【徹底解説】私道でも公道でもないヤバイ道!買ってはいけない物件とは?セットバック・43条但し書き・通行掘削承諾書
【徹底解説】私道でも公道でもないヤバイ道!買ってはいけない物件とは?セットバック・43条但し書き・通行掘削承諾書
今回のテーマ『道路に見えて道路じゃないヤバイ道』
今回のテーマは
『道路に見えて道路じゃないヤバイ道』
ということで田中先生、今回も深掘り解説お願いします!
了解しました。
一戸建てや土地を購入する時には道路の種類が非常に大切です。
今回は道路の種類について注意点をお話していきます。
※記事は原稿を元に要約しております。そのため、言い回しなど本編動画と異なる部分がございます。
実家は建て替え出来ない道路だった!
まずは、視聴者さんからコメントをいただいているので紹介します。
ユメさんからのご質問です!
視聴者様からのご質問
私道のイメージ
田中先生、中島さん、こんにちは!
チャンネル登録をしていつも拝見しています。
実家を建て替えようとハウスメーカーに相談したところ、
「建築基準法上で道路として認められていないため建て替えが出来ない」と言われてしまいました。
そのため、別の場所で新築の建売住宅を購入する計画をしています。
物件を購入するときに道路についての注意点を解説いただければ幸いです。
宜しくお願いします。
ユメさん からのご質問
ユメさん。
ご質問ありがとうございます。
まず、道路というものを大きく分けると、
『建築基準法で道路として認められている道路』と『認められていない通路』となります。
『建築基準法上の道路として認められていない道路』に接していても建て替えはできません。
道路に見えて道路じゃない。
今回のタイトル通り、単なる通路なんですね。
そんなのがあるんですね!
何故、法律で認められている道路と認められてない道路があるのですか?
結構昔に遡るんです!
昭和25年に今の建築基準法が施行されました。
それまでは比較的自由に建て替えができました。
当時の日本を想像して貰えばわかると思いますが、昔の日本って狭かったんんです。
その当時は消火活動には『大八車』という物が使われていて、狭い道でも通れたのです。
ですが、現代は消防車になります。
消防車が通れないような狭い道では、火災の際の消火活動に支障が出ます。
昭和25年に建築基準法が施行された時点で「幅員が1.8メートル未満の道路は建築基準法上で道路としても認めません」という決まりができました。
1.8メートル道幅がなかったら道路じゃないと言う事ですね。
時代に合わせて、そのような決まりが出来たのですね。
現在の基準は昭和25年に施行された建築基準法によるものです。
それ以前の日本では、狭い道でも『大八車』を使った消火活動が可能だったため、自由な建築が許されていました。
しかし、現代では消防車の通行が必須となり、狭い道では消火活動が困難になることから、新たな基準が設定されました。
道路幅が1.8メートル未満の場合、建築基準法上では「道路」として認められません。
この基準により、消防車が通行できる道幅を確保し、火災時の対応をスムーズにしています。
建て替えが認められる道路
それでは、『建て替えが認められる道路』について教えてください。
建築基準法で道路として認められている道路とは、建築確認を取得することができる道路の事です。
つまり『建て替えができる道路』になります。
大きく3つに分けて説明します。
① 公道とは
国や都道府県、市区町村が管理している幅員4m以上の道路(42条1項1号)の事を言います。
『42条1項1号道路』と呼ばれています。
もしくは
幅員1.8m以上4m未満(42条2項)の道路の事です。
建築基準法では『42条2項道路』と呼んでいます。
公道:国や地方自治体が管理する幅員4メートル以上の道路。
具体例
42条1項1号道路:幅員4メートル以上。
42条2項道路:幅員1.8メートル以上4メートル未満。
注意点
公道であれば建て替えが可能ですが、幅員の条件を確認する必要があります。
② 私道とは
個人や法人が所有する道路です。
市役所の建築指導課(役所によって呼び名が違う)などで、位置指定道路(42条1項5号)や開発道路(42条1項2号)として認められている道路の事を言います。
持ち主が個人だとしても、位置指定道路として認められていれば(家の)建て替えが出来ます。
