【建売住宅】14日で完成|建築費高騰シワ寄せ|工期短縮の欠陥&不具合事例
今回のテーマ『住宅診断の専門家が見た!最新 建売住宅事情!』
【建売住宅】14日で完成|建築費高騰シワ寄せ|工期短縮の欠陥&不具合事例
今回は田中先生が急用ということで、ゼロシステムズ住宅診断の専門家『建売マニア』こと、野方実さんに来ていただきました! 野方さんよろしくお願いいたします!
よろしくお願いします。
今回は、野方さんが日頃Xでポストしている、住まいに関すること。専門的な視点から見た、住宅の構造や欠陥・施工ミス。
これらの投稿内容をもとに、近年の建売住宅事情の解説をしていただきたいと思います。
今回、ご紹介する写真は、実際に野方さんが住宅診断中に遭遇されたものなんですよね?
そうです。
実際に遭遇して写真に収めたものです。
それは楽しみです!
改めて野方さんよろしくお願いいたします。
- 執筆者:田中 勲
(宅建士、ホームインスペクター、FP) - YouTube – 田中勲の『不動産の知恵袋』
- -田中勲│こんな建売住宅は買うな
- Instagram – ゼロシステムズ|田中勲
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※記事はラジオ収録用の原稿を元に要約しております。そのためYouTube動画と内容が異なる部分がございます。
住宅診断中に遭遇した事例
中島:それでは、順番に写真を紹介します。
クローゼットのコストカット
棚/ハンガーパイプ がオプション扱いのクローゼット
中島:最初の写真はこちらです!
やっぱり最近の建売住宅は結構コストカットしているんですね。
「購入者の気持ちを考えると、これはコストカットしないでほしい」というものはありますか?
野方:断熱性能が上がり建物コストが上がった分、棚やハンガーパイプそして扉そのものまでなくなっている物件もあります。
買主目線で考えるとそれくらいは初めから付けておいて欲しいですよね。
中島:なるほど。ありがとうございます。
- ・断熱強化→建物コスト上昇
- ・棚 / ハンガーパイプ / 扉の未設置 などがオプション化されている
- ・入居直後の使い勝手が低下+追加費用発生する
- ・確認事項:標準仕様書で「棚・パイプ・扉」の有無を事前チェック
天井まであるドアやクローゼット
垂れ壁が無くドアの高さがが天井まであります
中島:続いてこちらの写真です!
こちらはどういったものなんですか?
野方:これはアキュラホームさんの物件です。
15年以上前かと思うのですが、当時のアキュラホームの社長さんがTV出演していて、
その中で「天井までの建具をつかえば、垂れ壁を造作する手間が省けるので、その分工期が早くなる」と仰っていたので、なるほどな。と思いました。
一般的には天井までのドアを採用すると製品代が高くなってしまうのですが、アキュラホームさん位の規模になると、スケールメリットを活かして安く仕入れが出来るのだと思います。
中島:コストカットとが、大工さんの手間や作業面にも起きているというのはビックリですね!
- ・天井までのドア採用で垂れ壁が不要となる
- ・大工さんの造作手間削減と工期短縮(TV発言由来の実務メリット)
- ・製品代は高めだが大量調達で圧縮可(アキュラホームのスケールメリット)
- ・天井まで高さが有るため空間が縦方向に広く見える
- ・重量増に伴う丁番強度 / 反り / 気密 の管理が必要
- ・採用可否 / 仕入れ条件 / 保証内容をメーカー仕様で事前チェック
- ・コストカットは材料だけでなく『手間』にも波及
寄せ集めの断熱材
中島:こちらの写真は、建築中の物件ですか?
どういったものなんですか?
野方:この物件を見たときは本当に唖然としました。
地場の工務店さんの社長さんが自ら現場で作業をされていたのですが、見ての通り断熱材が3種類使われていました。
理由を聞いてみたら「作業場にあった断熱材の寄せ集め」との話でした。
中島:寄せ集めと聞くと、買う側としては、なんかちょっと嫌ですね〜。
住宅性能としては大丈夫でしょうか?
野方:ダメだと思います。
私の予測になりますが、断熱等級4を満たしていない可能性がありますね。
中島:そうなんですね。でも、これは完成してからでは気づけないことですよね?
