【建売住宅】千葉豪雨から学ぶハザードマップの落とし穴|内水氾濫と火災保険の水災補償
2026年8月の千葉豪雨では、河川の近くだけでなく、市街地の道路やアンダーパスなどでも大きな浸水被害が発生しました。
マイホームの水害リスクを確認するときは、洪水ハザードマップだけでなく、内水ハザード、自治体の最新資料、過去の浸水履歴、そして火災保険の水災補償まで合わせて確認することが重要です。
【建売住宅】どこに家を買うべきか?ハザードマップと内水災害|火災保険の水災オプションの落とし穴
この記事のポイント
2026年8月の千葉豪雨では、千葉市中央区で24時間降水量367.0mmを観測し、観測史上1位を更新しました。短時間の猛烈な雨では、河川氾濫だけでなく、排水能力を超えることで起きる「内水氾濫」にも注意が必要です。この記事では、洪水・内水ハザードマップの違い、水災等地の見方、火災保険の水災補償、住宅購入前に確認したい4つのポイントを整理します。
※記事はYouTube動画収録用の原稿をもとに要約しています。
そのため、公開後のYouTube動画と内容が異なる部分がございます。
- 執筆者:田中 勲
(宅建士、ホームインスペクター、FP) - YouTube – 田中勲の『不動産の知恵袋』
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千葉豪雨で見えた「川から離れていても浸水する」リスク
大雨による水害は、河川の氾濫だけで起こるものではありません。短時間に大量の雨が降ると、下水道や側溝などの排水能力を超え、川から離れた市街地でも浸水する可能性があります。
千葉市では24時間降水量367mmを観測
2026年8月13日から14日にかけて、千葉県では線状降水帯の発生などにより記録的な大雨となりました。気象庁の観測では、千葉市中央区の「千葉」観測点で24時間降水量367.0mmを記録し、観測史上1位を更新しています。
外水氾濫と内水氾濫は原因が違う
河川の水位が上昇し、堤防から水があふれたり、堤防が決壊したりして発生する浸水は、一般に「外水氾濫」と呼ばれます。
一方、集中豪雨によって下水道や側溝などの排水能力を雨量が上回り、市街地に水があふれるのが「内水氾濫」です。周囲より低い道路、アンダーパス、地下空間などでは、河川から離れていても急激に水がたまる場合があります。
今回の千葉豪雨でも、道路やアンダーパスの冠水など、内水氾濫とみられる被害が広い範囲で報告されました。
- ・水害は河川の氾濫だけでなく、街の排水能力を超えても発生する
- ・アンダーパスや周囲より低い道路は、川から離れていても注意が必要
- ・住宅購入では「川から遠い=浸水しない」と考えない
洪水ハザードだけでなく内水ハザードも確認する
ハザードマップを見るときは、洪水ハザードだけで判断せず、内水ハザードや低地の状況も合わせて確認することが重要です。
被害報告の55.7%が浸水想定区域などの外
ウェザーニュースが2026年8月の千葉豪雨について約2万件の現地情報を分析したところ、被害を示す報告のうち、低位地帯または浸水想定区域の外から寄せられたものが55.7%を占めました。
引用・出典:ウェザーニュース「令和8年8月千葉豪雨、2人に1人が浸水想定区域外で被災か」
ただし、この結果だけを見て「ハザードマップは当てにならない」と考えるのは適切ではありません。ここで比較されている浸水想定区域は、主に河川氾濫を想定したものです。
洪水と内水は別のリスクとして確認する
洪水ハザードマップで色が付いていなくても、内水ハザードでは浸水リスクが示されている場合があります。自治体によって掲載方法は異なりますが、「洪水」「内水」「雨水出水」などの資料をそれぞれ確認しましょう。
また、ハザードマップは一定の条件を置いたシミュレーションです。想定を超える雨が降った場合や、局地的な地形・排水条件によっては、想定区域外でも浸水する可能性があります。
- ・洪水ハザードと内水ハザードは分けて確認する
- ・「色が付いていない=絶対に安全」という意味ではない
- ・想定区域外でも、地形や排水条件によって浸水する可能性がある
WEB版だけでなく自治体の最新資料と浸水履歴を確認する
自治体のWEBハザードマップを確認しただけで終わらず、より新しい浸水想定区域図やPDF資料が別に公表されていないか確認しましょう。
千葉市では新しい雨水出水浸水想定区域を別途公表
千葉市は2026年3月31日、水防法に基づく「雨水出水浸水想定区域」を指定し、想定最大規模降雨による内水氾濫の浸水深や浸水継続時間を示した図面を公表しました。
同市は、この情報が「千葉市地震・風水害ハザードマップ(WEB版)」にはまだ反映できていないため、最新の雨水出水浸水想定区域については別途公表している図面を確認するよう案内しています。
過去の浸水履歴と現地の情報も判断材料にする
住宅購入を検討するときは、自治体が公開している過去の浸水履歴や災害記録も確認しておきたいところです。過去に同じ道路や周辺住宅で冠水・浸水が繰り返されていないかを見ることで、地図だけでは分かりにくい地域特性を把握しやすくなります。
また、現地を歩き、周囲との高低差、道路の傾斜、側溝や雨水桝、アンダーパスの有無などを確認することも有効です。可能であれば、近隣住民に過去の浸水状況を聞くことも参考になります。
- ・WEB版ハザードマップが最新情報とは限らない
- ・自治体サイトで最新の浸水想定区域図やPDFがないか確認する
- ・過去の浸水履歴、周囲との高低差、近隣の情報も合わせて確認する
