【建売住宅】飯田グループの新築が売れ残っているが購入しても大丈夫か?値下げされている本当の理由とは?
【建売住宅】飯田グループの新築が売れ残っているが購入しても大丈夫か?
今回のテーマ『今、買うべきか?建売住宅が売れ残っている理由』

田中先生、中島さん。こんにちは!
早速ですが、今回はどんなお話を頂けるのでしょうか?

今回のテーマは
『今買うべきか?建売住宅が売れ残っている理由』
ということで、田中先生にお話していただきます!

はい。
今、地方や郊外に行くと、飯田グループホールディングスやケイアイスター不動産の建売住宅が売れ残っているのを目にすることがあります。

そうですね。
僕は、この会社に入って1年になりますが、郊外の新築は売れ残っているイメージがあります。

そうかもしれませんね。
コロナ禍当時は『リモートワーク』や『ソーシャルディスタンス』という社会的な号令のもとに、郊外の一戸建て市場が増えました。
しかし、今は供給過多になって、売れ行きが鈍化しています。
そこで今回は、売れ残っている建売住宅を購入するタイミングや、値引交渉の見極め方についてお話していきます。
- 執筆者:田中 勲
(宅建士、ホームインスペクター、FP) - YouTube – 田中勲の『不動産の知恵袋』
- -田中勲│こんな建売住宅は買うな
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※記事はラジオ収録用の原稿を元に要約しております。そのためYouTube動画と内容が異なる部分がございます。
売れ残っている物件は何か問題があるのか?
田中: それではフジコさん。リスナーさんからご質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
フジコ:
承知しました。
ラジオネーム『あっくんママ』さんからのご質問です。
リスナー様からのご質問
田中せんせい、中島さん、フジコさん、こんにちは!
チャンネル登録をして、いつも視聴しています。
私は、新築一戸建てを購入しようと、真剣に物件探しをしています。
今、住んでいるところから比較的近くで、分譲されている物件が気に入りましたが、半年くらい前から売れ残っていています。
売れていないせいか、つい最近、200万円、値下げされました。
安くなったのは嬉しいですが、逆に何か問題がある物件ではないか?と不安があります。
近くには、飯田グループホールディングスやケイアイスター不動産の新築物件がたくさん建っています。
さらに安く値下げ交渉をできるものでしょうか?
ラジオネーム『あっくんママ』さんからのご質問
田中: ラジオネーム『あっくんママ』さん。ご質問ありがとうございます。
市場のパイは減少傾向にある
フジコ: ところで、今はそんなに建売住宅が売れていないんですか?
田中: 地域によると思いますが、全体的に市場のパイは減少傾向にあります。地方や郊外の新築は供給過多のため、売れ残っている物件が目に付きます。