野方:赤外線建物診断でも断熱材の密度まではチェック出来ません。工事途中で確認できて良かったです。
中島:なるほど。
ありがとうございます!
- ・現場で3種類の断熱材“寄せ集め”を確認
- ・断熱等級4を満たさない可能性が高い
- ・断熱ムラ→結露 / 劣化 / 光熱費増のリスク
- ・完成後は気付きにくい(赤外線診断でも密度は分らない)
- ・工事途中の現場確認+仕様書で 種類 / 厚み / 施工法 を照合する
給湯器が盗まれていました
持ち去られた給湯器
中島:続いての写真は、外壁ですよね?
この場所に有った何かが取り外された跡なのでしょうか?
野方:入居前の物件の、給湯器が盗まれていたんです。
中島:それは犯罪ですね!
売れるから盗むってことですかね?
野方:自分で使うとは思えませんから、売るんでしょうね。入居前ですので、未使用品を狙って犯行に及んでいるのだと思います。
驚かれるかもしれませんが、一昨日行った、別の物件でも盗難被害に遭ってました。
中島:買主さんはショックでしょうね・・・。
- ・入居前の新築で給湯器が盗難被害(未使用品を狙われやすい)
- ・転売目的が主因と思われる。需要と価格高止まりで標的化している?
- ・引渡し遅延生活 / インフラ停止(給湯・ガス) / 追加手配 のコストが発生
- ・別案件でも連続発生の報告あり
- ・防護カバー / 施錠金具 / シリアル記録 / 防犯カメラ / 引渡し直前の設置 を検討する
- ・引渡し前最終確認で『給湯器の有無 / 動作』をチェックし写真記録
外壁に開けられた穴
外壁に開けられた穴
中島:続いての写真も外壁ですね。壁に穴が3ついてますが、コレはなんですか?
野方:私の予測になりますが、電気工事業者さんが太陽光パネルを設置する物件と勘違いして、先行配管を入れてしまったのだと思います。
中島:施工ミスとは言い切れない写真ですが、不恰好ですね。
野方:さすがにこのままの引き渡しは無いと思います。コーキング材で外の穴を塞ぐとか是正されるでしょう。
中島:そんなこともあるんですね。びっくりしました。
- ・外壁に不要な貫通穴を3か所確認(先行配管の誤施工と推測)
- ・太陽光設置予定と誤認?→電気工事が先行配管を実施していた
- ・見栄え低下 / 雨水浸入リスク / 断熱欠損 / 結露リスク / 資産価値低下
- ・外部はコーキング充填+適切な下地補修+仕上げ塗装で意匠復旧(内部側も気密・防水処理)
- ・補修範囲の保証内容と期間を書面化しておく
閉まらない散水栓のフタ
中島:この写真は、庭にある散水栓の蛇口ですね?
野方:はい。この散水栓の蓋が閉まらない状態でした。
中島:これは直せるんですか?
野方:設備業者さんだったら簡単に直せます。
中島:写真だけ見るとおっちょこちょいな感じがして可愛いですが、蓋が閉まらないのは困ってしまいますね。
- ・散水栓のフタが閉まらない
- ・汚れ / 破損 / つまずき などのリスクあり
- ・設備業者が 調整 / 清掃 / 蓋交換 することで修復可能
- ・引渡前に開閉チェックと写真記録しておく
途切れた雨樋の配管(竪樋)
中島:コレはなんですか?
配管が途中で切れているのは、コストカットの為ではないですよね?
野方:さすがにそれはないです。 もう少し低めの位置であれば、雨水タンクでも付けるのかと想像しますが・・・さすがにこの高さでは、ないですね。
中島:業者さん、しっかり施工、お願いします!
- ・竪樋(雨樋の縦配管)が途中で途切れていた
- ・外壁汚れ / 跳ね水→基礎 / 土間 が劣化するリスクあり
- ・接続し、排水経路を確保する(地中配管や集水桝へ)
- ・固定金具の間隔 / 勾配 / 排水先を現地で写真記録する
設計ミスで狭いトイレ
狭いトイレ
中島:次はトイレですね…
あぁ〜!足元が狭いですね、これ!!
