【耐震】地震で倒壊しやすい家の特徴と建物の耐震について
【耐震】地震で倒壊しやすい家の特徴と建物の耐震について
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第484-2回目 (2024年1月04日放送分 後半)となります。
今回のテーマ『買うべきではない 地震に弱い家』
後半は、お正月早々、能登半島付近を大地震が襲ったことから、建物の耐震についてお話しします。
まずは、この大地震で被害を受けた地域の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
そうですね。
番組としても、この度、被災された地域の、一日も早い復興を心から願っております。
令和6年 能登半島地震
気象庁では、今回の大地震を『令和6年 能登半島地震』と命名しました。
地震発生直後は、津波への警戒を主に報道していましたが、翌日になって、被害状況が徐々に明らかになると、建物の倒壊被害も多いことがわかりました。
倒壊してしまった家もかなり多いようですね。
この一連の報道を受けて、リスナーさんから、地震に関連したご質問をいくつか頂いております。
そこで本日は、住宅の購入を検討しているユーザーに向けて『買うべきではない 地震に弱い家』についてお話しいたします。
なるほど。
これからマイホームの購入を検討している人にとって、とても興味深いと思います。
ぜひ、お願いします。
承知しました。
まずはリスナーさんからのご質問をご紹介お願いします。
承知しました。ラジオネーム:ジンさん からのご質問です。
今後購入する新築は、震度7以上の地震がきたら大丈夫か?
田中先生、フジコさん、明けましておめでとうございます。
今年も、ためになる放送を楽しみにしています。
私は、今年の春を目標に家を買う計画をしています。
ただ、先日発生した能登半島の大地震を見て、私が家を買った後に震度7以上の地震がきたら大丈夫か?と不安になりました。
田中先生の方から番組でアドバイスをいただけないでしょうか?
よろしくお願いします。
最後になりますが被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
ラジオネーム:ジンさん からのご質問
ラジオネーム:ジンさん
ご質問ありがとう御座います。
震度7以上の地震がきたら大丈夫か?
ゼロシステムズでは、住宅診断と同時に、耐震診断もおこなっています。
私は、東日本大震災の3日後には、茨城県牛久市で新築の住宅診断を行なっていました。
当時その家は大丈夫だったのですか?
壁紙にヒビが入っていたという以外は、大きな被害はありませんでした。
しかし、埼玉からその物件までに向かう途中には、古い家が倒壊していたり、屋根瓦が崩れている家をたくさん目にしました。
古い家は倒壊したのですね。
住宅の需要が『地震に強い家』→『コスパや立地が良い家』になっている
そうですね。
そのため、東日本大震災直後<は、多くのユーザーの関心事項は『地震に強い家』でした。
しかし時間の経過とともに関心も薄れてしまい、近年では『コスパや立地が良い家』に需要が変化したところでした。
『喉もと過ぎれば熱さ忘れる』という感じですね。
おっしゃる通りです。
災害への対策として最も大切なことは、心構えと準備だと思います。
災害は忘れたころに突然やってきます。
そのため、地震対策の第一歩として『地震に弱い家を選んではならない』ということです。
地震に弱い家の特徴
それでは、地震に弱い家の特徴について教えてください。
地震に弱い家の特徴は以下のとおりです。
順に説明していきます。
- ■地震に弱い可能性がある家の特徴
- 1.瓦葺の屋根
- 2.壁量バランスが悪い家
- ・ビルトインガレージ
- ・コーナーに壁がない家
- ・細長い家
- 3.昭和56年6月よりも前に建築確認を取得した家
- 4.住宅性能評価で耐震等級を取得していない家
1.瓦葺の屋根
地震における家屋の耐震性は、屋根の重さに大きく影響を受けます。
屋根材の種類によってその重さは大きく異なり、これが地震時の家屋の安全性に直結します。
伝統的な瓦葺き屋根は、その重量が約42kg/㎡と非常に重いです。
仮に、延床面積35坪くらいの2階建ての屋根になると、瓦だけで、3トンを超える重量になります。
瓦の重さは、地震のときに屋根が建物全体に加える力を増加させ、構造的な弱点を生じさせる可能性があります。
特に、揺れの強い地震では、瓦の重さが、建物の倒壊を引き起こす要因となることがあります。
ニュース報道で倒壊した家の映像を見ると、日本瓦の屋根が目立ちますね。
そうですよね。 耐震性を重視するのであれば、重い瓦でなく、軽量な屋根の家を選ぶとことが重要です。
現在の新築は、スレート葺きやアスファルトシングル葺きという屋根材を採用している住宅が多いです。
スレートは、瓦に比べて、約半分の重さで約20kg/㎡ですので軽量です。
さらに、アスファルトシングルになると、瓦の4分の1以下の重さで、約9kg/㎡となり、とても軽量です。
この軽量化は、耐震性を高めるのに非常に有利となります。
重さが全然違うのですね。
2.壁量バランスが悪い家
次に壁量バランスが悪い家について説明します。
壁量バランスが悪い家とは、どんな家ですか?
