ハザードマップ内の新築一戸建・建売住宅は危険?購入前に確認すべき宅盤・基礎高・水災リスク
浸水リスクだけで判断せず、宅盤 / 基礎高 / 災害履歴 / 火災保険の確認ポイントを整理します。
【建売住宅】ハザードマップ内の物件を気に入ってしまった!買うか?見送るか?
ハザードマップ内の物件は買っていいのか?
FM鴻巣フラワーラジオ
不動産せんせい田中の教えて不動産の知恵袋!
早速ですが、今回はどんなお話を頂けるのでしょうか?
今回のテーマはこちらです。
『ハザードマップ内の物件は買っていいのか?』
わたくし中島は、マイホーム探しを継続中でございます。
今ちょっと気になる物件があって、今回のテーマを考えたのですがいいでしょうか?
もちろんです!
この記事のポイント
- ・ハザードマップ内の新築一戸建や建売住宅でも、浸水想定だけで購入可否を判断するのは早計です。
- ・現地では、道路より宅盤がどの程度高いか、基礎高が十分に確保されているかを確認することが重要です。
- ・外構ブロックの段数を見ることで、宅盤の高さや道路との高低差を大まかに判断できます。
- ・購入する場合は、過去の災害履歴を市役所で確認し、火災保険の水災オプションでリスクに備えることが大切です。
- 執筆者:田中 勲
(宅建士、ホームインスペクター、FP) - YouTube – 田中勲の『不動産の知恵袋』
- -田中勲│こんな建売住宅は買うな
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※記事はラジオ収録用の原稿を元に要約しております。そのためYouTube動画と内容が異なる部分がございます。
ハザードエリアでも個別の立地確認が必要
先日、一緒に物件を見に行ったの覚えていますか?
アーネストワンの新築ですね。
そうです。
飯田グループのアーネストワンの建築中の現場ですが、うちの奥さんとも話をして、価格 間取り 陽当り。
そして買物の利便性などからも、あの物件が良いなと考えているんです。
そうなんですね。
だったら早く決めないと、この前みたいに売れちゃうわよ。
だけど、そこは水害ハザードマップに入っているエリアなんです。
鴻巣市のハザードマップ
なるほどね。ちょっと躊躇しちゃいますね。
浸水深は、どの程度なんですか?
はい。
ハザードマップだと、下から2番目の0.5m~3m未満という、何とも微妙なエリアなんですよ。
ハザードマップ:浸水の目安
確かに微妙なエリアですね。
0.5~3mって微妙なんですか?
どちらかというとアウト気味じゃないですか?
ではここからは、「微妙」と言った意味についてお話しますね。
お願いします!
物件の個別的立地を確認する
まず大切なことは、ハザードマップにかかっているエリアであっても、物件の個別的立地を確認する必要があるということです。
個別的立地とは、なんですか?
はい。
その物件が、どのような立地に建っているかということです。
宅盤と基礎高を確認する必要があるということです。
宅盤と基礎高ですか?
家を建てるとき、一番最初に決める大切なことはGLなんです。
GL?GLってなんですか?
■GL(グランドレベル)とは?
GLとは『グランドレベル』または『グランドライン』の略です。
どちらも同じ意味で「地盤面の基準となる高さ」のことなんです。
「地盤面の基準となる高さ」というと?
家を建てるときには、敷地のどの部分に建てるかだけでなく「どの高さの線より、何センチ上に建てるか?」を決めなければいけないんです。
つまり、新築の建売住宅を選ぶときには、「宅盤は、道路より何センチくらい上がっているか?」
そして、「その宅盤から基礎高が何センチ立ち上がっているか」を確認することが非常に大切になってくるのです。
道路からの高さを確認
勉強になります。
だけど、宅盤が何センチ高くなっているかを測るには、メジャーを持っていかないとだめということですね?
物件を見に行くときには、メジャーはあった方がいいです。
田中先生は、いつもメジャーで計らず「ここは20cmくらい高くなっているね」とか、言うじゃないですか?
それって、長年の経験からわかるんですか?
長年の経験とかもありますが、見るポイントがあるんです。
なんですか?それ。ぜひ教えてください。
- ・ハザードマップに入っている物件でも、まずは物件ごとの個別条件を確認することが大切です。
- ・浸水想定だけで判断せず、宅盤と基礎高を確認して実際の浸水リスクを見極めます。
- ・GLは建物を建てる高さの基準であり、道路との高低差を見るうえで重要なポイントです。
- ・物件見学時は、メジャーを持参して宅盤や基礎高を確認すると判断しやすくなります。
外構ブロックで宅盤の高さを確認する
それは『外構のブロック』なんですよ。
ブロックですか?
