【南海トラフ地震】新耐震基準でも倒壊する新築一戸建て!耐震等級2相当の真実!
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		FM76.7MHzフラワーラジオ  にて毎週放送!
		レギュラー番組:『不動産せんせい田中の教えて!不動産の知恵袋』
		第515-1 (2024年8月15日放送分 その①) となります。
		※記事は動画を元に校正/編集しております。そのため、言い回しなど本編と異なる部分がございます。
	
今回のテーマ『南海トラフ巨大地震に耐えられる家とは?』
		
		こんにちは。本日も宜しくお願いします。
		
			早速ですが田中先生。
			今回は、どんなお話をいただけるのでしょうか?
		
		
			今回は・・・
			『南海トラフ巨大地震に耐えられる家とは?』
			と言うテーマでお話していきます。
		
		
			非常に興味深いです!
			是非お願いします。
		
ゼロシステムズは契約前に耐震診断を実施しています
		田中先生の会社は一戸建ての耐震診断もおこなっているから、今、問合せが多いんじゃないですか?
		
			そうですね。
			新築の建売住宅を購入しようとしているユーザーから、物件の耐震性能について、問合せが非常に増えました。
		
		
			そうですよね。
			番組にも地震関連の質問が沢山きましたので、ご紹介させて頂いて宜しいですか?
		
		お願いします!
		
			はい!
			では紹介しますね。
			ラジオネーム:U さんからのお便りです。
		
質問:地震が怖いので耐震性能が分からないと手を出しにくいです
			田中先生、いつも勉強になっております。
			南海トラフ地震に関係した質問をさせてください。
		
			私は、神奈川県横浜市で新築の建売住宅の購入を予定しています。
			先日、検討していた物件は、1階にビルトインガレージがある3階建ての4LDKでした。
		
			住宅性能評価を取得していない物件で、耐震等級について記載がありませんでした。
			不動産の営業マンに確認したところ、「耐震等級2相当です」という説明をされましたが、「2相当」についての根拠の書類や説明はありませんでした。
			以前、注文住宅を検討しているときに、設計士からビルトインガレージの3階建ては、地震に弱いという説明を受けたことを思い出して、その物件の購入は見送りました。
		
			立地は気に入ったのですが、やはり、地震は怖いので耐震性能がよく分からないと手を出しにくいです。
			今の新築は、新耐震基準で、3階建ては、構造計算もしているから大丈夫という説もありますが、実際のところ、どうなのでしょうか?
		
			田中先生のご意見をお聞かせください。
			宜しくお願いします。
		
ラジオネーム:U さん からのお便り
		
			ラジオネーム:U さん。
			ご質問ありがとうございます。
		
南海トラフ巨大地震の想定最大震度は 7
		
			耐震のお話をする前に、
			『南海トラフ巨大地震が発生した場合、震度いくつの揺れに耐えなければならないのか?』
			について解説します。
		
		
			南海トラフ巨大地震と耐震に関する前提知識ですね。
			ぜひ、お願いします。
		
南海トラフ巨大地震の震度分布図
		画像引用:国土交通省(気象庁) – 南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ
		国交省のデータによると・・・
- ・南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では、震度7。
 - ・それに隣接する広い地域では、震度6の強い揺れになる。
 
そのため、これから家を買う人は、この強い揺れに耐えられる物件を選ばなければなりません。
		
			そうですね。
			近い将来、必ず大きな地震がくるとして備えておかなくてはなりませんね。
		
近い将来、必ず大きな地震がくるので、住宅購入前から耐震性能に注意しておく。
耐震等級2 “相当” は当てにならない
		
			ご質問の中にもありましたが、「今の新築は新耐震で、構造計算しているから大丈夫」というお話も聞きます。
			しかし、だからと言って全ての新築が安全であるとは言えません。
		
		
			そうなんですか?
			ご質問にあった『耐震等級2相当』だったら大丈夫なんじゃないですか?
		
		まず、耐震等級は 1、2、3 の3段階あって、数字が大きい程、地震に強くなります。
新耐震基準では『震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない』という前提です。耐震等級1は、それと同じくらいの強さになります。
『倒壊』の定義について
		それなら「現代の新築であれば、震災級の地震がきても倒壊しない」と言うことで、間違いではないですよね?
		
			そうですね。
			ただ・・・『”倒壊しない”の定義』って、ご存じですか?
		