水災等地1でも水害は起こる
火災保険の「水災等地」は、水災リスクを1等地から5等地までに区分した保険料算定上の指標です。1等地だから水害が起こらない、5等地だから必ず浸水する、という意味ではありません。
水災等地は火災保険の水災リスク区分
損害保険料率算出機構では、住宅物件の所在地について、水災リスクが最も低い「1等地」から最も高い「5等地」までの5区分で水災等地を設定しています。外水氾濫だけでなく、内水氾濫や土砂災害なども含めて評価されるため、洪水ハザードマップとは必ずしも一致しません。
水災等地1の地域でも多数の床上浸水が報告
千葉県が8月15日17時時点で公表した被害速報では、床上浸水が千葉市158棟、鎌ケ谷市115棟、佐倉市100棟、八千代市61棟、市原市42棟、市川市29棟などと報告されていました。
確認した水災等地では、鎌ケ谷市・佐倉市・八千代市はいずれも1等地でした。市原市は3等地、市川市は4等地で、千葉市は中央区が2等地、その他の区は1等地です。
※住宅被害の数字は災害発生直後の速報段階の集計で、その後の調査により増減します。全社協の8月17日10時時点のまとめでは、住宅被害1,541棟のうち、床上浸水709棟、床下浸水790棟と報告されています。
出典:全社協 被災者支援・ボランティア情報「2026年8月千葉豪雨による被害(第1報)」
- ・水災等地は保険料算定のための相対的なリスク区分
- ・1等地でも水害が発生しない保証はない
- ・水災等地と洪水・内水ハザードマップは役割が異なる
火災保険の水災補償は「低リスクだから不要」とは限らない
水災補償を付けるかどうかは、水災等地だけで決めず、洪水・内水ハザード、地形、建物の構造や階数、過去の浸水履歴などを確認したうえで判断することが重要です。
千葉県の水災補償付帯率は58.1%
損害保険料率算出機構が公表した2024年度の火災保険水災補償付帯率は、全国計61.8%、千葉県58.1%でした。単純計算では、千葉県では約41.9%の契約に水災補償が付帯していないことになります。
※損害保険料率算出機構の会員保険会社から報告された住宅物件の火災保険を対象とした統計で、各種共済・少額短期保険は含まれません。
出典:損害保険料率算出機構「火災保険 水災補償付帯率(2024年度)」
未契約理由のトップは「水災が起こる可能性が低そう」
日本損害保険協会の「水災への備えに関する意識調査」では、水災補償を契約していない理由として「自宅周辺で水災が発生する可能性が低そうだから」が54.9%で最も多くなっています。
出典・引用:日本損害保険協会「水災への備えに関する意識調査」
一方で、今回の千葉豪雨のように河川から離れた市街地でも内水氾濫が起こる可能性があります。火災保険の水災補償は商品によって補償範囲や保険金の支払条件が異なるため、契約内容を確認してください。
火災保険は住宅購入後のランニングコスト
水災リスクの高い地域では、水災補償を含む火災保険料が住宅購入後の負担になります。ただし、保険料だけを理由に補償を外すのではなく、万一の損害額を自分の貯蓄で負担できるかも含めて検討する必要があります。
新築一戸建ての火災保険については、損害保険の専門家を招いて解説した過去記事でも、保険金額・地震保険・水災補償の考え方をまとめています。
新築一戸建ての火災保険の選び方|保険金額・地震保険・水災補償の注意点
【新築一戸建】火災保険の選び方|保険金額・地震保険・水災補償の注意点
- ・2024年度の水災補償付帯率は全国61.8%、千葉県58.1%
- ・未契約理由では「水災が発生する可能性が低そう」が54.9%
- ・水災補償の要否は水災等地だけで判断しない
- ・補償範囲や支払条件は保険会社・商品ごとに確認する
住宅購入前に確認したい4つの水害対策
これから住宅を購入する人も、すでにマイホームに住んでいる人も、水害への備えは「ハザードマップを見る」だけで終わらせず、最新情報・過去の履歴・保険内容まで確認しておくことが重要です。
1.洪水ハザードだけでなく内水ハザードも確認する
河川から離れている場合でも、集中豪雨では内水氾濫が発生する可能性があります。洪水、内水、雨水出水など、自治体が公表する複数の資料を確認してください。
2.自治体の最新資料を確認する
WEB版ハザードマップより新しい浸水想定区域図やPDF資料が公表されている場合があります。自治体サイトの更新日や注意事項まで確認しましょう。
3.過去の浸水履歴を調べる
過去の災害記録、道路冠水、床上・床下浸水などの履歴を確認します。現地では周囲との高低差や排水設備を見て、可能であれば近隣の人から過去の状況を聞くことも参考になります。
4.火災保険の水災補償を確認する
現在加入している火災保険に水災補償が付いているか、どのような損害が補償されるのかを確認します。これから加入する場合は、保険料だけでなく、立地の水害リスクと万一の損害額を踏まえて補償内容を比較しましょう。
水災等地が高い地域だから住めないということでも、低い地域だから安全ということでもありません。重要なのは、土地のリスクを把握したうえで、避難方法や保険などを含めてどこまで備えるかを考えることです。
- ・洪水ハザードと内水ハザードの両方を見る
- ・自治体の最新資料が別に公表されていないか確認する
- ・過去の浸水履歴と現地の高低差・排水状況を調べる
- ・火災保険の水災補償と支払条件を確認する
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