【建売住宅】新築でも欠陥はある!パワービルダーの裏事情を暴露!
今回のテーマ『現代の新築でも欠陥はある。建売住宅の裏事情!』
【建売住宅】新築でも欠陥はある!パワービルダーの裏事情を暴露!
現代の新築でも欠陥はある——
皆さんは、現代の新築一戸建てには欠陥はないと思いますか?
答えはノーです。
2025年4月から建築基準法が改正されて、断熱等級4以上が義務づけられ、構造計算も必要になり、法律的には住宅性能の底上げが図られています。
しかし、毎日のように住宅診断をしていると、断熱材の施工不良/手抜き工事による耐震性能不足など、法改正以降も欠陥住宅を多数発見しています。
そこで今回は、新築一戸建ての施工不良や欠陥事例などを紹介しながら、失敗しないための買い方と建売住宅の裏事情について深掘り解説していきます。
早速ですが、今回のテーマはこちらです。
『現代の新築でも欠陥はある。建売住宅の裏事情!』
田中先生、本日もよろしくお願いします。
はい。宜しくお願いします。
- 執筆者:田中 勲
(宅建士、ホームインスペクター、FP) - YouTube – 田中勲の『不動産の知恵袋』
- -田中勲│こんな建売住宅は買うな
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※記事はラジオ収録用の原稿を元に要約しております。そのためYouTube動画と内容が異なる部分がございます。
現代の新築でも起こる欠陥と建売住宅の裏事情
赤外線サーモグラフィーで住宅診断を実施する野方氏
ゼロシステムズの建築士スタッフのお話を聞いていると、新築でも結構問題点多いようですね・・・。
そうですね。
ゼロシステムズでは毎日のように住宅診断や物件調査をしていますが、新築でも何らかの問題があります。
法改正後も新築に欠陥が見つかる現状
2025年4月から、建築基準法が改正されて、断熱等級4以上が義務化されましたよね。
はい。新築住宅では断熱等級4以上であることが義務化されました。
そのうえで飯田グループホールディングスやケイアイスター不動産では、基準を超える断熱等級5のZEH水準の新築も増えてきました。
断熱等級4と5は、どのように違うんですか?
では、まず断熱等級の基本的なことから説明しますね。
- ・2025年4月の建築基準法改正で、断熱等級4以上と構造計算が必須となり、制度上は住宅性能の底上げが図られている。
- ・一方でゼロシステムズの住宅診断では、断熱材の施工不良や手抜きによる耐震不足など、法改正後の新築でも欠陥が多数見つかっている。
- ・飯田グループホールディングスやケイアイスター不動産は、断熱等級5(ZEH水準)の新築を増やしているが、等級どおりの性能が出ていない事例もある。
断熱等級4と5の違い -断熱材の施工不良リスク-
出典:国土交通省 – 省エネ基準を満たすためのお勧め建材ガイド(PDF)
まず、断熱等級4というのは、1999年の『次世代省エネ基準』と呼ばれるレベルです。
断熱等級5は、2022年に新設されました。
簡単に説明すると断熱等級4よりも約20%省エネになるレベルです。
そして2025年4月から、この断熱等級4が義務化されて、現在は断熱等級4を下回る性能の家を造ることができなくなりました。
だけど、断熱性能が高くなったのに断熱材の施工不良があるのは、どういうことですか?
断熱材の厚みの目安について注目してください。
断熱等級が4から5に上がると、断熱材が厚くなるのです。
本当ですね。
85㎜が105㎜。だいたい2割くらい厚くなるわけですね。
断熱効果が高そうで良いじゃないですか?