引用:矢野経済研究所 – 戸建住宅市場に関する調査を実施(2025年)
フジコ: そうなんですね。確かに「この物件…ずっと売れ残ってるな」と思うことがあります。
中島: 値下りするのは買う立場としては嬉しいですけど『値下げしないと売れない物件』を買って良いのか不安になります。
田中:
消費者としては、
売れ残り物件=何か問題がある物件
と考えてしまい、不安になるということですね。
中島: そう!そこなんです!
フジコ: だけど、その見方だけでは『安くなった物件を買えるチャンスを逃している』ことにはなりませんか?
田中: さすがフジコさん。その考え方は一理あります。
売れ残っている物件には理由がある
中島: だけど、売れ残って値下げされるのには、それなりに理由があるからですよね?
田中:
そうですね。
建売住宅が売れ残る理由は、大きく3つに分けることができます。
- 1.販売価格が見合っていない
- 2.立地条件がネックになっている
- 3.周辺の供給過多
ここ3つを、それぞれ説明していきます。
1.販売価格が見合っていない
田中:
価格が見合っていない。
価格が高すぎることが多いです。価格が相場より高すぎると市場から見向きもされません。そのため売れ残る傾向にあります。
中島: 当然ですよね。
田中:
ところが、安すぎて売残ることもあるのです。
例えば、近隣の相場観では3,980万円で販売されているのに、その物件だけ 2,980万円で売っていると、安すぎて何だか怪しいと思われて、しばらく売れないこともあるんです。
フジコ: わかる気がします。
中島: 何か裏があるんじゃないかと、勘ぐっちゃいますよね。
田中:
そうなんです。
不動産の価格は、金利相場より高すぎても安すぎても、疑念を抱かれやすいものなんです。
フジコ: 高すぎたら当然売れないけど、安すぎても怪しまれて売れ難くなるということですね。
田中: その通りです。
2.立地条件がネックになっている
田中:
2つ目は、立地条件がネックになっている場合です。
例えば、駅から遠い/騒音がある/日当たりが悪い …といった、条件面での弱さが原因の場合もあります。
一般的に、多くの人が、駅近/閑静/陽当り良好 を好みます。どれかの条件が欠けると、購入希望者が減ることになりますので、売れ残った末に、値下げされることも珍しくありません。
ただし、これらの条件が自分にとって重視しない妥協できる点であれば、むしろ狙い目になることもあります。
中島: 元々、郊外に住んでいて、駅など関係ない人にとっては、安く購入することができますね。
田中: 確かにそうですね。みんながみんな、駅近が便利とは限らないですね。
フジコ:
あと、今は地球温暖化で気温が上昇しているじゃないですか?
だから、陽当りが良過ぎると暑いだけでなく内装や家具も色褪せするので、今後は昔と違って陽当りが良過ぎるのも考慮する必要がありますよね。
田中:
さすがフジコさん!
ドバイなど日本より暑い国では、陽当りの良い南向きの物件に人気が集まることは少なく、陽当りの良い暑い部屋は嫌われる傾向にあります。他にも海外の高級物件は、家具や調度品を紫外線から守るために、直射日光が当たらない北部屋の方が好まれる傾向にあります。
中島: 地球温暖化が進んで、日本も夏のような暑さが長くなると、陽当り良好であることが、良い条件とは言えなくなりそうですね。
田中:
おっしゃる通りです。
周りの価値観にとらわれずに、自分の考え方と価値観で物件を選べば、生活しやすい物件が安く買えるかもしれないですね。
3. 周辺の供給過多
田中:
人気エリアでも、供給数が多すぎると選択肢が増えすぎてしまい、どこかが売れ残ります。タイミングや競争状況による『偶然の売れ残り』も少なくありません。
周辺の供給過多が原因で売れ残っているのであれば、物件自体には特にウィークポイントがあるわけではありません。
中島: 値下げの理由が供給過多なのであれば、お買い得と言うことですね?
田中: その通りです。
- 販売価格の適正性:相場に比べ高すぎても安すぎても売れ残る原因に。適正価格が重要。
- 立地条件の影響:駅遠・騒音・日当たりなどがネックになるが、条件が気にならない人には狙い目。地球温暖化により「陽当たり良好」の価値観も変化中。
- 供給過多による影響:周辺に物件が多い場合、偶然の売れ残りもあり得る。この場合、物件自体に問題がないことも多い。
結論:周囲の価値観に左右されず、自分のライフスタイルに合った条件を明確にすることで、売れ残り物件は「掘り出し物」になる可能性があります。
売れ残り=問題物件なのか?
田中:
売れ残った物件を見ると、漠然に「何か重大な欠陥があるのでは?」と思う人も少なくありません。
でも、それは半分正解と言えます。
中島: 半分正解?
売れ残りでも人によっては『良い物件』となる
田中: 先程、以下の3つが売れ残りの原因とお話しましたが、
- 1.販売価格が見合っていない
- 2.立地条件がネックになっている
- 3.周辺の供給過多
これらが売残りの要因で価格が安くなっているのなら、人によっては良い物件となり得ます。
だけど、建物自体に問題がある物件なら話は別です。
パワービルダーは、年間数千~数万棟の新築一戸建てを分譲します。当然、建てる棟数分だけ大工さんなどの職人さんが必要になります。今は、現場の人手不足と後継者不足で外国人の手に頼っています。