はい。ブロックの高さって20cmなんです。
だから、ブロックを基準に土地の高さを見ると、おおよその宅盤の高さが分かるんです。
ブロックの高さは20cmです
なるほど~。
例えば、道路側の敷地のブロックを見ると、段数は4段であっても水はけのために勾配を付けていたら、敷地の奥に行くほど徐々に地面に隠れていき、見える部分が少なくなっていきます。
奥に行くほどブロックの見える部分が少なくなっていきます
入口では4段あっても、敷地の奥になるとブロックは2段になっている。ということもあるんです。
敷地の入り口で4段
奥に行くと2段になっている
敷地の奥にいくにつれて、地盤が高くなっている。ということなんですね!
そういうことです。
ブロック1段が20cmですので、2段分だと40㎝敷地が高くなっている。ということなんです。
だから外構ブロックの段数を見るだけで、家が建っている宅盤が、道路から何センチくらい高くなっているか確認できるんですよ。
駐車場の緩やかな勾配が確認できます
なるほど!勉強になりました!
今後、物件を見に行くときの参考になります!
良かったです。
- ・宅盤の高さは、外構ブロックの段数を見ることで大まかに確認できます。
- ・ブロック1段は約20cmのため、道路との高低差を判断する目安になります。
- ・敷地の奥に行くほどブロックが見えにくくなる場合は、地盤が高くなっている可能性があります。
- ・ハザードエリアの物件では、現地で宅盤の高さを確認することが浸水リスクの判断材料になります。
基礎高と浸水リスクの関係を確認する
もう一つ大切なのが『基礎高』なんです。
基礎高ですか?
はい。フラット35の審査基準では、地面からコンクリートの基礎の上端までは40㎝以上ある物件という条件が決められています。
基礎高40cmの解説
ということは、自分は今のところ住宅ローンはフラット35と決めているので、基礎高が40㎝以上ない新築は検討外となりますね。
飯田グループやケイアイスター不動産などの分譲地は、ほぼ全てフラット35の基準に適合している物件だから問題はないと思います。
しかし、都市部の狭小住宅は、道路斜線や北側斜線の高さ制限を回避するために、半地下みたいな構造にした新築もあるので注意が必要です。
つまり、基礎が地面の中に埋まっているような構造なんです。
そうなると、フラット35が使えないだけでなく、基礎高が凄く低くなるので、ちょっとした雨でも浸水被害が出やすいんです。
室内床面を下げた構造
実際にそういう現場の住宅診断をしたことがありますが、完成後、雨水侵入して修理するために床を剥がしたり・・・大変でした。
床下浸水した建物の修理現場
地盤面から基礎高は高い方がいいのですね。
そうです。
特に、水災ハザードマップのエリアに入っている物件では、宅盤と基礎高は要チェックです。
先ほどのお話だと、
宅盤がブロック1段分高くなっていれば 20㎝。
さらに基礎高40㎝あれば、合計で道路から60cm高くなっている。
ということですね。
その通りです。
60cm上がっている建物なら、浸水想定の目安で一番下の0から50cm未満のエリアで床上浸水になる可能性が低いと判断できます。
となると、0.5から3m未満のエリアだと厳しそうですよね。
そうなります。
先日、中島さんが検討している物件を一緒に見てきたじゃないですか?
はい。建築途中でしたが、一緒に見ていただきました。
そのとき私が基礎高を確認した写真があったので見返してみたら、道路と宅盤の高さは、ほぼフラットでした。
だけど、その物件の基礎高は120cm近くもあったんです。
基礎高120cmありました
つまり、一般的な高さ(60cm)の倍くらいの高さがあるということなんですね。
そうやって水災の対策をしているということです。
120cmあれば0.5mはクリアできます
その物件を選ぶ理由とウィークポイントを天秤にかける
だけど、ハザードマップのエリアでは 0.5から3m未満なんですよね?
そうですよね。
それでは、中島さんは、そこを選ばなければいけない理由はありますか?
