【不動産市場】マンション大規模修繕で171件の談合発覚!修繕積立金への影響と不正の仕組みを解説

関東1都6県のマンション大規模修繕工事171件で談合が認定され、42社の独占禁止法違反が明らかになりました。
修繕積立金を守るには、工事の発注方法と管理組合の運営状況を確認することが重要です。

【不動産市場】狙われたマンション修繕積立金!東急、大京、長谷工などで171件の談合発覚!

この記事のポイント

2026年9月28日、公正取引委員会はマンション大規模修繕171件の談合を認定。
設計コンサル2社と施工会社40社が関与し、37社に合計16億3,788万円の課徴金納付命令を出しました。

施工会社の受注調整や管理組合の設計予算の提供が問題となり、コンサル会社への手数料支払いも確認されています。
修繕積立金への影響と、マンション購入前に確認したい管理・修繕計画を整理します。

※課徴金総額は住民の損害額を示す数字ではありません。


マンション大規模修繕171件で談合発覚

マンション大規模修繕171件で談合発覚

2026年9月28日、公正取引委員会は関東1都6県のマンション大規模修繕工事171件をめぐる談合を認定しました。

設計コンサル2社と施工会社40社が関与

対象となったのは、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県のマンションです。
公正取引委員会は、設計コンサル会社2社と施工会社40社の計42社について独占禁止法違反を認定しました。

違反事業者のうち38社には排除措置命令、37社には合計16億3,788万円の課徴金納付命令が出されました。
大規模修繕の施工会社を選ぶ場面で、価格競争が正常に機能していなかったことが問題となっています。

大手企業も違反事業者に含まれる

公正取引委員会が公表した事業者には、長谷工リフォーム、シミズ・ビルライフケア、日本ハウズイング、東急コミュニティー、大京穴吹建設、YKK APラクシーなど、マンション関連業務で知られる企業も含まれています。
ただし、企業名が掲載されたからといって、その企業が手掛けたすべての修繕工事で談合があったという意味ではありません。

出典:公正取引委員会「マンション大規模修繕工事の施工業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等」


  • ・関東1都6県のマンション大規模修繕171件が対象
  • ・違反認定は42社、排除措置命令38社、課徴金納付命令37社
  • ・課徴金の総額は16億3,788万円

設計コンサル会社と施工会社による談合の仕組み

設計コンサル会社と施工会社による談合の仕組み

今回の問題は、管理組合を支援する立場の設計コンサル会社が、施工会社の受注調整に関与していたことです。

本来は管理組合が比較して施工会社を選ぶ

マンションの大規模修繕では、管理組合が建物調査や工事内容の設計をコンサル会社に依頼し、複数の施工会社から見積もりを取って選定する方法があります。
コンサル会社には、管理組合が工事内容や費用を比較検討できるよう支援する役割が求められます。

受注予定者を事前に決めて見積価格を調整

しかし今回の事件では、施工会社などの間であらかじめ受注予定者を決め、その会社が受注できるよう見積価格を調整する行為が認定されました。
設計コンサル会社は、管理組合の設計予算などの情報を受注予定者へ伝えたり、その意向を踏まえたりしていたとされています。

たとえばA社が3億円、B社が3億3,000万円、C社が3億5,000万円という見積もりを提示していても、最初からA社が受注するよう調整されていれば、価格競争を経た結果とはいえません。

相見積もりでも安心できない

これは仕組みを説明するための仮の金額であり、特定の工事の実際の見積額ではありません。

コンサル会社への手数料支払いも確認

公正取引委員会は、施工会社が受注した場合、工事請負契約額の一定割合に相当する金銭をコンサル会社へ支払っていた事実も確認しています。
契約額のおおむね5%を目安としていたとの報道もありますが、公取委の発表では「一定割合」と表現されています。

仮に工事費3億円の5%なら1,500万円、5億円なら2,500万円です。
ただし、この金額がそのまま工事費への不当な上乗せ額だったと確定しているわけではありません。

出典:公正取引委員会(違反行為の概要・手数料等について)

参考:日本時事新聞「マンション大規模修繕工事の談合、課徴金を命じられた会社名と金額」


  • ・受注予定者が事前に決められ、見積価格も調整されていた
  • ・設計予算など管理組合側の情報が施工会社へ提供されていた
  • ・施工会社からコンサル会社への手数料等の支払いも確認された

課徴金16億円超と課徴金減免制度

課徴金16億円超と課徴金減免制度

課徴金は37社に合計16億3,788万円。自主申告などによって課徴金が減免された事業者もいます。

最も高額だった伊勝の課徴金は約3億8,200万円

課徴金額が最も大きかった株式会社伊勝は、リノシスコーポレーションに関係する工事で6,453万円、翔設計に関係する工事で3億1,751万円、合計3億8,204万円と公表されています。
課徴金の額は各事業者について法令に基づいて算定されるもので、その金額だけで個々の工事の不当な上乗せ額を判断することはできません。

YKK APラクシーは課徴金が全額免除

YKK APラクシーには課徴金減免制度が適用され、課徴金が免除されました。
この制度は、談合やカルテルに関する自主申告や調査協力を促し、違反行為の解明につなげるための仕組みです。