		『倒壊しない』の定義って、『倒れない』『壊れない』と言うことじゃないんですか?
		違うんですよ。
		えっ!そうなんですか!?
■耐震性能で言う『倒壊』とは『倒れない 壊れない』 ではない
		はい。ここで言う『倒壊』とは、『生存空間が無くなるほど潰れた状態』のことをいいます。
『震災級の地震がきても、人が亡くなるような潰れ方はしない』という意味です。
		ということは、壊れる可能性はあるのですか?
		そういうことです。
よって、耐震等級1は『震度7程度の地震で人が亡くなるような潰れ方はしないレベル』と言い代えることができます。
- ・耐震等級2:耐震等級1の 1.25倍の強度
 - ・耐震等級3:耐震等級1の 1.5倍の強度
 
		『耐震等級2相当』は、耐震等級1(新耐震基準)の1.25倍の強度だから潰れにくいということですよね。
		
			そうです。
			ただし、耐震等級2相当や3相当というのは、耐震等級2や3とは別物と考える方が妥当です。
		
		そうなんですか?
		
			はい。
			壁量バランスと構造計算で計画して、検査機関の証明を受けた耐震等級2や3であれば良いのです。
		
しかし、壁量バランスなどの数値的な根拠を示すことが出来なかったり、検査機関の証明がない場合、『相当』というのは、あくまでも「そんな感じ・・・」という意味合いです。
		それでは信用できないですよね!?
		
			そうなんです。
			新耐震の新築であっても『耐震等級2相当』と言われた場合に、壁量バランスなどで数値的な根拠を示してもらえなければ、信用するに足りません。
		
		人命に関わることだから、そこが信用できるか否かは重要なポイントですよね。
震度7に耐えられる『地震に強い家』とは
		それでは、具体的に地震に強い建物について説明します。
地震に強い家とは『柱が太い家』と思われる方が多いと思います。
		違うんですか?
耐震には『壁量バランス』が重要
		はい。違うんです。
			
				昔は4寸角の太い柱が多い家ほど地震に強いと言われていました。
				現代の建築では、柱の太さでなく壁量のバランスが大切になっています。
			
		
また、2階や3階の荷重がかかる分、1階にはたくさん壁があった方が地震に強くなります。そして壁の配置も重要になってきます。
		それが『壁量バランス』なんですね。
		そういうことです。
			ゼロシステムズでは、新築の建売住宅を仲介するときには、当社の建築士が必ず耐震診断を実施します。
			この耐震診断では、設計図面上で壁量バランスを数値的に確認して、最終的に現場を見て、施工ミスがないかも確認します。
		
		その耐震診断で、問題が見つかる新築ってあるんですか?
		実際あります。
		
			それは怖いですね。
			どのような問題があるのですか?
		
		では、問題点のお話をする前に、まず耐震診断による壁量バランスの考え方について解説します。
■耐震診断のフォーマット
耐震診断フォーマット
		耐震診断で壁量バランスを調べるときには、その物件の間取り図の壁を耐震診断のフォーマットに書き込みます。
そうすると、1つ1つの壁にW1、W2、W3、と番号が振られます。
■四分割法で壁量バランスを調べる
耐震診断-四分割法
		そして、間取りをこのように分割します。これを四分割法といいます。
			そうしたら、次にX軸とY軸、それぞれの両端の壁量バランスを調べるという作業をします。
			壁量のバランスと言っても、見た目のバランスでなく、数値化して調べます。
		
■数値化して壁量バランスを調査
耐震診断-数値化して壁量バランスを調査
		
			このW1の壁の壁基準耐力は7.3kN/mです。
			この数字が大きければ、地震に強い壁と言えます。
			この数字は、どこから引っ張ってきているかと言うと、壁を構成している建材(材料)ごとに数値が決まっています。
			例えば、外壁がサイディングボードで、その下地には構造用面材が使われていれば、それは、6.2kN/mです。
		
			壁の中に筋交いがあれば、プラスアルファされることがあります。
			だけど、この事例では、使われていないので0です。
		
そして、その下の外面とは、室内側の表面のことです。
			この物件では、石膏ボードが貼られているので、1.1kN/mです。
			これを足し算することで、7.3kN/mとなります。
			※6.2kN/m+1.1kN/m=7.3kn/m
		
