【住宅ローン】賃貸と持家はどっちが得?生涯コストと損益分岐点を5ケースで比較
賃貸と持家のどちらが得かは、毎月の家賃と住宅ローン返済額だけでは判断できません。
購入する年齢、住宅ローン金利、維持管理費、物価や家賃の上昇、そして何歳まで住み続けるかを含めた「生涯の住居費」で比較することが重要です。
【住宅ローン】家は何歳までに買うべきか?賃貸 vs 持家の損益分岐点シミュレーションで解説
この記事のポイント
賃貸と持家の生涯コストを比較すると、購入年齢や現在の家賃によって結果は大きく変わります。35歳・物件価格4,000万円・家賃10万円の試算では78歳が損益分岐点となり持家が有利になる一方、55歳から住宅ローンを組む場合や、家賃4万円の環境では賃貸が有利になる結果となりました。専用シミュレーターの使い方と、5つのケースから判断のポイントを整理します。
※記事はYouTube動画収録用の原稿をもとに要約しています。
そのため、公開後のYouTube動画と内容が異なる部分がございます。
- 執筆者:田中 勲
(宅建士、ホームインスペクター、FP) - YouTube – 田中勲の『不動産の知恵袋』
- -田中勲│こんな建売住宅は買うな
- Instagram – ゼロシステムズ|田中勲
- 専門家プロファイルを見る
賃貸と持家は「生涯の住居費」で比較する
賃貸と持家を比較するときは、現在の月額負担だけではなく、何歳まで住居費を支払い続けるのかという時間軸まで含めて考える必要があります。
長生きするほど住居費を支払う期間も長くなる
賃貸では家賃や更新費用、引越し・入居費用が続きます。一方、持家では住宅ローンを完済した後も、固定資産税や修繕などの維持管理費が必要です。どちらも「住む限り費用がかかる」という点は同じですが、費用が発生するタイミングと金額が異なります。
公益財団法人生命保険文化センターによると、2025年の日本人の平均寿命は男性81.35歳、女性87.33歳です。今回のシミュレーターでは、さらに今後の医療技術の進歩によって長寿化が進む可能性を想定し、年代・性別ごとに独自の「寿命シナリオ」を設定しています。
■ 主な年齢の平均余命
画像引用:公益財団法人生命保険文化センター「日本人の平均寿命はどれくらい?」
■ 年代と性別ごとの寿命シナリオ
シミュレータの結果表示
この寿命シナリオは公的機関による将来予測ではなく、生涯コストを比較するための試算条件です。実際に何歳まで生きるかを予測するものではありません。
年齢・家賃・金利・物価上昇率で結果は変わる
生涯コストを比較するには、購入年齢、物件価格、住宅ローン金利、返済期間、維持管理費、現在の家賃、物価上昇率など複数の条件を考える必要があります。
そのため「賃貸が得」「持家が得」と一律に決めるのではなく、自分の条件で試算することが重要です。
- ・賃貸も持家も、生涯にわたって住居費がかかる
- ・月々の支払額だけでなく、何歳まで住むかを含めて比較する
- ・寿命シナリオは将来を保証する予測ではなく、比較のための試算条件
賃貸と持家の生涯コスト比較シミュレーターの使い方
「賃貸と持家の損益分岐点は何歳? 生涯コスト比較シミュレーター」では、現在の年齢や家賃、購入価格、住宅ローン条件などを入力することで、生涯住居費と損益分岐点を比較できます。
年齢・寿命シナリオ・購入条件を入力する
まず、住宅ローンを利用して購入するか、現金で購入するかを選択します。次に性別、現在の年齢、寿命シナリオを選び、購入価格と住宅ローン借入額、返済期間を入力します。
■ 生涯コスト比較シミュレーターを試す
生涯コスト比較シミュレーターの入力画面
金利・維持管理費・物価上昇率を設定する
住宅ローン利用時は想定金利を入力します。このシミュレーターでは返済途中の金利変更を設定できないため、変動金利を想定する場合は、現在の金利だけでなく、金利が上昇したケースも別パターンで試算する方法が適しています。
維持管理費には、修繕のための積立や固定資産税などを想定した月額を入力します。物価上昇率は、将来の家賃上昇を計算するための条件として使用されます。
現在の家賃と引越し周期を入力する
賃貸側は現在の家賃を入力します。設定した物価上昇率に連動して、2年更新ごとに家賃が上昇する前提で計算されます。
また、賃貸住宅に一生住み続けられるとは限らないため、「賃貸の引越し周期」を設定します。デフォルトは10年で、設定した周期ごとに引越し費用と入居時の初期費用が加算されます。
生涯住居費と損益分岐点を確認する
