火災保険と地震保険を選ぶ際の注意点
【重要】火災保険と地震保険を選ぶ際の注意点
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第485-2回目 (2024年1月11日放送分 後半)となります。
今回のテーマ『火災保険と地震保険』
後半は、能登半島付近を襲った大地震にともない、地震保険について様々なご質問を頂いているので、それについてお話していきます。
まずは、この大地震で被害を受けた地域の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
被災地は、本格的な雪に見舞われており、被災者の方々は避難生活による疲れだけでなく寒さまでも加わり、大変な思いをされています。
そこで一つお知らせをいたします。
石川県では『令和6年能登半島地震に係る災害義援金の受付け』 をしております。
ぜひ、ご参照ください。
それでは、いつものようにリスナーさんから質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
承知しました。
ラジオネーム:寅さん からのご質問です。
火災保険や地震保険について真剣に検討したい
田中先生、フジコさんこんにちは。いつも楽しく聴いております。
私は、先日、新築の建売住宅を契約して来月引渡し予定です。
お正月の能登半島地震でたくさんの家が倒壊しているのを見て、火災保険や地震保険について真剣に検討したいと考えています。
保険についての注意点など番組で説明して頂けないでしょうか?
よろしくお願いします。
ラジオネーム:寅さん からのご質問
ラジオネーム:寅さん
ご質問ありがとう御座います。
火災保険や地震保険は大切ですからね。
今回は、以下の流れでお話させて頂きます。
■一戸建ての火災保険と地震保険
- いくら位の火災保険に入れば良いか?
- 地震の時に発生した火事は火災保険がおりない
- 最大300万円の公的支援制度
- 地震だけじゃない地震保険が役に立つ場面
- 地震保険は火災保険の半額までしかおりない
- 保険選びのポイント
- 保険に入るタイミング
とても興味深いです!
いくら位の火災保険に入れば良いか?
建物にかける保険金は、建物評価額と同じになるように設定することが大切です。
保険金額を建物評価額より低くすると、火災や自然災害などで建物が倒壊してしまっても、建て直すために必要な金額よりも、保険金の受け取り額が少なくなってしまいます。
逆に、保険金額を建物評価額より高くしても、保険金の支払額は、実際の損害額が上限なので、保険金を多く受け取れるわけではありません。
保険金額を高くし過ぎても、超過している分だけ無駄に支払うことになります。
建物評価額は、新築でも中古でも、新価(再調達価額)を用いるのが一般的です。
新価は、同条件の物件を新しく建て直すときに必要な金額のことを指します。
建て直しに必要な金額というのは、実際、いくら位かかるのでしょうか?
建物の設備仕様によって異なります。
例えば
- ・延床面積30坪~35坪くらい
- ・飯田グループ系の新築建売住宅と同程度の家
飯田グループ系は、年間に数万棟規模で新築しているので、1棟あたりの原価は1,000万円台前半と言われています。
ですが、個人的に同じ仕様の建物を、同じ金額で建て直すことは不可能です。
建築原価指数は2015年から33%以上も高騰
画像引用:一般財団法人建設物価調査会 – 建築費指数2023年11月分(PDF)
近年の物価高で、建築原価指数は、2015年と比較すると33%以上も高騰しています。
2024年に入ってもコストプッシュ型のインフレが続いており、建築原価は高くなっています。
(2015年)(高騰)(現在) 1,500万円×133%=1.995万円
例えば、2015年であれば1,500万円で新築できたものが、現在では約2,000万円となります。
新築の建売住宅を購入する場合、2,000万円くらいの火災保険に加入すると良いです。
既に何年か前に購入している人は、1,500万円以下の火災保険であることが多いです。この機会に保険会社に連絡をして内容を確認すると良いでしょう。
なるほど。
地震の時に発生した火事は火災保険がおりない
次は重要なポイントです。
火災保険には、地震による被害は含まれません。
そのため、 地震 / 噴火 / 津波 による損害を補償する専用の保険として、地震保険が存在します。
よって、このたびの能登半島地震のように、地震直後に発生した火災については、地震保険に加入していないと保険金を受け取ることができないのです。
地震保険の加入率について
地震保険の加入率というのは、どうなのでしょうか?
■地震保険加入率(2022年)
画像引用:損害保険料率算出機構 – 火災保険加入者の69.4%が地震保険に加入(2022年度地震保険付帯率)
2023年8月25日に損害保険料算出機構が公表したデータによると、
『全国平均で火災保険加入者の69.4%が地震保険に加入している。』
とのことです。
7割近くの人が加入しているのですね。
はい。
ただし…
- ・石川県の加入率:40位-64.7%
- ・富山県の加入率:42位-63.5%
そうなのですね…。
茨城 / 群馬 / 埼玉 / 千葉 / 神奈川 / 東京 も、加入率が低いですね。
そうですね。
静岡も含めた首都圏も加入率が低いので、この機会に地震に対する危機感を見直す必要があると思います。
そうなると地震保険に入ってない被災者の人は、どうやって生活を再建すればいいのですか?
公的支援制度として、『被災者生活再建支援制度』 というものがあります。
これは、災害により住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して最大300万円が支給される制度です。
ただし、このような公的支援は限定的であり、最大でも300万円までの支援に限られます。
やはり、地震保険に加入することは、必要です。
地震保険が役に立つ場面
多くの人は、地震保険と聞くと、地震の揺れで家が倒壊したらおりる保険だと思うでしょう。
しかし、地震保険は様々な自然災害をカバーしてくれます。
地震保険は様々な自然災害をカバーする
画像引用:一般財団法人日本損害保険協会 – 地震保険って、どんな時に役立つの?
