飯田グループの新築4月以降値下がりの可能性
~パワービルダー在庫増加が原因~
【速報】飯田グループの新築4月以降値下がりの可能性
パワービルダー在庫増加が原因
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レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
第451-1回目 (2023年3月24日放送分 前半)となります。
今回の話題
【速報】飯田グループの新築4月以降値下がりの可能性
パワービルダー在庫増加が原因
今回のテーマ『4月以降に値下がりの可能性』
FM鴻巣フラワーラジオ 不動産せんせい田中の『教えて!不動産の知恵袋』
皆さま、こんにちは!
本日は、私サッシーが番組MCをさせて頂きます。
田中先生、本日も宜しくお願い致します。
早速ですが、田中先生。
本日は、どんなお話を頂けるのでしょうか?
今回は、
『4月以降は、新築の建売住宅は値下がりの可能性がある。』
というお話をしていきます。
まずはリスナーさんから質問を頂いているので、ご紹介お願いします。
承知しました!
ラジオネーム:イワンさん からのご質問です。
質問:物件価格はどんどん下がっていくのでしょうか?
田中先生。こんにちは!
いつも欠かさず視聴しています。
私は、2月に飯田グループの新築を契約して3月末に引渡しをされる予定です。
先日、日経電子版に、飯田グループで在庫が増えているので、今後、在庫一掃セールで値下げされる可能性があるというような記事を目にしました。
契約したばかりで、値下げされるというのは、ちょっと、早まったかなと思い心配になりました。
今後、物件価格は、どんどん下がっていくのでしょうか?
この記事について田中先生の方で解説してもらえませんでしょうか?
宜しくお願いします。
ラジオネーム:イワンさん からのご質問
ラジオネーム イワンさん ご質問ありがとう御座います。
『建売4社の在庫、前年比4割増』というニュース記事
早速ですが、イワンさんが心配になったというニュース記事のご紹介をお願いします。
承知しました。
2023年3月17日付 日本経済新聞の記事です。
建売4社の在庫、前年比4割増 飯田グループホールディングスは3000棟圧縮へ住宅販売大手の建て売り戸建ての在庫が膨らんでいる。
建て売りを主力とする飯田グループホールディングス(グループホールディングス)など大手4社の2022年末時点の棚卸し資産は前年末比で4割増えた。
在庫が何日で消化できたかを示す在庫回転日数も比較可能な16年以降で最も長い。
価格上昇で消費者の購買意欲が低下しているためで、飯田グループホールディングスが在庫の削減に動くなど対応を迫られている。
この記事を元に、要点をまとめました。
一つひとつ解説していきます。
お願いします。
1.建て売り在庫増加
建て売り住宅大手4社
(飯田グループホールディングス、オープンハウスグループ、ケイアイスター不動産、三栄建築設計)
の在庫が前年末と比べて40%増加しました。
これは消費者の購買意欲の低下によるものです。
- ・需要が高いエリアは、売れているので、現時点でも物件数が少なく、価格は維持されています。
- ・需要が低いエリアは、在庫が多い状況が続いているので、今後、値段を下げて販売される可能性があります。
2.在庫回転日数最長
在庫回転日数とは、在庫が販売されるまでの日数を示す指標です。
この期間が長いほど在庫の消化が遅いことを意味します。
2016年以降で最も長い在庫回転日数を記録していることから、住宅販売業界は在庫の消化に苦戦していることが分かります。
特に、郊外物件の割合が大きい、
ケイアイスター(270日)や三栄建築設計(287日)の在庫回転日数は、
都内で戸建てを販売するオープンハウスG(206日)に比べて長くなっています。
これは、郊外物件に対する需要が減少し、在庫がなかなか消化できない状況を示しています。
3.価格高騰による消費者の購買意欲低下
新築戸建て住宅の価格が上昇し、消費者の購買意欲が低下しています。
これが在庫増加の一因となっています。
価格が値上りし過ぎて、ユーザーの買う気が薄れているということですかね?
