【タワーマンション】タワマン高層階は体調不良や子どもの発達に影響する?気圧・研究結果と「卒タワマン」

タワーマンション高層階では地上より気圧が低くなりますが、高層階での生活が慢性的な体調不良や子どもの学力低下を引き起こすと証明されたわけではありません。
高層住宅と健康・子どもの発達に関する研究を整理し、子育て期の住環境や「卒タワマン」という住み替えの選択肢を考えます。

【タワーマンション】高層階の気圧変化は気象病に似ている|頭痛・めまい・自律神経への影響と子供の学力の関係は本当か?

この記事のポイント

高層階では高度差に応じて気圧が低くなります。
ただし、高層階に住み続けることと、低気圧や台風の接近による身体への影響は同一ではありません。
気圧変化と自律神経の関係は研究されていますが、高層居住による慢性的な健康被害との因果関係は確立されていません。

子どもの外遊びや発達に関する研究には一定の関連が報告されているものの、家庭の社会経済的条件なども考慮する必要があります。
住宅選びでは利便性や資産性だけでなく、生活動線や家族の暮らし方も判断材料となります。

※研究で示された関連は、必ずしも因果関係を意味しません。
体調不良の原因は住環境だけで判断せず、必要に応じて医療機関へご相談ください。


タワマン高層階で体調不良?気圧と内耳・自律神経の関係

タワマン高層階で体調不良?気圧と内耳・自律神経の関係

地上と高層階には気圧差があります。
ただし、その差が直ちに健康被害を意味するわけではありません。

30階で約10hPa、50階で約16~17hPaの気圧差

気圧は高度が上がるほど低下します。
地表付近では高さ10mにつき約1hPa低くなるという概算があり、高さ約100mの30階では地上との気圧差は約10hPa、高さ約160~170mの50階では約16~17hPaが目安になります。
実際の気圧差は建物の高さや気象条件によって異なります。

ただし、これは高さによる気圧の違いです。
低気圧や台風が近づくときの気圧変動と同じ現象ではなく、人体への影響が同じとは限りません。

気圧変化と内耳・自律神経の研究

気圧変化に伴う頭痛、めまい、耳鳴りなどは医学的な研究対象となっています。
慶應義塾大学医学部などによる「気象変化相当の大気圧変化時の健常者の身体感覚、自律神経活動変化の解析」も臨床試験登録されています。

この研究では、エレベーター乗車時の気圧変化と自律神経の反応も調査対象とされています。

ただし、この臨床試験は高層マンション居住者の健康状態を直接調べたものではありません。また、登録情報では研究結果が公表されていないため、高層階での生活が慢性的な体調不良を引き起こすと結論づけることはできません。

気圧に敏感な人がエレベーターで短時間に上下移動した際の体感についても、個人差を含めて慎重に考える必要があります。

参考:UMIN臨床試験登録 – 気象変化相当の大気圧変化時の健常者の身体感覚、自律神経活動変化の解析


  • ・高度が上がると気圧は低下するが、それだけで健康被害は断定できない
  • ・気圧変化と身体反応の研究は、高層住宅の居住影響を直接証明するものではない
  • ・症状や感じ方には個人差がある

体調の変化は子どもの集中力・学習に影響するのか?

体調の変化は子どもの集中力・学習に影響するのか?

高層階での暮らしと、子どもの集中力や学力低下との因果関係は、現時点では確立されていません。

体調が悪ければ学習に集中しづらい

頭痛やめまい、倦怠感などがあれば、子どもでも大人でも勉強や仕事に集中しづらくなることは考えられます。

ただし、幼少期から高層階に暮らすことで慢性的な倦怠感が起き、その結果として学力が低下するという一連の関係は実証されていません。

子どもへの長期的な影響は慎重に考える

子どもは成長過程にあり、住環境が遊びや日常活動に与える影響を、大人と同じように考えてよいとは限りません。

住宅の階数だけで健康や発達を判断するのではなく、子どもが外出しやすいか、遊びや運動の機会を得られるかなど、生活環境全体を見ることが重要です。


  • ・高層階の生活が学力低下を招くという因果関係は実証されていない
  • ・生活のしやすさや遊びの機会といった住環境の条件は検討できる
  • ・健康・発達と階数を短絡的に結び付けない

40年前から研究されていた「高層階と子ども」

40年前から研究されていた「高層階と子ども」

高層住宅と子どもの遊び・発達の関係は、タワーマンションが普及する以前から研究されてきました。

1986年の研究では外出のしやすさに着目

東京都立大学都市研究センターによる1986年の研究では、1~6歳の幼児約800人を対象に高層住宅での暮らしと子どもの遊びや発達が調査されました。

調査では、高層階に住む子どもほど、一人で外へ出られるようになる年齢が遅い傾向が示されました。
一方で、精神発達の遅れは認められませんでした。

外出のしにくさには、エレベーター移動や親の付き添いの必要性など、複数の生活上の要因が関係している可能性があります。

参考:東京都立大学 – 高層集合住宅と子どもの遊びや発達に関する研究

参考:住総研 – 子どものための住環境要件に関する研究(2)

2014年のレビューで示された研究の限界

山梨大学医学会の2014年のレビューでは、対象となった10件の研究のうち8件で、子どもの健康や発達、遊びの習慣などに悪影響が生じる可能性が示されていました。

ただし、対象の10件はいずれも一時点を調査する横断研究でした。
そのため、高層階居住が影響の原因であるとは証明できず、レビュー全体としては十分な根拠がそろっていないと評価されています。


  • ・1980年代から高層住宅と子どもの生活について調査されている
  • ・外出や遊び方との関連を示した研究がある
  • ・関連が報告されていても、階数が原因だとは断定できない

海外では高層階での子育てが法律で禁止されている?