例えば・・・
- ・ビルトインガレージがある家
- ・コーナー出窓がある建物
- ・細長い家
この中のうち1つでも当てはまると、耐震性が低い可能性があります。
■ビルトインガレージ
ビルドインガレージ
ビルトインガレージは、開口部が広く壁や柱が少ないので、耐震性の低い家が比較的多いので注意が必要です。
■コーナー出窓がある建物
コーナー出窓
建物の四隅に壁がない家も、耐震性が低い可能性があります。
家の角の部分は、建物の耐震において非常に重要な壁になります。
その部分が壁でなく、窓になっているような家は、地震に弱い可能性があります。
特に、1階部分にコーナー出窓がある家は、地震に弱いと言われています。
■細長い家
間取り図を上から見て細長い家は、新築であっても耐震性が低い可能性があります。
細長い家は、新築でも地震に弱いんですか?
新築であってもです。
今回、お話したことに当てはまる家の購入を検討するときには、耐震診断をしてから契約することを強くおすすめします。
※ゼロシステムズを通じて一戸建てを仲介するときには、新築、中古を問わず、必ず一般診断法による耐震診断を無料で実施しています。
壁量を数値化
これは、横軸方向と縦軸方向の壁量を数値化して判定するという手法です。
そのため、間取り図を上から見て、出来るだけ正方形に近い方が、壁量バランスが良く、耐震性が優れている物件が多くなります。
一般診断法による耐震診断では、評点という点数で、建物の強さを数値化します。
目安は以下の通りとなります。
- ■評点の目安 ※震度6強の地震で
- 0.7未満:倒壊する可能性が高い
- 0.7以上~1.0未満:倒壊する可能性がある
- 1.0以上~1.5未満:一応倒壊しない
- 1.5以上:倒壊しない
一応倒壊しない・・・とは、どういう意味ですか?
ちょっと不思議な表現ですよね。
ただ、この評点は、建物に被害が出ないことを保証することではありません。
建物に被害が出たとしても、倒壊によって人命が奪われることのない耐震性能を確保しているという意味になります。
そのため、間取り図を上から見て、細長い建物を私どもで耐震診断をすると、壁量バランスが悪く、この評点が低いことがあります。
なるほど。そういうことなのですね。
一般診断法による耐震診断については、以下のページと動画で詳しく解説していますので、ぜひ、そちらもご覧ください。
新築建売住宅の耐震診断について解説
新築の建売住宅の耐震診断について解説
3.昭和56年6月より前に建築確認を取得した中古物件について
次に、昭和56年6月より前に建築確認を取得した中古物件についての説明をします。
旧耐震と新耐震のことですね!