そのとおりです。
価格高騰による消費者の購買意欲低下は、戸建て住宅市場において大きな課題と言えます。
新築戸建て住宅の価格上昇は、以下が主な原因です。
- ・建材費の高騰
- ・人件費の高騰
- ・土地価格の上昇
自分たちにとって手の届く価格帯の住宅が減少し、購買意欲が低下することが起こります。
特に、若い世代や中間層の家庭は、価格高騰によって新築戸建て住宅の購入が難しくなっています。
なるほど。
4.飯田グループホールディングスの在庫削減計画
短期的な在庫削減:1~3月に約1,500~2,000棟の在庫を減らすことを目標に、積極的な販売活動やプロモーションを実施しています。
例えば、限定期間の価格割引やオプション50万円分サービスキャンペーンなどを実施していました。
中長期的な在庫圧縮:4月以降も段階的に在庫の圧縮を進める計画です。
今年の初旬は売り手市場でした。
そのため売主も強気で、需要が低い郊外の物件でも値下げ交渉には応じてもらえませんでした。
しかし、4月以降は、建物が完成して一定期間を経過した物件は、ある程度の値下げ交渉なら応じてくれる可能性が出てきます。
少しでも安く購入したいと考えている人は、完成して、しばらく売れていない物件を狙うということも、上手な物件の選び方の一つかもしれません。
5.土地の仕入れペースを落とす
飯田グループホールディングスは、
在庫増加を抑えるために、土地の仕入れペースを落とし、市場の需給バランスを整える方針です。
土地の仕入れペースを抑制することで、新たな在庫の増加を防ぐ・・・。
この抑制をやり過ぎると、来期の売る物件がなくなるので、下限は非常に難しいと思います。
ケイアイスター不動産は、近年、急成長しています。
ですが、物件数を増やすために、
『飯田グループよりも土地の仕入れ値が高すぎではないか?』
と、不動産業界の一部で話題になっていたくらいです。
ですので、今後は恐らく仕入れに慎重になると思います。
パワービルダーの特徴に関する記事はこちら↓
【パワービルダー各社の特徴】飯田グループ・ケイアイスター・ホークワンなど10社を解説
【建売住宅】メーカー9社を比較~断熱等級 耐震等級 住宅ローン控除 こどもエコすまい給付金~
6.利益率より在庫適正化重視
飯田グループホールディングスは、
利益率を追求するよりも、まずは在庫の適正化を重視する方針を採用しています。
現在、都心部の新築分譲マンション市場は、三菱地所や住友不動産販売などのような財閥系不動産会社が主導しています。
これらのデベロッパーは、価格を維持するために、供給過剰にならないように戸数を調整して販売しています。
これにより、彼らが新築マンションの価格相場をコントロールしていることが示されます。
一方で、近年では郊外の新築一戸建て市場においては、飯田グループホールディングスなどのパワービルダーが主導的な役割を果たしています。
パワービルダーも同様に、価格相場をコントロールするために、適切な供給量を調整しています。
要するに、
『都心部の新築マンション市場は財閥系不動産会社が価格相場を主導』
『郊外の新築一戸建て市場ではパワービルダーが価格相場をコントロール』
していると言えます。
7.金利低下による財務状況の安定
現在の低金利環境下で、各企業の財務状況はリーマン・ショック時に比べて安定しています。
たとえば、
三栄建築設計の自己資本比率は、2008年8月期の25.2%から10ポイント近く上昇しています。
低金利環境下では、企業が資金を調達しやすくなり、返済負担も軽減されるため、財務状況が改善されます。
これは、住宅建設業界においても同様で、各企業の財務状況がリーマン・ショック時に比べて安定していることが分かります。
在庫が多い状況であっても、資金調達や返済負担の面で安定した状況にあることを示しています。
8.需要喚起策がカギ
各社は財務の安全性を維持しながら、需要を喚起する施策をどのように打っていくかが今後のカギとなります。
これによって、在庫増加の問題解決と業績向上が期待されます。
9.『専任返し』による囲い込み問題
この記事にはありませんが・・・
在庫回転日数が増加した原因の一つが、この『専任返し』と『囲い込み』問題だと思います。
『専任返し』というのは何ですか?