私道:個人や法人が所有する道路。
私道と認められる条件
位置指定道路(42条1項5号):市区町村の建築指導課(役所によって呼び名が違う)で認定。
開発道路(42条1項2号):同様に認定。
持ち主が個人でも、これらの条件を満たしていれば建て替えが可能です。
③ 43条但し書き道路とは
43条但し書き道路は、本来であれば、建築基準法上の道路として認められていない道路です。
公道でも、位置指定道路でもありません。
ただし、建築基準法第43条第2項2号の許可を得て、特定行政庁(建築審査会)が安全上支障ないと判断した場合に建て替えができる救済措置的な例外の制度です。
43条但し書き道路:本来、建築基準法で道路と認められない、例外の道路。
具体例
建築基準法第43条第2項2号の許可を得て、特定行政庁が「安全上問題が無い」と判断した場合に建て替えが可能。
救済措置的な制度であり、建築審査会の許可が必要。
道路の種類によって調べに行く場所が違う
道路も色々な種類が合ってややこしいですね。
結構ややこしいです。
そして、道路の種類は、種類によって調べに行く場所が違います。
- ・公道・・・市区町村の役所の道路管理課など
- ・私道・・・市区町村の役所の建築指導課など
道路の種類によって、建て替えができる物件とできない物件があります。
そのため、不動産を売買する時に、道路が非常に重要になってくるんです。
道路の種類と条件は、不動産の売買や建て替え計画に直結する重要な要素です。
公道、私道、そして43条但し書き道路の違いを理解し、事前に自治体や不動産会社と確認することで、トラブルを回避しスムーズな建築計画を進めましょう。
建て替えができない要注意な道路
建て替えができない道のイメージ
続いて『建て替えができない要注意な道路』とは、どのようなものなのでしょうか?
『建て替えができない道路』というのは、一言で言うと『建築基準法上の道路として認められていない道』なんです。
一見、道路に見えても、そのような道路に接道している場合は建て替え出来ないので注意が必要です。
「認められてない道」って言ってましたけど、『道路』と『道』って何か違いがあるのですか?
はい。以下のような違いがあります。
- ・『道路』・・・建築基準法上で認められた道
- ・『道』・・・建築基準法上で認められてない道
そのように分けているんですね。
「建て替えができない道」と言うのは、私道だけですか?
私道だけでなく、公道でも建て替えができない道路があります。
公道なら何でも良いってワケではないのです。
公道でも建て替えできないことがあるんですね!
建て替えができない道路:建築基準法上の道路として認められていない道。
道路と道の違い
道路:建築基準法上で認められた道。
道:建築基準法上で認められてない道。
注意点
建て替えができない道路(道)に接道している場合、私道に限らず、公道でも建て替えが出来ない場合がある。
公道であっても建て替えできない道路
それでは、公道でも建て替えができない道路について説明していきますね!
① 自動車専用道路(高速道路や有料道路)
高速道路
建築基準法で道路として認めるか認めないかは、火災が起きた時に消防車が入って消火活動できるかどうかによります。
高速道路や有料道路に面している場合は、消火活動できなくはないですが、基本的には認められていないんです。
② 遊歩道やサイクリング道路 / 河川や林道など管理道
サイクリングロード
遊歩道やサイクリング道路、河川や林道の管理道(土手)、そういう道は国土交通省が所有してる土地であることが多く、そこは建築基準法上、道路として認められていません。
④ 昭和25年の建築基準法施行時点で1.8m未満の道路
幅の狭い道
昭和25年の建築基準法施行時点で幅員1.8メートル未満の狭い道路も、原則として建築基準法上の道路として認められていません。
■消防車が入れるか入れないかで判断すると分かりやすい
消防車が入れるか、入れないかで判断していくと分かりやすいです。
このような公道と接している場合、建て替えできないんです。
消防車が入れない道に面している場合は建て替えができません
公道であっても要注意ですね!
建て替えができない私道
私道の場合、建て替えが出来るか否かって、どうなるんですか?
