の防火材の未施工

田中: こちらをご覧ください。
リノベーションでシステムバスルームに交換して、とても綺麗になっています。


S056_リノベーション済みバスルーム

リノベーション済みバスルーム

中島: 新築同様で良いじゃないですか!
どこか悪いところあるんですか?


田中: 浴室の天井点検口から覗いて見ると、こんな感じです。


S056_リノベーション済みバスルーム-天井裏

リノベーション済みバスルーム-天井裏

中島: 汚いですね。落差が激しすぎます。


田中このお風呂は断熱材がほとんど無いので、冬場は非常に寒いと思います。
そして、防火のための石膏ボードが未施工ですので、火災のときには延焼が早いでしょう。

構造体に接合金物もありませんでした。


中島: それは危険ですね。


基礎のひび割れ

S056_リノベーション済み物件-基礎

リノベーション済み物件-基礎の状態

田中: 室内は綺麗にしていても、基礎はこんな感じでひび割れています。


S056_リノベーション済み物件-基礎ひび割れ

リノベーション済み物件-基礎のヒビ割れ

田中: ひび割れの幅は1㎝を超えていて、そこから雨水も進入してしまいます。


田中: まとめるとこんな感じです。

  • 1.壁の断熱材がほとんどない→冬寒い→ヒートショックの原因
  • 2.外壁の裏側に石膏ボードが施工されていない→火災の時に延焼しやすい
  • 3.柱と梁などの接合部に接合金物が無い→地震に弱い
  • 4.基礎コンクリートはひび割れている→地震に弱い/既に劣化が進行している

中島: 全然ダメじゃないですか。


田中リノベーション物件は見た目を綺麗に繕っているだけの物件が非常に多いので、注意が必要です。


内装を美しく仕上げたリノベーション物件でも、断熱材、防火用石膏ボード、接合金物など構造部材の改修が行われていないケースが多く見られます。
基礎コンクリートに1cm超のひび割れがあるまま放置されている物件もあり、安全性と耐久性を確保するには構造診断が欠かせません。


隠れた劣化リスクと購入前チェック

床下の含水率測定

S056_リノベーション済み物件-床下含水率

リノベーション済み物件-床下木部の含水率が54%

田中: 次の画像です。
床下の木部の含水率が54%と、かなりの湿気を帯びていました。
『布基礎』で通気がかなり悪い状況です。


中島: 本来は、どれくらいが良いんですか?


田中: 今の時期(6~7月)は15%~20%。
乾燥している冬場では10%未満くらいです。


中島: そうなると、54%ってかなり湿気っていますね。
なぜなんですか?


田中: 築30年くらいの物件で『布基礎』なんです。
『布基礎』は床下がコンクリートでなく、地面の土がそのまま見える造りなんです。


中島: たしかに。土が見えますね。


田中: 布基礎だと、立地環境によっては床下に湿気が籠ってしまうんです。
例えば・・・近所に川がある。地盤が低いなど。です。


中島: そうなんですね。


布基礎

布基礎イメージ

玄関巾木の含水率が40%

S056_リノベーション済み物件-玄関巾木含水率

リノベーション済み物件-玄関巾木の含水率が40%

田中: こちらは、玄関付近の巾木などが見た目からしてブヨブヨしていたので、含水率を測ってみた際の写真です。


中島: 含水率40%って高くないですか?


田中: とても高いです。


巾木で隠されたシロアリ被害

S056_リノベーション済み物件-玄関巾木-白アリ被害

巾木の裏(内側)はボロボロでした

田中: 巾木の一部が外れて、中身を見ることができました。


中島: なんですか?これは!?


田中: 中身はシロアリに喰われていたんです。

蟻道と言って、シロアリに喰われた痕をしっかり確認できました。
この外れた巾木は私が壊したのではなく、この物件のオーナー(売主)が、これを隠すために簡易的にくっ付けていたのです。


中島シロアリの被害を隠していたって酷いですね。


田中: 知らないふりをしている中古物件オーナーも時々いるんですよ。
ゼロシステムズのような住宅診断の専門家が内覧すると、すぐに見抜くから無駄なんですけどね。


中島: そうですよね。
住宅診断でこのような物件を発見したら、どうするんですか?


田中: 買主に事実を正確にお伝えして、直すのに多大な費用がかかる物件であれば「買わない方が良いですよ」と提言します。


中島: 正直に言ってもらえるんですね。


田中: もちろんです。
問題がある物件は契約しないということが、欠陥トラブルを防ぐ最も有効なトラブル回避方法です。

もしも無理に購入して、後から欠陥トラブルに発展してしまったら、解決するために多大な労力を割かなければなりません。
そうすると、ゼロシステムズとしても業務効率が落ちてしまうので、費用対効果を考えると問題ある物件は契約しない方が良いのです。


中島「問題がある物件は契約をしない」ということは、購入者だけでなくゼロシステムズにとっても、最良の選択肢なんですね。


田中: そういうことです。


赤外線で発見する雨漏り

田中: 最後は欠陥住宅の定番、雨漏りです。


中島: 雨漏りって定番なんですか?