課徴金の免除は、談合への関与がなかったと認定されたことを意味するものではありません。
田中勲は、大規模な不正の解明には自主申告の仕組みも必要だとしつつ、管理組合や区分所有者が受ける影響の大きさに問題意識を示しています。

出典:公正取引委員会「令和8年 課徴金減免制度の適用事業者一覧」

出典:公正取引委員会「排除措置命令及び課徴金納付命令等」


  • ・37社に合計16億3,788万円の課徴金納付命令
  • ・伊勝の課徴金は2件合計で3億8,204万円
  • ・課徴金の減免・免除と、違反行為の認定は別の問題

狙われた修繕積立金と住民への影響

狙われた修繕積立金と住民への影響

マンション大規模修繕の原資となる修繕積立金は、区分所有者が毎月積み立ててきた共同のお金です。

修繕積立金が不足すれば将来の負担にも影響

工事費に不必要な上乗せがあれば、その分だけ管理組合の資金が失われ、将来の修繕計画にも影響するおそれがあります。
工事後に積立金の残高が不足すれば、修繕積立金の増額や一時金の徴収などが必要になる可能性もあります。

今回の談合では価格競争が制限されていたことが確認されていますが、対象となった171件すべてについて、適正な競争があった場合との差額が確定しているわけではありません。
課徴金の総額を、そのまま住民側の損害額として扱うこともできません。

国交省調査では36.6%が積立金不足

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、長期修繕計画上の予定積立額に対して、現在の修繕積立金の積立額が不足しているマンションの割合は36.6%でした。
これは調査回答に基づく結果であり、全国のすべてのマンションについて直接確認した割合ではありません。

近年は資材価格や人件費の変化によって、当初の修繕計画の見直しが必要になる場合もあります。
そのため、工事内容・見積条件・積立状況を管理組合が継続的に確認することが大切です。

出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」

参考:公正取引委員会(談合認定の公表資料)


  • ・修繕積立金は区分所有者が将来の工事のために積み立てる資金
  • ・談合による工事費の具体的な上乗せ額は工事ごとに確定したものではない
  • ・国交省調査では長期修繕計画に対して積立額が不足している割合が36.6%

マンションと一戸建て、維持管理の大きな違い

マンションと一戸建て、維持管理の大きな違い

マンションは共有部分を管理組合で維持管理する一方、一戸建ては修繕内容や時期を所有者自身で決めやすいという違いがあります。

管理費・修繕積立金の使い道は一人では決められない

マンションは自分の住戸を所有していても、共用部分の修繕は管理組合で方針や予算を決めます。
一人の区分所有者だけで工事会社や修繕費用を決定できないため、管理組合の運営や情報公開が重要になります。

田中勲は、このような共同管理の仕組みに負担や不安を感じる人にとって、修繕を自分の裁量で決めやすい一戸建てが選択肢になると考えています。
これは所有と管理に対する価値観の違いであり、すべてのマンションで問題が起きるという意味ではありません。

マンションならではの利点もある

駅に近い立地や共用部分の維持管理、セキュリティ設備などはマンションの利点です。
一方、一戸建てでは管理組合に修繕積立金を納める仕組みが一般的にはありませんが、屋根や外壁、設備交換などの修繕費を自分で備える必要があります。

どちらの住宅でも維持管理費はかかります。
購入価格や間取りだけでなく、誰が修繕の判断をするのか、費用をどのように負担するのかまで理解したうえで選ぶことが重要です。


  • ・マンションの共用部分は管理組合による共同管理が基本
  • ・一戸建ては修繕時期・内容を自分で決めやすい
  • ・どちらも将来の維持管理費が必要であり、費用がゼロになるわけではない

マンション購入前に確認したい管理・修繕計画

マンション購入前に確認したい管理・修繕計画

マンションを購入する際は、住戸の条件だけでなく、管理組合の運営状況と長期修繕計画を確認することが大切です。

修繕積立金・長期修繕計画・議事録をチェック

中古マンションであれば、修繕積立金の残高と滞納状況、長期修繕計画、直近の大規模修繕履歴、管理組合総会の議事録などが判断材料になります。
予定されている工事費や積立金の値上げ計画についても、可能な範囲で確認しておきたいところです。

今回の事件を踏まえると、大規模修繕の見積条件や施工会社の選定経緯が明確であるかも重要です。
ただし、複数社の見積書があるだけで価格競争が適正だったと断定することはできません。

マンションも一戸建ても家計に合う予算で検討

住宅購入では、物件価格と住宅ローン返済額だけでなく、管理費、修繕積立金、固定資産税、将来の修繕費なども含めて資金計画を立てる必要があります。
一戸建ての場合も、修繕費を自分で積み立てることを前提に考えると比較しやすくなります。

ゼロシステムズの住宅ローン金利シミュレーターでは、借入金額、金利、返済期間などから毎月返済額や支払利息の目安を確認できます。
住宅の管理方法と、無理なく支払いを続けられる予算の両方から判断しましょう。

参考:ゼロシステムズ「住宅ローン金利シミュレーター」


  • ・住戸の条件だけでなく管理組合の運営・議事録・長期修繕計画を確認
  • ・見積書の数だけでなく施工会社の選定経緯の透明性も重要
  • ・マンション・一戸建てとも維持費を含めた無理のない資金計画が必要