野方:これは売主に確認しましたが、大工さんのミスではなく設計段階で間違えていたようです。
トイレの奥にカウンターを設置したことによって、便器の座面から扉まで24センチしか確保できなくなっています。。
中島:作っている途中で気がつきそうですけどね。これは直るんですか?
野方:ご案内前に売主担当者に確認したら、把握済みでした。
「お客様には、直しますと説明してください」との事でした。
中島:直して貰えるんですね。 都内の狭小住宅は今後、この写真のようなトイレになっていくのか!?とヒヤヒヤしました。そういうわけではなくて良かったです。
- ・設計ミスでトイレ足元が狭かった
- ・奥のカウンター設置で便座〜扉間が約24cm
- ・使用性低下(出入り / 姿勢が取りづらい)
- ・売主が把握済みで「是正予定」との回答
階段調整の影響を受けたクローゼット
クローゼットの内部が階段調整の影響を受けていました
中島:え?これはどうなっているんですか?
野方:これは階段調整と言いまして、階段部分の天井が上がってきているために、このような仕上げになっています。 居室と同じ高さで床を貼ってしまうと、階段から上がれなくなってしまうのです。
中島:これも先ほどのトイレと同じように、設計ミスですか?
野方:これは設計ミスではありません。 この階段調整は、間取り図を見ただけでは判断出来ないと思います。お客様の方から「この物件は階段調整やも母屋下り(天井さがり)がないですか?」と質問された方が良いかと思います。
中島:一体何を収納すればいいか、わからないクローゼットですね。
- ・階段を上がるためのクリアランス確保(設計ミスではない)
- ・階段調整でクローゼット内部に天井下がりが発生
- ・収納形状が不規則→大型物の収納性低下
- ・間取り図だけでは判断困難→現地で高さ / 奥行を実測する
- ・可動棚や浅型収納に切替 / 用途を分けて計画する
床が沈んでいる?
中島:これは!床が沈んじゃっていますね!
野方:床が曲がっているわけではないんです。 水平器で測ってみましたが、床は水平でしたので、巾木の取り付けミスですね。
中島:錯覚が起きちゃいました!床が沈んでるように見えましたが、巾木が斜めに上がっているんですね。
野方:巾木の付け替えとクロスの張り替えで直ります。
中島:錯覚で、ヒヤッとする写真ですね。
- ・水平器で床を計測→水平を確認済み
- ・床が沈んで見えるが、床自体は水平でした
- ・巾木の取付ミスで見た目が歪んで見える
- ・巾木の付け替え+周辺クロスの張り替えで是正可能
- ・是正前後の写真記録と仕上がりを確認する
短すぎる工期が欠陥住宅の原因になる
野方:ここで一枚、中島さんに見ていただきたい写真があります。
非常に短い工期
非常に短い工期で木工事を終えています
中島:え・・・工事開始が5/23で、工事完了が6/9ですか!?
野方:気づきましたね!
野方:木工事が二週間にはびっくりですよね!
野方:先日、知人の大工さんに聞いたら
「そんな工期じゃ欠陥も出てくるだろうし、キズも増えて当然だよね」
と話していました。
パワービルダー系では決算期が近づくと、もっと工期が短い物件も出てきます。
中島:そうなんですか!
中島:でも大工さんは、こんなに短い工期で家を造っちゃうんですね。
野方:ミスしてもおかしくない短い工期だと思います。
野方:なので、田中先生が動画でおっしゃっているように、契約前の住宅診断はとても大切だと考えています。
中島:本当にそうですね。
- ・異常に短い工期の物件は 欠陥 / 傷の増加や品質低下リスクが高い
- ・パワービルダー系は決算期になると短工期化の傾向にある
- ・工程表 / 施工体制 / 中間検査の有無を事前確認する
- ・施工写真 / 検査記録 / 是正内容を書面で残す
- ・契約前に第三者住宅診断を実施する
是正対象外とされる基準の策定
是正対象外となるクロスの小傷
野方:もう一枚、見ていただきたい写真がこちらです。
クロスに小さい傷があるのがわかりますか?
中島:確かにありますね!
