東栄住宅の新築の特徴と不具合事例
~ 住宅診断をする立場からみた長期優良住宅 ~
こんにちは。
赤外線建物診断技能師の野方実で御座います。
今回は飯田グループホールディングスの中の『東栄住宅』について解説したいと思います。
東栄住宅の特徴
東栄住宅は『ブルーミングガーデン』という名称で、年間約5,000棟の分譲事業を行っております。
社名である『東栄住宅』の由来は、東京都東村山市の栄町で創業した会社で地名の頭文字が由来だと社員の方から聞いた事が御座います。
長期優良住宅・認定低炭素住宅・住宅性能評価を取得
長期優良住宅
東栄住宅の建物は飯田グループホールディングスの中で唯一、長期優良住宅の認定を受けており(取得率94%)、固定資産税や登記費用などの税制面で優遇を受けることが出来ます。
この長期優良住宅の耐震性や省エネルギー性などの認定基準もあり、一定の基準をクリアしていないと認定されません。
(耐震等級2以上・省エネルギー対策等級4以上)
東栄住宅では昨年の実績で約3,500棟が認定を受けており、住宅メーカーの中ではトップクラスの戸数となります。
※この長期優良住宅ですが、建物面積や床面積、地域によっては認定が受けられない場合がありますので注意が必要です。
認定低炭素住宅
半年ほど前から認定低炭素住宅が標準化され、日々の生活によって発生するCO2の排出を減らし、少ないエネルギーで生活できる環境に優しい建物となりました。
この認定低炭素住宅は長期優良住宅同様に、税制優遇や金利優遇を受けることが可能です。
- ・節水タイプの水栓やトイレ
- ・断熱性の高いサッシや断熱材
- ・保温性の高い浴槽
- ・効率の良い給湯器
- ・消費電力の少ないLED照明
などの商材を組み合わせることによって認定低炭素住宅を実現しています。
住宅性能評価
住宅性能評価書
住宅性能評価(設計・建設)を受けており、建物のスペックを把握することが出来ます。
耐震等級3なら地震保険が半額になる– 住宅性能表示制度を解説 –
工法・断熱材
全棟で耐震等級3を取得
建築基準法上で定められた強さよりも1.5倍以上の強さ
内部筋交い
工法は2階建てでは基在来軸組工法で建物外周部に構造用面材、内部には筋交いを使用しており、建築基準法上で定められた強さよりも1.5倍以上の強さである、耐震等級3を全棟取得しています。
また、3階建ての物件では床や壁を面で支える2×4(ツーバイフォー)工法で施工されています。
耐燃焼性の高い断熱材を使用
サーモグラフィーによる内部調査
断熱材は床・壁・天井共に耐燃焼性の高い繊維系(グラスウール)の断熱材を使用しています。
このグラスウールですが、現場での充填作業となるので職人さんによって施工精度のバラツキ出てしまうので注意が必要ですが、壁(石膏ボード)が張られた後でも赤外線サーモグラフィー使用すれば、非破壊検査にて断熱材の施工状態を目視で確認することが出来ます。
内装・外装の特徴
東栄住宅ではロフトや吹き抜けを取り入れている間取りが多いのが特徴です。
水回りの設備が充実
東栄住宅の食器洗浄機
東栄住宅のタッチ水栓
元々、物件金額に関わらず食洗器や浴室乾燥機が付いていることが多いのですが、半年ほど前から洗面台の水栓がタッチレス式になりよりグレードアップとなりました。
内装はお洒落な仕上がり
東栄住宅の内装
内装はニッチやマガジンラック、アクセントクロスなどでお洒落に仕上げています。
コンセント数が多くて便利
東栄住宅のコンセントプレート
コンセント数ですが、グループ内では一番多く設置されています。
折り上げ天井
折り上げ天井
リビングは折り上げ天井となっており、シーリングファンを取付することで冷暖房の効率を上げる効果があります。
※シーリングファンを取付する為の下地は入っています。
参考:東栄住宅 – 折り上げ天井とは?折り上げ天井のメリットと照明計画ポイント
断熱性に優れたアルミ樹脂複合サッシ
東栄住宅のアルミ樹脂複合サッシ
最近の物件ではアルミサッシではなく、より断熱性に優れたアルミ樹脂複合サッシが使われていることが多くなってきました。
またガラスに特殊な金属膜をコーティングしたLow₋eが使われており、遮熱性能に優れています。
意匠性が高い外観
東栄住宅の外観
外壁材はベースが14mmのサイディングの釘打ち施工となりますが、部分的にアクセントとして16mmのサイディングが使用されており意匠性が高くなっています。
地震の揺れを軽減する屋根材
東栄住宅の屋根材
屋根材には軽量なアスファルトシングル(アスファルトをガラス繊維でコーティングし砂粒などの材を付着させた材料)を使用しており、瓦よりも地震の揺れを軽減することが出来ます。
