築10年で解体される新築と長持ちする家の違いを解説
【必見】こんな建売住宅はヤバイ!築10年で解体される新築と長持ちする家の違いを解説!
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第495-3回目 (2024年3月28日放送分 その③)となります。
今回のテーマ『建売住宅は何年住めるのか?』
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆様こんにちは!
番組MCのフジコでございます
それでは田中先生。
ここからは、どんなお話を頂けるのでしょうか?次はどんなお話を頂けるのでしょうか?
次は
『建売住宅は何年住めるのか?』
というテーマでお話をしします。
新築建売住宅の購入を検討している人には、参考になると思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
それは興味深いです。
お願いします。
それでは『建売住宅は何年住めるのか?』のテーマに関連したご相談をいただいているので、フジコさん紹介をお願いします。
承知しました。
ラジオネーム:BEENさんからのご相談です。
「建売住宅は長持ちしないからやめた方がいい」と反対されています
田中先生、フジコさん、こんにちは。
いつも欠かさずYouTube観ています。
私は、東京都内で新築の建売住宅の購入を検討しています。
先日、妻の実家に行って、手の届きそうな物件があったので購入するかもしれないとお話したら、義父から「建売住宅は長持ちしないからやめた方がいい」と反対されてしまいました。
理由は、義父は、約30年前に某大手パワービルダーの建売住宅を買って、数年で雨漏りや結露に悩まされて、結局築20年ちょっとで解体して、今は、注文で建て直して住んでいるという人だからです。
私達も土地を購入して注文住宅を建てられれば理想ですが、以前、ハウスメーカーに見積もってもらったら建売住宅を買うよりも1000万円近く高くなったので私達では手が届きません。
やはり今と昔では建物の寿命は違いますよね?
そのあたりを義父が納得できるように説明したいので、ぜひ、田中先生の方で今の木造住宅の寿命などについて番組で解説いただけないでしょうか?
宜しくお願いいたします。
ラジオネーム:BEENさんからのご相談
ラジオネーム:BEENさん ご相談ありがとう御座います。
まず結論から申し上げますと、注文住宅であっても建売住宅であっても、建物の寿命は大きな差はありません。
しかし、建築時に適切に施工されていない建物では長持ちはしません。
欠陥住宅だと寿命が短くなるということですね。
おっしゃる通りです。
欠陥住宅の原因は、新築時の施工ミスや手抜き工事と言えます。
建築現場では人間が施工していますので、施工ミスなどは存在します。
これは注文住宅でも建売住宅であっても同じです。
人間が施工している以上、ミスはありえますからね。
建物の寿命に影響する欠陥について
それでは、建物の寿命に影響する欠陥についてお話していきます。
建物の寿命に影響する欠陥 -雨漏り-
まずは、欠陥住宅の代表『雨漏り』です。
現代の新築でも雨漏りはあるのですか?
あります。
ただし、昔と違い表に現れない雨漏りが多いんですよ。
どのような雨漏りなんですか?
現代の雨漏りは…
- ・ベランダの笠木付近の施工不良
- ・ベランダのFRP防水やその立上り部分の問題
- ・サッシ付近の防水シートの施工不良
それは気が付き難いですね。
そうなんです。
築10年以上経過した物件を住宅診断すると、建築当初からの施工不良が原因で壁内部に雨が侵入していて、構造体が腐食している物件を発見することもあります。
壁内の雨漏りは診断機器を使わないとわかりません
新築当初から雨漏りというのは酷いですね。
それは、元々施工した建築業者の責任で直してもらうことはできないのですか?