外国人の職人さんがダメだと言っているわけではありませんので、誤解しないでくださいね。
中島: はい。もちろんです。
建築中の現場が整理整頓されていない物件は要注意
田中:
だけど、最近、住宅診断で工事現場に行くと日本語が通じない職人さんが非常に多いんです。材料やゴミの整理整頓がなっていない現場も非常に多いです。
私の亡くなった父親も水道設備の仕事をしていて、学生時代は現場の手伝いに行ってましたが、その時に父に言われていたのが「現場の整理整頓ができない職人は、ろくな仕事が出来ない」ということでした。
フジコ: 建築現場に限らず、技術系の仕事の人はみんなそうだと思います。
田中: 建築途中の現場が乱れているのを見たユーザーは、完成して綺麗に取り繕っていても、多くの人は買わないと思います。
中島: 私だったら、不安になって買う気がしません。
田中: そういう物件は、完成しても外壁材や内装にも傷が多かったり、床下にゴミが落ちていたりすることが多いです。
フジコ: 雑に造られた物件ですね。
■雑な現場の物件は敬遠される
田中:
そうですね。
そのような不具合は、専門家でなくても内見時に注意深く見る人であれば発見できます。ローコスト住宅とは言え、内見時に多くの傷や床下のゴミを発見したら、購入を見送る人が多いのも現実です。
中島: 売れ残り物件には、そのような要因もあるんですね。
フジコ: 傷やゴミくらいなら、売主に改善してもらえるのではないですか?
田中:
はい。適切に指摘すれば是正してもらえます。
だけど、表面上でわかるくらい雑に造られた物件は、隠れた部分で不具合を抱えていることが多いのが現実です。
フジコ: 表面上の雑さは、隠れた不具合があるサインという感じですね。
田中:
そういうことです。
床下や天井裏などの隠れた部分を住宅診断すると、水漏れをしていたり、断熱材が欠損していたりと、何らかの不具合を発見することがあります。
もっと言うと、本来20cm間隔で打たなければいけない石膏ボードのビスピッチを、40cm・・・60cmと本数を少なく手抜きしている物件もあります。天井裏に必要な石膏ボードを貼っておらず、防火違反になっている新築もあります。
中島: 契約前の住宅診断でよく発見する欠陥ですね。売れ残りや値下げされた物件は、必ず住宅診断をしてから契約すべきですね。
田中:
そう思います。
ゼロシステムズでは、内覧時や契約前に上記のような欠陥を発見したら、ご購入後の欠陥トラブルに巻き込まれるのを防ぐために、購入の中止を提言しています。
中島: 大事なことですね。
フジコ: ということは、そのような欠陥が見つかったことが原因で売れ残ることもあるんですか?
田中: 住宅診断をして欠陥が見つかったから売れ残るというよりも、内見時に建築中の乱れた現場や、雑に造られた物件を見て不安を感じ、購入を見送るケースは珍しくないということです。
中島: ユーザーとして、不安を感じたら住宅診断をして、その不安を払拭すれば良い物件が購入できるということですね?
田中: そういうことです。
- 売れ残りの理由を理解する:価格、立地条件、供給過多が主な要因。これらが問題物件を意味するわけではなく、条件次第では掘り出し物になる可能性がある。
- 施工品質を見極める:整理整頓が不十分な建築現場は、隠れた欠陥のリスクあり。内覧時には丁寧に確認することが大切。
- 住宅診断の活用:専門家による診断で、表面だけでは分からない問題を把握。購入後のトラブルを未然に防げる。
まとめ:売れ残り物件を避けるのではなく、背景をしっかり理解することが重要です。特に価格や立地の課題が自分のライフスタイルに合えば、割安で理想的な住まいを手に入れるチャンスが広がります。また、建物の施工品質や隠れた欠陥リスクを住宅診断で確認し、不安を解消した上で購入に踏み切ることが賢明です。慎重かつ柔軟な視点で判断すれば、売れ残り物件は新たな可能性を秘めた選択肢となり得ます。
値引交渉できる売れ残り物件の見極め方
田中: それでは最後に『値引交渉できる売れ残り物件の見極め方』についてお話します。
中島: ぜひ教えてください!
パワービルダーは完成在庫を抱えたくない
田中:
まず、飯田グループホールディングスやケイアイスター不動産などのパワービルダーでは、完成在庫をできるだけ減らそうとする傾向があります。
パワービルダーでは、建物が完成して売れずに在庫として存在することは、資金が寝ているという発想になります。
フジコ: 売れれば数千万円の売上げですが、売れないとお金が寝ているということですね。
田中:
そうなんです。
だから、完成すると飯田グループホールディングスやケイアイスター不動産は、100万円・・・200万円と、自ら販売価格を値下げしていきます。
中島: 完成すると『価格改正しました!』と広告に書かれますね。
田中:
そうです。
そして飯田グループは、完成して4ヵ月を超える在庫があると更に値下げをしていきます。
中島: そうなんですね。
飯田グループの決算資料から分かる事
田中: 飯田グループホールディングスの決算説明資料を見ればわかりますが、株主向けの未契約在庫数の指標を示すときには、完成在庫を4ヵ月以内と4カ月超の2つに分けて表示しています。4カ月超の在庫が多くなると、売れ行きが悪いという見方になります。