海外では高層階での子育てが法律で禁止されている?

イギリスやフランスで妊婦や子どもの高層階居住を一律に禁止する法律は、確認した範囲では見つかりません。

イギリスで高層階の子育ては禁止されている?

「イギリスでは妊婦や子どもが高層階に住めない」という噂がネット上で語られることがあります。
しかし、妊婦や子どもの高層階居住を全国一律に禁止する法律は確認できません。

公営住宅などの入居・配分ルールは地域や制度で異なり得ますが、それらと全国的な居住禁止を混同しないことが大切です。

フランスの高層住宅政策見直しと健康被害は別問題

フランスでは1970年代に大規模な集合住宅団地をめぐる住宅・都市政策が見直されました。
背景には画一的な都市開発への批判や、社会的分断、生活環境などの問題がありました。

これは、妊婦や子どもの健康被害が証明されたため、高層階への居住を法律で禁止したという話ではありません。

海外研究で指摘される生活動線

海外の研究レビューでも、高層住宅では地上へ出るまでの移動が負担になり、子どもの外遊びなどに影響する可能性が検討されています。

田中の考えとしては、子育て期には階数そのものより、外へ出やすい動線や遊び場への距離も重視して住まいを選びたいところです。


  • ・妊婦・子どもの高層階居住が全国一律に禁止されているという噂は確認できない
  • ・フランスの住宅政策の見直しは健康被害による居住禁止とは異なる
  • ・日々の外出や遊びのしやすさは住宅選びの判断材料になる

なぜ「高層階と学力」の因果関係は見えにくい?

なぜ「高層階と学力」の因果関係は見えにくい?

高層住宅と学力の関係を考えるときは、親の所得や学歴などの社会経済的条件を分けて見る必要があります。

社会経済的地位(SES)という交絡要因

山梨大学医学会のレビューによれば、対象となった10研究のうち、家族の社会経済的地位(SES)を統計的に調整していたものは1件だけでした。

高層階に住む家庭の所得や学歴が異なる場合、子どもの成績や生活習慣の差が住宅の高さによるものなのか、家庭環境によるものなのかを区別しにくくなります。
こうした要因の混在を「交絡」といいます。

親の経済力と学業成績には関連がある

2022年のメタ分析では326研究、約95万人のデータを対象に、社会経済的地位と学業成績の関連が分析されています。

家計に余裕があれば、塾や家庭教師、学校の選択など教育機会が広がる場合があります。
ただし、所得だけで一人ひとりの学力が決まるという意味ではありません。

経済力が住環境の影響を相殺するという考えは仮説

田中は、仮に高層階の居住環境に学習上の不利な要因があったとしても、家庭の教育投資などで補われる可能性があると考えています。

ただし、高層階に学習上のマイナス要因があることも、それが経済力で相殺されていることも実証されていません。
現時点で「タワマンの子は学力が低い」と結論づけることはできません。


  • ・高層階の影響と家庭の経済状況は区別して検討する必要がある
  • ・親のSESと学業成績には統計的な関連が報告されている
  • ・「タワマンだから学力が下がる」とは断定できない

「卒タワマン」へ?子育て期は一戸建てという選択肢

「卒タワマン」へ?子育て期は一戸建てという選択肢

タワマンを否定するのではなく、家族構成や暮らし方に合った住宅を選ぶという視点が「卒タワマン」を考える出発点です。

タワマンには利便性や資産性などの魅力もある

タワーマンションには、駅や商業施設へのアクセス、防犯設備、共用施設など、立地や物件によって大きなメリットがあります。

独身者、共働きで子どものいない世帯、シニア世代などには、その利便性が特に魅力になる場合もあります。
タワマンそのものが悪いという結論ではありません。

子育て期は外出しやすさや生活音も重視

子どもが成長すると、部屋の広さ、足音などの生活音、気軽に外へ出られる動線など、住宅に求める条件が変わることがあります。

田中は、こうした生活のしやすさを重視するなら、郊外の一戸建ては有力な選択肢だと考えています。
マンションの低層階や、周辺に遊び場がある物件も含め、各家庭の暮らし方に応じて比較することが大切です。

値上がりしたタワマンから郊外の一戸建てへ

都心のタワーマンションを以前に購入し、現在の売却価格が購入時より高くなっている世帯では、売却して郊外の広い一戸建てへ住み替えるという選択肢もあります。

ただし、売却価格が高くても、そのまま全額を次の購入に充てられるわけではありません。
住宅ローン残債、仲介手数料などの売却諸費用、譲渡所得に対する課税の有無を確認する必要があります。

「卒タワマン」は、すべての人に適した選択ではありません。
資産性、住み替え費用、通勤や通学、家族の希望を総合して判断しましょう。

まとめ:階数よりも家族の生活に合う住環境を

高層階の気圧差は実在しますが、それだけで健康や学力への悪影響を断定できません。
研究から読み取れる事実と、住まい方に関する個人の価値観は分けて考える必要があります。

住まい選びの最終的な判断軸は、高層階か一戸建てかという単純な二択ではなく、無理のない予算で家族が快適に暮らせるかという点にあります。


  • ・タワマンにも立地・利便性・資産性などのメリットがある
  • ・子育て期は広さ、音、外出のしやすさなどを検討する
  • ・住み替え時は売却益だけでなくローン残債と諸費用を確認する