野方:某パワービルダ―の話なんですが、
社内ルールで『室内は1m、室外は2m離れた位置から確認することが出来ない傷や汚れ、隙間は、是正の対象外』となったそうです。
中島:そのルールだと、視力が悪い人が確認したら、ほとんど是正対象外になってしまうのではないですか?
野方:そうかもしれませんね。でも、これには理由があります。
細かすぎる買主さんに全て対応していたら、是正箇所の修正にキリがなくなってしまいます。
そこでルールを定めることで、是正対象を明確化したという側面があります。
中島:確かに。ある程度ルールを明確にしておかないと、トラブルになってしまいますからね。
野方:そうです。
だからと言って、売主も絶対に直してくれないと言うわけではありません。ルールがあることで、売主ろ買主、双方の折り合いが付きやすくなりますから、それが目的ではないかと感じています。
中島:建売住宅は注文住宅に比べ、だいぶ安く買えますから、ある譲歩する部分なんでしょうか。
- 是正対象外の社内基準(室内1m / 室外2mで見えない傷は対象外)
- 無制限対応を防ぐための運用ルール化と思われる
- 視力や環境差で主観が入る
- 絶対ではなく交渉の余地あり
- 基準距離での確認方法を事前合意し写真記録
- 建売住宅は価格優位の代償として微細傷などの譲歩が発生しやすい
2030年までの新築住宅 省エネ基準目標
中島:でも最近の建売住宅の性能って、どんどん良くなっていますよね!
野方:そうですね。
・飯田グループではZEH水準住宅、全棟達成。
・ケイアイスターグループは徐々に移行。
・オープンハウスグループはどうなっていくのかな?
と言う感じです。
新築住宅の省エネ基準目標
新築住宅の省エネ基準目標図
中島:確か2030年までに新築住宅はZEH水準で建てないといけなくなるんですよね?
野方:そうなんです。最近では、長期優良住宅も増えてきました。
建売住宅 仕様&保証 比較表
野方:飯田グループでは東栄住宅、アイディホーム、タクトホーム、一建設が認定長期優良住宅にシフトしています。
最近の話では、今後飯田産業も長期優良住宅にシフトしていくと言う情報があります。
現状、アーネストワンは本社から何の通達も届いていないようですので、注視しておきたいですね。
中島:ホークワンやケイアイスターはどうでしょうか?
野方:ケイアイスター不動産の系列会社で始まっている物件も出てきてますが、まだまだ少ないですね。
オープンハウスグループに至っては何の情報も入っておりません。
- ・2030年に向け新築はZEH水準が目標化。省エネ基準の引き上げが進行しています
- ・長期優良住宅が増加傾向
- ・飯田グループ:東栄住宅 / アイディホーム / タクトホーム / 一建設 → 認定長期優良へシフト
- ・飯田産業もシフト見込みとの観測。アーネストワンは本社通達なしで今後も注視
- ・ケイアイスター系で一部開始も件数少
- ・オープンハウスグループは情報なし
- ・仕様&保証の比較表で最新の採用状況を横断チェック
まとめ:契約前の住宅診断が重要です
田中先生にもよく聞くのですが、住宅性能が上がったからといって、欠陥住宅がなくなると言うわけではないですよね?
そうですね。欠陥や施工ミスはあります。
先ほど、パワービルダ―の工期が短いことをご紹介しました。是正すれば直る程度の施工ミスならいいですが、中には重大な欠陥もあります。
ですので、契約前の住宅診断は必ず実施するべきだと思います。
そうですよね。
そのために、ゼロシステムズでは仲介される方に、お引き渡しまでに4回の住宅診断を行っているんですよね。仲介手数料も住宅診断も無料で行っております。
ゼロシステムズご利用の流れ
【 ご利用の流れ 】~完成物件の購入を検討中の場合
そうですね。
物価が高い今でも、マイホームを持つことが夢の方、また住宅を必要としている方が安心して暮らせる物件を購入できるようお手伝いする。
それが、ゼロシステムズの理念の一つなんです。
そうでしたね!
それでは、そろそろお別れの時間です。
野方さん、本日は勉強になりました!
ありがとうございました!
ありがとうございました!
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