新築当初からの雨漏りであれば、売主やハウスメーカーに是正してもらえます。
平成11年に施行された品確法では
『新築の場合、建物構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に関しては、10年保証しなければならない』
となっています。
もし、10年保証の期間中に、この雨漏りを発見することができれば、売主側の費用負担で修理してもらうことができます。
しかし、10年経過してから雨漏りを発見した場合、保証期間は終了しています。
この場合、残念ながら保証対象外ということになり、修理費用はユーザー側の負担となります。
新築当初からの雨漏りが原因で、気づき難いところで徐々に腐敗が進行していたら、気づいたときには10年を過ぎているかもしれませんね。
新築当初から雨漏りが発生していて、10年以上気が付かず、壁内の構造部が腐食してしまっている家を途中で修理することは、莫大な費用がのしかかります。
そのため、家を早期売却するか建て替えてしまう人が多いのが現状です。
まさに、ご質問者様の義父さまと同じですね。
そういうことです。
雨漏りに気が付かず長期間放置してしまうと、建物の寿命を縮めてしまいます。放置は良くないですね。
そうですよね。
建物の寿命に影響する欠陥 -通気不良-
建物の寿命に影響がある欠陥は、雨漏りだけではありません。
次は『通気不良』のお話です。
現在、多くの一戸建では鉄筋コンクリート造のベタ基礎です。床下は基礎パッキンで通気を確保して、床下に湿気がこもらない工法で施工されています。
床下から見ると、以下のような感じです。
30年ほど前の基礎では、床下通気口を設けて、床下を通気していました。
現代では、基礎と土台の間に基礎パッキンを挟み込んで隙間をつくり、基礎内部全体で通気する工法が主流になっています。
ところが、住宅診断をしていると、基礎パッキンで通気のために設けられた隙間がモルタルで塞がれている物件を発見することがあります。
それはどういうことですか?
鉄筋コンクリートの基礎が出来上がると、外部から見える基礎の立上り部分の側面は、コンクリートの打ちっぱなしのため、型枠の跡がそのまま表れて、表面が荒く見た目が悪いことが多いです。
そのため、最後の仕上げとして表面をモルタルで左官仕上げをします。その左官仕上げのときに、基礎の上部の基礎パッキンで設けた隙間がモルタルで埋まってしまい、通気層が塞がれている物件があります。
通気層が塞がれてしまうとどうなるのですか?
この写真では、塞がれている部分は一部ですが、中には全体的に塞がれている建物もあります。そうなると、床下に溜まった湿気は逃げ場を失ってしまい、床下の結露、土台の腐食に繋がります。
また、床下の湿度が高い状態は、シロアリが好む環境ですので、建物寿命の観点から好ましくありません。
特に、新築時に通気部が塞がれているという欠陥は、雨漏りなどと違って引越してもすぐに気が付くということはなく、多くの場合は異常な結露による腐食、または、シロアリが発生した後になってから気付くことが多いのです。
それでは、もう手遅れですよね。
そうですね。
建物としても傷みますし、直すにしても膨大な費用がかかります。
まさに、寿命が短い建物ということですね。
おっしゃる通りです。
建物は雨漏りだけでなく、結露による腐食でも寿命が短くなります。
そのような酷い欠陥住宅に住んでいて、築20年ちょっとで解体して建て替えを決断した人もいました。
そのため、中古住宅だけでなく、新築一戸建てを購入するときにも、専門家に住宅診断をしてもらってから契約することを強くおすすめします。
なるほど。
大地震が発生するリスク
今年に入り、能登半島地震、千葉県東方沖のスロースリップ現象など大地震が発生するリスクが高まっています。
巨大地震のリスク(1)南海トラフ地震
(地震の発生確率)
2014年(平成26年)3月に内閣府中央防災会議において、「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」が作成され、2019年5月に変更された。この基本計画では、建物の耐震化・火災対策・津波対策といった防災対策や、地震発生後の初動体制・膨大な避難者等への対応といった災害応急対策等を示している。
地震調査研究推進本部地震調査委員会注19では、主要な活断層や海溝型地震(プレートの沈み込みに伴う地震)の活動間隔や次の地震の発生可能性を評価し、随時公表している。南海トラフ地震については、マグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率が70~80%(2020年1月24日時点)とされている。なお、同委員会は、南海トラフでは過去1,400年間に約90~150年の間隔で大地震が発生していることから、次の地震までの間隔を88.2年と予測している。1944年の昭和東南海地震や1946年の昭和南海地震が発生してから、2020年は約75年を経過しており、南海トラフにおける大地震発生の可能性が高まっている。
(震度分布、津波高及び被害想定)
2013年(平成25年)の内閣府「南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)」によると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されている(図表I-2-2-6)。さらに、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されている(図表I-2-2-7)。
国土交通省の資料では、2020年1月の時点で、30年以内に70%程度の確率で、マグニチュード7程度の首都直下地震が発生すると予測されています。
今は、2024年ですから、既にその予測時点から4年経過しています。あと26年で70%とも言えます。
確かに地震は怖いですよね。
確率のお話なので、単純にあと何年で発生するとは言えないかもしれませんが、天気予報で降水確率70%に置き換えて考えると想像がしやすいかと思います。
もし、このようなタイミングで耐震性能が低い住宅を購入してしまったら、首都直下型地震で倒壊するなど大きな被害を受けるかもしれません。
ですが、田中先生。
今の新築は、耐震性は確保されているのではないのでしょうか?