■建物全ての壁(建材)を調査する
耐震診断-全ての部材を調査
		このように、耐震診断では、全ての壁をチェックして、壁量のバランスを調べます。
		これって、結構大変ですよね!?
		ここまでは人力でチェックしますので、結構大変です。
ですが、これ以降の作業は耐震診断のソフトが処理してくれます。
■以降は専用のプログラムで算出します
耐震診断-上部構造評点
		処理が終わると、このように1階、2階、それぞれのX軸、Y軸の壁量のデータができます。
			例えば、この事例の1階のX軸とY軸の必要耐力は、50.17です。
			X軸とY軸の必要耐力は、基本的に同じになります。
			これは、建物というのは、上から見て正方形に近い方が、壁量バランスが良くて、地震に強いという考え方だからです。
		
		なるほど。
		現実的には、正方形で壁量バランスが完璧な建物は、そう多くありません。
			次に『保有する耐力』の部分を見てください。
			X軸の保有耐力は、119.57、Y軸は、85.84となります。
			XとYで、同じではありませんが、必要耐力の50.17を大きく上回っています。
			どれくらい余裕で上回っているかというのは、一番右の列を見ます。
			X軸は、2.38倍、Y軸は、1.71倍となります。
		
			必要耐力を余裕をもって上回っていることがわかります。
			2階になると、上からの荷重(重さ)がかかってこないので、5.41倍とかなり余裕で上回っています。
			この何倍何倍というのが、耐震診断では、構造評点となります。
		
■耐震診断では一番小さい(弱い)数字を採用
耐震診断フォーマット-一番小さい数値を採用
		
			1階のX軸であれば、構造評点は、2.38点、Y軸であれば、1.71点という具合です。
			それでは、建物全体の評点は何点か?と考えるときには、全体の平均点にしたいところですが、耐震診断では一番小さい数字を採用します。
			よって、この事例の構造評点は1.71点となります。
		
		この1.71というのは、強いんですか?弱いんですか?
■一般診断法による耐震診断
| 耐震評点 | 深度6強暮らすの地震 | |
|---|---|---|
| ◎ | 1.5以上 | 倒壊しない | 
| ○ | 1.0以上~1.5未満 | 一応倒壊しない | 
| △ | 0.7以上~1.0未満 | 倒壊する可能性がある | 
| × | 0.7未満 | 倒壊する可能性が高い | 
		
			評点が1.5以上であれば、強い方です。
			具体的には、1.0であれば、震度6強~7程度の地震がきても『一応、倒壊はしない』という考え方です。
		
		「一応」って・・・?
		一応というのは『人命を奪うような潰れ方はしない』という意味です。
		
			なるほど。
			でも『一応』なんて聞くと、ちょっと不安になってしまいます。
		
		そうですね。
			評点1.0以上が、建築基準法の新耐震基準と言えます。
			従って、評点1.0以上なら、耐震等級1相当となります。
		
そして、評点1.25以上であれば、耐震等級2相当。評点1.5以上になると、耐震等級3相当となります。
		
			なるほど。
			これが『耐震等級○相当』なんですね!
			よく分かりました。
		
まとめ:契約前に耐震診断を実施する
	ゼロシステムズの耐震診断例
		ゼロシステムズで新築建売住宅の耐震診断と建物診断を同時に行なうと、図面上で壁量バランスが良くても、実際には石膏ボードのビスピッチの施工不良等によって、計画上の耐震性能が確保されていない物件を発見することがあります。
		それは、怖いですね。
		そうなんです。特に工期が短い建売住宅では注意が必要です。
		なるほど。
あと、ご質問にあった『ビルトインガレージ付きで3階建ての家』は、地震に弱いんですか?
ビルドインガレージの開口部
		
			ビルトインガレージは、1階に大きな開口部があり壁量バランスが崩れやすいので、耐震性能が弱い傾向にあります。
			このような物件を購入するときには、契約前に耐震診断を実施することを強くおすすめします。
		
		ビルトインガレージの有る物件は、契約前に耐震診断が必須ですね。
		住んでいる家が、地震にどれくらい耐えられるのか分からないと、ちょっとした地震でも不安になります。
		精神衛生上も良くないと思います。
		そうなんです。不安を抱えたまま生活することになりますからね。
そのため、ゼロシステムズでは10年以上前から『契約前に耐震診断が絶対に必要である』という考えで、仲介する新築一戸建てについては、無料で耐震診断を実施してから契約するようにしています。
耐震診断-こちらの記事もご覧ください
新築の建売住宅の耐震診断について解説
		
			なるほど。
			田中先生、ありがとう御座いました。
		
今回は『南海トラフ巨大地震に耐えられる家とは?』というテーマでお送りしました。
			不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
			次回もお楽しみに!
		
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