入力内容はリアルタイムで結果に反映され、賃貸と持家の生涯住居費、どちらが有利か、累計費用が逆転する損益分岐点などを確認できます。
さらに、一般的な不動産会社を利用した場合と、ゼロシステムズを利用して買主側の仲介手数料や住宅ローン事務手数料を抑えた場合の諸費用も比較できます。初期費用が変わることで、損益分岐点が変わる場合があります。
購入先による住宅購入諸費用の比較
- ・購入年齢、物件価格、借入額、返済期間、想定金利を入力する
- ・維持管理費、物価上昇率、現在家賃、引越し周期まで設定する
- ・変動金利は複数の金利水準に変えて試算する
- ・結果は将来の支出を保証するものではなく、条件比較のための目安
35歳なら持家が有利?損益分岐点は78歳
35歳男性、物件価格4,000万円、家賃10万円という条件では、96歳まで住む想定で、78歳を境に賃貸の累計住居費が持家を上回る試算となりました。
ケース1のシミュレーション条件
78歳で賃貸と持家の累計コストが逆転
この条件では、住宅ローンの月々返済額は約15万円で、35歳から返済すると70歳で完済します。月々の支払いだけを比べれば家賃10万円の賃貸が安く見えますが、長期では結果が変わります。
試算上の持家の生涯住居費は約1億298万円、賃貸は約1億5,277万円となり、持家の方が約4,979万円少ない結果となりました。累計コストが逆転する損益分岐点は78歳です。
物価上昇が続くと賃貸の家賃も上昇する
この試算では年2%の物価上昇が継続し、それに連動して家賃も上昇する前提です。現在10万円の家賃は、約60年後には約32万円まで上昇する計算になります。
もちろん、物価や家賃が今後も一定の割合で上がり続ける保証はありません。物価上昇率を0%、1%、2%など複数の条件に変えて比較すると、家賃上昇が結果に与える影響を確認しやすくなります。
- ・35歳、物件4,000万円、家賃10万円の試算では損益分岐点は78歳
- ・96歳までの総額では持家が約4,979万円有利
- ・長期比較ではローン完済後の居住期間と家賃上昇の影響が大きい
購入年齢が上がると持家のメリットは小さくなる
同じ価格の住宅を購入しても、購入年齢が高くなるほどローン完済後に住める想定期間が短くなるため、持家の金銭的なメリットは小さくなる傾向が見られます。
40歳では持家が約2,225万円有利
ケース1と同じ条件で購入年齢だけを40歳にすると、寿命シナリオは92歳です。賃貸の生涯住居費は約1億1,696万円、持家は約9,471万円となり、持家が約2,225万円有利という試算になりました。
35歳で購入したケースでは約4,979万円の差でしたが、購入時期が5年遅くなるだけで差額は大きく縮小しています。
55歳から25年返済では賃貸が約1,362万円有利
さらに購入年齢を55歳にすると、完済時年齢80歳に合わせて返済期間は25年となります。寿命シナリオは88歳です。
この場合、賃貸の生涯住居費は約6,005万円、持家は約7,367万円となり、賃貸が約1,362万円有利という試算になりました。
住宅購入では、物件価格や金利だけでなく、「何歳で買い、何歳で完済し、その後何年間住むのか」も重要な判断材料になります。
- ・40歳の同条件では持家が約2,225万円有利
- ・55歳、25年返済では賃貸が約1,362万円有利
- ・購入年齢が高くなるほど、完済後に住める期間が短くなる
家賃が安ければ若くても賃貸が有利になる
若いうちに住宅を購入すれば必ず持家が有利になるわけではありません。現在の家賃が非常に安い場合は、35歳でも賃貸の方が有利になるケースがあります。
家賃4万円なら賃貸が約4,075万円有利
35歳、物件価格4,000万円、金利3%、35年ローンという条件はケース1と同じまま、現在家賃だけを10万円から4万円に変更します。
持家の生涯住居費は約1億298万円で変わりませんが、賃貸は約6,223万円となり、賃貸の方が約4,075万円少ない結果となりました。
公営住宅や親族所有住宅では購入を急ぐ必要がない場合もある
公営住宅や親族所有の住宅など、相場より大幅に安い家賃で暮らせている場合は、その住環境に不満がなければ、金銭面だけを理由に住宅ローンを組んで家を購入する必要性は低くなります。
一方、家族構成や必要な広さ、通勤・通学、生活環境などによっては、安い家賃だけでは判断できません。住居費と住環境の両方を比較する必要があります。
- ・若くても現在家賃が安ければ賃貸有利になる場合がある
- ・家賃4万円のケースでは賃貸が約4,075万円有利