断熱材の厚みアップが招く現場のグレーゾーン
天井裏断熱材のまくれ上がり
ただ、分厚くなった分、配線や金物があると・・・特に天井裏は上手く断熱材を設置できなくて、捲れ上がっていることがあるのです。
これが欠陥とは言い切れないのですが、施工精度からするとグレーゾーンです。
こちらの写真は、大手パワービルダーの新築現場です。
ゼロシステムズで指摘したんですが、現場監督からは「これ以上は出来ない」という返答でした。
なるほど。
断熱材が厚くなった分、気を使って施工してもらわないとダメなんですね。
- ・断熱等級4は1999年の「次世代省エネ基準」、断熱等級5は2022年新設で、4より約20%省エネ性能が高い水準です。
- ・2025年4月以降は断熱等級4が義務化され、この水準を下回る新築住宅は造れなくなりました。
- ・等級4から5になると、断熱材は85mmから105mm程度に厚くなり、性能向上と引き換えに施工の難易度も上がります。
- ・厚くなった断熱材がうまく納まらず、捲れ上がりなどの不具合が出やすいグレーゾーンになります。
- ・現場で天井裏断熱を指摘した際「これ以上は出来ない」との回答もあり、等級表示だけでなく現場の施工品質確認が重要です。
構造計算義務化と「申請どおりに建たない」耐震リスク
ビスピッチの調査
他にも2025年4月から法改正されたことがあります。
これまで『建築士にお任せ』で通っていた木造2階建ての構造計算が、きちんとチェックを受けなければならないことになりました。
4号特例縮小と現場の手抜き問題
正確には『4号特例』という仕組みが縮小されて、一般的な木造2階建てでも構造計算の図面をきちんと出して、審査を受けなければならなくなりました。
耐震性の根拠がしっかりしたので、良いことですよね?
そうです。
『申請通りに建築されていれば』その通りですね。
意味深な言い方ですね・・・。
そうなんです。
ゼロシステムズで新築一戸建ての耐震診断をすると、申請通りに建築されておらず耐震性が足りない新築を発見することもあるんです。
どういうことですか?
耐震不足の代表例が、石膏ボードのビスピッチの手抜き工事です。
室内クロスの下地である石膏ボードは、大工さんが20cm間隔で適切にビス留めすることで、1mあたり1.1kNの壁基準耐力という耐震性能を発揮する構造材でもあるんです。
ところが、本来20㎝間隔であるはずのビスピッチを、工期優先の突貫工事等で、60cm間隔にするような手抜き施工されると、計算上はこの石膏ボードの1.1kN/mの耐力は『ゼロ扱い』とされます。
つまり、耐震性能を評価できなくなってしまうのです。
ビスピッチ手抜き工事
『申請上は耐震等級3でも、実際は等級3を満たしていないケースがある』ということですか?
はい。2025年4月以降も、そのような新築を発見しています。
ゼロシステムズの仲介で新築一戸建てを購入する場合は、必ず金属探知機やネオジウムマグネットを使った非破壊検査を実施して、そのデータを元に耐震診断を行なっています。
そのため、このような隠れた手抜き工事を発見できます。
手抜き工事をされた欠陥住宅を発見した場合は、どうするんですか?
完成物件であれば、契約前に非破壊検査と耐震診断を実施しますの。その時点で欠陥を発見すれば、売主側に是正を依頼します。
是正が困難であったり、売主側が是正に協力的でない場合は、買主に契約の取りやめを提言しています。
なるほど。そこが公平中立な住宅診断ということですね。
- ・2025年4月の法改正で4号特例が縮小され、一般的な木造2階建ても構造計算図面を出して審査を受けることが義務化された。
- ・現場で石膏ボードのビスピッチを広くされるなど手抜きされると、実際は等級3を満たさなくなり危険。
- ・ゼロシステムズでは金属探知機やネオジウムマグネットを使った非破壊検査でビス位置を確認し、法改正後の新築でも隠れた耐震不足を検出している。
- ・完成物件で欠陥が見つかった場合は契約前に是正を求め、難しい/非協力的なときは「契約しない」ことを買主に提言することで、公平中立な立場を維持している。
大工さんと現場監督の体制が生む新築品質のバラつき
なぜ、いまだに欠陥住宅が無くならないのですか?
それには、いくつか理由があります。
まず、延床面積30坪くらいの3LDK~4LDKの新築一戸建て1棟を建築するとき、何人の大工さんで建てるか知っていますか?
はい。それについては、以前、田中先生に教えてもらって驚きました!