陽当りと間取り。
買物の利便性。
そして何より価格。
総合的には、ベストなんです。
なるほど。唯一のウィークポイントが、水災ハザードなんですね。
そうなんです。これってどう判断すれば良いんでしょうか?
結局のところは、その物件を選ぶ理由がウィークポイントに勝っているかどうかです。
意外と、利便性が良い人気の街でもハザードマップに入っているエリアは多いんです。
確かにそうですね。
私が住んでいる茅ヶ崎は津波ハザードに入っているエリアですが、湘南の海が近いから人気があって、住宅地の値段が高いです。
数年前の台風で甚大な被害を受けた、武蔵小杉のタワマンや二子玉川周辺などは未だに人気があります。
もっと大きいエリアでいうと、戸田市や足立区などは殆どの区域が水災ハザードエリアに入っています。
つまり、ハザードエリアに入っていても、それ以上の価値を見出せる人は、そのエリアを選んで住む。ということなんです。
その基準は人それぞれなんですね。
例えば
・先祖代々そこに住んできた
・子供の学区域の関係
・通勤通学の関係
そのような理由で、ハザードのリスクにあるエリアを選ぶ人も少なくありません。
それは仕方ない理由ですね。
そうなんです。
- ・水災ハザードエリアの物件では、宅盤だけでなく基礎高も必ず確認します。
- ・基礎高が低い建物は、少しの雨でも浸水リスクが高くなる可能性があります。
- ・宅盤と基礎高を合わせて、道路面からどの程度高くなっているかを見ることが大切です。
- ・ハザードリスクがあっても、価格 / 利便性 / 間取りなどの魅力が上回るかどうかで判断します。
ハザードエリアの物件を選ぶ際の注意点と対策
そこで、ハザードマップのエリアに入っている物件選ぶ際の注意点と対策をまとめてみます。
ハザードマップ内物件の選び方と対策
①宅盤と基礎高を確認
一つ目は、宅盤と基礎高を確認する。
これは、先程、お話したとおりです。
②過去の災害履歴を確認
二つ目は、物件の所在地が分かる広告図面や地図などを持って市役所の防災課に行って、その場所の過去の災害履歴をヒアリングで確認することです。
つまり、ピンポイントで実際に災害が起こったことがあるエリアか聞いてくるということですか?
そういうことです。
ちなみに、ゼロシステムズでは契約する前の物件調査で必ずやっている作業です。
過去に災害履歴がある場合は避けた方がいいですよね。
よほど、そこに住まなければならない理由がなければ、そうですね。
確かに。
火災保険に水災オプションを追加
そして、ハザードマップに入っているエリアの物件を買うのであれば、火災保険の水災オプションには必ず入るということです。
火災保険に水災オプションをつけると、どのくらい高くなるんですか?
エリアなどにもよるのですが、年間で1万数千円から2万円ちょっとくらいです。
火災保険の水災オプションについては、過去に解説していますのでそちらをご覧ください。
住宅購入時の火災保険の選び方を解説
【火災保険の選び方!】水災リスク高いエリアは保険料大幅値上げ!住宅購入時の火災保険の選び方を解説!
リスクを理解して、火災保険で水災オプションを付ける。それは大切ですね。
最近つくづく思うんですが、本当に不動産の価格って、全てにおいてトレードオフ関係なんですよね。
ウィークポイントがあれば、価格は安いということです。
中島さんが今悩んでいる物件はハザードマップで0.5~3mのエリアですから、基礎高120cmあれば、そう簡単に床上浸水にはならないでしょう。
しかし、最悪の想定では3mだから、床上浸水になって1階部分が沈む可能性がある。
だけど、2階部分は浸水しないから、いざとなったら2階へ垂直避難すれば命は助かる。
その後は、保険金で修理できるので金銭的にはプラマイゼロ。
ということですね。
つまり、その物件にそれ以上の魅力があるか?ないか?の問題ですね。
そういうことです。
ハザードマップのエリア内にある物件を検討するときのモヤモヤが晴れました。
よかったです。
では、今回は以上とさせていただきます。
田中先生、中島さん、ありがとうございました。
- ・ハザードエリアの物件では、宅盤と基礎高を確認して浸水リスクを具体的に見ます。
- ・市役所の防災課で、過去にその場所で災害履歴があるか確認することが大切です。
- ・購入する場合は、火災保険の水災オプションを付けて備える必要があります。
- ・最終的には、リスクを理解したうえで、その物件の魅力が上回るかどうかで判断します。