見た目は道路でも、役所で建築基準法上の道路として認められていないと、建て替えができないことがあります。
ひと言で言うと、市役所の建築指導課(役所によって名称は異なる)で、位置指定道路(42条1項5号)とされていない道路の事です。
道路に見えて道路じゃない道が沢山あるので注意しないといけません。
それは、非常に怖いです。
公道であっても建て替えできない道路
消防車が入れるか、入れないかで判断していくと分かりやすい。
公道であっても、このような道路と接している場合は建て替えができない。
建て替えできない私道
市役所の建築指導課(役所によって名称は異なる)で、位置指定道路(42条1項5号)とされていない道路。
注意点
道路に見えて道路じゃない道が沢山あるので、しっかり確認する。
要注意な道路の見極め方
要注意な道路の見極め方があれば、教えてください。
■広告などから見極める方法
不動産(家)を購入しようとしている方なら、広告を見ますよね。
戸建てや土地の場合、広告を見て建築基準法上の道路として認められていれば、だいたい土地の形と道が描いてあります。
建築基準法上の道路として認められている道路の事は、
公道 / 市道 / 道路 / 位置指定道路 / 私道
などと表記されています。
建築基準法上の道路として認められていない道の事は
道 / 通路
など、道路とは区別して『道』と書いてあることが一般的です
親切なところは『法外道路』『法定外道路』と表記してくれています。
広告の表現で、そんな微妙な違いがあるんですね。
現地での見極め方
現地を見て分かる違いなどはあるんでしょうか?
① 幅員4m前後の道路
幅員4m有るかチェック
まず、幅員が4メートル有るのか無いのか、しっかり調べた方が良いです。
② 未舗装の道路
未舗装道
最近少なくなりましたけど、今の時代で砂利(未舗装)の道ですと、私道だったり位置指定を取っていない、ただの通路と言う事が多いので気をつけないといけません。
③ 突き当りの道路
突き当たり(行き止まり)の道
『突き当りの道路』『通り抜けられない道路』は、私道だったり、建築基準法上の道路として認められていない場合があります。
このような道路は、公道でなく私道の可能性が高く、位置指定道路(43条1項5号)でない可能性があります。
④ 道路部分に私物や植栽が植えてある物件
私物が置かれている道は要注意
私物が置いてあったり、道に植木鉢が置いてあったり、植栽が普通に植えてあったり。
そのような場合、位置指定道路(認可が)取れていても、場合によっては行政が見に来た時に、「位置指定(道路)取り消しますよ」「ここを是正しないと建て替えできません」と言われる事もあります。
『道路に見えて道路じゃない通路』と言う事もあるんですね。
要注意な道路の見極め方
・建築基準法上の道路として認められているか確認
・道路の幅員が4mあるか確認
・未舗装の道路
・突き当りの道路
・私物や植栽が植えてある道路
市区町村での調査が重要
結局、見た目じゃ分からないので、市区町村での調査が重要になってきます。
まず調査する時のポイントですが、市区町村の道路管理課に行って、公道かどうかを確認をします。
- ・市役所の道路管理課に行って、公道である確認が取れない。
- ・建築指導課に行って、位置指定道路である確認も取れない。
このような場合は、建築基準法上の道路として認められていない可能性が高いので注意が必要です。
建て替えができなくなる物件の可能性があります。
最終的には役所での物件調査が重要ということなんですね。
セットバック
それでは次です。
『セットバック』という用語を目にするのですが、具体的に教えてください。
家を建てる時や建て替えをする時には、建築確認の審査機関に建築確認を取得する必要があります。
建築確認を取得する時には、建築基準法上で道路として認められた幅員4m以上の道路に間口2m以上接している必要があります。
(全ての道路が幅員4m以上ある訳ではなく狭い道もあります)
昭和25年の建築基準上施行の時点で、幅員1.8m以上の道路は、建築基準法上の道路(42条2項道路)として認められました。
42条2項道路に接道した土地で建て替えをする場合は、道路中心線から2m後退した位置が道路境界線とされます。
道路の反対側が河川、線路、崖地の場合は、道路の反対側から4m後退した位置が道路境界線となります。
幅員が狭い道路でも、接道する土地の所有者が建て替えの度に徐々にセットバックしていくことにより、将来的には幅員4m以上の道路になると言う事です。
幅員4m未満の道路で42条2項道路の場合は、セットバック義務があります。そのため敷地が狭くなる可能性があるので注意が必要です。
逆に言うと、幅員1.8m未満で、建築基準上の道路として認められていない道の場合は、セットバック義務はありません。
セットバックした土地は自由に使えなくなります
自分の敷地がちょっと狭くなりますよね?