出典:飯田グループホールディングス株式会社 – 2025年3月期 決算説明資料(PDF)
フジコ: 株主に対して決算をよく見せるためにも、4ヶ月超の在庫は減らしたいですよね。
田中:
そういうことです。
完成して4ヵ月経つ前に売り切るため、そのタイミングで売主自ら『価格改正』という名の値下げを断行してきます。
中島: そのような物件が、ご自身の条件にマッチしていたり、妥協できるような条件であれば、お買い得ですね。
新築の建売住宅は完成して1年経過すると新築ではなくなる
田中:
そういうことです。
それともう一つ、新築一戸建てのルールとして知っておいて頂きたいことがあります。
中島: なんですか?
田中:
それは、新築の建売住宅は完成して1年経過すると『新築』ではなくなるんです。
広告では『新築』でなく『未入居』と書かなければなりません。見た目は新築物件でも、広告では未入居物件ということです。
パワービルダーとしての保証やアフターサービスは、原則としては新築も未入居も同じですが、瑕疵担保責任保険や固定資産税の優遇措置などは新築と未入居では取扱いが異なることもあります。この点には注意が必要です。
中島: そうなると1年を超えたら物件の市場価値が下がりそうですね。
田中:
そうなんです。
分譲会社へ資金を出している銀行や株主から見ても、1年超の在庫は不良在庫のような扱いになるので、可及的速やかに在庫処分をする必要があります。ですので、そのような物件は当初よりも大幅に値下げされる対象になります。
フジコ: それは人によってはお買い得になるかもしれないですね。
中島: そこから、さらに値引交渉をすることはできるんですか?
田中:
それは、ケースバイケースです。
飯田グループホールディングスやケイアイスター不動産は、価格改正という名目で100万円単位で自ら販売価格を下げていますが、買主から値引き交渉をすると渋ってくる傾向にあります。特に、前回の価格改正から1ヵ月くらいの間は、買主からの値引交渉に対して渋る傾向にあります。1ヵ月を過ぎると柔軟に対応してくれる場合がありますので、値引交渉をする場合は、過去の値下げの推移も考慮すると成功する可能性が高まります。
フジコ: だけど、価格改正から1ヵ月も待っていたら、他の人に売れちゃうこともありますよね。
田中:
それはあります。
正直タイミングが難しいので、本当に購入したいと思ったら、希望の金額で指値をチャレンジするのも悪くないと思いますよ。
フジコ: なるほど。
- パワービルダーの在庫管理:大手パワービルダーは、完成在庫を迅速に処分しようとするため、特に4カ月を超えた物件で大幅な値下げが行われることが多いです。
- 新築と未入居の違いを把握:完成後1年を超えると「新築」として販売できなくなるため、市場価値が下がり、さらに値下げされる可能性があります。
- 交渉のタイミングが鍵:値下げ直後は交渉が難しい場合が多いですが、一定期間を経ると柔軟に対応してもらえることがあります。過去の値下げ履歴を参考にして交渉を進めるのが効果的です。
まとめ:売れ残り物件を検討する際には、物件の特性や価格動向を見極め、自分の条件に合うタイミングで交渉を進めることで、納得のいく購入ができるでしょう。
まとめ:なぜ売れ残ったのかしっかり見極める
田中: お話をまとめます。
売れ残っている新築物件の特徴
- 1.販売価格が見合っていない
- 2.立地条件がネックになっている
- 3.周辺の供給過多
売主自ら値下げをするタイミング
- 1.建物が完成したら値下げ
- 2.建物が完成して4ヵ月経過したら値下げ
- 3.建物が完成して1年経過したら大幅値下げ
雑な造りの新築は売れ残る
- 1.傷や床下にゴミなどがあると不安に感じる
- 2.雑な造りの新築は隠れた部分に欠陥が隠れている可能性が高い
- 3.購入後に欠陥トラブルに巻き込まれないためには契約前に住宅診断を実施する
田中:
売れ残っている建売住宅には『掘り出し物』と『見送るべき物件』の両方が存在します。
大事なのは、なぜ売れ残ったのか?をしっかり見極めることです。
そして、売れ残っている理由が自分にとってもマイナスとなる理由なのかを冷静に判断することです。
価格だけにとらわれず、建物の状態を住宅診断して、環境/保証/将来性 まで総合的に考える。そうすれば、売れ残り物件の中から自分にとってベストな家に出会える可能性があります。

今回は、以上とさせていただきます。

今回も勉強になりました。
田中先生ありがとうございました。

田中先生、ありがとうございました。
不動産の今がわかれば、ちょっと先の未来も見えてくる。不動産せんせい田中の教えて不動産の知恵袋。
次回もお楽しみに!
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