【不動産市場】大和ハウス23道県撤退で見える住宅市場の二極化|2050年人口減少時代に残る街の条件
大和ハウス工業は、2027年4月から新築戸建住宅事業を再編し、需要が堅調な都市圏へ経営資源を集中します。
23道県では通常の新築戸建て展開を縮小しますが、アフターサービスやリフォーム、不動産仲介などの住宅ストック事業は全国で継続・強化されます。
【不動産市場】2050年も残る街とは?人口減少で大手ハウスメーカー大和ハウスが全国展開から撤退!
この記事のポイント
大和ハウス工業は、2027年4月から新築戸建住宅事業の展開エリアを再編し、通常の新築戸建てを22都府県中心に展開します。
石川県では復興住宅への対応を継続します。
この記事では、大和ハウスの再編内容と国立社会保障・人口問題研究所の2050年人口推計、総務省の空き家データを照らし合わせながら、これから住宅需要が残りやすい地域をどう見極めるかを整理します。
※大和ハウスの事業再編は、対象地域から住宅需要そのものがなくなることや、不動産価値がなくなることを意味するものではありません。
- 執筆者:田中 勲
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大和ハウスは2027年4月から新築戸建ての展開エリアを再編
大和ハウス工業は、新築戸建住宅事業を全国一律に縮小するのではなく、需要が堅調な都市圏へ経営資源を重点配置する方針です。
新築戸建ては都市圏へ集中、住宅ストック事業は全国で強化
大和ハウス工業は2026年9月4日、国内住宅事業の再編を発表しました。
組織・事業体制の変更は2027年4月1日付で、新築戸建住宅事業については、エリアごとの着工数、価格競争力、将来的な市場ボリュームなどを分析し、需要が堅調な都市圏を中心に営業・設計・施工体制を重点配置するとしています。
一方、アフターサービス、リフォーム、買取販売、不動産仲介、賃貸管理などの住宅ストック事業については、全国47都道府県の拠点で体制を強化する方針です。
出典:大和ハウス工業「国内住宅事業の成長加速に向けた事業体制の再編・強化について」
「23道県から完全撤退」ではない
今回の再編対象は、主に新築戸建住宅事業の通常展開です。既存オーナー向けのアフターサービスまで終了するわけではありません。
また、石川県では通常の新築戸建て展開は縮小する一方、復興住宅への対応を継続するとされています。
- ・2027年4月1日から新築戸建住宅事業の展開エリアを再編
- ・需要が堅調な都市圏へ営業・設計・施工体制を重点配置
- ・住宅ストック事業と既存オーナーへのアフターサービスは全国で継続・強化
通常展開を終了する23道県と継続する22都府県
報道と大和ハウスの公式発表を整理すると、2027年4月以降、通常の新築戸建住宅事業は22都府県を中心に継続し、石川県では復興住宅に限って対応します。
通常の新築戸建て展開から外れる23道県
今回、通常の新築戸建住宅事業から外れると報じられているのは、以下の23道県です。
※石川県は復興住宅への対応に限って継続します。山形県と沖縄県は、報道によると今回の再編以前から新築戸建住宅事業の営業拠点対象外です。
参考:読売新聞オンライン – 大和ハウス、新築戸建て住宅の新規販売23道県で撤退…コスト高騰・需要減で都市部に経営資源を集中
通常展開を継続する22都府県
通常の新築戸建住宅事業を継続する地域は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などの首都圏だけではありません。
愛知県、大阪府、福岡県、熊本県など、地方の主要都市圏を含む22都府県です。
- ・通常展開を終了する地域は23道県
- ・通常の新築戸建てを継続するのは22都府県
- ・石川県では復興住宅への対応を継続
撤退対象23道県は2050年人口指数80未満
国立社会保障・人口問題研究所の2050年人口推計と照らし合わせると、今回の23道県はすべて2020年を100とした人口指数が80未満です。
2050年に2020年の人口を上回るのは東京都だけ
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」では、2020年の人口を100とした場合、2050年の全国人口指数は83.0です。
都道府県別では東京都が102.5で、2020年を上回るのは東京都だけと推計されています。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
23道県すべてが全国平均より人口減少幅が大きい
原稿で挙げた23道県を同推計と照合すると、すべて2050年人口指数80未満となります。
全国平均の83.0を下回っており、人口減少幅が相対的に大きい地域が多いことが分かります。
また、そのうち10県では、2020年と比べて2050年の人口が30%以上減少する推計です。
ただし、この人口推計と大和ハウスの事業再編に直接の因果関係が公表されているわけではありません。