■地震保険でカバーされる災害の例
- 地震により火災が発生して家が消失した場合
- 地震により家が倒壊した場合
- 噴火により家が倒壊した場合
- 津波により家が流された場合
- 地震により家が埋没した場合
※埋没は、今回の地震でも多くみられた液状化現象が当てはまると思います。
このように、地震保険は地震で家屋が倒壊した場合だけでなく、火災 / 噴火 / 津波 などの自然災害をもカバーしてくれる保険なのです。
地震保険に入っておけば心強いですね。
地震保険は火災保険の半額までしかおりない
地震保険といえども万能ではありません。
冒頭で、新築の建売住宅を購入したときは、2,000万円くらいの火災保険に入るべきとお話しました。
それに付帯して地震保険に入ることになるのですが、その場合、地震保険は1,000万円までしか保険金を受け取ることができないということです。
なぜ、火災保険の半額までなのですか?
これについては、財務省のホームページで説明されています。
■火災保険の50%までに制限されている理由
画像引用:財務省 – ※地震保険は、なぜ火災保険の保険金額の50%までしか契約できないのでしょうか
地震の発生は、予測ができません。
もし地震が発生した場合、被害は広域にわたり、その損害額も巨大になります。
そのため、損害保険会社の担保力、国の財政にも限度があることから、火災保険の50%までに制限している。
という訳なのです。
保険選びのポイント
地震保険だけでは、建て替えは難しいですよね。
そうなんです。
そこで、火災保険や地震保険を選ぶときには、いろいろ気を付ける必要があります。
気をつけるポイント
どのようなことに気を付ければ良いのですか?
不動産会社の多くは、損害保険の代理店を兼業しているところが多いです。
そのため、物件購入時は、自社が代理店をしている保険会社で火災保険に加入することを前提にお話をすすめてきます。
ですが、損害保険選びも住宅ローン選びと同じように比較して選ぶことが大切です。
■保険会社毎の違い
保険会社によって、違いはあるのですか?
火災保険に関しては、保険会社によって違いがあるので、ご自身の考え方に合っている商品を選ぶことが大切です。
地震保険に関しては、政府と保険会社が共同で運営しているものですので、基本的にどこの保険会社で入っても違いはありません。
ですが、本来であれば火災保険の50%までしかカバーされない地震保険に、オプションで80%や100%まで補償されるプランを、独自に用意している保険会社もあります。
その違いを比較して選ぶことができます。
■どこで加入すれば良いか
それでは、マイホームを購入する人は、どこで保険に入ると良いのですか?
火災保険加入の窓口は大きく分けて5種類あります。
- 不動産仲介会社(代理店)
- 売主やハウスメーカー(代理店)
- 住宅ローン取扱い金融機関(代理店)
- ネット保険
- 代理店
少しでも保険料を安く抑えたいという人は、4.ネット保険を利用しています。
田中先生は、どうなのですか?
私は、5の代理店です。
代理店と言っても、時々この番組にも出演いただいている、保険の専門家の井口先生を通して加入しています。
専門家(井口先生)に聞く『正しい火災保険の加入方法』
【火災保険】専門家に聞く『正しい火災保険の加入方法』~家財補償の必要性 / 土砂崩れは水災オプション / どこを窓口にすれば良い?~
井口先生経由だと、何か違うのですか?
まず、複数の保険会社の中から条件の良い商品を提案してもらうことができます。
私は、このような仕事をしているので、自宅以外にも、収益物件などたくさん不動産を持っています。
当然ですが、全ての物件で火災保険と地震保険に加入しています。
物件の立地や内容によって、条件の良い保険会社が異なるのです。
複数の物件を持っていると、違いがよく判るのですね。
はい。そうなんです。
温暖化の影響で、自然災害の増加により、保険料が毎年のように値上りしています。
さらに、保険会社もリスクがあるので長期契約ができなくなりました。
そのため、火災保険も数年で更新する必要があります。
井口先生のような専門家が担当になると、更新のたびに条件の良い保険会社を一緒に選んでくれるので心強いです。
常に安い保険で節約できるということですか?
節約もできるのですが、それ以上のメリットを感じています。
建物は自然災害で壊れることが意外と多いのです。
そんなときに井口先生に相談すると、
「加入している保険のこの特約が使えるかもしれない。」
などと提案を頂けることがあります。
なるほど。
これから住宅を購入するユーザーは、まだまだ人生は長いと思います。
いざという時に、自身の味方になってくれる専門家がいるということは、非常に大きなメリットだと思います。
確かに安心ですね。
保険に入るタイミング
物件の引渡し日が保険の始期日となるように加入しておく必要があります。
物件を引渡しされてから、「どこの保険に入ろうか?」と検討するのでは遅いです。
住宅ローンを利用する人は、金消日までに保険契約する必要があります。
よくわかりました。
まとめ
今回のお話のまとめとしては、以下のようになります。
■まとめ
- 火災保険は実際に建て替えできる金額で入る
- 地震の時に発生した火事は火災保険がおりないので地震保険に入る必要がある
- 自然災害で家が壊れた時には最大300万円の被災者生活再建支援制度がある
- 地震保険は地震だけでなく噴火や津波などの自然災害もカバーしてくれる
- 地震保険は火災保険の半額までしか保険金を受け取れない
- 保険選びは、複数の保険会社を比較して入ることが大切
- 加入のタイミングは、引渡し日を始期日にする
それでは、いつものように、五・七・五の標語で締めます。
愛よりも
役に立つかも
保険金
確かに。
田中先生ありがとうございました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
次回もよろしくお願いします!
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