そうですね。
自分の敷地を削って、2m道路として提供しないといけません。
道路の反対側が河川とか川、土手、線路、崖地の場合は『一方後退』と言って、道路の反対側から4m下がる事になります。
よくわかりました。
ありがとうございます。
セットバックの基本概念
建物を建てる際、幅員4m以上の道路に間口2m以上接している必要があります。
昭和25年の建築基準法施行時、幅員1.8m以上の道路は『42条2項道路』として認められました。
このような狭い道路の場合、建て替え時には道路中心線から2m後退する必要があります。
道路の片側が河川や崖の場合、反対側から4m後退します。『一方後退』と言います。
セットバックの目的
狭い道路を将来的に幅員4m以上に拡張することを目的としています。
接道する土地の所有者が、建て替えの度にセットバックを行うことで、少しずつ道路が広くなります。
注意点
セットバックにより、敷地面積が狭くなる可能性があります。
一方で、幅員1.8m未満で建築基準法上の道路と認められていない道の場合はセットバック義務がありません。
私道やセットバックについてこちらの記事もご覧ください
【不動産購入】『買ってはいけない私道』とは?
私道の物件を購入する時の注意点
続いて『私道の物件を購入するときの注意点』について教えてください。
位置指定道路について
注意点として、まず『位置指定道路』について説明していきます。
所有地の前面道路が位置指定道路の認定を受けた私道であれば、その私道に対して持ち分が無くても、日常生活の範囲内で特に制限なく使用できます。
私道と言っても建築基準法上、公の道路として認めるという事です。
この土地(道)は、
所有権に制限を受ける事になります。
「土地を自分の所有地だから」「所有権を持ってるから」「持ち分があるから」と、物を置いたりしてはいけません。
位置指定道路とは
建築基準法に基づき、公の道路として認められた私道のことです。
位置指定道路であれば、私道の持ち分がなくても、日常生活の範囲内で特に制限なく使用できます。
制約事項
所有者であっても、制限を受ける事になります。物を置くなどの専有行為は禁止されています。
道路持ち分について
私道の物件を購入するときには、『道路持ち分』があるかどうかを確認することがポイントです。
私道の所有権に持ち分が無くても、位置指定道路として指定を受けている私道であれば建て替えは可能です。
道路持ち分の重要性
私道を利用する場合、所有者の許可が必要になるため、持ち分があるか確認しましょう。
持ち分が無い場合でも、位置指定道路であれば建て替え可能です。ただし、所有者から『通行掘削の承諾書』が必要になります。
通行掘削の承諾書について
しかし、建て替えをする場合は、道路の所有者から確認や『通行掘削の承諾書』などが必要になります。
『通行掘削の承諾書』と言うのは何ですか?
道路持ち分が無い私道の物件を購入するときには、他の私道所有者から『通行掘削の承諾書』を取得しているかどうかもチェックポイントとなります。
私道の場合、その道を利用する人達みんなで権利を持っている場合が多いです。道路がみんなの所有物になるのです。
通行する事に問題は無いのですが、建て替えする時には、水道管やガス管の工事をして掘削しなければなりません。
同じ道路をみんなで使うので、後で揉めないように「これらを無償でやっていいですよ」と言う承諾書が必要になってくるのです。
新築の建売住宅であれば、分譲業者さんが土地を仕入れる段階で、前の所有者に「周りから通行掘削の承諾書を得てください」として、通行掘削の承諾書を取得してから土地を仕入れています。
私道の場合は『通行掘削の承諾書』を見せて貰って
- ・「無償で通行して良い」「掘削して良い」「建て替えできます」と記載されている事。
- ・所有者が変わった場合であっても、この覚え書き(承諾書)は継承されていくと言う事。
売買される時は、相手もそのルールを引き継いでいく事になるのです。
一代限りの承諾書では意味の無い承諾書になってしまいます。
後々もめ事にならない為に、その確認は大事ですね。
通行掘削の承諾書とは
水道管やガス管などの工事で私道を掘削する際、私道所有者の承諾を得るための書類です。
無償で通行・掘削・建て替えを行える許可が明記されていることが重要です。
注意点
無償での通行・掘削の許可が記載されているか確認する。
所有者が変わっても、承諾内容が引き継がれる旨が記載されているか確認する。
今回も大変勉強になりました。
ありがとうございます!
今回も大変勉強になりました。
田中先生ありがとうございました。
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