網戸が標準装備 ※2023年現在ではオプションとなりました
東栄住宅の網戸
飯田グループ内では唯一、網戸が標準装備となりますが、居室照明やカーテンレール、テレビアンテナなどは別途となります。
※以前は網戸が標準仕様で付いてきていましたが、2023年6月時点ではオプション扱いになっています。
尚、オプション商品については東栄住宅の子会社である
『東栄ホームサービス』にて承ることが可能です。
外構
コストを掛けたお洒落で使い勝手の良い外構
東栄住宅の外構
外構は植栽入れていることが多く、飯田グループ内で1番コストが掛かっていいる印象です。
また物件によっては外水道が散水栓と立水栓のそれぞれが設置されている事があります。
建物の保証
無料の定期点検を実施しています
お引渡し後3ヵ月、24ヵ月、60ヵ月目に、子会社である東栄ホームサービスにて無料の定期点検を実施しています。
東栄ホームサービス – ブルーミングガーデンをご購入のお客様へ
建物の保証は『短期保証』『長期保証』『条件付き長期保証』があります。
内容は、同じ飯田グループの飯田産業と同等の物となっております。
『短期保証』
床鳴りや壁紙の剥がれなど、一般的な保証が短期の2年間となりますが、床下の白蟻の保証は5年となります。
『長期保証』
長期保証については法律で定められた構造体力上主要部分(柱や梁、基礎など)の欠陥と雨水の侵入について10年の保証となります。
この10年保証ですが、東栄住宅では東京法務局に保証金を供託しています。
万が一、東栄住宅が10年保証期間中に倒産した場合には、この保証金から修補費用が買主に還付される仕組みとなっています。
『条件付き長期保証』
条件付き長期保証については、5年ごとに東栄住宅に点検をしてもらい、指摘箇所を有償にて工事することによって最長30年の保証を受けることが可能となっています。
この保証については任意となりますが、東栄住宅以外の会社でメンテナンスを行った場合には保証は延長されませんので注意が必要です。
施工品質と施工不良の実例
ここではゼロシステムズが過去に発見した東栄住宅の施工不良をいくつかご紹介します。
事例① 断熱材充填ミス
天井に断熱材がありません
天井断熱材の是正後
2Fの天井点検口から確認した所、一部の天井に断熱材が充填されていなかった。
是正内容 → 熱損失となるので断熱材(グラスウール)を充填して頂きました。
原因 → 職人さんのミス、現場監督さんの確認ミス
事例② 小屋裏防火違反
小屋裏の防火違反
防火違反の是正後
法22条区域内(防火地域および準防火地域以外で、火災による建築物の延焼を防ぐために特定行政庁が指定する区域)の物件で、不燃材を覆わなければいけない部分に不燃材(石膏ボード)が張られていなかった。
是正内容 → 小屋裏の外周部に不燃材を張って頂きました。
原因 → 職人さんや現場監督さんの認識不足によるもの。
事例③ キッチンの排水漏れ
水漏れの補修工事
キッチンの排水が漏れていて、基礎内が水浸しになってしまった。
是正内容 → 床下乾燥、排水管の接続部を再度繋ぎなおし、床(下地含む)や壁紙の張り替え
原因 → 設備業者さんの施工ミス、施工後の排水確認漏れ。
※上記の施工不良については、東栄住宅にて全て是正して頂いております。
その他にもお引き渡し前の立会いチェックではキズや汚れ、隙間などの軽微な不具合箇所を発見することがありますが、東栄住宅ではお引き渡し当日に金融機関から現地へ移動し、現場担当者と立会い時に指摘した事項を一つずつ確認するので是正漏れのリスクが少なくなります。
また是正確認終了後には、設備機器などの取り扱い説明を行うので、他グループ会社に比べてとても丁寧な対応かと思います。
まとめ
今回は東栄住宅について解説させて頂きました。
東栄住宅は分譲業者では珍しい『長期優良住宅』『認定低炭素住宅』を取得し、より良質な住宅を供給しています。
またロフトや吹き抜けを積極的に取り入れた間取りなど、飯田グループ内で建物コストが1番掛かっているように思います。
一般的な建売住宅というよりは、ローコスト系の注文住宅に仕様が近いといった感じでしょうか。
但し東栄住宅も他グループ会社同様、現場監督さんが数多くの物件を抱えている事に加え工期短縮や慢性的な職人不足などの影響で、物件によって仕上がり具合が変わってくる場合がありますので、ご購入前には慎重に見極めるようにしましょう。
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