覚えていますよー。
さすがフジコさん。
日本の建物は
昭和56年6月以降に建築確認を取得した物件は、新耐震基準で建築されています。
それよりも前に建築確認を取得した建物は、旧耐震基準で建築された建物となります。
- ■旧耐震と新耐震の違い
- 新耐震:震度6強以上の地震で倒れない住宅
- 旧耐震:震度5程度の地震に耐えうる住宅
今回、能登半島を襲った地震は、最大震度7でしたから、旧耐震の建物は、ひとたまりもないですね・・・。
今回の地震で倒壊した画像を見ると、恐らく旧耐震であろうと思われる古い家屋が多かったです。
画像引用:毎日新聞 – 珠洲市内で複数の建物倒壊
近年では、中古住宅を新築同様にリノベーションした物件が市場に出回っています。
ですが、ゼロシステムズで住宅診断や耐震診断を実施すると、肝心な構造体は修繕されておらず、耐震性が低いままである物件も多いです。
見た目は綺麗でも、それでは怖いですよね。
住宅性能評価で耐震等級を取得していない家
最後に、新築でも住宅性能評価を取得していなくて、耐震等級がわからない物件についてです。
実は、耐震等級がわからない物件は結構多いのです。
新築でも耐震等級がわからない物件なんてあるのですか?
新築の建売住宅では、住宅性能評価を取得している物件は、まだ少ないのです。
つまり、『耐震等級がわからない』物件も多いと言うことです。
耐震の根拠が数値でわからないと結構不安なものです。耐震性が良くても、家って意外と揺れるんです。
例えば、大型車が近くを通ったり、小さな地震でも、2階以上にいると、それなりに揺れます。
それに、乾燥する季節になると、壁紙に隙間ができたりもします。
そのようなときに、多くのユーザーは、「この家の耐震性は大丈夫なのかな…?」と不安がよぎると思います。
その時に、耐震性の根拠が数値でわからないと、不安を感じながら住み続けることになります。
一度、不安になると、それがずっと続くと思います。
そんなときに「この家は、住宅性能評価の耐震等級3だから大丈夫。」と、数値でわかれば安心ですよね。
耐震性能の根拠がわかれば安心ですよね。
■住宅性能評価を取得していない新築は買わない方が良い?
そうなると、やはり住宅性能評価を取得していない新築は、買わない方が良いってことなんですか?
そういうことではありません。
耐震等級がわからないなら、一般診断法による耐震診断を実施すれば良いのです。
耐震診断で評点1.0~1.5以上を取れていれば、震度6強の地震でも倒壊しないと数値で確認できます。
これは安心度が全く違います。
不動産の営業マンに
「今の家は建築基準法どおり建てられているから耐震は問題ありませんよ。」
というようなフワッとした説明されただけでは不安は拭えないですからね。
なるほど。確かにそうですね。
まとめ
日のお話をまとめますと、以下のようになります。
- ・屋根は瓦葺きでなくスレート、またはアスファルトシングル葺きの方が軽量で地震に強い。
- ・ビルトインガレージ、コーナー出窓、細長い家は壁量バランスが悪く耐震性が低い可能性がある。
- ・昭和56年6月以降に建築確認を取得した新耐震物件を選ぶべき。
- ・住宅性能評価の耐震等級がわかる物件を選んだ方が安心。
それでは、お待たせいたしました!
今回のお話も、五・七・五の標語で、ひと言にまとめました。
すっかり恒例のコーナーになりましたね!
お願いします。
いつかくる
地震に備え
怠るな
災害は、忘れたころに突然やってきます。
そのため、耐震だけでなく、食糧備蓄など、総合的な備えも怠らないように…。
という思いを込めてまとめてみました。
本日は以上になります。
なるほど!
田中先生、今回も勉強になりました。
不動産せんせい田中の【教えて不動産の知恵袋】
次回もよろしくお願いします!
耐震に関する記事はこちらです
新築の建売住宅の耐震診断について解説
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