【大地震】旧耐震マンションは東日本大震災レベルの地震で倒壊するのか?
築48年の物件はあと何年住めるのか?
旧耐震マンションを購入する際のメリットとデメリット
【大地震】旧耐震マンションは東日本大震災レベルの地震で倒壊するのか?
築48年の物件はあと何年住めるのか?
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第456-2回目 (2023年4月27日放送分 後半)となります。
今回の話題
【大地震】旧耐震マンションは東日本大震災レベルの地震で倒壊するのか?
築48年の物件はあと何年住めるのか?
今回のテーマ『築48年の中古マンションは、あと何年住めるのか?』
FM鴻巣フラワーラジオ 不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆さま、こんにちは。
番組MCのフジコで御座います。
田中先生
後半もよろしくお願いします。
後半は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
後半は
『築48年の中古マンションは、あと何年住めるのか?』
というテーマでお話を進めていきます。
それは興味深いですね。
リスナーさんの中には、築年数が古いリノベーション済みの中古マンションの購入を検討している人も少なくないと思います。
そのような物件を検討している人は、
「このマンションはあと何年くらい住めるのか?」
という疑問が頭をよぎると思います。
先日、1975年に建築された中古マンションを住宅診断してきました。
その映像や画像を使って
- ・築48年の中古マンションは、あと何年くらいすめるのか?
- ・そのような古い物件を検討するときのチェックポイントや注意点
リスナー様からの質問
いつものように、リスナーさんから今回のテーマに関連したご質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:匿名希望さん からのご質問です。
■旧耐震基準の物件は大震災レベルの地震がきたら倒壊する?
田中先生、フジコさんこんにちは。
いつも動画拝見しています。
私は、世田谷区内で中古マンションの購入を検討しています。
ただ、旧耐震基準の古い物件しか予算的に届きません。
こういう物件は、東日本大震災レベルの地震がきたら倒壊するのでしょうか?
リノベーションしていて綺麗なのですが、悩んでいます。
ラジオネーム:匿名希望さん からのご質問
匿名希望さん、ご質問ありがとうございます。
マンションを検討している人にとっては耳ダコかもしれませんが、築年数が古い物件に限らず、中古マンションは管理状態が非常に重要です。
今回は、実際の画像を使って説明していきます。
それはいいですね。
管理状態が良いマンションの見分け方
実際に住宅診断してきました
この物件は、1975年に建築された、築48年の中古マンションです。
- ・2016年に外部排水管などを改修済
- ・2020年には大規模修繕工事を実施済み
- ・今後も10年ごとに大規模修繕工事を実施する計画
中古マンションの購入を検討するときには、このように管理状態が良い物件を選ぶことが大切です。
『管理状態が良い。』というのは、具体的にどのような状態のことを言うのでしょうか?
大きく分けて3つです。
- ① 定期的に大規模修繕工事を行なっているか?
- ② 共用部分の維持管理が行き届いているか?
- ③ 修繕積立金が貯まっているか?
大規模修繕が実施されているか確認する
築年数が古い中古マンションでは、適切に大規模修繕が実施されているか?ということが重要になります。
特に、塗装工事は非常に重要です。
鉄筋コンクリートは、塗装工事をおこない、炭酸化反応を防ぐことにより、腐食を食い止めて寿命を延ばすことができます。
■塗装工事は炭酸化反応を抑える
炭酸化反応とは何ですか?
炭酸化反応は、鉄筋コンクリート建物の劣化現象のひとつです。
大気中の二酸化炭素がコンクリート中の水分と反応して炭酸カルシウムを生成する過程です。
この反応により、コンクリート内のアルカリ度が低下し、鉄筋の腐食が進行することがあります。
築年数が経過している中古マンションでは、特に炭酸化反応の進行が懸念されます。
炭酸化反応が進むとコンクリート内部の鉄筋の腐食が進行して、膨張し、さらなる劣化や亀裂を引き起こすことがあります。
そうなると、マンションの構造体の寿命が短くなります。
築年数が古い中古マンションでは、炭酸化反応による劣化が進行している可能性が高くなります。
このため、定期的な大規模修繕工事が非常に重要です。
塗装工事には
- ① 建物の外壁を保護する:塗装は建物の外壁に防水膜を形成し、水分の浸入を防ぐ効果があります。
- ② 炭酸化反応の進行を抑制する:①により、炭酸化反応による鉄筋の腐食を抑制することができます。
また、塗装によって建物の美観が保たれ、マンション全体の価値を維持することにつながります。
■クラックや塗装の剥離がないかを確認する
外壁を見てクラックや塗装の剥離がないかを確認することが大切です。
打診棒による診断
ゼロシステムズが住宅診断をする時には、専有部に面したベランダでは打診棒を用いて、塗装の剥離がないかなども確認します。
■マンションの清掃状況も確認する
共用廊下 / 階段 / エントランス / ゴミ集積場の清掃状況 も大切です。
共用廊下
階段
エントランス
ゴミ集積所
築年数が古くても清掃が行き届いていれば、来訪者にも不快感を与えません。
マンションとしての資産価値が維持されることにつながります。
■点検口から給排水管を確認する
天井裏点検口から目視確認
専有部分内の天井や床下に点検口がある場合は、そこから給排水管の経路を目視で確認することも大切です。
- 共用部分の給排水管:区分所有者の単独判断で修繕する事は出来ません。
- 専有部分の給排水管:原則、区分所有者の単独判断で修繕する事が出来ます。
築年数が古い中古マンションの専有部分の給排水管では、給排水管が床下スラブを貫通して下層階の天井裏や地階を通っている場合があります。
床下スラブの図
天井の点検口を覗いた際に、上層階の給排水管を目視で確認できるマンションの場合、単独判断で更新工事を実施することが出来ない可能性があります。
今回の物件は天井裏に上層階の排水管が通過している物件でした。
しかし、劣化もなく綺麗な状況が保たれており、改装時に交換されていると判断できました。
この物件の専有部分は、2016年にリノベーションしていますので、全く築年数を感じさせることなく、とても綺麗な状態を維持されていました。
■水平や鉛直の確認
水平確認
鉛直確認
水平や鉛直についても測定しましたが、精度の高い施工をされていました。
■個人的なリフォームでは交換できない部分
サッシ(窓)
玄関ドア
サッシ(窓)と玄関ドアは、法律で共用部分扱いとなり、個人的なリフォームでは交換できません。
ちょっと古さを感じてしまいましたが、仕方ないと言えます。
なるほど。
旧耐震のマンションは大震災で倒壊してしまうのか?
