人材不足が深刻で雑な仕上げの住宅が増加傾向
~ 1人の職人が2つの現場を同時に担当 ~
建売住宅にはアタリとハズレがある。
今、欠陥住宅という『ハズレくじ』が増えている。
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第416-2回目 (2022年7月14日放送分 後半)となります。
今回の話題
建売住宅にはアタリとハズレがある。
今、欠陥住宅という『ハズレくじ』が増えている。
以下は、動画の内容に関連した情報です。
より詳しく知りたい方は、是非動画をご覧ください。
完成を待っていたら売れてしまった
不動産せんせい田中の、教えて不動産の知恵袋!
田中先生!
後半では、どんなお話を頂けるのでしょうか?
後半は、
【新築(建売住宅)には、アタリとハズレがある。
欠陥住宅という『ハズレくじ』を引かない方法】
についてお話しようかと思います。
ラジオリスナー様からのご質問
後半も面白そうなお話ですね~。
それでは、番組リスナーの方からのご質問を紹介させて頂きます。
匿名希望さんからのご質問です。
不動産は取り置きようなことはできないでしょうか?
いつもYouTubeを観て勉強しています。
先月、アーネストワンの新築を見学してきました。
まだ、建築途中で壁紙が貼っていなく、キッチンや部屋のドアも付いていませんでした。
完成した状態を確認してから買いたいと思って工事を待っていたら物件が売れてしまいました。
不動産はお取り置きのようなことは出来ないのでしょうか?
どのようなタイミングで契約するのが良いと思いますか?
ご回答お願いいたします。
未完成段階で売れてしまう
ご質問ありがとう御座います。
今年に入って、首都圏の建売住宅の新規着工件数自体は減少しています。
エリアによっては、物件数よりも、購入を希望するユーザーの方が多いため、工事の完成を待ってから契約しようとすると、未完成段階で既に売れてしまっている。という現象が起きています。
ただ、残念ながら、不動産の場合、お取り置きということは出来ません。
特に建売住宅になると、完全に『早いもの勝ち』となります。
買おうと決断して、買付を出したら、ひと足さきに売れてしまった・・・ということも珍しくありません。
未完成の段階で契約した方が良い
契約するタイミングについてのご質問ですが、住宅診断をする立場から言うと、未完成の段階で契約した方が良いと考えます。
未完成物件のメリット/デメリット
建築途中であれば、工事の進捗状況にもよりますが、タイミングによっては、断熱材や石膏ボードの施工状況などを直接目視で確認することができます。
これは、大きなメリットです。
ただし、買主は、完成イメージを図面やカタログなどでしっかり確認しないと、お引渡し時に『想像していたのと違った・・・。』となる恐れがあります。
未完成で契約する場合は、細かくチェックする必要があります。
完成物件のメリット/デメリット
建物が完成していれば、キッチンや建具、外構の雰囲気などを確認してから契約できますので、
『購入後の生活をイメージしやすい。』
という点が、買主にとってのメリットになります。
しかし、完成して壁の中に隠れてしまった断熱材や石膏ボードのビスピッチなどは、直接目視で確認することが出来なくなります。
そのため、ゼロシステムズの建物診断では、引渡しまでに複数回にわたって、一級建築士などの専門家スタッフが赤外線サーモグラフィーや金属探知機を使用した非破壊検査も実施します。
建築途中であれば、非破壊検査の機材を使わなくても直接目視で確認できる部分が多く、診断が効率的に進みます。
・ 完成前なら、施工状況などを直接目視で確認(診断)することができる。
・ 完成済なら、購入後の生活をイメージしやすい。
なるほどね。
素晴らしいわ。
ゼロシステムズの住宅診断について
住宅診断の総合メニュー
最近あった雑な仕上げの実例画像
LINEからのご相談
次に、私が住宅診断をした物件ではありませんが、先日、ゼロシステムズの公式LINE経由で受けたご相談をご紹介させて頂きます。
「立地と間取りが気に入って買うつもりで内覧したら傷や隙間が多く不安になったので相談にのってもらえませんか?」
という内容でした。