パワービルダーは、仲介業者を通じて分譲用地を仕入れます。
その物件を新築分譲住宅として販売するときには、
『仕入れ時に携わった仲介業者を再び専任として、販売を依頼する。』
ということが、
最近のパワービルダーでは、仕入れ強化の一環として日常的に行なわれています。
これを『専任返し』と言います。
なるほど。
でもなぜ『専任返し』が在庫回転日数の増加につながるのでしょうか?
専任の不動産会社による両手狙いの物件の囲い込みです。
囲い込み問題については、以下のページをご覧ください。
『囲い込み』問題は売主ユーザーにとって不利益
『囲い込み』問題は売主ユーザーにとって不利益不動産の売却査定を依頼する前に知っておきたい不動産業界の闇
専任の不動産仲介会社は、自分で客付けをしたいがために・・・
他の不動産会社から物件の問い合わせがあっても、
「担当者が不在で分からないので折り返します。」
などと言って連絡がとれない。
物件の図面や仕様書などを求めても、
「まだ手元にない。」
などと言って資料を送らない。
など、他社で客付けできないように巧妙に妨害して、自社での両手取りを狙います。
これは、中古物件の囲い込みと同様に、新築であっても大手の不動産仲介会社で日常的に行われています。
更に、この囲い込みは、パワービルダーの営業担当レベルで黙認しているケースが多いというのも問題だと思います。
どうして、パワービルダーの営業担当は、囲い込みを黙認しているのですか?
それは、大人の世界なんでしょうね・・・。
電通と東京オリンピック問題の、個人版みたいな感じですか?
そういう話は昔から聞きますね・・・。
いずれにしても、
多くの客付け仲介会社は、大手の不動産仲介会社が『専任返し』で入っている時点で、専任が切れるまで客付けを控える。
という流れになります。
そうなると当然、パワービルダーの在庫回転日数が増えることになります。
そうなると、今後は値崩れしてしまうのでしょうか?
確かに、
「4月以降は増えすぎた在庫を減らすために物件価格が下がります。」
と言われてしまうと、
最近契約した人や、既に購入した人は「早まった!」と思ってしまうかもしれません。
ですが、そこまで心配に思うことはありません。
10.まとめ
今回のお話をまとめますと・・・
・現在、一時的に在庫が増えたため、パワービルダー各社は、財務の健全化のために、完成してから一定期間が経過した在庫の値下げをする可能性があります。
・ただし、今は90年代バブル崩壊のときのように金利が高い時代ではありません。
財務は健全ですので、デベロッパーが倒産して価格が大幅に値崩れするようなことはありません。
・今後も世界的な資源不足は続きますので、建築費は値下がりすることはありません。
そのため、在庫が適正になれば、再び住宅市場は安定することが予想できます。
ただ、住宅診断をする立場として心配なのは・・・
在庫調整と同時に、建築コストの削減や人員整理などが行われると、住宅の品質低下につながる可能性があるということです。
・現場監督が一人で監理する物件数が増えて
・1軒1軒に目が行き届かなくなり
・施工ミスなどを見落とした状態
で、
ユーザーに引き渡される可能性を懸念しています。
新築の建売住宅を購入するときには、専門家による住宅診断を実施することが、より重要になってくると考えます。
前半は以上となります。
田中先生。
ありがとう御座いました。
不動産せんせい田中の『教えて不動産の知恵袋』
ぜひ後半もご覧ください。
【速報】飯田グループの新築4月以降値下がりの可能性
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