1人の大工さんで建てるんですよね!
正解です!
最初に土台や柱を建てる上棟は複数人で建てますし、水道や電気設備などの専門業者は別ですが、建売住宅に限らず注文住宅であっても、壁 / 階段 / 天井 / ドア などの木工事を担当する大工さんは、1棟につき原則1人なんです。
一人の大工が短期で造り上げる建売現場
1人で建てるって凄いですよね。職人不足だからなんですか?
確かに、今は職人不足ですが、30坪くらいの一戸建てを大工さん1人で造るのは、昔からのことなんです。
1棟の建物の木工事を、大工さん1人が何日くらいで完成させると思いますか?
それは、野方さんに教えてもらいました。
そうでしたね。
それではゼロシステムズの建売マニア:野方さんのXの投稿を見てみましょう!
相変わらず短い、パワービルダーの工期
— 建売マニア|野方実|住宅診断|不動産 (@0systemsnoga) June 22, 2025
半期の決算もあって、雑な仕上がりの物件が増える時期 pic.twitter.com/1HaW3Bcc5X
こちらは、某パワービルダーの建築現場にあった工程管理表です。
- ・木工事開始日:5月23日
- ・木工事完了日:6月9日
日曜日のお休みの日を除くと、実質の作業期間は14日です。
大工さん1人で、2週間で造り上げないとならないんですね・・・凄い突貫工事ですよね。
そうなんです。
『新築一戸建て1棟につき、1人の大工さんが約2週間で木工事を完了させる』という忙しさです。
職人の腕と現場監督の負荷が左右する『アタリとハズレ』
10棟現場の建売住宅であれば、10人の大工さんが必要ということになります。
例えば、1号棟は中島大工、2号棟は佐藤大工、そして3号棟は田中大工・・・最近では、外国人の大工さんも増えていますので、4号棟はベトナム人のグエンさん ということもあります。
大工さん全員が、経験豊富で丁寧な大工さんであれば安心です。
だけど大工さんも人間です。経験値と腕はまちまちなんです。
例えば、1号棟と2号棟を担当した大工さんは、こだわりある丁寧な仕事をして、造りも綺麗な品質がアタリの新築でした。
だけど隣の3号棟の大工さんは、雑な仕事しかしないモラルに欠けた大工さんで、品質がハズレの新築ということもあります。
中島大工と佐藤大工は丁寧だけど、田中大工は雑ということですね!?
そうなっちゃいますね。あくまでも例え話ですよ!
外国人大工さんの仕事ぶりは、実際どうでしょう?
最近は、特定技能2号などの就労ビザで、より熟練した外国人労働者も増えました。建売住宅の大工さんとして、技術面では日本の大工さんに引けを取りません。
むしろ、日本人でも「建売は手間が安いから丁寧な仕事なんてできない」などと言い訳するモラルに欠けた雑な大工さんより、よっぽど特定技能2号の外国人大工さんの方が、真面目で丁寧な仕事をしているイメージです。
新築一戸建ては、1人1人の大工さんの腕とモラル、そして現場監督の能力次第でアタリの物件もあればハズレの物件があるということです。
現場監督の能力次第というのは、どういうことですか?
はい。
パワービルダーの現場監督は、1人で20棟から多いと50棟近くの現場を担当します。
現場監督1人でそんなに担当しているんですか!?
そんなに担当したら、監理しきれなくないですか?