確かに今の新築は新耐震基準を満たしています。
しかし、これは『適切に施工されている新築であれば』という前提になります。
■旧耐震と新耐震の違い
欠陥住宅だったらアウトですね。
おっしゃる通りです。
ゼロシステムズで住宅診断を実施していると、現代の新築でも耐震上重要な部材の施工不良を発見することがあります。
また、防火だけでなく耐震性能にも影響する石膏ボードのビスピッチを手抜き工事されている新築も発見することがあります。
このような施工不良や手抜き工事がされている物件は、耐震性能が基準を満たしていません。今後30年以内に発生すると言われている大地震に耐えられない可能性が高くなります。
よって、建物寿命が短い新築となります。
耐震強度不足の物件についてはこちら記事です↓
【危険!】現代の新築でも耐震不足の手抜かり工事・チェックポイントと注意点
欠陥住宅が建てられてしまう原因
なぜ、現代の新築でも、このような欠陥住宅が発生するのでしょうか?
理由は、大きく分けて3つ考えられます。
- ・現場の人材不足
- ・コスト削減によるしわ寄せ
- ・検査の少なさ
大手パワービルダーはローコストを実現させるために、現場の職人への手間代を削ったり、できるだけ早く建物を完成させるため無理のある工期を組んだり、現場へのしわ寄せが大きいと言われています。
そして、一般に役所の検査と呼ばれている、建築確認検査機関による完了検査では、床下や天井裏などのチェックが無いため、今回ご紹介した欠陥などを発見できません。
私は、これらが欠陥住宅が発生する要因だと考えています。
なるほど。
コスト削減のしわ寄せが現場に来ているんですね。
まとめ
ここまで『建売住宅は何年住めるのか?』というテーマでお話ししてきました。 今回ご紹介したような欠陥が無く、適切に施工されていれば、60年以上は住めると思います。
そんなにもつのですか?
はい。 外壁の塗装や防水など15年周期くらいで行えば、余裕で住めるはずです。
ユーザーさんからは
「サイディングやコロニアルの屋根材は、製造メーカーの情報を見ると、15年や20年で張り替えを推奨されているから、その程度しかもたないじゃないのか?」
と言われることがあります。
しかし、メーカーはかなりの安全マージンを確保して説明しています。
そうですよね。
■木造住宅の耐用年数の目安
画像引用:国土交通省土地・建設産業局不動産業課 住宅局住宅政策課 – 期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について(PDF)
国土交通省の資料によると、木造住宅の平均寿命は64年とされています。
私は51歳になりますが、私よりも古く建った家は結構あります。
建売住宅であれば契約前に。
注文住宅であれば建築時に。
専門家の住宅診断を実施して、適切に施工された物件を手に入れて、適切に修繕しながら大切に使えば、現代の建物は100年でも住むことができると思います。
なるほど。
専門家の診断と、適切な修繕が大事なんですね。
今回の標語
それでは、いつものように五七五の標語にまとめてみます。
お願いします。
欠陥さえ
なければ永い
寿命かな
医療分野の発展で人生100年時代に突入すると言われています。
30歳の人であれば、100歳まで余命70年、私やフジコさんであれば約50年です。
現代の新築は、建築時に欠陥さえなければ、自分の寿命よりも永く住むことができます。
田中先生。ありがとう御座いました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
引き続きよろしくお願いします!
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