それでは、今回ご質問いただいた
『旧耐震のマンションは、東日本大震災レベルで倒壊してしまうのか?』
という本題にはいります。
お願いします!
■旧耐震と新耐震マンションを見分けるポイント
- 新耐震
- ・昭和56年6月1日以降に建築確認を取得したマンション
- ・震度6強以上の地震で倒れない住宅
- 旧耐震
- ・昭和56年5月31日以前に建築確認を取得したマンション
- ・震度5程度の地震に耐えうる住宅
マンションの工期は、規模によりますが、2年前後かかります。
登記簿上の築年月日が昭和57年6月であっても、建築確認を取得したのは、昭和56年6月1日よりも前である可能性が高いと言えます。
そのため、旧耐震か新耐震かを見分けるためには、登記簿謄本で確認するのではなく、市役所や土木事務所などに行って、建築台帳記載証明書を取り寄せて建築確認年月日を確認する必要があります。
旧耐震マンションは東日本大震災で倒壊したのか
旧耐震マンションは、東日本大震災で倒壊したのですか?
皆さん、そこが気になりますよね。
多くの人は、0か100か、という両極端な答えを求めてきますが、現実は、そう単純ではありません。
平成23年9月21日に一般社団法人高層住宅管理協会 がまとめた『東日本大震災の被災状況について』というマンションの被災状況のレポートをご紹介します。
■東日本大震災の被災状況
東日本大震災の被災状況
画像引用:一般社団法人高層住宅管理協会 – 東日本大震災の被災状況について
これは東北6県+関東1都6県にある、合計46,365棟のマンションの被害状況を
大破 / 中破 / 小破 / 軽微 / 損傷無し
の、4つに分類した調査結果です。
46,365棟のうち、旧耐震マンションは 9,008棟もあります。
調査結果によると、旧耐震の中古マンションであっても、
大破(致命的な損害で建て替えが必要)に分類される物件は、9,008棟中 0棟でした。
旧耐震でも大破は無かったのですね。
中破(大規模な補強で補修を要する)という被害を受けたのは、9,008棟中 10棟のみで割合的には、0.13%でした。
この中破レベルの被害は、昭和57年以降に建築された新耐震の物件であっても、0.09%の割合で被害を受けています。
ほぼ誤差レベルですね。
小破(タイル剥離・ひび割れ補修レベル)の被害
- ・旧耐震物件 9,008棟中:243棟(2.69%)
- ・新耐震物件 37,357棟中:941棟(2.52%)
東日本大震災での被災割合は、旧耐震も新耐震も殆ど変わらないのですね。
このデータを見ると確かにそうなんです。
・東日本大震災で大破した旧耐震マンションは無かった。
・被災割合は旧耐震も新耐震も殆ど変わらなかった。
まとめ:築年数が古いマンションも管理次第で長持ちする
「旧耐震であっても、意外と強いから大丈夫です!」
と言いたいのではありません。
旧耐震が震度6の地震を受けたら100%倒壊するわけではないということなのです。
築年数が古いマンションであっても、大規模修繕工事を実施して、構造体の劣化の進展を抑えることができれば長持ちする。
ということなんです。
『マンションの耐用年数は47年』
と言う人もいます。
しかし、それは税法上の耐用年数であって、マンションの寿命とは異なります。
日本建築学会では
- 設計基準強度が標準のコンクリートであれば
- 計画供用期間 65年
- 大規模修繕工事を適切に実施していれば
- 共用限界期間 100年
従って、築48年の古い中古マンションであっても、給排水管や機械設備の更新を適切におこなうことにより、まだまだ住むことが出来るということです。
維持管理が大切ということですね。
築年数が古い旧耐震と新耐震のメリット/デメリットをまとめます。
- メリット
- ・価格が安い(税優遇以上の安さがある)
- ・立地が良い物件が多い(90年代バブル以前に建築されたため)
- デメリット
- ・耐震性が劣る
- ・住宅ローン控除など税優遇がない
築年数が古い中古マンションの購入を検討するときには、維持管理と大規模修繕工事がしっかり行われている物件を見極めて、メリットとデメリットを天秤にかけて検討することが大切です。
田中先生。
本日もありがとう御座いました。
【解説】世界と日本の経済。金融危機が発生リスク高まるなか日銀は利上げできるか?住宅ローン金利と不動産市場を考える。
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