不具合部分の写真を送って頂いたところ、皆さまの家探しの参考になりそうなくらい雑な仕上げの新築でしたので、ご紹介します。
階段の踏板部分のスキマが大きい
まず1つ目が、階段の写真です。
この写真では、階段の踏板部分のスキマが大きいのが分かると思います。
階段踏板の隙間
手前より、奥の○で囲んであるところの方が開いちゃってますね。
わかります。
階段の施工は、大工さんの腕が出やすい部分と言えます。
未熟な大工さんが作ると、隙間が大きく見た目も悪い仕上がりになります。
場合によっては、軋み音がする階段になることもあります。
そのため、物件を内覧するときには、階段部分をよく見て、この写真のような隙間が無いかをチェックするだけでも、アタリとハズレを見極める目安になります。
押し入れの中段板が浮いている
2つ目の写真は、押し入れの中段の写真です
押し入れ中段の隙間
こっちは、駄目さ加減が、非常に分かりやすいですね。
そうですね。
どうしたら、この状態で良しとして、仕事を撤収できるのか、大工さんの腕というよりも、もはやモラルを疑ってしまいますよね。
本当ですね。
押し入れ内のビス留め忘れ
3つ目の写真は、この押し入れの中段の裏側の写真です。
これは、一見するとクロスの貼り方が悪いという意味の写真かなと思ってみていたら、よく見るとビスが留まっていない写真でした。
押し入れ中段のビス留め忘れ
嫌だ!
これはもう・・・大工さんの手抜き工事じゃない!?
そうですね。
こんなに不具合が多い現場は、手抜き工事なのか、うっかり屋さんの大工さんなのか、もはや分かりません。
最近は、このような雑な仕上げの現場を見かけることが増えました。
そうなんだ・・・。
なんで増えたのですか?
はい。
原因は、大工さんの人材不足です。
大工さんが不足している
ウッドショックで木材が不足しているというのは良く聞きますが、大工さんも不足しているのですか?
熟練工が引退し、後継が少ない
そうです。
かなり不足しているんですよ。
現在、今まで、主な担い手となっていた、60代の大工さんのリタイヤが進んでおり熟練工が減少しています。
そのため、建築現場では、大工さんの確保が急務になっています。
1軒の家を1人の大工さんが担当
延床面積30坪くらいの新築であれば、大工さんは、1軒の家を1人で担当して工事をすすめます。
もちろん、水道屋さんや電気屋さんなど、各専門の業者が入りますが、木工事は、基本的に大工さんが1人で行います。
担当する大工さんにアタリとハズレがある
例えば、3棟現場の建売住宅では、3棟それぞれ大工さんが異なります。
みんながみんな上手な大工さんであれば良いのですが、そうとは限りません。
例えば、1号棟と2号棟を担当した大工さんは、丁寧で不具合のないアタリの建物であっても、隣の3号棟だけ、未熟でモラルに欠けた大工さんで、不具合の多いハズレの建物ということがあります。
そのため、建売住宅のアタリとハズレを見極めるには、ハウスメーカーの会社名で判断するのではなく、1件1件の造りを見極めることが大切です。
同じ現場の建物でも、1件1件の造りを見極めることが大切。
人材不足が深刻化
1人で2棟同時に担当することも
大工さん不足で工事が進んでいない現場も数多くあります。
先程は、1棟の建物を1人の大工さんが担当して建てると言いましたが、最近では、隣接した現場であれば、2棟同時に1人の大工さんが担当するというケースも出てきました。
1棟を1人で建てるというだけでもかなり大変なのに、1人で2棟を掛け持ちするのはハード過ぎますよね。
そうですね。
だけど、一部の建売住宅メーカーでは、そうやって現場を回しています。
そのため、最近は、先程の写真のような不具合を抱えた新築が増えてきました。
大工さん不足が、そういうことに影響しているのですね。
現状、人材不足が改善する見込みはない
そうですね。
この、現場の人材不足問題は、今後も改善する見込みはありません。
そのため、これから建売住宅の購入を検討している人は、一級建築士などの住宅診断の専門家に物件を診てもらってから契約することをおすすめします。
今回は以上とさせて頂きます。
田中先生。
ありがとう御座いました。
教えて不動産の知恵袋
来週もお楽しみに!
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