- ・住居費だけでなく、広さや住環境も含めて判断する
60歳から家を買うなら「金額」以外の価値も考える
60歳から住宅を現金購入するケースでは、支出額だけを見ると賃貸が有利でも、持家には「終の棲み処を確保できる」という金額では表しにくい価値があります。
4,000万円を現金購入しても賃貸が約537万円有利
60歳まで賃貸で暮らし、60歳で4,000万円の住宅を現金購入するケースを考えます。男性60代の寿命シナリオは86歳で、購入後に住む期間は26年間です。
自分の代で「住み切る」ことを前提に、資産価値を維持するための大規模修繕を積極的には行わず、固定資産税などを含む必要最低限の維持管理費として月1.5万円を設定します。
この条件では、持家の生涯住居費は約4,892万円、賃貸は約4,354万円で、賃貸が約537万円有利という試算です。
持家には土地と「住み続けられる安心」が残る
ただし、このシミュレーターでは将来の売却価格を計算していません。持家の場合は86歳時点でも土地が残るため、単純な支出額だけで資産面まで比較した結果ではありません。
また、高齢になってからの賃貸では、住み替え、入居審査、建物の老朽化による退去などを考える必要があります。持家であれば、自分の住む場所を確保しやすいというメリットがあります。
このケースでは、約537万円の差を「老後の住まいの安心を確保するための費用」と考えることもできます。金額で比較できる住居費と、安心して住み続けられる価値は分けて考えることが重要です。
修繕は「あと何年住むか」で考える
住宅の修繕は、多額の費用をかければ必ず正解というわけではありません。将来売却するのか、次世代へ引き継ぐのか、自分の代で住み切るのかによって、必要な修繕の考え方も変わります。
ただし、必要最低限の修繕で住み切る考え方は、雨漏りや構造上の重大な不具合を放置してよいという意味ではありません。新築時の施工状態や購入時の住宅診断を確認し、安全性を確保することが前提です。
- ・60歳から4,000万円を現金購入する試算では賃貸が約537万円有利
- ・シミュレーターは将来の土地・建物の売却価格を含めていない
- ・老後の住まいは支出額だけでなく「住み続けられる安心」も判断材料
- ・修繕方針は、その家にあと何年住むのかによって変わる
賃貸と持家の損益分岐点は人によって違う
賃貸と持家のどちらが有利かは、購入年齢や現在の家賃、住宅価格、住宅ローン条件、住む期間によって変わります。「何歳なら買うべき」という一つの答えではなく、自分の条件で比較することが重要です。
5つのケースを比較
※上記は原稿内で設定した条件によるシミュレーション結果です。将来の金利、物価、家賃、修繕費、寿命、売却価格などを保証するものではありません。
自分の条件を変えて比較する
特に結果へ大きく影響するのは、購入年齢、現在の家賃、住宅価格、住宅ローン金利、返済期間、維持管理費、物価上昇率、そして何歳まで住むかという条件です。
シミュレーターでは一つの条件だけで結論を出さず、金利や物価上昇率、家賃、寿命シナリオなどを変えながら複数パターンを比較してください。
- ・「賃貸か持家か」に一律の正解はない
- ・購入年齢と現在家賃によって損益分岐点は大きく変わる
- ・支出額だけでなく、住環境や老後の安心も含めて考える
- ・複数の条件でシミュレーションし、自分に合う選択肢を比較する
■ お役立ちシミュレータ
以下のツールを使うことで、住宅ローン審査や金利の計算などが簡単にシミュレートできます。
- ■住宅ローン
- ・住宅ローン審査1分間セルフチェック
- ・住宅ローン金利シミュレータ
- ・住宅ローン返済比率チェッカー
- ・住宅ローン破綻チェッカー
- ・変動金利VS固定金利 シナリオ比較シミュレータ
- ・経済 物価変動(CPI)シミュレータ
- ・住み替え 住宅ローン|シミュレーション【買い先行】
- ・生涯コスト比較シミュレーター
- ■控除 補助金 諸費用
- ・住宅ローン控除シミュレータ-2026年版-
- ・みらいエコ住宅2026事業セルフチェック
- ・仲介手数料 かんたん計算機
- ・諸費用比較チェッカー
- ・金融資産ピラミッド 積立投資シミュレーション
- ■耐震 査定 診断
- ・耐震性能セルフチェック
- ・みらい価値診断 Ver2.0
- ・賃貸派?持家派?セルフチェック
- ・市区町村 財政力 格付けチェック
- ■ 住宅ローン比較サイト『モゲチェック』
(外部サイト) - ・新規の借り入れで比較
- ・借り換えで比較

