【建売住宅】新築を内覧する時のチェックポイント集
～家のアタリとハズレを見極める～

後半は､住宅診断をする立場から
『欠陥住宅を掴まないための､新築建売住宅内覧時のチェックポイント』について
お話させていただきます｡

承知しました！

まずは､皆様に知っておいて頂きたい事なのですが､延床面積30坪前後の新築一戸建は､基本的に1人の大工さんが木工事を担当して建築します｡

当然､設備屋さん､電気屋さん､屋根屋さんなどの専門業者は入りますが､床､壁､階段､ドアなどの建具の工事は､基本的に1人の大工さんが施工します｡

同じハウスメーカーの現場であっても､5棟現場の建売住宅であれば､各号棟で大工さんが異なります｡
そのため､例えば､
1号棟は､腕の良い大工さんでアタリの建物｡
隣の2号棟は､モラルに欠けた雑な大工でハズレの建物｡
と､いうような場合があります｡

要するに､新築一戸建ては､建売住宅に限らず､注文住宅であっても､品質にバラつきがあります。
ですので､一概に会社名だけで判断するのではなく､1棟1棟の品質を見極めて判断する必要があるという事です｡

まずは､内覧時に誰でもできる『玄関のチェックポイント』からご説明します｡

これは､玄関収納(下駄箱)の写真です｡

玄関収納-下駄箱

これは､扉の建付調整が不完全な下駄箱です｡
以下の写真をご覧ください｡

建付が不完全な下駄箱

扉と扉の隙間が広すぎます｡
また､右側の扉の上部が枠に擦ってしまっている状態です｡

はい｡
診ています。

ただ､建付調整が不完全だからと言って､欠陥住宅という訳ではありません｡

しかし､このように基本的な建付調整が出来ていない物件は､建築時の現場監理が行き届いていないため､他にも不具合が隠れている可能性があるということです｡

もう一つ､玄関でのチェックポイントは､『上がり框』です｡
以下の写真をご覧ください｡

玄関収納-下駄箱

玄関では､靴を脱いで床に上がりますが､フローリングと玄関の間にある部分のことを『上がり框』といいます｡

上がり框-チェックポイント

新築一戸建てを内覧する時には､上がり框の壁よりの部分をチェックしてみてください｡
ここを見ると､丁寧な大工さんか､雑な大工さんかを見極める目安になります｡

これは､丁寧な大工さんの納まりです｡

上がり框-丁寧な仕上がり

繋ぎ目が分からないくらい綺麗に仕上げられています｡

次に､雑な大工さんの納まりです｡

上がり框-雑な仕上がり

分かりますでしょうか？
繋ぎ目の隙間が目立つ納まりです｡

次も雑な施工例です｡

上がり框-雑な仕上がり-2

最初の丁寧な大工さんの写真と比べると､全然違いますよね｡

残念ながら､このようなスキマは､大工さんの納め方の特徴であって欠陥ではありません｡
そのため､これを売主に指摘しても､是正してもらえるものではありません｡

このようなスキマもひっくるめて､理解して購入する必要があります｡

そうなんです｡

先程の下駄箱の建付調整と同じように､
『この上がり框の納まりが雑な大工さんは､他の部分も雑で不具合が多い物件である可能性が高い。』
と､私どもは長年の経験から知っています。
ですので､玄関に入ったら最初に確認します｡

誰でも簡単に出来るチェックポイントですので､皆様も内覧する時には､まずは上がり框をチェックしてみてください｡

それでは､たくさん不具合事例をご紹介するために､写真をどんどんご覧いただきますね！

こちらは､巾木の写真です｡
巾木とは､壁と床の境目の帯のような建材のことです｡

巾木の継ぎ目

巾木の繋ぎ目が雑で綺麗じゃありませんね｡

こちらは､巾木を止めている『隠し釘』が飛び出しています｡

巾木-釘の飛び出し

これに触れたら､ケガをするかもしれませんね｡

次は､フローリングの施工です｡

フローリング-はがれ

フローリングの施工が雑で角が剥がれて捲れています。

こちらもフローリングです｡

フローリング-釘の飛び出し

裏から釘が飛び出しています｡

次は窓枠と壁に微妙なスキマが出来ています。
クロス屋さんが､きれいに壁紙を貼ることができないヘンテコな納まりです。

窓枠-隙間

サッシを固定するためのビスを打ち忘れています。

窓枠-サッシのビス留め忘れ

こちらは､サッシのビスは付いているけど､ちゃんと打たれていない｡

窓枠-サッシのビス緩み

次は､サッシとフローリングの繋ぎ目部分の変な切れ込み。

フローリング-切れ込み

階段の施工が雑･･･。

階段-雑な仕上がり

階段は､冒頭で説明した､上がり框の納まり同様に､大工さんの腕が出やすい部分ですので､内覧時にはよくチェックしてみてください｡

押し入れの中の石膏ボードの施工が雑で隙間が大きい納まり｡

押し入れ-石膏ボードの隙間

次は､壁の石膏ボードの下地が雑な施工。
この凸凹は写真だとちょっと見えにくいですかね｡

石膏ボード-雑な仕上がり

下地の固定が不完全で､新築なのにクロスが割れてしまっています｡

壁紙の破れ

そうですよね｡
ただ､このような不具合は､内覧時に少し注意深くみれば､誰でもチェックできます｡

もし､内覧時に､このような不具合を発見した場合は､専門家に住宅診断をしてもらってから､契約することをお奨めします｡

このような表面上の施工が雑な新築は､『隠れた部分の不具合』として､欠陥がある可能性が高いです｡

ではここからは､住宅診断の専門家でなければ発見しにくい欠陥､『隠れた部分の不具合』を続けてご紹介していきますね｡

まずは､床下の断熱材が施工不良です。

床下-断熱材の落下1

断熱材の固定が甘く､重力に負けて落ちています｡

床下-断熱材の落下2

床下が､通気不良などで結露しています。

床下-結露

含水率を計測すると湿気があることが分かります。
含水率は､通常15％前後です。

床下-含水率の測定

壁の中の断熱材の施工不良です。
断熱材に変な切れ込みが入って割れています｡

断熱材の割れ

壁を貼ってしまったら､赤外線サーモグラフィーを使わなければ分かりません｡

赤外線サーモグラフィーで調査

天井裏の断熱材施工不良や防火違反です｡
これは､小屋裏(屋根裏)の写真です｡

小屋裏断熱材の施工不良

近年の新築は､建売住宅であっても､

• ・断熱等級5
• ・一次エネルギー消費量等級6
• ・耐震等級3

しかし､数値上､高性能を謳っていても､施工している職人や現場監督がいい加減だと､実際は､等級の性能を満たしていない欠陥住宅であることも珍しくありません｡

住宅購入は､一生で最も高価な買い物のひとつです。

しっかり､自己防衛のためにも､内覧時のチェックポイントなどをしっかり勉強して､出来れば専門家の住宅診断を実施してから､ご購入することをお奨めいたします｡