パワービルダーの現場監督の、メインの仕事は品質管理ではなく工程管理です。
定められた工期で、きっちり現場を完成させることに全力を尽くす感じです。
ですので、1棟1棟を隅々まで施工品質のチェックをすることはできません。そのためか、床下にゴミが散乱しているような物件も珍しくありません。
こちらをご覧ください。
結構、ゴミが落ちていますね。
こちらも大手パワービルダーの新築現場です。
他に床下の断熱材が垂れ下がっている物件も結構多いです。
この物件は、先ほどとは別のパワービルダーの新築ですが、ZEH水準の長期優良住宅です。
いずれの現場も、つい先日(2025年11月)住宅診断した新築です。
- ・30坪前後の新築一戸建てでも、木工事は大工1人が約2週間で仕上げる体制が一般的。
- ・10棟現場なら大工も10人となり、経験や技量の差で「アタリ棟」と「ハズレ棟」が生まれやすい。
- ・特定技能2号などの外国人大工も増え、モラルの低い日本人大工より丁寧な仕事をするケースも多い。
- ・パワービルダーの現場監督は20〜50棟を抱え、品質より工程重視になりがち。
- ・結果、床下のゴミ放置や断熱材の垂れ下がりなど、見落とされた施工不良が新築でも発生している。
建築費高騰とパワービルダーの在庫回転戦略
画像引用:建設物価調査会 – 建築費指数(PDF)
近年は物価高騰により、建築費も値上がりしています。
一般財団法人建築物価調査会の2025年10月の木造住宅の建築費指数は、2015年を100とすると144(2025年10月)です。
『木造住宅の工事原価は、10年前と比較して1.5倍近く値上りしている』ということですね。
そういうことです。
建築費指数の上昇と利益確保の仕組み
このような建築費高騰の時代ですが、飯田グループなどはコスト削減をするため『在庫の回転率』を高めています。
在庫の回転率とは、どういうことですか?
注文住宅や地元系の建売住宅メーカーは、銀行から『プロジェクト資金』という名目で融資を受けて、建売住宅の事業を行ないます。
このプロジェクト資金の返済期間は、借りてから原則1年以内なんです。
1年以内に返済って忙しいですね。
- 土地を仕入れて
- 建築して
- 完成させて
- 販売して
- 資金回収をして
- 銀行に返済する。
このサイクルを1年以内に行なうんです。
飯田グループホやケイアイスター不動産などのパワービルダーは、このサイクルを半年に1回、つまり1年に2回転させるんです。
2倍のスピードですね!
そうなんです。
1年に2回転させることで、コスト削減に繋げています。
土地を仕入れて→すぐに建築して→2ヵ月以内に完成させて→3ヵ月以内に完売して→1ヵ月で資金回収。
こんな流れなんです。
それには建築期間は短い方が良いんです。
だから大工さんの木工事の期間が2週間と短いんです。
パワービルダーの建売住宅は、資金を1年に2回転させているんですね。
そうなんです。
そのため大工さんだけなく、現場監督の品質管理もままならなくなる・・・。
その結果、全ての物件の品質が完璧にはできず、品質にアタリとハズレが存在してしまうのです。
そうなんですね。
- ・木造住宅の建築費指数は、2015年=100に対し2025年10月は144と大きく上昇している。
- ・工事原価は約1.5倍に膨らみ、建売各社は「在庫を早く回す」ことでコスト圧力に対応している。
- ・プロジェクト資金は原則1年以内に返済が必要で、仕入れから販売・回収までタイトな資金サイクルになる。
- ・パワービルダーはこのサイクルを年2回転させる前提で、着工から完売まで短期集中の工程を組んでいる。
- ・工期短縮の結果、大工・現場監督の品質管理が難しくなり、物件ごとの「アタリ / ハズレ」が生じやすくなっている。
まとめ:ハズレ新築を避けるための住宅診断と契約判断
ハズレ品質の物件を避けるためには、建売住宅を購入する歳には、契約前に専門家による住宅診断と耐震診断を実施することが大切です。
そこで問題がある物件を発見できれば『契約しない』という選択肢もあるわけです。
品質を見極めてから契約することができれば、失敗しない家選びを実現できることになります。
やはり、そこが大切ですよね。
内覧した当日や翌日に契約するような買い方はダメだということですね。
その買い方は避けるべきですね。
たしかに。
田中先生、今回もありがとうございました!
- ・建売住宅は、契約前に専門家の住宅診断 / 耐震診断を入れることで、ハズレ品質を避けやすくなる。
- ・診断で問題が見つかれば「契約しない」という選択肢も取りやすくなり、失敗を防げる。
- ・内覧当日や翌日に即決で契約せず、診断結果を踏まえて冷静に検討することが重要になる。
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