大和ハウスが公式に挙げている判断材料は、住宅着工数、価格競争力、将来的な市場ボリュームなどです。
人口推計との重なりは、住宅需要の地域差を考えるうえでの比較材料として捉える必要があります。
- ・2050年の全国人口指数は83.0
- ・2020年を上回る推計は東京都102.5のみ
- ・今回の23道県はすべて人口指数80未満だが、人口推計が撤退判断の直接理由と公表されたわけではない
人口シェアが高まる8都府県と継続エリアの重なり
日本全体の人口が減少する中でも、全国人口に占める割合が相対的に高まる地域があります。その多くが、大和ハウスの新築戸建住宅事業の継続エリアと重なります。
全国人口に占めるシェアが高まる8都府県
国立社会保障・人口問題研究所の推計を2020年と2050年で比較すると、全国人口に占める割合が高まるのは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、滋賀県、福岡県、沖縄県の8都府県です。
このうち、沖縄県を除く7都府県は、大和ハウスが2027年4月以降も通常の新築戸建住宅事業を継続する地域に含まれます。
ここでも注意したいのは、「継続エリアだから住宅価値が保証される」という意味ではないことです。
人口動態だけでなく、交通、生活利便性、災害リスク、住宅価格などを合わせて判断する必要があります。
- ・人口が減る中でも、全国人口に占める割合が高まる地域がある
- ・8都府県のうち沖縄県を除く7都府県が大和ハウスの通常展開継続エリア
- ・企業の展開地域は、将来の不動産価値を保証するものではない
住宅需要は県単位ではなく市・生活圏まで見る
住宅需要を判断するときは、「何県に買うか」だけでなく、「何市に買うか」「その市のどの生活圏に買うか」まで細かく見ることが重要です。
継続県でもすべての地域が同じではない
例えば埼玉県は大和ハウスの継続エリアですが、東京都心へのアクセスが良い地域と、人口減少が進む郊外では、30年後、40年後の住宅需要が同じとは限りません。
逆に、今回の通常展開終了エリアに含まれる宮城県でも、仙台市中心部や交通利便性の高い地域まで住宅需要が一律に失われるという意味ではありません。
人口だけでなく交通・生活利便性・災害リスクも確認する
将来の住宅需要を考える際には、市区町村ごとの人口動態だけでなく、駅へのアクセス、公共交通、商業・医療・教育施設、都市ガスなどの生活インフラ、災害リスクも確認する必要があります。
同じ市内でも、生活圏によって利便性や将来性に差が出る可能性があります。
- ・都道府県だけで住宅需要を判断しない
- ・市区町村、さらに生活圏まで細かく確認する
- ・人口、交通、生活施設、災害リスクを総合的に見る
空き家900万戸と立地適正化計画から街の将来性を見る
人口減少と空き家増加が進む日本では、今後すべての地域を同じ密度で維持することは難しくなります。住宅購入では、将来も生活サービスが維持されやすいエリアかを確認する視点が重要です。
2023年の空き家は900万2,000戸、空き家率13.8%
総務省の2023年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2,000戸、空き家率は13.8%で、ともに過去最高となりました。
空き家数は1993年から2023年までの30年間で約2倍に増えています。
人口が減少する中で住宅が余れば、住宅需要が維持される地域と、供給過剰になりやすい地域との差が大きくなる可能性があります。
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」
居住誘導区域は将来の生活利便性を見る一つの材料
国土交通省の立地適正化計画では、人口減少の中でも一定のエリアで人口密度を維持し、生活サービスやコミュニティを持続的に確保するため「居住誘導区域」を設定します。
また、医療、福祉、商業などの都市機能を誘導する「都市機能誘導区域」も設けられます。
これらの区域は将来の資産価値を保証するものではありませんが、街の将来性や生活利便性を考える際の一つの判断材料になります。
これからマイホームを購入する場合は、「新築住宅が建っているから安心」「人口が多い県だから安心」と考えるのではなく、人口動態、交通、生活インフラ、行政の都市計画などを確認しながら、長期的に住宅需要が維持されやすい街を選ぶことが重要です。
- ・2023年の空き家は900万2,000戸、空き家率13.8%で過去最高
- ・居住誘導区域は人口密度と生活サービスの維持を目的とする区域
- ・住宅購入では県名よりも、具体的な街・生活圏の将来性を確認する
■ お役立ちシミュレータ
以下のツールを使うことで、住宅ローン審査や金利の計算などが簡単にシミュレートできます。
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