田中: 中古住宅では定番です。

今回ご紹介するのは、見た目では全然気が付かない雨漏りです。
↓こちら↓をご覧ください。

赤外線診断でサッシの上のカーテンボックス付近を見ているのですが、色が違うのが分かりますか?


S056_リノベーション済み物件-雨漏り調査01

赤外線サーモグラフィーで壁の診断中

中島: 紫色になっている部分ですか?


田中: そうです。その部分だけ温度が低いんです。
そこで先程の含水率計の出番です。


S056_リノベーション済み物件-雨漏り調査02

天井カーテンボックスの含水率が59%

天井のカーテンボックスの含水率は、なんと59%でした。


中島: かなり湿気っていますね。


田中: そうなんです。目には見えないけど、雨漏りしているということです。


中島: 凄いですね。そんなこともわかるんですね。


田中: そうです。
ゼロシステムズでは、内覧時や購入前に専門機器を活用した住宅診断を実施するので、欠陥住宅の購入を防ぐことができます。


中島: この雨漏りの原因は分かったのですか?


田中: はい。
こちらをご覧ください。


S056_リノベーション済み物件-雨漏り調査03-脳天打ち

手摺りの接合部が脳天打ち

田中: この上はバルコニーになっていて、そこの手摺りの接合部のビスが脳天打ちされていることが原因だと思われます。


中島脳天打ちってなんですか?


田中: 写真のようにビス穴が真上を向いている打ち方のことです。
これは、雨水が侵入しやくすなります。


ビスや釘の脳天打ちとは

およそほとんどの屋根材ビスや釘で固定されます。
しかしビスや釘を打つ場所は、次に葺き進められる屋根材に隠れてしまいます。
そのためにビスや釘を打って固定しても、雨水に晒されることがありませんので、屋根材に生じる僅かなビス穴や釘穴から雨水が入ることはありません。
しかし雨水に晒されるような場所の屋根材の上からビスや釘を打ったらどうなるでしょうか。
僅かな穴の隙間からでも雨水が入ります。
雨水に晒される場所の屋根材の上からビスや釘を打つことを脳天打ちと言いまして、ご法度、掟破りと言われるゆえんです。

中島: これは、築何年くらいの物件だったんですか?


田中: これも築30年以上のリノベーション物件でした。


中島: リノベーションも信用できないですね。


田中構造まで考えてリノベーションされている中古は殆ど無いので、気を付けないといけません。


ゼロシステムズの住宅診断について知る↓
住宅診断の重要性|欠陥住宅を防ぐための徹底チェック

正しくリノベーションした場合の費用

中島: ここまで色々な欠陥事例を見てきました。

そこで一つ質問なのですが、例えば築30年くらいの中古物件を購入して、自分で手配して、耐震や断熱なども含めて、外壁、屋根、水回りなども、総合的にリノベーションしたら、いくらいくらいかかるんですか?


田中: 物件の状況によって変わるので、一概に言えないですが・・・総合的なリノベーションになると、今は1,000万円以上はかかると思います。


中島: ということは、新築より1,000万円安く買えれば中古でもアリということですね。


田中: 住宅ローン控除や補助金などを考慮すると、あと200~300万円くらい安くないと、中古のお得感はないと思います。


布基礎床下の木部含水率が54%に達し、巾木内部からはシロアリの蟻道が確認される事例があります。
また、赤外線診断と含水率計を用いることで目に見えない雨漏り箇所(含水率59%)を特定可能です。
築30年超の中古を35年ローンで購入する際は、耐震・断熱・防水を含む総合リフォーム費用(1,000万円超)と完済時の築年数リスクを事前に把握してください。


中古物件を35年ローンで買う方に向けてアドバイス

田中: 最後に、これから中古物件を35年ローンを組んで買うという方に、住宅診断をする立場として1つアドバイスさせてください。

築30年の中古であっても、今の住宅ローン制度であれば35年ローンが組めます。
しかし、現時点で築30年となると、35年後は築65年の物件となってしまいます。

今、中古を買ってリフォームして住もうと考えている人は、そこを考えなければいけないということです。
その物件に35年ローンを組むとなると、現時点で耐震性能と劣化対策を考慮した修繕も含めてリフォームしなければ、返済終了まで家が持たない可能性が高いということです。

また、リフォームする前のベースとなる中古物件の状態が非常に重要になります。
最近は新築が高いのでリノベーション物件が注目されていますが、今回のご紹介したように表面を繕っただけの物件が非常に多い。
というか・・・殆どがそんな感じなので注意してください。



サムネイル-中島
中島

なるほど。
私だったら、新築の方がいいかな・・・。

今回も勉強になりました。田中先生ありがとうございました。

サムネイル-田中
田中

ありがとうございました!


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